VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ゆう

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◇541 フェーズ2 制圧

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 あれから一分が経った。
 今回も前回同様、何のアナウンスも無い。
 完全に自分たちで調べろの方針で、アキラたちは立ち上がると、インベントリの中からランタンを取り出す。

「えーっと、ここは本当に箱なんだね」
「そうだな。しかも四角い……が、この細い通路はなんだ?」

 アキラたちは持って来ていたランタンを全部使う。
 床や壁、肩車をして天井に設置すると、部屋の全貌が明るみになる。

「隠し部屋でしょうか?」
「そうね。この感じ、何処かにある古い建物の中よね。しかも、万が一に備えて造られた隠し部屋で合ってると思うわ。じゃないと、こんな狭い通路用意しないでしょ?」

 アキラたちが居たのは四角い部屋。
 しかしただの部屋ではなく、何らかの目的で造られた隠し部屋。
 そのせいだろうか。出入り口の通路は狭く、カニさん歩きをしないと通ることができない。
 おまけに背の高い雷斬とベルには酷で、腰を曲げないとダメだった。

「でもどうしてこんな所にいるの?」
「……おそらく、二日目のイベント、第二フェーズ:制圧が絡んでいるんだろうな。しかも、私達が一番最後の組に配置されたのが意味になる」
「一番最後? ってことは、ここにテレポートしたのは意味があるってこと?」
「当り前だ。恐らく、私達の前にここにやって来た奴が、ここを最終記録地点に設定したってことだろ」

 Nightはそういうが、確かに納得はできる。
 けれどここまで来た意味が分からない。
 一体何故? そう思うも、フェルノは壁を凝視したまま止まっている。

「うーん」
「どうしたの、フェルノ?」

 しかも唸り声まで上げていた。
 何かあるのかな? そう思ってアキラとNightは近付くと、壁に文字が刻まれている。

「なんだろう、これー?」
「文字が書いてある? しかも日本語だよ」
「全てひらがなだな。しかも真新しい。如何やら刻まれてから数刻も経っていなんだろう」

 Nightは腰を折り、壁に刻まれた文字を読む。
 眉根を寄せたまま、目だけが左右に動く。
 頭の中で文字を解読し汲み取ると、アキラたちに謎が解けたことを報告する。

「なるほどな。そういうことだったのか」
「えっ、なにか分かったの?」
「ああ。第二フェーズ:制圧の意味も、ここで私たちが目覚めた理由もな」

 Nightには全て解り切っていた。
 否、これは継ぎ接ぎの絆だから分かるのだ。
 と言うのも、壁に刻まれていた文字。最後には—の後、二文字の漢字が残されている。

「えっと、あ・と・は・た・の・み・ま・し・た・よ・—なに?」
「頼んだって、なにを頼んだのかなー?」
「これはメッセージだ。しかも限定的な。—の後、ここに書いてあるのは名前だ」
「「名前?」」

 潰れているせいか、名前なのかさえ分からない。
 だけどNightは上手く頭の中で補い変換すると、二文字の漢字を読み解く。

「一つは妖、もう一つは雅。もう分かるな」
「妖しい雅? あっ!」
「「妖帖の雅!」だ!」

 これだけヒントを貰えば判る。
 確かに今思うと、この読み口調もクロユリだ。
 アキラとフェルノは納得すると、ここまで来てくれたのは、戦闘系でも探索系でもないギルド、妖帖の雅になる。約束を果たしてくれたんだ。それだけで心が温まる。

「どうしたのよ?」
「今、妖帖の雅と聞こえたのですが」

 アキラとフェルノの声が大きかったせいか、雷斬とベルもやって来る。
 腰を更に低くして、壁に刻まれた文字を読む。
 完全にメッセージの役割を果たしていて、ここから更に読み解く。

「後は任せましたって、なんのこと?」
「おそらくこの第二フェーズのことだろうな。“制圧”ってことは、私達が今いるこの建造物、恐らくは要塞だろうな。ここを制圧すること、それが第二フェーズの目的だ」

 Nightは推測から正解を導き出した。
 アキラたちも何となく納得すると、改めてイベントの詳細を確認した。
 今なら分かる。Nightの予想は確実に当たっている。


[半チャーハン・バトルズ
 —フェーズ2 制圧—
 制限時間の間、要塞を制圧してください。現在の自軍要塞の制圧率:85%,敵軍要塞の制圧率:75%。健闘を祈ります]


 あまりにも短い説明文。
 だけど理解はすぐにできる。
 自分達が一昨日守った要塞と、別でプレイヤー達が守っていた要塞、二つの制圧率が表示されつつ、簡略的な地図まで配布されていた。
 現状、アキラたちは不利。少なくともそれだけは伝わると、顔色が一瞬で曇った。

「マズいな。この状況は芳しくないぞ」
「そうだね。自軍って言うのが、私たちのだよね? かなり押されてない?」
「あはは、一〇パーセントは大きいよねー。どうするの?」
「どうするもなにも、やるしかないだろ。この状況下で勝つには細い線を超えるしかない。はぁ、最悪だ」

 いつもいつもこれだ。アキラたちは不利な状況で戦って来ている。
 だからだろうか、正直慣れている。
 そのおかげもあってか、Nightも「最悪」と言いつつも、表情は明るい。

「それでNight、活路はあるのよね?」
「勿論だ。妖帖の雅のおかげでな」
「やっぱり繋がりって大事なんだね。それで、活路って?」

 ベルの問いかけに対し、Nightは答えた。
 やっぱり繋がりは大事だと心底思う。
 だけど活路ってなんだろう? ここの居る意味が関わって来るのかな?
 アキラは思考をグルグル掻き混ぜると、Nightが開いた地図を見る。

「今私達が居るのはここだ」

 地図を見ると、Nightはなにも無い所を指さす。
 そこは完全に壁に埋もれていて、アキラたちは首を捻った。

「Night、ここなにも無いよ?」
「当り前だ。ここは隠し部屋だぞ」
「それはいいけどさー、どうしてここだって断言ができるの?」
「当り前だ。この要塞制圧率を見た上で、なにを以って制圧率なのか。単純に要塞全体を一〇〇%の塊だとすると、この辺りが丁度七五%に当たるな」

 Nightの推察は本当に的を射ていた。
 訊かされたアキラたちもある程度納得ができる。
 だけどピンポイントで当てられるのはNightの経験則から。
 この辺りにあるだろう。そんな経験がここに活きていた。

「それでここからどうするの?」
「決まっているだろ。私たちがやるべきは、最速で要塞を制圧すること。そのためにできることは……」

 Nightはそれから簡単に説明をした。
 いつも通り理論を交えながら、それでも無茶はしていた。
 それだけしないと勝てないと言うこと。
 CUならではのオンラインゲーム全開を喰らうと、アキラたちの作戦は決まった。

「これで行けるかな?」
「どうだろうな。他のプレイヤーの動き次第だ」
「頑張り所だね。それじゃあみんな、行くよ!」
「「「おー!!!」

 円陣を組むスペースは無い。
 小さい声掛けだけで合図を出すと、同時に爆音のアナウンスが鳴った。
 声は簡単に掻き消されちゃったけど、それでも想いは一つ。
 繋がり合って、アキラたちのイベントは二日目を始めた。
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