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27話 変なタイミングの身バレ
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「それでは家具を替えせていただくよう、旦那様に申し上げてみますね」
「ありがとう、クーリエ。父さんと母さん、後兄さん達にも」
「畏まりました。それでは、失礼致します」
クーリエのおかげで小屋の掃除が滅茶苦茶早く終わった。
とは言え小屋の中はビシャビシャ。
一応モップ掛けはしたものの、家具は全滅。
すっからかんの状態だった。
「無くなっちゃいましたね、なんにも」
「そうだね。でもクーリエが家具を持って来てくれるから、数日間の辛抱だよ」
正直数日間、家具無し生活は全然できる。
何せ社畜時代は、家に帰るなんてことなかった。
あるにしても、月に一回くらいで、ほとんど泊まり込み。VRドライブを持ち込んで、連日昼夜問わずに会社のオフィスに閉じ込められっぱなしだった。
「あれに比べればな……」
「ヒジリさん?」
「ああ、なんでもないよ。それよりラウリィ。ラウリィはこれからどうするの?」
俺は家具が諸々無くなったことで、ラウリィの居場所が無くなってしまったことに焦る。
正直、ここまで何もないとなれば、ラウリィの寝る場所がない。
流石に外でモンスターの恐怖と戦いながらの野宿は骨が折れるので、ラウリィにはして欲しく無かった。
「ラウリィ、一回家に帰った方がいいよ」
「えっ、そ、そうですよね」
「ん? もしかして家族と喧嘩した?」
「いえ、そんなことはないですよ。ちゃんと許可を貰ってヒジリさんの従者になったんです……けど」
「けど?」
ラウリィは口を噤んでしまった。
如何やら何か野暮なものがあるらしい。
俺は首を捻ると、ラウリィは目を泳がせる。
しかしすぐに観念したのか、ラウリィは口を開いた。
「あの、ヒジリさん、実はお願いしたいことが……」
「ヒジリ様!」
しかしラウリィはすぐに口を噤むことになる。
森の中へ消え、小屋から離れたはずのクーリエが戻って来ていた。
「クーリエ、どうかした?」
「ヒジリ様、すぐにこちらに。ラウリィ様も、武装をお願い致します」
クーリエの言葉は棘があった。
如何やら相当のことが起きたようで、俺とラウリィの顔付きが変わる。
何かあったのだろう。互いに慎重になり、クーリエの誘導に乗る。
「クーリエ、なにかあったの?」
「この森はヒジリ様のご両親であり、事実上の私の雇い主である、トゥリーフ家のものになります」
「そうだね。それがどうかした?」
「そのような場所にただでさえ不届き者が潜伏しているという事実。私にとっては不安材料でしかありません、が、これは一体どんな体たらくでしょうか?」
クーリエさん、怒ってます。完全にブチ切れです。
俺では当然こうなったクーリエを止めるなんて真似、全く持ってできません。
困り顔を浮かべると、ラウリィは申し訳無さそうに手を挙げた。
「あの、ヒジリさん」
「ん? この状況でなに」
「ヒジリさんは、その、貴族なんですよね? あ、あの、私、まだよく分かっていなくて」
あまり今になってその話題を出して欲しくはなかった。
俺はグッと唇を噛むと、「あ、あはは」と下手に笑う。
しかしクーリエの耳がピクリと動き、ラウリィの言葉に返答する。
「もちろんです。ヒジリ様はトゥリーフの三男に当たるお方」
「三男だけどね。家督、継げないけどね」
「そんなことないと思いますけど……」
ラウリィはポツリと口走った。
しかし俺はポリポリ顳顬を掻く。
如何返答すればいいのか、まるで分からなかった。
「ラウリィさん、よく覚えておいてください。貴方が従者として仕えていますのは、トゥリーフ家の三男、ヒジリ・トゥリーフ様です。一つでも傷を付けるような真似させてはいけませんよ?」
「は、はい!」
クーリエの問答は一辺倒だった。
まるで話し合いをする余地がない。
グサリと突き刺さると、ラウリィは「はい!」としか言えなくなる。
「これ、脅迫じゃね?」
俺はその光景に、洗脳脅迫を思い起こす。
ブラック企業の悪しき文化。
それが身内間で起きると、俺は心底顔を覆いたくなった。
「ありがとう、クーリエ。父さんと母さん、後兄さん達にも」
「畏まりました。それでは、失礼致します」
クーリエのおかげで小屋の掃除が滅茶苦茶早く終わった。
とは言え小屋の中はビシャビシャ。
一応モップ掛けはしたものの、家具は全滅。
すっからかんの状態だった。
「無くなっちゃいましたね、なんにも」
「そうだね。でもクーリエが家具を持って来てくれるから、数日間の辛抱だよ」
正直数日間、家具無し生活は全然できる。
何せ社畜時代は、家に帰るなんてことなかった。
あるにしても、月に一回くらいで、ほとんど泊まり込み。VRドライブを持ち込んで、連日昼夜問わずに会社のオフィスに閉じ込められっぱなしだった。
「あれに比べればな……」
「ヒジリさん?」
「ああ、なんでもないよ。それよりラウリィ。ラウリィはこれからどうするの?」
俺は家具が諸々無くなったことで、ラウリィの居場所が無くなってしまったことに焦る。
正直、ここまで何もないとなれば、ラウリィの寝る場所がない。
流石に外でモンスターの恐怖と戦いながらの野宿は骨が折れるので、ラウリィにはして欲しく無かった。
「ラウリィ、一回家に帰った方がいいよ」
「えっ、そ、そうですよね」
「ん? もしかして家族と喧嘩した?」
「いえ、そんなことはないですよ。ちゃんと許可を貰ってヒジリさんの従者になったんです……けど」
「けど?」
ラウリィは口を噤んでしまった。
如何やら何か野暮なものがあるらしい。
俺は首を捻ると、ラウリィは目を泳がせる。
しかしすぐに観念したのか、ラウリィは口を開いた。
「あの、ヒジリさん、実はお願いしたいことが……」
「ヒジリ様!」
しかしラウリィはすぐに口を噤むことになる。
森の中へ消え、小屋から離れたはずのクーリエが戻って来ていた。
「クーリエ、どうかした?」
「ヒジリ様、すぐにこちらに。ラウリィ様も、武装をお願い致します」
クーリエの言葉は棘があった。
如何やら相当のことが起きたようで、俺とラウリィの顔付きが変わる。
何かあったのだろう。互いに慎重になり、クーリエの誘導に乗る。
「クーリエ、なにかあったの?」
「この森はヒジリ様のご両親であり、事実上の私の雇い主である、トゥリーフ家のものになります」
「そうだね。それがどうかした?」
「そのような場所にただでさえ不届き者が潜伏しているという事実。私にとっては不安材料でしかありません、が、これは一体どんな体たらくでしょうか?」
クーリエさん、怒ってます。完全にブチ切れです。
俺では当然こうなったクーリエを止めるなんて真似、全く持ってできません。
困り顔を浮かべると、ラウリィは申し訳無さそうに手を挙げた。
「あの、ヒジリさん」
「ん? この状況でなに」
「ヒジリさんは、その、貴族なんですよね? あ、あの、私、まだよく分かっていなくて」
あまり今になってその話題を出して欲しくはなかった。
俺はグッと唇を噛むと、「あ、あはは」と下手に笑う。
しかしクーリエの耳がピクリと動き、ラウリィの言葉に返答する。
「もちろんです。ヒジリ様はトゥリーフの三男に当たるお方」
「三男だけどね。家督、継げないけどね」
「そんなことないと思いますけど……」
ラウリィはポツリと口走った。
しかし俺はポリポリ顳顬を掻く。
如何返答すればいいのか、まるで分からなかった。
「ラウリィさん、よく覚えておいてください。貴方が従者として仕えていますのは、トゥリーフ家の三男、ヒジリ・トゥリーフ様です。一つでも傷を付けるような真似させてはいけませんよ?」
「は、はい!」
クーリエの問答は一辺倒だった。
まるで話し合いをする余地がない。
グサリと突き刺さると、ラウリィは「はい!」としか言えなくなる。
「これ、脅迫じゃね?」
俺はその光景に、洗脳脅迫を思い起こす。
ブラック企業の悪しき文化。
それが身内間で起きると、俺は心底顔を覆いたくなった。
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