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フェンリル編
657.七輪島へ行こう
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ルカは朝の運動を終わらせる。
とりあえず軽く汗が出る具合には疲れた。
これぞいい汗、そのために五十キロ以上走るとは常人なら考えられない。
「いつもと違うから、時間も掛かっちゃったよ」
ルカは往復で五十キロの道のりを帰還。
ここまでで大体十五分。速度もそこまで上げていなかったが、こんなに掛かるとは思わなかった。
「うーん、洗濯面倒だな」
とりあえず軒先で立ち尽くしてしまう。
汗を掻いたものの、洗濯をしている余裕はない。
すっかり重たくなった服を魔法を使って乾かす。
「《ドライ》」
あっという間に汗が吹き飛び、乾き切ってしまった。
さっぱりしたルカだったが、やはり気掛かりが浮かぶ。
「調べてみるしかないよね?」
あの嫌な予感の正体は何か?
少なくとも幻島ではなさそう。
そうなるとナタリーの情報も間違いではないらしい。
「まあそれはさておき……」
ルカは一旦考えるのを止める。
とは言え顔色は悪い。
気を引き締めると、扉を開けてくつろぐ。
「ただいま」
ルカは実家に帰って来た。
神妙な顔で、あまり元気が無いように見える。
けれどルカは上手い具合に隠すと、バルトラに話し掛けられた。
「ン? イツモヨリオソイナ」
「そう?」
「アア、サンジュウプンハオクレテイルダロ」
確かに実に三十分近くはいつもよりも帰りが遅い。
もちろんルカにとっては些細なこと。
時間の感覚なんてもの、ルカにはあってないようなものだ。
「もしかして寂しかったの?」
「ソンナワケガアルカ」
「だろうね」
バルトラは決して寂しがったりしない。
だからだろうか、可愛げがない。
見た目はこんなに可愛いのに残念だ。
「バルトラ、今の自分を考えてみてよ」
「フン、コノスガタナドイマニステテヤル」
「いいよ、全然」
バルトラはいつでもぬいぐるみの姿を壊す覚悟ができている。
かと思えばそんなこともない。
それができれば苦労はせず、ルカとナタリーの魔法が掛かっているせいか、そんな真似はできない。
「ムッ……ソレガデキレバクロウハシナイ」
もちろんそう簡単にぬいぐるみの体を捨てることはできない。
魂だけの存在になっているバルトラ。
亜空間の中に出も逃げなければ消滅してしまう。
非常に破滅的な運命を背負っている。
しかしこれは宿命ではない。
ルカは教えはしないが、覆すことは可能だ。
「まあ、この姿の方が可愛いんだけどね」
「ナニカイッタカ?」
「さぁ、なんでもないよ。さてと、朝ご飯にしようかな」
ルカは朝食の支度を始める。
かと思いきや何故かソファーに座った。
バルトラは疑問を抱くも、亜空間を展開、ルカは腕を突っ込む。
「実はもう作ってるんだよね」
「いつの間に……ん?」
「はい、昨日の余り」
ルカが取り出したのはベーコンエッグサンドだった。
まさかの昨晩と同じもの。
にもかかわらず、亜空間の中に突っ込んでいたおかげか、未だに熱々で鮮度完璧だ。
「あっ、そう言えば」
朝食を食べるのを一旦止める。
ルカはバルトラに言っておかなければいけないことがある。
咀嚼を止め、口の中に入っている物を飲み込む。
「バルトラ、少し出て来るよ」
「ドコカニイクノカナ?」
「うん。七輪島の方にね」
ここから七輪島までは近い。
七つの島のどれかまでは具体的に検討を付けていない。
それでも行ってみることにしていた。
「ナラバワレモ」
「バルトラは大丈夫だよ」
「ナゼダ」
「何故って、うーん、悪魔がいると困るから?」
バルトラも暇なのか、付いて行きたそうにする。
けれどそれは流石にできない。
何故なら悪魔だからで、下手な真似をされれば、魔法や魔術に耐性が無いと危ない。
もちろん理由はそれだけではない。
だけど“可愛い”姿のバルトラには言える訳が無い。
否、言う必要がなくニヤついてしまう。
「ワレガコマルダト?」
「うん。ちょっとした用があってね。だからバルトラは連れて行けない。これはナタリーからの頼み事なんだよね」
バルトラはルカが居る時しか口を聞かない。
おまけに他人の話も聞こうとしない。
余計な魔力を使うのを拒むのは当然で、今回も面倒なのはナタリーからの頼み事ってことだ。断ってもいいが、今回は断れない。ルカ自身がそう決めた。
「ヨクワカランナ」
「私もだよ。でも、なんだか嫌な予感がする」
「チュウショウテキダナ」
「そうだね。でも、私の勘はよく当たるんだよ?」
主に嫌な予感の方が当たる。
つまりこれは何か良くないことの前触れ。
そう思いたくはないのだが、千年に渡る経験が諭させる。
「ってことで、少し出て来るから。大人しくして……とは言わないけど、今のバルトラは」
「ワキマエテイル」
「流石だね。それじゃあ私も食べたら行くよ」
今のバルトラは戦える姿じゃない。
力も制限されてしまっていて、まともに戦っても相手にならない。
だからだろうか、バルトラ自身弁えていた。
これで一つ心配事は消える。
ルカは笑みを浮かべると、朝食を手短に済ませる。
スッと手を合わせると、今日も美味しいご飯が食べられたことに感謝した。
「ごちそうさまでした」
とりあえず軽く汗が出る具合には疲れた。
これぞいい汗、そのために五十キロ以上走るとは常人なら考えられない。
「いつもと違うから、時間も掛かっちゃったよ」
ルカは往復で五十キロの道のりを帰還。
ここまでで大体十五分。速度もそこまで上げていなかったが、こんなに掛かるとは思わなかった。
「うーん、洗濯面倒だな」
とりあえず軒先で立ち尽くしてしまう。
汗を掻いたものの、洗濯をしている余裕はない。
すっかり重たくなった服を魔法を使って乾かす。
「《ドライ》」
あっという間に汗が吹き飛び、乾き切ってしまった。
さっぱりしたルカだったが、やはり気掛かりが浮かぶ。
「調べてみるしかないよね?」
あの嫌な予感の正体は何か?
少なくとも幻島ではなさそう。
そうなるとナタリーの情報も間違いではないらしい。
「まあそれはさておき……」
ルカは一旦考えるのを止める。
とは言え顔色は悪い。
気を引き締めると、扉を開けてくつろぐ。
「ただいま」
ルカは実家に帰って来た。
神妙な顔で、あまり元気が無いように見える。
けれどルカは上手い具合に隠すと、バルトラに話し掛けられた。
「ン? イツモヨリオソイナ」
「そう?」
「アア、サンジュウプンハオクレテイルダロ」
確かに実に三十分近くはいつもよりも帰りが遅い。
もちろんルカにとっては些細なこと。
時間の感覚なんてもの、ルカにはあってないようなものだ。
「もしかして寂しかったの?」
「ソンナワケガアルカ」
「だろうね」
バルトラは決して寂しがったりしない。
だからだろうか、可愛げがない。
見た目はこんなに可愛いのに残念だ。
「バルトラ、今の自分を考えてみてよ」
「フン、コノスガタナドイマニステテヤル」
「いいよ、全然」
バルトラはいつでもぬいぐるみの姿を壊す覚悟ができている。
かと思えばそんなこともない。
それができれば苦労はせず、ルカとナタリーの魔法が掛かっているせいか、そんな真似はできない。
「ムッ……ソレガデキレバクロウハシナイ」
もちろんそう簡単にぬいぐるみの体を捨てることはできない。
魂だけの存在になっているバルトラ。
亜空間の中に出も逃げなければ消滅してしまう。
非常に破滅的な運命を背負っている。
しかしこれは宿命ではない。
ルカは教えはしないが、覆すことは可能だ。
「まあ、この姿の方が可愛いんだけどね」
「ナニカイッタカ?」
「さぁ、なんでもないよ。さてと、朝ご飯にしようかな」
ルカは朝食の支度を始める。
かと思いきや何故かソファーに座った。
バルトラは疑問を抱くも、亜空間を展開、ルカは腕を突っ込む。
「実はもう作ってるんだよね」
「いつの間に……ん?」
「はい、昨日の余り」
ルカが取り出したのはベーコンエッグサンドだった。
まさかの昨晩と同じもの。
にもかかわらず、亜空間の中に突っ込んでいたおかげか、未だに熱々で鮮度完璧だ。
「あっ、そう言えば」
朝食を食べるのを一旦止める。
ルカはバルトラに言っておかなければいけないことがある。
咀嚼を止め、口の中に入っている物を飲み込む。
「バルトラ、少し出て来るよ」
「ドコカニイクノカナ?」
「うん。七輪島の方にね」
ここから七輪島までは近い。
七つの島のどれかまでは具体的に検討を付けていない。
それでも行ってみることにしていた。
「ナラバワレモ」
「バルトラは大丈夫だよ」
「ナゼダ」
「何故って、うーん、悪魔がいると困るから?」
バルトラも暇なのか、付いて行きたそうにする。
けれどそれは流石にできない。
何故なら悪魔だからで、下手な真似をされれば、魔法や魔術に耐性が無いと危ない。
もちろん理由はそれだけではない。
だけど“可愛い”姿のバルトラには言える訳が無い。
否、言う必要がなくニヤついてしまう。
「ワレガコマルダト?」
「うん。ちょっとした用があってね。だからバルトラは連れて行けない。これはナタリーからの頼み事なんだよね」
バルトラはルカが居る時しか口を聞かない。
おまけに他人の話も聞こうとしない。
余計な魔力を使うのを拒むのは当然で、今回も面倒なのはナタリーからの頼み事ってことだ。断ってもいいが、今回は断れない。ルカ自身がそう決めた。
「ヨクワカランナ」
「私もだよ。でも、なんだか嫌な予感がする」
「チュウショウテキダナ」
「そうだね。でも、私の勘はよく当たるんだよ?」
主に嫌な予感の方が当たる。
つまりこれは何か良くないことの前触れ。
そう思いたくはないのだが、千年に渡る経験が諭させる。
「ってことで、少し出て来るから。大人しくして……とは言わないけど、今のバルトラは」
「ワキマエテイル」
「流石だね。それじゃあ私も食べたら行くよ」
今のバルトラは戦える姿じゃない。
力も制限されてしまっていて、まともに戦っても相手にならない。
だからだろうか、バルトラ自身弁えていた。
これで一つ心配事は消える。
ルカは笑みを浮かべると、朝食を手短に済ませる。
スッと手を合わせると、今日も美味しいご飯が食べられたことに感謝した。
「ごちそうさまでした」
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