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フェンリル編
726.VS密猟者達1
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ゴード達、冒険者集団は、いよいよ決戦に出た。
赤斜の樹海に潜んでいるであろう、同業者達……否、密猟者を全員捕らえる。
「ギルドマスター」
「ああ、頼めるか」
「はい。主を迎えるは風の窓。響かす音に空気よ震えよ—《エコー》」
女性冒険者の一人が鳴れない魔術を唱えた。
魔術を掛けられたゴードは喉を鳴らす。
「あー……聞け、密猟者共。お前達は赤斜冒険者ギルドの恥晒し、裏切り者だ!」
まずは罵倒から入った。
高らかに宣言するも、密猟者は動かない。
冒険者や貴族が最も嫌うもの。それは名誉を人格を否定されることだ。
「だがな、温情はある。今まで共に死線を超えて来た同士だ」
ゴードとしても、最後まで足搔いてはいた。
甘い考えではあるのだろうが、同じ冒険者として、死線を超えて来た仲だ。
温情の色を見せると、密猟者達に要求した。
「今から三つカウントを取る。それまでに武器を捨て、抵抗する意思を失せ、手を挙げて俺達の前に姿を現わせ。そうすれば、不問にしてやってもいい」
今ならばまだ不問にすることもできる。
降伏勧告を要求するゴードだったが、誰一人として姿を見せない。
つまりは、そう言うことだった。
「数えるぞ……三……二……一……」
ゴードはユックリと数字をカウントした。
一つの数字を唱えるごとに、しばしの間を置いている。
それでも現れる気配がなければ、空気は微動だにしない。
「〇!」
余計な四つ目の数字をカウントした。
その瞬間、草木が揺れ動き始める。
一斉に殺意が向けられると、草木を押し退け、密猟者達が姿を現した。
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ、死ねやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
潜んでいた密猟者達は、張り詰めていた空気を壊す。
息を潜め、今か今かと待っていたその瞬間。
剣や槍を振り上げると、冒険者達を、元同業者達相手に牙を剥く。
「本当、バカ野郎だな」
呆れたゴードは視線を落とした。
刹那、振り下ろされた剣を拳で掴み粉砕する。
「(バキッ!)はっ、なんだよ、この力!」
「覚悟はできているな。赤斜のギルドマスターに牙を剥いたこと、その身で後悔しろよな」
ゴードの目には光がない。
殺意の篭った別種の愛を抱いている。
せめてもの情けだ。鎮めるなら、一発がいいだろう。
「死ねっ」
ゴードの拳が顔面に落ちた。
冒険者の顔が無くなる。骨が砕けて陥没すると、パタリと倒れた。
こと切れた人形に成り果て、ゴードの怒りと本気を見せつけた。
「「「ひいっ!!!」」」
「ビビってんじゃねぇぞ、オラァ。俺達に牙を剥いたんだ、覚悟、できてんだろうがよぉ!」
ゴードは前に躍り出た。
剛腕を振り抜くと、腕に装着したガントレットが光る。
まるで一振りの大木だ。密猟者達は動くこともままならず、恐怖に震え、軽く薙ぎ払われた。
「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
密猟者達は宙に吹き飛ばされた。
後は地面に落ちるだけ。背中の骨はズタズタになるだろう。
ドシーン! と人間が出してはいけない音が鳴り響くと、密猟者達は体をピクピク震わせていた。
「ふぅ。手加減はできねぇな」
ゴードは相変らずの強さを見せつけた。
戦う前までは、密猟者達を気遣っていた。
出来るだけ怪我はさせない。ましてや殺すなど到底あり得ない。
けれど実際に戦うとなると、そうも言っていられないのが現実で、強さを振りかざしたら最後、止まることはない。
「ギルドマスター、流石にやり過ぎです」
「やり過ぎだと? 相手は密猟者だ、手を抜く必要はねぇ」
「しかし」
「そんな甘いこと言ってると、今度はお前がやられるぞ」
ゴードに魔術を掛けた女性冒険者が心配して駆け寄る。
あまりにもアグレッシブに前線を牛耳っている。
このままでは赤斜の樹海が血の色に染まるのも時間の問題だった。
「最初に言っていたことと違います」
既にゴードの脳内はアドレナリンで溢れていた。
元々ゴードの性格は非常に脳筋だ。
そのせいか、自分で言っていたことさえ忘れ、戦いに夢中になっている。
「よぉーし、このままドンドン叩きのめすぞ」
「こ、このままだと森が血に染まってしまいますよ」
「構うか。冒険者を裏切った密猟者は全員叩きのめす」
「えぇー」
女性冒険者は呆れてしまった。
一体どちらが悪なのか真偽を付けることもできない。
ゴードの背中には殺意と言う亡霊がしがみついているようで、非常に気味が悪かった。
「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
そんな折、突然悲鳴が聞こえた。
殺意の亡霊に憑りつかれているゴードでさえ視線を向けた。
「なんですか、今の声は?」
「あっちの森から悲鳴だと? なんか嫌な予感がするな。ちと言って来るわ」
「あっ、ギルドマスター!」
ゴードは危険を感じ取った。
このまま放置するのはマズい気がする。
冒険者だった経験が活きると、女性冒険者を置き去りにして、ゴードは駆け出した。
「行ってしまわれました……本当、なんなのでしょうか?」
女性冒険者の目は特殊でした。
所謂魔眼を持っている稀有な冒険者です。
そのおかげか、森から溢れ出る氷の魔力の波動に不思議な感覚を覚えてしまうのだった。
赤斜の樹海に潜んでいるであろう、同業者達……否、密猟者を全員捕らえる。
「ギルドマスター」
「ああ、頼めるか」
「はい。主を迎えるは風の窓。響かす音に空気よ震えよ—《エコー》」
女性冒険者の一人が鳴れない魔術を唱えた。
魔術を掛けられたゴードは喉を鳴らす。
「あー……聞け、密猟者共。お前達は赤斜冒険者ギルドの恥晒し、裏切り者だ!」
まずは罵倒から入った。
高らかに宣言するも、密猟者は動かない。
冒険者や貴族が最も嫌うもの。それは名誉を人格を否定されることだ。
「だがな、温情はある。今まで共に死線を超えて来た同士だ」
ゴードとしても、最後まで足搔いてはいた。
甘い考えではあるのだろうが、同じ冒険者として、死線を超えて来た仲だ。
温情の色を見せると、密猟者達に要求した。
「今から三つカウントを取る。それまでに武器を捨て、抵抗する意思を失せ、手を挙げて俺達の前に姿を現わせ。そうすれば、不問にしてやってもいい」
今ならばまだ不問にすることもできる。
降伏勧告を要求するゴードだったが、誰一人として姿を見せない。
つまりは、そう言うことだった。
「数えるぞ……三……二……一……」
ゴードはユックリと数字をカウントした。
一つの数字を唱えるごとに、しばしの間を置いている。
それでも現れる気配がなければ、空気は微動だにしない。
「〇!」
余計な四つ目の数字をカウントした。
その瞬間、草木が揺れ動き始める。
一斉に殺意が向けられると、草木を押し退け、密猟者達が姿を現した。
「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ、死ねやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
潜んでいた密猟者達は、張り詰めていた空気を壊す。
息を潜め、今か今かと待っていたその瞬間。
剣や槍を振り上げると、冒険者達を、元同業者達相手に牙を剥く。
「本当、バカ野郎だな」
呆れたゴードは視線を落とした。
刹那、振り下ろされた剣を拳で掴み粉砕する。
「(バキッ!)はっ、なんだよ、この力!」
「覚悟はできているな。赤斜のギルドマスターに牙を剥いたこと、その身で後悔しろよな」
ゴードの目には光がない。
殺意の篭った別種の愛を抱いている。
せめてもの情けだ。鎮めるなら、一発がいいだろう。
「死ねっ」
ゴードの拳が顔面に落ちた。
冒険者の顔が無くなる。骨が砕けて陥没すると、パタリと倒れた。
こと切れた人形に成り果て、ゴードの怒りと本気を見せつけた。
「「「ひいっ!!!」」」
「ビビってんじゃねぇぞ、オラァ。俺達に牙を剥いたんだ、覚悟、できてんだろうがよぉ!」
ゴードは前に躍り出た。
剛腕を振り抜くと、腕に装着したガントレットが光る。
まるで一振りの大木だ。密猟者達は動くこともままならず、恐怖に震え、軽く薙ぎ払われた。
「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
密猟者達は宙に吹き飛ばされた。
後は地面に落ちるだけ。背中の骨はズタズタになるだろう。
ドシーン! と人間が出してはいけない音が鳴り響くと、密猟者達は体をピクピク震わせていた。
「ふぅ。手加減はできねぇな」
ゴードは相変らずの強さを見せつけた。
戦う前までは、密猟者達を気遣っていた。
出来るだけ怪我はさせない。ましてや殺すなど到底あり得ない。
けれど実際に戦うとなると、そうも言っていられないのが現実で、強さを振りかざしたら最後、止まることはない。
「ギルドマスター、流石にやり過ぎです」
「やり過ぎだと? 相手は密猟者だ、手を抜く必要はねぇ」
「しかし」
「そんな甘いこと言ってると、今度はお前がやられるぞ」
ゴードに魔術を掛けた女性冒険者が心配して駆け寄る。
あまりにもアグレッシブに前線を牛耳っている。
このままでは赤斜の樹海が血の色に染まるのも時間の問題だった。
「最初に言っていたことと違います」
既にゴードの脳内はアドレナリンで溢れていた。
元々ゴードの性格は非常に脳筋だ。
そのせいか、自分で言っていたことさえ忘れ、戦いに夢中になっている。
「よぉーし、このままドンドン叩きのめすぞ」
「こ、このままだと森が血に染まってしまいますよ」
「構うか。冒険者を裏切った密猟者は全員叩きのめす」
「えぇー」
女性冒険者は呆れてしまった。
一体どちらが悪なのか真偽を付けることもできない。
ゴードの背中には殺意と言う亡霊がしがみついているようで、非常に気味が悪かった。
「「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」
そんな折、突然悲鳴が聞こえた。
殺意の亡霊に憑りつかれているゴードでさえ視線を向けた。
「なんですか、今の声は?」
「あっちの森から悲鳴だと? なんか嫌な予感がするな。ちと言って来るわ」
「あっ、ギルドマスター!」
ゴードは危険を感じ取った。
このまま放置するのはマズい気がする。
冒険者だった経験が活きると、女性冒険者を置き去りにして、ゴードは駆け出した。
「行ってしまわれました……本当、なんなのでしょうか?」
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