1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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フェンリル編

727.VS密猟者達2

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「ふぅ、始まりましたか」

 冒険者と密猟者が交戦している。
 そんな中、ヒョウガは立ち尽くしています。
 
「まさか、この私が人間に手を貸すなど」

 人間同士の争いに加担してしまうなんて。
 ヒョウガ自身、あまり興味の無いことです。

「稀有なこともありますね」

 溜息を付いていました。
 吐息に小さな氷の礫のようになる。
 パラパラと空気に混ざると、ガサゴソと音がした。

「いたぞ、コイツをやれ!」
「俺達を捕まえようとするなら、叩きのめすぞ」
「殺せ、殺しちまえ」

 野蛮な人間達を相手にするのは面倒だ。
 ヒョウガは本音でそう思うと、無防備な姿を見せました。

「「「死ねよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 密猟者達がヒョウガの背中に攻撃を叩き込む。
 武器が触れそうになった瞬間、密猟者達の体が凍り付いた。

「「「あっ……ああ……体が……あっ」」」

 密猟者達は氷の中に体を埋めた。
 立体物の姿に変ってしまうと、密猟者達は動けない。
 意識が遠のいていくと、ヒョウガはポツリと呟いた。

「大したことないですね」

 ルカと戦ったせいだろうか?
 他の冒険者も密猟者も含め、まるで相手にならない。

「ルカが強過ぎて、密猟者達が雑魚に見えます」

 そう考えれば、ルカの強さは異常以外の何物でもない。
 そのせいだろうか? 密猟者達の無駄な動きが気になる。
 おまけに相手取る冒険者達も、正直雑魚だった。

「はっ、つまらないですね」

 溜息を付いたヒョウガ。
 そんなヒョウガを前にして、密猟者達が襲って来る。

「なんだお前、俺達の邪魔をするな!」
「うるさいですよ」

 密猟者の一人が拳を振り上げた。
 ヒョウガの顔を殴り付けようとするも、触れる前に凍り付く。
 一瞬にして立体物になってしまうと、密猟者は動けなくなる。

「このまま私が歩いていれば、全員凍り付かせることができるのではないでしょうか?」

 ふと考えてしまうと、ヒョウガに襲い掛かって来る密猟者を薙ぎ払った。
 拳一発で沈めてしまうと、密猟者の顔が凍り付く。
 息が出来なくなると、パタリと倒れてしまった。

「このまま戦っていても埒が明きませんね」

 正直見るに堪えませんでした。
 血で血を荒いような攻防戦。
 そのどれもが、あまりにもむごたらしく、野蛮で仕方がなかった。

「セカイヨコオリツケ、《モニメーノ・エダ―フォース》」

 ヒョウガは魔法を唱えた。
 永久凍土を発動させると、突然空気が凍り付く。
 戦っている冒険者と密猟者の攻防。その全てを無に帰すように、氷の立体物に変わった。

「ふぅ。これで百人ですか」

 人間達が凍り付いていた。
 冒険者も密猟者も関係がない。
 氷の立体物がそこら中に並び立つと、ヒョウガだけが無傷だった。

「お、おい、一体なにが起きたんだ!?」
「ヤベェよ、これ、全員まとめて殺す気だ」

 何とかヒョウガの魔法の範囲から出ていた冒険者と密猟者が怯えて慄いていた。
 確かにヒョウガの魔法は無差別で、あくまでもルカの代わりとはいえ、決して冒険者の味方をする必要は無い。
 ヒョウガにとってはただの人間。どちらも倒せば戦いは終わるのだ。

「ふぅ。この調子で全員凍らせて、後で冒険者だけを解凍すれば簡単に済む話ですね」

 まさしく幻獣の考えだった。
 いざ戦うとなれば容赦はしない。
 自分が死ぬくらいなら他の全てを殺しても構わない。
 その非情さこそが、魔物らしさ。まさしく本能で走る獣の証だ。

「おい、味方まで凍らせてどうするんだ!」

 そんな中、ヒョウガに怒りの鉄槌が降り注がれる。
 けれどヒョウガが気付いていない訳がない。
 素早く対応してみせると、ゴードの拳を抑え込んだ。

「くっ、不意打ちも効かねぇのか」
「なんですか、私は仕事をしていますよ?」
「やり過ぎだ。それだけの強さがあれば、もっとやり方があるだろ」
「……私は誰も殺していませんが?」

 ゴードはヒョウガのやり方が気に食わない。
 何せヒョウガはゴードが認める強さがある。
 けれど敵味方を問わない非道な魔法(※ゴードは魔術だと思っている)を前に、流石に止めざるを得なかった。

 けれど止めた結果、ヒョウガから見事なまでのカウンターが入る。
 シッカリと鳩尾に渾身のボディブローを喰らった。
 グハッと心が悲鳴を上げて痰を吐く。

「ぐはっ、大したカウンターじゃねぇか」
「どうも」
「だがな、アンタのやり方は非道だ。愛が無ぇ」
「それは貴方も同じだと思いますが?」

 ゴートはヒョウガの攻撃を受け、負け惜しみをする。
 けれどヒョウガにはゴードの言葉は響かない。
 何せ全てブーメランだからだ。

「さてと、密猟者を一掃しましょうか」

 ヒョウガにとっては冒険者も密猟者も関係がない。
 全て一掃してしまえば楽になる話だ。
 まるで片付けをするみたいに淡々としていた。

「おい、アンタ待てよ。……強さを持て余してる奴は、これだから分からねぇんだ」

 ゴードは悪態を付いた。
 聞こえているが、ヒョウガは無視することにする。
 無駄口を叩く時間が惜しい。そう思った矢先だった。

「舐めるなよ、冒険者共が。俺達には、まだ切札があるんだよ!」

 劣勢を強いられている密猟者達。
 このままでは敗北は濃厚。明日は無いと思った。
 そのせいか、奥の手隠していた切札を解放する。
 刹那、轟音が空気を震わせる。

「ヴォー――――ン!」
「「うっ……」

 聞いたこともない醜い声。
 鼓膜の音まで突き刺さるようで気分を害する。
 それだけ鈍く、ましてや重たい地響きのようだった。

「な、なんだ、この音」
「遠吠え……威嚇ですか」
「威嚇だと? ってことよ、アレはそう言うことか?」
「そうですね。恐らくは切札、という奴でしょうか?」

 視線の先、突如として巨大な何かが現れる。
 その姿形はアレに酷似していた。
 忌々しい姿形に、ヒョウガはムカついた。
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