1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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鉱石編

111.鉱石の谷。そこは渓谷。

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 週末。三年二組は、揃って馬車に乗ってやってきた。
 ここまで三台の馬車を使ったが、そこそこ広いので、間取りは取れていた。
 いざやって来ると、そこに広がるのは巨大な渓谷。見ての通り雄大な世界が、まるで昔の時をそのまま模っているみたいで、懐かしく思った。

「ここが、鉱石の谷」
「綺麗なところね。本当にここが、スカーレット王国なの?」
「如何なんだろ。こんな馬車があるなんて、見えてる景色なのに、信じられないねー」
「……ライがそんな乙女的なこと言うなんて、何だか意外なんだけど」
「大きなお世話」

 ライラックはジト目になって抗議を入れる。
 似たような会話は周りからも飛び交っていた。皆んなこの景色が信じられないんだ。
 ルカの目にも映っている。大きな川が中心部を流れ、両脇には巨大な岩の大地。緑が生い茂る面と、掘り起こされて赤土が露わになっている部分とで、全く違う顔を見せてくれた。
 ここが本当に現代なのか。そう思ってしまうのは、仕方ない。

「はい、皆さん。集まってください。景色は後でも嫌になるくらい眺めることができますから」

 パンパンと手を叩く。
 ノーブル先生はいつもの黒い格好で、二組を呼び寄せると、改めて点呼を取った。

「全員いますね。それではいよいよ一泊二日の課外授業になります。今回は私は手を出しません。安全のために結界を張ってはおきますが、自分たちで考えて行動してください」
「先生質問です」
「なんでしょうか、マサタカ君」
「今回の課外活動の目的。クリア条件はいつ発表されるんですか?」

 クラスメイトのマサタカはノーブル先生に質問した。
 一応各々で軽く調べてきたらしい。確かにそれは一番知りたい情報だった。
 するとノーブル先生は指を鳴らして、空中に何枚もの紙が舞う。一枚と言うわけではなく、二枚から三枚で綴られている。

「今回の課外活動のクリア条件は、この紙に書いてあります。一人ずつ配るので、受け取ってください」

 全員に回すように指示された。
 自然と最初に手に取った生徒が、次の人と渡していく。自然とルカの手にもシルヴィアから渡されたものが届いき、クリップで留められている。
 ざっと渡された瞬間、高速で内容を読むと頭の中にすんなり入ってきた。

(なるほど、今回のクリア条件。やはりこの地帯を詳しく調べていないと手に入りそうにないね)

 ルカはニヤけていた。クリア条件は鉱石の谷にふさわしく石らしい。

「他にもこの場所の簡単な地図を付けていますが、黄色で塗りつぶされたエリアは危険なので、足を踏み入れないでくださいね」
「「「はーい」」」
「よろしいです。皆さん、是非死なずに戻って来てくださいね。解散」

 また恐ろしいことを言わないで欲しいと、心から願った。
 しかしここまで手厚くサポートされていると、そう危険なことにはならないだろう。
 しかしまずはここからどうやって水辺に向かうかだ。

「とりあえず、水辺に向かうのが定石よね?」
「でもここからはかなりあるよ。ここから真下に向かって、50メートルは降りないといけない」
「かなり高低差がありますね。水辺に行くだけで一苦労です」

 弱気なダリア。しかし無理もない。流石にルカでもこの高低差を、歩いていくだけは味気ない。
 だがシルヴィアとライラックは黙り込んでいた。
 この間の死闘で一皮むけた。特にシルヴィアは真面目なので、こういう時でも本気モードになっている。優しく両手を下げると、ルカ達に問いかけた。

「三人とも、ここから下まで降りるのは大変よね?」
「それはね。坂道を下っていく必要がある」
「だったら一気に下に降りてみない。私、試したいことがあるの」

 何故か嫌な予感が走る。
 不意に風が出てきて、心地よかったが、心を騒めかせる。
 けれどシルヴィアの感情に感化されているみたいで、既にやることは見えていた。

「やっちゃえ、シルヴィ。ぶっ飛ばそう」
「ありがとライ。じゃあ行くわよ!」

 そう言ってシルヴィアは魔術を唱えた。
 風が四人の体を包み込み、ふわりと浮かせる。足が地面から離れてしまい、不安定な風の気流が四人の体を投げ出したんだ。

「うわぁ!」
「皆さん、大丈夫ですか」

 ライとダリアが絶叫する。
 上が下でしたが上。体の感覚がおかしくなりそうだ。
 ルカはシルヴィアの頑張りに免じて、溜息を発しながら巻き起こった風をコントロールしてあげていた。
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