1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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鉱石編

112.急降下からの墜落

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  けたたましい風が、ビューン! と音を鳴らして吹き抜けた。
 遠くの方には、鉱石の谷の入り口が見える。すでにかなり離れていた。

「うわぁ、凄い。飛んでますよ」
「凄いでしょ。私も練習したんだから」
「流石だねシルヴィ。でも……」

 言葉を詰まらせるルカ。
 そのことに誰も違和感を感じない。ルカは集中していた。

 シルヴィアにばれないように風を操るルカ。
 ライとダリアはそのことに気づくこともなく、シルヴィアですら全く気づいていない。
 これは成長なのか、成長していないのか、正直審議が発生するレベルの体たらくだった。

(でもいっか。このまま解いたら落ちるだけだから)

 シルヴィアの起こした風は確かに強力だった。
 おそらく魔術の名前は、《ガスタ》。それに嵐の性質を加えようとして失敗。よくある、いきなり難しいことをしようとして失敗したが、そのことに気づいていないお茶目さんだ。

「そう言えばシルヴィ。これってどうやって降りるの?」
「降りる? そう言えばそこまでは練習していなかったわね」
「……それ本気で言ってる?」
「如何してルカが怒るのよ」

 シルヴィアはとんちんかんなことを言った。
 それも無理はない。ここまで頑張っているのは、八割方ルカなんだ。それにルカは他人から魔力の存在を消すことは得意でも、他人の魔力に同調し、バレないように集中してコントロール権を奪うなど、魔女と言われた自分でもきついと怒りを露わにした。

「でも降りられないんですよね?」
「う、うん。このまま川に飛び込もうと思ってたんだけど」
「この高さじゃ降りても全身打撲は必至。それに受け身取れる?」
「一応はできますよ。でも、風に煽られ続けた中では、大勢が……」

 ダリアが不安そうに答えた。正直でよろしいとルカは把握。
 ライラックは無視して、シルヴィアも自分がこうなった場合のことを考えていないとおかしい。ルカは勝手に想像したのち、突然風のコントロールを解いた。

 ——風がぴたりとやんだ。

「「「……えっ!?」」」
「もういいよね」

 ルカは魔術を解除した。
 真っ逆さまに少女たちが落ちていく。時速何キロかと思う速度で、真下の木々の群生地に叩き込まれた。

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!」

 シルヴィアが泣き叫んだ。代わりに他の面々は黙っている。
 全員覚悟した。直後、体に衝撃が走った。

バキバキバキバキ! ——

 けたたましい音があちらこちらから聞こえてくる。目を閉じて聞いてみると、如何やら木の枝が折れたらしい。
木の枝や葉っぱがクッションになり、少し痛いが命は助かった。

「痛たぁ。こ、腰が……」
「あははー。散々な目に遭ったねー」
「はい。でも皆さん無事みたいですね」

 三人は起き上がった。
 シルヴィアは腰を抑えて腰痛気味で、ライラックも頬を裂かれたらしい。木の枝が切ったんだ。
 ダリアも太腿の部分が黒い土で汚れているが、楽しそうにしている。

「皆さん、泥んこですね」
「そうだねー。そう言えばルカは?」

 ライラックがルカを探した。
 きょろきょろと周囲を見回すと、ルカが服の汚れを払い落として立ち尽くしていた。
 一人だけ怪我もしていない。汚れてもいない。

「ルカさん、大丈夫ですか?」
「うん。ちゃんとバリアを張ったから」
「「バリア!」」

 シルヴィアとライラックが飛びかかる。
 そんなのがあるんだったら、全員にかけてよね。とか言いそうな顔だが、ルカは先手を打った。

「でも楽しかったでしょ?」
「楽しいとかじゃないから。下手したら、死んじゃってたわよ!」
「あはは。ごめんごめん。でも、防御魔術は勉強しておいて損はないよ。ライもダリアも自分のこと守ってたんでしょ?」

 ルカは矛先を二人に移し替える。
 ルカだけが気付いていた。細い糸でぐるぐる巻きにしたライラックと、咄嗟に錬成した剣を使って足場を作ったダリアの技量に。
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