1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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鉱石編

114.川辺でキャンプ

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 森の中は鬱蒼としていたが、着質に前には進んでいた。
 上から見た際に、地図の位置を照らし合わせ、こうして歩けていた。とはいえ前を見ても横を見ても、全方が森の木々に囲まれていて方向感覚を失いかけるが、ここにいる面々はそんなことは気にならない。

「太陽の向き的にこっちだね」

 ルカは太陽の位置から自分たちが今何処にいて、何処を目指せばいいのかを明確にする。昔からあるサバイバル知識だ。
 しかしシルヴィアとライラックもなかなか乙なことをする。

「風は……こっちから吹いているわね。南西の風。ってことは、この水を乗せた風は、反対側からだわ」
「シルヴィってそんなことできたの?」
「ふふん。風を読むのは得意なのよ」
「……それが出来たら、空を飛ぶのもうまくできたと思うけど……」
「それは言わないでよ! ……私だって……」

 シルヴィアは唇を噛む。悔しい。自分が劣っているのが悔しくて仕方ない。こんなに頑張っているのに、如何して……如何して……と悪意じみたものが出てきた。
 けれどライラックはそれにいち早く気が付き、糸を使って腕を取る。

「ほいっ!」
「痛い! 痛い痛い痛い痛い! ちょっと、ライ。腕取らないでよ!」

 ライラックに腕を引き寄せられる。両腕の自由を奪われ、冷静さを欠いた。
 目が充血しそうになるほど真っ赤になり、涙が零れる。引きちぎれる。そう思ったのも束の間のこと。急に腕が解放された。

「うわぁっ! はぁはぁはぁはぁ……い、痛い。もう、真っ赤になってるじゃない! うっ血したら如何するのよ!」
「シルヴィが暗かったからでしょ?」
「それだけ! それだけが理由!」

 シルヴィアは怒りで脳が吹き飛びかけた。危く死ぬところだった。腕の自由を完全に奪われ、首筋に冷たくて細いものが触れた気がしたからだ。死を悟るのも無理はない。
 しかしそこまではなかった。ライラックも今は冷静で、そこまで恐ろしくはない。糸を使う奴は何を考えているのかわからない。と、シルヴィアは恐ろしく思い、冷汗が滲み出る。

「首筋に糸もあったわよ。本気で殺しに来てるわね」
「気づいたんだ。でもそれだけ冷静ならよくない?」
「よくない!」

 一体何を考えているのかわからない。シルヴィアは自分の首を触る。ちゃんとついていた。
 呼吸が自然と速くなる。肺に負荷がかかる。風の息吹が遠くに感じたのは気のせいか。シルヴィアは自問自答した。
 絶対に敵に回したくない親友。それが今、単なる「暗かった」と言う理由だけで、誰にも気が疲れずに糸を放ったんだ。

「ほんと、ライって怖いわね」
「ふふーん。でも頼りになるでしょ」
「……否定できないのが怖いわ」

 シルヴィアはそう言った。ライラックは嬉しそう。
 けれどそんなどう見ても怪しい会話を耳にしたルカは、心底怖くなった。

(あの二人。強くなるけど、間違った使い方をしたら、絶対に闇の魔術師になるね)

 そうなったら全力で叩き潰す。
 その気概があるからルカは何も考えなかった。ダリアも糸には気づいていたが、既に正義サイドに偏っていた。


 森を抜けた。目の前が白くて眩しい。
 ここが森の終わりだと推測し、地図を見てみると如何やら入手するものもそうだが、この辺りに川がある。目的地には着いたらしい。

「川があるね」
「ようやくなの! あれからかなり歩いたわよね」
「ざっと一時間ぐらいですね」

 ダリアが平気で言った。確かに一時間は立っている。シルヴィアはくたくたらしい。

「じゃあもういいかな」

 そう言いながらライラックは糸を離した。
 それに気が付いたシルヴィアはムカついた。顔を上げ、ライラックに尋ねる。

「もしかして、最初っから糸を張ってたの?」
「まあね。道に迷わないように、予めしておかないと。さっきみたいなことになるでしょー」
「さっき? ってもしかして私に糸をくくり付けたのって」
「シルヴィだけが変な方向に進みそうになったからでしょ? 結構大変だったんだよ。シルヴィって人の意見聞かないときあるからさー」
「特にライの意見はね」

 そこに後押しする。シルヴィは項垂れてしまうが、ライラックは「ありがとー」となよなよしていた。
 そんな中、ダリアだけは黙々と……

「……このお水美味しいです。鉱山だったので、もしかしたらと思いましたが、煮沸したら飲めますね」

 真面目にキャンプの準備を始めていた。
 ルカも手には石ころが握られ、焚火の用意をする。こう見えてライラックも、糸を使って途中実になっていた果実を適当に見繕う。
 シルヴィアだけがてんやわんやだった。
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