1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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ワインナリー編

150.残念な男達

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 その夜。

「それじゃあナレハさんミヨン。よろしくお願いします」
「うん。気を付けてね」
「……夜間は危ないから、くれぐれも気を付けてね」

 ルカはナレハとミヨンに念押しされていた。
 顔を詰め寄られ、目で威圧される。そんなに危ないだろうかと自分で心配になった。

「念押ししなくてもわかりましたよ」

 ルカは口角を上げながら、ナレハとミヨンに手を振った。
 隣にはナタリーの姿がある。
 2人は一度ブルーベンに戻ることにした。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

 ナレハの営むワイン工房は品質の良いワインで有名だ。
 世界中のレストランでも扱われるような代物が多く、赤と白の両方を作っている。
 しかし普段並ぶものは品質を落としたリーズナブルなものから、一流ホテルでも使われる高級品。模造で作ることができないとされ、一般的には同一のワインとして区分化されていた。
 けれど男達は知っていた。
 一般には出回ることのない最高級品のワインは貯蔵庫の一番奥の部屋に保管されていると。
 そのために下見をし、今日この日に結構することにした。

「おい急げ」
「そんな焦んないでくださいよぉ」
「馬鹿、声を出すな。気づかれるだろ」
「ひいいっ!」

 悲鳴を上げる男。
 ニット帽を被り、小太りと言った印象のある男はピッキングを急いだ。
 彼が兄貴と慕う細身の男は周囲に警戒している。
 《サンドパウダー》で姿を覆ってはいるが、結局は小細工でしかない。
 速くここをおさらばするためにも、いただくものはいただかないといけない。

「おい、まだか!」
「もう少しですよぉ。おっ、開きましたよ」
「よし。今は人が来ない。とっとと盗み出すぞ」

 男達は意気揚々と貯蔵庫の中に侵入した。
 しかも今いるのは最奥。にもかかわらず、簡単なピッキングで開けられるとは思ってもみなかった。
 ここ最近襲ったワイン蔵で一番ざるかもしれない。

「にしても何でこんなにちょろいんでしょうかね?」
「さあな。盗まれないと高をくくっていたんだろうよ」
「にしても変でしたぜ? 罠の1つも無くなってたんで」
「さっき出て行った2人が来たから安全のために解いておいたんだろうよ。おい、そんなことよりもさっさとワインを探せ!」
「ひええっ!」

 男達はワインを漁り始めた。
 どれもこれも滅多にお目にかかれない代物ばかりで興奮する。
 特に背の高い男は根っからのワイン好き。
 盗みを働くようになったのも、珍しいワインを飲むためだ。
 その過程でバイヤーとしても有名になった。あくまでも裏組織間でのやり取りに限るが。

「チッ! 何だこの蔦は。邪魔だな」
「兄貴、こっちにもありますぜ。にしてもこの蔦、まるで生きているようですよ」
「生きている? そりゃ蔦は生きているだろ」
「そういうことじゃないんですよ。……動いてますぜ」
「蔦は動くんだよ」

 背の高い男は小太りの男を殴りつけた。
 すると激しい痛みで頭を抑え、背の高い男は蔦を睨む。
 確かにコイツの言っていることも間違ってはいない。
 何せここには太陽光はない。夜間の間は光合成が行えないので、酸素ではなく二酸化炭素を吐き出す。それぐらいの知識は持っていた。
 しかしこの蔦には休んでいる様子がない。
 それはまるで……

「生きているのか、この蔦は……」

 男は喉を鳴らした。
 重たい唾液が食道を下りていく。
 ゆっくりと手を伸ばしてワインに手を掛けた時。

「その通りです」

 声が聞こえて来た。
 男は指を話すと全身を伸びてきた蔦に絡めとられた。

「くっ!」
「兄貴ぃ!」
「逃がしませんよ。既にお2人は宿木やどりぎですから」

 冷たい声がした。
 部屋の中に充満するのは、威圧感とは違う何かだ。
 今まで感じたことのない強烈な死の香りが漂い始める。
 男達は震えあがり、見えてきたのは薄っすらと笑むナタリーの姿だった。
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