1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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聖夜編

425.私達もプレゼントが欲しい!

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 ルカはドリアードと話し込んでいた。
 そんな中、サンタ・ク・ロースとしての役目を無事に果たしたルカは、紅茶を飲むドリアードにあるお願いをした。

「ドリアード、実はお願いがあるんだけど」
「お願い?」
「うん。実は私達にもプレゼントを貰えないかなって」

 図々しいとは思っている。その節もあった。
 けれどここまで頑張ってなにも無いのは流石にシルヴィア達も可哀そうだ。
 せめて何か大地の祝福の一つでもあっていい。
 ルカはそう思いお願いしてみたが、ドリアードは意外そうな顔をして、空を見上げていた。

 視線の先には天井がある。
 目線を追ってみると、そこにはなにも無い。
 ドリアードはもしかすると何も考えていなかったのか。
 ルカは残念で仕方ない。

(いや、まさかね……)

 そんな話はない。ドリアードは大地を司る精霊だ。
 地面を伝って感情を読み解けるはず。
 おまけにサンタ・ク・ロースの固有魔法さえ模倣していた。
 それならば、分からないはずはない。

「ドリアード?」

 ルカは威圧する気は無かったが、少しだけ声を低くした。
 食い気味な視線を送りつけると、ドリアードは綺麗なお辞儀をした。
 あまりにも綺麗すぎて、一瞬身を引いてしまった。

「すみません、忘れていました」
「わ、忘れていた?」
「はい、すっかり報酬を忘れていました。ですがまさかプレゼントを要求されるとは……」

 ドリアードの視線が右往左往し始める。
 何を用意していたのか、容易に想像ができた。
 けれどそんなつまらないことはないだろうと、微かな期待を寄せてみる。

「一応なにかは用意していたんだよね? なにを用意していたの?」
「……聞かない方が良いですよ」
「大丈夫。想像は硬いから」
「……では」

 ドリアードは何処からともなく袋を引き寄せる。
 数は全部で五つ。ルカ達全員分だ。
 
 中身はズッシリとしていて重たい。
 チャリンチャリンと擦れる音が聞こえる。
 ルカの想像はやはり硬かったらしい。

「お金?」
「はい。私が用意していたのは、今回のバイトの報酬だけですから」
「……あのさ、私達まだ学生だよ? 他にもあったよね」
「それはまあ……分かりました。今晩届けさせていただきます」
「お願いするよ」

 ドリアードに強く念押しをして置いた。
 これでプレゼントが届けない訳はない。
 ルカに睨まれたドリアードは表情をムッとさせていた。

「ちなみにどんなプレゼントをご希望で?」
「それはドリアードの手腕に任せるよ」
「任せると言われても無責任ですね」

 ドリアードはそう答えた。
 けれどサンタ・ク・ロースはそういうもので、意図せずに子供達の欲しいものを届けてくれる。実際、サンタ・ク・ロースはそれをやってみせた。

 けれどドリアードの表情は訝しい。
 何やらルカのことをジッと見ている。
 変に気を取られてしまうが、ルカは鼻の頭を摘まんだ。

「もしかして私のこと?」
「そうです。貴女の欲しいものが見えないんですよ」

 はっきりそう言われると、ルカとしてもグッと来るものもある。
 けれど胸を強く打たれると、ふと考えてしまう。

「私の欲しいもの、か。なんだろうね」
「全てを手に入れてしまった。そう見えて仕方がないんですよ」
「そうかもね。でも私が本当に欲しいもの、か。あはは、もう分からないや」

 ルカは変な笑みを浮かべてしまった。
 奇妙な笑いだった。あまりにも乾いていて、ドリアードは引き攣ってしまう。

「貴女は本当に分かりませんね。なにを考えているのも、なにを思っているのかも、全部未知数で仕方がない」
「大地の精霊にそう言われると、心が痛いな」

 茶化すようにルカはポツリと呟いた。
 冗談でもそんなことを言うなと顔で念押しされる。
 如何やら本当に分からないらしい。

「本当のところは?」
「さあ。分からない」

 ルカもドリアードもそう答える。
 互いに歪な空気に包まれてしまうと、ドリアードは納得した。

「とりあえずルカさんには下手なものは必要無いですね」
「そうかもね。それじゃあお願いするよ」
「……分かりました。それで、話しはそれだけですか?」

 ドリアードは何か思うところがあるらしい。
 ルカのことをジッと見つめると、両手を組み始める。

 一体なにを考えているのか。なにを思っているのか。
 ルカは読まずともある程度予想ができてしまう。
 それくらいには長生きをしていて、空気だけで言いたいことが伝わってしまった。

「いいえ、全然終わりませんよ?」
「終わらないんですか? ではやはり、私の想像の硬い内を」
「そう言うことです。ここからはこの町の未来、それからこの世界を包む暗雲の話? とでも認識をすればいいのかな」

 不敵な言葉を次から次へと掛け続けた。
 ドリアードは精霊の表情を止める。
 この町の市長の顔へと変化し、残った魔力を糧にして全力で当たる次第だった。

 そのためにルカができることはない。
 けれど少しくらいなら知恵を貸せる。
 それだけで満足ならと、できることをやってあげるのだった。
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