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炎の悪魔編
553.二人だけの戦闘
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「さてと、それじゃあ倒そうか」
ルカは淡々と答える。
するとブルースターは否定的だ。
「待ってください、ルカさん」
「どうしたの、ブルースター?」
「この状況、明らかに罠です。私達をこの場所に留め、時間稼ぎと戦力の分析を量っているのではないでしょうか?」
ブルースターの知見は正しかった。
ルカもおおむね同感で、ここで長時間戦うのは、あまりにも得策ではない。
しかしルカはブルースターの言葉に意見を交えた。
「それは分かってるよ」
「分かっていて、何故?」
「何故もなにも無いよ。ワイバーン型をここで倒しておかないと、後が詰まる。集落に行かれたら面倒だ」
ワイバーン型の狙いは大きく分けて二つ。
一つは森には入って来た侵入者の排除。それから集落の襲撃だ。
どちらにせよ、どちらを全うしても、炎の悪魔にとっては好都合。
士気を落とし、絶望のドン底に叩き落とすには、充分な上に、喰らえば手痛い行為であった。
「だからこそ、ここで倒す。なに、そう時間は掛けないよ」
「待て、ルカ」
「ん?」
ルカは最短で倒す気満々だった。
しかしディンネルはそれを止める。
首を捻るルカだったが。ディンネルには考えがある。もちろん、ルカもこうなることは読んでいた。
「お前が戦えば、炎の悪魔の思う壺だ」
「思う壺?」
「炎の悪魔の狙いは、コイツの戦力を推し量ることだ。だからルカ、お前は戦うな」
「……分かってるね。それじゃあ誰がやる?」
ルカはニヤリと笑みを浮かべる。
鼻っからこうなることは予想、否、織り込み済みだった。
全てはルカの手のひらの上で、ディンネルは、あまりにも舐められた態度と取られたので苛立つが、この場は諫める。
「私がやろう」
ディンネルは森長としての務めを果たそうとした。
幸い、有効打は持っている。
魔力には充分な余力があるのだが、ディンネルが前に出た瞬間、代わりに二人前に出た。
「「ここは私達がやるわ!」やります!」
前に出たのはシルヴィアとダリア。
予想外の組み合わせに、ルカ以外は驚く。
言葉を失い、圧倒的な不利を感じる。何を隠そう、いや、隠さなくても分かる。
二人には有効打も、十八番も、今のエルフの森では使えなかった。
「おい、お前達なにを言っている!」
「なにって、私達がやりますよ」
「はい。ワイバーン型の足止め、任せてください」
シルヴィアとダリアはワイバーン型の前に立つ。
するとワイバーン型は、シルヴィアとダリアを狙い澄ます。
長い尻尾を使って攻撃を仕掛けると、身の軽い動きで躱した。
「おい、今すぐ退け! 有効打の無いお前達に、コイツは倒せないだろ」
「ディンネル、ここは二人に任せようか」
「なっ! お前、仲間を見捨てるつもりか。あれではどう見ても死にに行く……」
「ディンネル、私の目がそう見える?」
ディンネルは全力で止めようとした。
いくら森の外の住人であったとしても、招いた以上は守らなければいけない。
損な森長としての性に襲われ、率先して前に出る中、ルカは挫いた。
腕を掴み、互いに顔を見合わせる。
もちろんディンネルは口論を展開しようとした。
けれどルカの言葉で一蹴。強い眼光に吸い込まれる。
「勝ち目があるのか?」
「それを決めるのは私じゃないよ」
ルカはディンネルの問いかけに応えない。
代わりに、前に出たシルヴィアとダリアを見た。
「ダリア、行けるわよね?」
「はい、シルヴィアさん」
シルヴィアとダリアは互いに顔を見合わせる。
お互いに不安を隠しつつも、足が震えている。
それでも前に立つと、ルカは信じることにした。
「……頼りないが」
「そんなこと言わない。シルヴィ、ダリア、任せてもいい?」
「「いいわい」はい!」
シルヴィアとダリアがこう言ってくれている。
ルカはコクリと頷くと、ライラック達を連れる。
「それじゃあ行こうか」
「あっ、おい! お前、クソッ!」
ルカは燃え盛る森の中へと走った。
ライラックとブルースターもその背中を追い掛ける。
ディンネルだけは遅れるも、もはや自棄だった。
「頼んだぞ」
ディンネルはシルヴィアとダリアに声を掛けた。
燃え盛る森へと向かっていくと、シルヴィアとダリアだけが取り残された。
「ダリア、残ってよかったの?」
「はい。今の私では、役に立てないんです」
「そうよね。私も同じよ」
シルヴィアとダリアの二人はワイバーン型と対峙する。
もはや逃げる隙は無い。
もっとも、逃げる気なんて更々ない。
「それでダリア、勝算は?」
「えっと、無いです」
「無いの!?」
「はい。シルヴィアさんは?」
「私も無いわよ。っていうか、そんなものがあれば、最初からやってるわよね」
「ですよね。それじゃあ、頑張りましょう」
ダリアはシルヴィアとファイティングポーズを取り合う。
ワイバーン型はその間も待ってくれていた。
シルヴィアとダリアのことをよく観察すると、頃合いを見て吠えた。
けたたましく、シルヴィアとダリアの耳を打つ。
「ワイヤァァァァァァァァァァァァァァァ!」
甲高い声は岩が混じっているからだ。
炎が燃え、ユラユラと揺らめくと、シルヴィアとダリアを威圧する。
気圧されそうになるも、何とか耐える。
「これ、ちょっとヤバそうね」
「そうですね。頑張りましょう!」
シルヴィアとダリアはワイバーン型を前に互いの魔術が封じられながらも、戦いに挑んだ。
ルカは淡々と答える。
するとブルースターは否定的だ。
「待ってください、ルカさん」
「どうしたの、ブルースター?」
「この状況、明らかに罠です。私達をこの場所に留め、時間稼ぎと戦力の分析を量っているのではないでしょうか?」
ブルースターの知見は正しかった。
ルカもおおむね同感で、ここで長時間戦うのは、あまりにも得策ではない。
しかしルカはブルースターの言葉に意見を交えた。
「それは分かってるよ」
「分かっていて、何故?」
「何故もなにも無いよ。ワイバーン型をここで倒しておかないと、後が詰まる。集落に行かれたら面倒だ」
ワイバーン型の狙いは大きく分けて二つ。
一つは森には入って来た侵入者の排除。それから集落の襲撃だ。
どちらにせよ、どちらを全うしても、炎の悪魔にとっては好都合。
士気を落とし、絶望のドン底に叩き落とすには、充分な上に、喰らえば手痛い行為であった。
「だからこそ、ここで倒す。なに、そう時間は掛けないよ」
「待て、ルカ」
「ん?」
ルカは最短で倒す気満々だった。
しかしディンネルはそれを止める。
首を捻るルカだったが。ディンネルには考えがある。もちろん、ルカもこうなることは読んでいた。
「お前が戦えば、炎の悪魔の思う壺だ」
「思う壺?」
「炎の悪魔の狙いは、コイツの戦力を推し量ることだ。だからルカ、お前は戦うな」
「……分かってるね。それじゃあ誰がやる?」
ルカはニヤリと笑みを浮かべる。
鼻っからこうなることは予想、否、織り込み済みだった。
全てはルカの手のひらの上で、ディンネルは、あまりにも舐められた態度と取られたので苛立つが、この場は諫める。
「私がやろう」
ディンネルは森長としての務めを果たそうとした。
幸い、有効打は持っている。
魔力には充分な余力があるのだが、ディンネルが前に出た瞬間、代わりに二人前に出た。
「「ここは私達がやるわ!」やります!」
前に出たのはシルヴィアとダリア。
予想外の組み合わせに、ルカ以外は驚く。
言葉を失い、圧倒的な不利を感じる。何を隠そう、いや、隠さなくても分かる。
二人には有効打も、十八番も、今のエルフの森では使えなかった。
「おい、お前達なにを言っている!」
「なにって、私達がやりますよ」
「はい。ワイバーン型の足止め、任せてください」
シルヴィアとダリアはワイバーン型の前に立つ。
するとワイバーン型は、シルヴィアとダリアを狙い澄ます。
長い尻尾を使って攻撃を仕掛けると、身の軽い動きで躱した。
「おい、今すぐ退け! 有効打の無いお前達に、コイツは倒せないだろ」
「ディンネル、ここは二人に任せようか」
「なっ! お前、仲間を見捨てるつもりか。あれではどう見ても死にに行く……」
「ディンネル、私の目がそう見える?」
ディンネルは全力で止めようとした。
いくら森の外の住人であったとしても、招いた以上は守らなければいけない。
損な森長としての性に襲われ、率先して前に出る中、ルカは挫いた。
腕を掴み、互いに顔を見合わせる。
もちろんディンネルは口論を展開しようとした。
けれどルカの言葉で一蹴。強い眼光に吸い込まれる。
「勝ち目があるのか?」
「それを決めるのは私じゃないよ」
ルカはディンネルの問いかけに応えない。
代わりに、前に出たシルヴィアとダリアを見た。
「ダリア、行けるわよね?」
「はい、シルヴィアさん」
シルヴィアとダリアは互いに顔を見合わせる。
お互いに不安を隠しつつも、足が震えている。
それでも前に立つと、ルカは信じることにした。
「……頼りないが」
「そんなこと言わない。シルヴィ、ダリア、任せてもいい?」
「「いいわい」はい!」
シルヴィアとダリアがこう言ってくれている。
ルカはコクリと頷くと、ライラック達を連れる。
「それじゃあ行こうか」
「あっ、おい! お前、クソッ!」
ルカは燃え盛る森の中へと走った。
ライラックとブルースターもその背中を追い掛ける。
ディンネルだけは遅れるも、もはや自棄だった。
「頼んだぞ」
ディンネルはシルヴィアとダリアに声を掛けた。
燃え盛る森へと向かっていくと、シルヴィアとダリアだけが取り残された。
「ダリア、残ってよかったの?」
「はい。今の私では、役に立てないんです」
「そうよね。私も同じよ」
シルヴィアとダリアの二人はワイバーン型と対峙する。
もはや逃げる隙は無い。
もっとも、逃げる気なんて更々ない。
「それでダリア、勝算は?」
「えっと、無いです」
「無いの!?」
「はい。シルヴィアさんは?」
「私も無いわよ。っていうか、そんなものがあれば、最初からやってるわよね」
「ですよね。それじゃあ、頑張りましょう」
ダリアはシルヴィアとファイティングポーズを取り合う。
ワイバーン型はその間も待ってくれていた。
シルヴィアとダリアのことをよく観察すると、頃合いを見て吠えた。
けたたましく、シルヴィアとダリアの耳を打つ。
「ワイヤァァァァァァァァァァァァァァァ!」
甲高い声は岩が混じっているからだ。
炎が燃え、ユラユラと揺らめくと、シルヴィアとダリアを威圧する。
気圧されそうになるも、何とか耐える。
「これ、ちょっとヤバそうね」
「そうですね。頑張りましょう!」
シルヴィアとダリアはワイバーン型を前に互いの魔術が封じられながらも、戦いに挑んだ。
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