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炎の悪魔編
569.炎の悪魔:オービエン
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炎の悪魔オービエンは慄いていた。
まさかこれ程までに強い魔法使いが現代にも生きていたとは思わなかった。
同時に喜ばしかった。
まさかこれ程までに強い魔法使いが現代にも生きていたとは思わなかった。
どちらにせよ歓喜だ。
まさかこれ程までに強い魔法使いが現代にも生きていたとは思わなかった。
愉悦が何処までも止まらず、ニヤ気顔も止まらない。
全身から黒く禍々しい炎が噴き出ると、ルカに宣言する。
「ここからが本番だ。始めるぞ」
「やっと、本番? いいよ、掛かって来て」
挑発が心地よい。本来、悪魔は短気な性格で、我慢ができない。
しかしオービエンはただの悪魔ではない。
魔界に住まう高潔なる魔族。深炎の主君に仕える存在。故に、オービエンは猛る。
「《超獄炎の炎爪》!」
オービエンは距離を一気に詰める。
右手を振り上げ、宙を引っ掻いてみせる。
真っ黒な炎が指先に灯り、巨大な爪痕を作り出した。
「死ねっ、魔法使い!」
「よっと」
オービエンの振り下ろした爪痕が宙に描いた。
弧を描き、地面まで到達すると、巨大な火柱を半円状に広げる。
その中に閉じ込められたもの、その外に存在するもの。どちらも炎に飲まれると、燃え尽きて綺麗に消えてしまう。
真っ黒な炎。それは超火力の超獄炎。
触れれば最後、青い炎よりも強力な炎が、全てを焦土と化す。
故に超獄炎。にもかかわらず、ルカは淡々としていた。
まるで色違いのタイルを踏み分けるようにステップを踏むと、オービエンの攻撃を躱してみせた。
「外したか」
「威勢はいいけど、大振り過ぎるね。それじゃあ、私には届かないよ」
ルカは挑発をしてみせた。
するとディンネルがルカを怒鳴り付ける。
「ルカ、炎の悪魔を挑発するな。命取りになるぞ!」
「そうだね。でも、これくらいじゃ、腹は立たないんだろ?」
ルカはギョロリと視線を配ると、オービエンは次の攻撃に移る。
両手に真っ黒な炎を灯すと、地面を蹴り上げ突っ込む。
「《超獄炎の剛拳》!」
オービエンは拳を作り、連打攻撃を画策。
無数の拳がストレートのパンチになって襲い掛かる。
全部を避けるなんて真似は不可能。なのだが、ルカは目を瞑った。
「おっとっと」
よろけてみせると、繰り出された拳を全て避けた。
のらりくらりと最小の動きで躱してしまい、完全に遊んでいる。
「なんだこれは……」
ディンネルがまさにその証人だ。
ルカの圧倒的な動きの前に、オービエンが霞んでしまう。
無駄に黒い炎が線を描くと、轟々と燃えて猛り狂う。
「チッ。ふざけるな!」
「ふざけて無いよ。だから、もっとやろうよ」
ルカはオービエンをより一層挑発に挑発を重ねた。
仕草や身振りでも捲し立てると、オービエンは苛立たない。
代わりに半歩で距離を縮め、鋭い蹴りを飛ばす。今回は魔法を使っていないのか、素の蹴りだった。
「よっと」
「これも受け止めるか」
ルカは手の甲で足技を止める。
手の甲の骨が折れてもおかしくないのだが、ルカはまるでビクともしない、
軸がしっかりしているからじゃない。根本から、戦う姿勢が異なっていた。
「いいね。もっと本気になってよ」
「……楽しんでいるのか?」
流石のオービエンも違和感を覚える。
ここまで、ルカは一切本気を見せない。
それどころか、嘲笑うかのように、オービエンを挑発している。
その姿はまるで見下すような姿勢だ。
ルカのことを“強者”ではなく、“凶者”と思ってしまう。
舐められている。否、赤子の手をひねられている。
それだけ圧倒的な差を見せつけられると、ますます燃える。
筈だったのだが、オービエンは顔を上げると、ルカの芯のある目が見つめていた。
「はっ!?」
「どうしたのかな? さぁ、もっとやろうよ」
指を折り、分かりやすい挑発をする。
もちろんオービエンも軽はずみで乗りはしない。
けれど全身が疼く感覚に悍ましく襲われ、オービエンはルカに飛び掛かる。
「あっ……」
「おっ、そう来たんだ。だったら……《ストライク・マギア》!」
オービエンは無詠唱で魔法を唱えた。
右手の爪が黒い炎を上げて伸び、鋭くルカを狙う。
それに倣い、ルカも魔法を唱えた。
ようやく少し本気が出せると思い、オービエンの胸に拳を叩き込む。
ドン! と胸骨に拳が触れると、オービエンの胸に魔法陣が描かれる。
赤・青・黄・緑・白・黒……無限の色が刻み込まれると、オービエンの体内にルカの魔力が爆発するように流れ込んだ。
「あっ……あっ……あああ……あっ」
オービエンは倒れてしまう。
何が起きたのかまるで分らない。しかし立ち上がろうとすると、膝が震えてしまう。
黒い炎が途切れ途切れになり、力無く漏れている。
ガス漏れならぬ、炎漏れが起きると、オービエンは息を荒げていた。
戦える様子がない。否、もう勝敗は決している。
誰が観ても明らかな状況に、ルカはスンとしていた。
オービエンの全力を体感した上で勝利した余韻を噛み締めるように……ではなく、オービエンの内側にある根本に触れ、それを嗜めるように。
まさかこれ程までに強い魔法使いが現代にも生きていたとは思わなかった。
同時に喜ばしかった。
まさかこれ程までに強い魔法使いが現代にも生きていたとは思わなかった。
どちらにせよ歓喜だ。
まさかこれ程までに強い魔法使いが現代にも生きていたとは思わなかった。
愉悦が何処までも止まらず、ニヤ気顔も止まらない。
全身から黒く禍々しい炎が噴き出ると、ルカに宣言する。
「ここからが本番だ。始めるぞ」
「やっと、本番? いいよ、掛かって来て」
挑発が心地よい。本来、悪魔は短気な性格で、我慢ができない。
しかしオービエンはただの悪魔ではない。
魔界に住まう高潔なる魔族。深炎の主君に仕える存在。故に、オービエンは猛る。
「《超獄炎の炎爪》!」
オービエンは距離を一気に詰める。
右手を振り上げ、宙を引っ掻いてみせる。
真っ黒な炎が指先に灯り、巨大な爪痕を作り出した。
「死ねっ、魔法使い!」
「よっと」
オービエンの振り下ろした爪痕が宙に描いた。
弧を描き、地面まで到達すると、巨大な火柱を半円状に広げる。
その中に閉じ込められたもの、その外に存在するもの。どちらも炎に飲まれると、燃え尽きて綺麗に消えてしまう。
真っ黒な炎。それは超火力の超獄炎。
触れれば最後、青い炎よりも強力な炎が、全てを焦土と化す。
故に超獄炎。にもかかわらず、ルカは淡々としていた。
まるで色違いのタイルを踏み分けるようにステップを踏むと、オービエンの攻撃を躱してみせた。
「外したか」
「威勢はいいけど、大振り過ぎるね。それじゃあ、私には届かないよ」
ルカは挑発をしてみせた。
するとディンネルがルカを怒鳴り付ける。
「ルカ、炎の悪魔を挑発するな。命取りになるぞ!」
「そうだね。でも、これくらいじゃ、腹は立たないんだろ?」
ルカはギョロリと視線を配ると、オービエンは次の攻撃に移る。
両手に真っ黒な炎を灯すと、地面を蹴り上げ突っ込む。
「《超獄炎の剛拳》!」
オービエンは拳を作り、連打攻撃を画策。
無数の拳がストレートのパンチになって襲い掛かる。
全部を避けるなんて真似は不可能。なのだが、ルカは目を瞑った。
「おっとっと」
よろけてみせると、繰り出された拳を全て避けた。
のらりくらりと最小の動きで躱してしまい、完全に遊んでいる。
「なんだこれは……」
ディンネルがまさにその証人だ。
ルカの圧倒的な動きの前に、オービエンが霞んでしまう。
無駄に黒い炎が線を描くと、轟々と燃えて猛り狂う。
「チッ。ふざけるな!」
「ふざけて無いよ。だから、もっとやろうよ」
ルカはオービエンをより一層挑発に挑発を重ねた。
仕草や身振りでも捲し立てると、オービエンは苛立たない。
代わりに半歩で距離を縮め、鋭い蹴りを飛ばす。今回は魔法を使っていないのか、素の蹴りだった。
「よっと」
「これも受け止めるか」
ルカは手の甲で足技を止める。
手の甲の骨が折れてもおかしくないのだが、ルカはまるでビクともしない、
軸がしっかりしているからじゃない。根本から、戦う姿勢が異なっていた。
「いいね。もっと本気になってよ」
「……楽しんでいるのか?」
流石のオービエンも違和感を覚える。
ここまで、ルカは一切本気を見せない。
それどころか、嘲笑うかのように、オービエンを挑発している。
その姿はまるで見下すような姿勢だ。
ルカのことを“強者”ではなく、“凶者”と思ってしまう。
舐められている。否、赤子の手をひねられている。
それだけ圧倒的な差を見せつけられると、ますます燃える。
筈だったのだが、オービエンは顔を上げると、ルカの芯のある目が見つめていた。
「はっ!?」
「どうしたのかな? さぁ、もっとやろうよ」
指を折り、分かりやすい挑発をする。
もちろんオービエンも軽はずみで乗りはしない。
けれど全身が疼く感覚に悍ましく襲われ、オービエンはルカに飛び掛かる。
「あっ……」
「おっ、そう来たんだ。だったら……《ストライク・マギア》!」
オービエンは無詠唱で魔法を唱えた。
右手の爪が黒い炎を上げて伸び、鋭くルカを狙う。
それに倣い、ルカも魔法を唱えた。
ようやく少し本気が出せると思い、オービエンの胸に拳を叩き込む。
ドン! と胸骨に拳が触れると、オービエンの胸に魔法陣が描かれる。
赤・青・黄・緑・白・黒……無限の色が刻み込まれると、オービエンの体内にルカの魔力が爆発するように流れ込んだ。
「あっ……あっ……あああ……あっ」
オービエンは倒れてしまう。
何が起きたのかまるで分らない。しかし立ち上がろうとすると、膝が震えてしまう。
黒い炎が途切れ途切れになり、力無く漏れている。
ガス漏れならぬ、炎漏れが起きると、オービエンは息を荒げていた。
戦える様子がない。否、もう勝敗は決している。
誰が観ても明らかな状況に、ルカはスンとしていた。
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