野球の王子様4 孤独な猫殺し

軽部雄二

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第5章

神の御心

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「それは・・・・ちょっと様子を見ましょう。」
 オルデン神父は事件を警察に通報するのに消極的だった。
「神父様。変質者がこれだけの事を起こしているのに、通報しないんですか?」
 咲良は憤りの声を上げる。
「私もマネージャーに同意します。こういう事件はどんどんエスカレートしていくものです。今回は猫でしたが、次は女子生徒が狙われないとも限りません。早いうちに手を打っておく必要があります。手遅れになる前に。」
 咲良も手塚も通報を促したが、オルデン神父は首を縦に振らなかった。
「手塚君、宮脇さんの言ってる事はよく分かります。ですが・・・・・。」
「学校の評判を気にしているとかですか?」
 咲良は呆れたように言った。神父が保身のために隠蔽を図るとは思っていなかったからだ。
「いえ、評判を気にしてとかいうんじゃありません。まあ、それが全く無いという訳ではありませんが・・・・。」
「じゃあ、なんですか?」
「・・・・・先程、手塚君が言いましたよね。犯行は内部犯行の可能性が高いと。もしも、ミカエルの生徒の犯行だったとなったら、その生徒は警察に逮捕される事にならないかと。」
「・・・・・つまり、社会的な制裁を受ける事を懸念されてるのですね。」
 手塚は神父の心中を推し量って言った。
「そうです。もし、警察が動いてその生徒が逮捕されたとしたら、学園としては退学にせざるを得ません。なにかしらの心の事情を抱えている生徒を斬り捨てる事が神の御心に叶う事でしょうか。」
「・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
 オルデン神父は保身のために警察への通報を躊躇った訳ではなく、あくまでも生徒の事を考えての事だったのだ。手塚も咲良も神父の教育者としての理念に深い感銘を覚えた。
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