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距離
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例の目撃から数週間経った頃だった。
土曜の深夜に突然、電話が鳴った。
愛車でドライブでもと考えていた時だった。
彼女からだった。
「ごめん、寝てた? いま大丈夫?」
「首都高でも走りに行こうと思ってた」
「そう、じゃあ今から行っていい?」
「僕の家に?」
「ぼくのいえにだよ」
いつもの恋人同士のようなやり取り、
嬉しさをさとられまいと必死だった。
「いいけど、家わかる?」
「車で行くから、大体の道順教えて?」
私の家は埼玉だったが
国道沿いにある三階建てのマンションで
比較的分かりやすい場所にあった。
「近くに着いたら電話するね、待ってて」
そう言って電話は切れた。
カーナビなどはまだ無い。
今週録画した東京ラブストーリーが終わる頃
電話が鳴った。
「近くだと思うけど、今ローソン」
「わかった、そこで待ってて」
小田和正の歌が聞こえている、気がした。
レジで会計している彼女が見えた。
「こんなのしかないけど、いいよね」
そう言うとコンビニ袋を持ち上げ
微笑みながら駆け寄ってきた。
私は袋を受け取りながら見とれていた。
「車は?」
「あそこ、白いの」
と彼女が指さした先には
日本車には無い流麗なフォルムをした
2ドアクーペが止まっていた。
まさかの、マセラティ228
「これ、聖子さんの?」
「そう、車の事はよく知らないけど
知り合いに薦められて、早く行こっ」
心の中で"どんな知り合いだよ"と呟きながら
そういえば彼女がどんな車に乗ってるか
私は今日まで知らなかった。
いつも都内で会うか私の車だったから、
特に気にもせず過ごしてきた。
「はい、これ」
そう言うと彼女は
CHANELのキーケースを手渡した。
「いいの?」
「家知らないし、よろしくね」
左ハンドルは姉のBMWで馴れていたが
イタリア車のこんな高価な車は初めてだ。
あの頃の車は今のような電子部品は少なく
まあ大体造りは似たような物だったが。
「このままドライブ行こうか?」
悪企みを思いついたような上目遣いで
彼女は道のほうを指さした。
私はすぐに頷き、二人は車に乗り込んだ。
車同様、彼女のジーンズ姿も初めてだった。
いつも高級レストランのドレスコードのようだったから意外だった。
「どこ行く?」
「どこでもいいよ、運転任せるから」
「じゃあ、とりあえず」
私は無性に車を試したくなって
岩槻インターへと向かった。
「これマニュアルなのに凄いね聖子さん」
「オートマは退屈だよ、でしょ?」
2つ年下の女性をさん付けで呼んでる私
始めからこうだから今更変えられない。
私のGTOツインターボほど馬力はないが
2800cc V6ツインターボはやはり速かった。
さすが、私の車が2台は買える高級車だ。
彼女を乗せて東北道を走りながら
私は彼女が何者なのか気になり始めていた。
と同時にそんな彼女と少しずつだが
距離を感じるようになってきた。
ジーンズ姿の彼女に親近感を抱きながらも
月9一本分の距離がやけに遠く感じた夜だった。
土曜の深夜に突然、電話が鳴った。
愛車でドライブでもと考えていた時だった。
彼女からだった。
「ごめん、寝てた? いま大丈夫?」
「首都高でも走りに行こうと思ってた」
「そう、じゃあ今から行っていい?」
「僕の家に?」
「ぼくのいえにだよ」
いつもの恋人同士のようなやり取り、
嬉しさをさとられまいと必死だった。
「いいけど、家わかる?」
「車で行くから、大体の道順教えて?」
私の家は埼玉だったが
国道沿いにある三階建てのマンションで
比較的分かりやすい場所にあった。
「近くに着いたら電話するね、待ってて」
そう言って電話は切れた。
カーナビなどはまだ無い。
今週録画した東京ラブストーリーが終わる頃
電話が鳴った。
「近くだと思うけど、今ローソン」
「わかった、そこで待ってて」
小田和正の歌が聞こえている、気がした。
レジで会計している彼女が見えた。
「こんなのしかないけど、いいよね」
そう言うとコンビニ袋を持ち上げ
微笑みながら駆け寄ってきた。
私は袋を受け取りながら見とれていた。
「車は?」
「あそこ、白いの」
と彼女が指さした先には
日本車には無い流麗なフォルムをした
2ドアクーペが止まっていた。
まさかの、マセラティ228
「これ、聖子さんの?」
「そう、車の事はよく知らないけど
知り合いに薦められて、早く行こっ」
心の中で"どんな知り合いだよ"と呟きながら
そういえば彼女がどんな車に乗ってるか
私は今日まで知らなかった。
いつも都内で会うか私の車だったから、
特に気にもせず過ごしてきた。
「はい、これ」
そう言うと彼女は
CHANELのキーケースを手渡した。
「いいの?」
「家知らないし、よろしくね」
左ハンドルは姉のBMWで馴れていたが
イタリア車のこんな高価な車は初めてだ。
あの頃の車は今のような電子部品は少なく
まあ大体造りは似たような物だったが。
「このままドライブ行こうか?」
悪企みを思いついたような上目遣いで
彼女は道のほうを指さした。
私はすぐに頷き、二人は車に乗り込んだ。
車同様、彼女のジーンズ姿も初めてだった。
いつも高級レストランのドレスコードのようだったから意外だった。
「どこ行く?」
「どこでもいいよ、運転任せるから」
「じゃあ、とりあえず」
私は無性に車を試したくなって
岩槻インターへと向かった。
「これマニュアルなのに凄いね聖子さん」
「オートマは退屈だよ、でしょ?」
2つ年下の女性をさん付けで呼んでる私
始めからこうだから今更変えられない。
私のGTOツインターボほど馬力はないが
2800cc V6ツインターボはやはり速かった。
さすが、私の車が2台は買える高級車だ。
彼女を乗せて東北道を走りながら
私は彼女が何者なのか気になり始めていた。
と同時にそんな彼女と少しずつだが
距離を感じるようになってきた。
ジーンズ姿の彼女に親近感を抱きながらも
月9一本分の距離がやけに遠く感じた夜だった。
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