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動揺
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再会から2ヶ月くらい経っていた。
その夜は初めて職場の後輩と彼女と3人で
飲み会を催すことになった。
どうしても仕事仲間と会ってみたいと言うので
内心、彼女を自慢したい気持ちも手伝ってか
自分でも乗り気だったことは確かだ。
候補はよく一緒に飲みに行く後輩の中でも
特に男前を選んだ。札幌出身の24歳独身だ。
新橋にある彼女が好きな純和風の居酒屋で
私と後輩は彼女が来るのを待っていた。
彼女が現れたのは2杯目が届いた頃だった。
「後輩の岡本くん」
「こちらが聖子さん」
ありきたりの紹介で始まったその日の飲み会は
取り立てて盛り上がる会話もなく終わった。
後輩はまだ電車があるうちにと早々に帰り
私と彼女は金曜日ということもあって
六本木のカラオケパブへ行くことにした。
その店は彼女に紹介してもらった会員制で
オーナーは気さくでボーイさん達も礼儀正しく
時々、私ひとりでも訪れていた店だ。
この店に来ると大抵は朝まで飲むはめになる。
この夜もいつものように閉店まで騒いでから
オーナー達と交差点の角にある焼き肉店へ行く
いつものルーティーンとなった。
辺りがすっかり明るくなってきた頃に、
彼女はタクシー、私は日比谷線で帰宅という
これもお決まりのパターンとなっていた。
そして翌週の金曜日も、
食事でも誘うつもりで彼女に電話したが
何度掛けても留守番電話になっていた。
金曜ともなると既に先約があり当日誘っても
付き合ってくれる同僚や後輩は見つからず
仕方なくひとりで例のパブへ行くことにした。
そして店に入るなり若手のボーイさんが
「今日は岡本さんはご一緒ですか?」
と言うではないか。
後輩の岡本をこの店に連れて来たことはない。
どうして岡本を知っているのか訊ねると
一瞬"しまった"という顔をしてこう言った。
「先日、聖子様といらっしゃいまして」
「あっ、そうだった忘れてた」
私が当然知っていると思っての事だと思い
余計な気を使わぬように咄嗟にごまかした。
正直、動揺していた。
彼女と付き合っているのかと問われたら
厳密に言えば違うとしか言えないし
私が怒るのは筋違いとも思えてくる。
でもどこか釈然としない感情が
心の底からこみ上げてきて、その日は
早めに切り上げて帰ることにした。
週が明け、私は岡本に問い詰めることもなく
彼女と連絡が取れるまで待つことにした。
しかし金曜日になっても連絡は無かった。
土曜日、私から電話してみた。
「聖子さん?久し振り、元気?」
「うん、元気だよ、五十嵐くんは?」
「元気、今日は聖子さんに
聞きたいことがあるけどいい?」
「なに?どうしたの?」
「何か僕に言わなければいけないこと
ないかな?」
「あぁやっぱり、ごめんなさい
実は先週、岡本さんと会って飲んだの」
連絡もなく影でこそこそされてたことに
私はどうしようもない怒りを感じ叱責した。
「聖子さん、最低だよね
もう二度と会わないから」
そう言って私は電話を一方的に切った。
そんな言葉を吐き捨てる立場で無い事は
痛いほどわかっていたのに止められなかった。
頭の中で終了のホイッスルが鳴っていた。
その夜は初めて職場の後輩と彼女と3人で
飲み会を催すことになった。
どうしても仕事仲間と会ってみたいと言うので
内心、彼女を自慢したい気持ちも手伝ってか
自分でも乗り気だったことは確かだ。
候補はよく一緒に飲みに行く後輩の中でも
特に男前を選んだ。札幌出身の24歳独身だ。
新橋にある彼女が好きな純和風の居酒屋で
私と後輩は彼女が来るのを待っていた。
彼女が現れたのは2杯目が届いた頃だった。
「後輩の岡本くん」
「こちらが聖子さん」
ありきたりの紹介で始まったその日の飲み会は
取り立てて盛り上がる会話もなく終わった。
後輩はまだ電車があるうちにと早々に帰り
私と彼女は金曜日ということもあって
六本木のカラオケパブへ行くことにした。
その店は彼女に紹介してもらった会員制で
オーナーは気さくでボーイさん達も礼儀正しく
時々、私ひとりでも訪れていた店だ。
この店に来ると大抵は朝まで飲むはめになる。
この夜もいつものように閉店まで騒いでから
オーナー達と交差点の角にある焼き肉店へ行く
いつものルーティーンとなった。
辺りがすっかり明るくなってきた頃に、
彼女はタクシー、私は日比谷線で帰宅という
これもお決まりのパターンとなっていた。
そして翌週の金曜日も、
食事でも誘うつもりで彼女に電話したが
何度掛けても留守番電話になっていた。
金曜ともなると既に先約があり当日誘っても
付き合ってくれる同僚や後輩は見つからず
仕方なくひとりで例のパブへ行くことにした。
そして店に入るなり若手のボーイさんが
「今日は岡本さんはご一緒ですか?」
と言うではないか。
後輩の岡本をこの店に連れて来たことはない。
どうして岡本を知っているのか訊ねると
一瞬"しまった"という顔をしてこう言った。
「先日、聖子様といらっしゃいまして」
「あっ、そうだった忘れてた」
私が当然知っていると思っての事だと思い
余計な気を使わぬように咄嗟にごまかした。
正直、動揺していた。
彼女と付き合っているのかと問われたら
厳密に言えば違うとしか言えないし
私が怒るのは筋違いとも思えてくる。
でもどこか釈然としない感情が
心の底からこみ上げてきて、その日は
早めに切り上げて帰ることにした。
週が明け、私は岡本に問い詰めることもなく
彼女と連絡が取れるまで待つことにした。
しかし金曜日になっても連絡は無かった。
土曜日、私から電話してみた。
「聖子さん?久し振り、元気?」
「うん、元気だよ、五十嵐くんは?」
「元気、今日は聖子さんに
聞きたいことがあるけどいい?」
「なに?どうしたの?」
「何か僕に言わなければいけないこと
ないかな?」
「あぁやっぱり、ごめんなさい
実は先週、岡本さんと会って飲んだの」
連絡もなく影でこそこそされてたことに
私はどうしようもない怒りを感じ叱責した。
「聖子さん、最低だよね
もう二度と会わないから」
そう言って私は電話を一方的に切った。
そんな言葉を吐き捨てる立場で無い事は
痛いほどわかっていたのに止められなかった。
頭の中で終了のホイッスルが鳴っていた。
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