僕は☓っぽいけど○だから☓子校に行くなんて間違ってる!

だらけたい

文字の大きさ
18 / 85

18.結構です

しおりを挟む
「っと、すいません」

 スマホが鳴ったのでヒサコさんは立ち上がると扉のほうへ行き、電話に出た。

「はい。わかりました。すぐに取りにいきます」

 取りにいく、ということは頼んでいたうなぎが届いたのだろう。

 しかし、そのことを知らないチョウちゃんは不思議そうにヒサコさんを見ていた。

「何取りに行くの?」
「お昼ご飯が届いたので取ってきます」

 そう笑顔で答えたヒサコさんは、チョウちゃんからお昼ご飯は何なのか聞かれる前に理事長室からそそくさと出ていった。

 その様子に首を傾げたチョウちゃんだが、すぐに興味を失ったみたいで僕のほうを見てきた。

「ヒサコがお昼ご飯を取りに行っている間に説明の続きをしようか」
「あぁ、結構です」
「結構です!?」

 チョウちゃんはかなり驚いているが、普通はそう言うだろう。

「なんでよ!」

 机に手を叩きつけながら立ち上がったチョウちゃんは僕に迫ってきた。

「だってチョウちゃん1人の説明だと信用がないからね」

 ヒサコさんというお目付け役が居なくなったことをいいことに、あることないこと説明してくるのがチョウちゃんである。

「いや!流石に今はちゃんとした説明をしないといけない状況だってことは理解してるからね!だから聞いてよ!」

 まぁ、チョウちゃんはマジメな時はちゃんとマジメだってことも理解しているけど、ね~。

「今日だけでどれだけイタズラをしてきていると思っているのかな?」

 そう問いかけると静かに座り直したチョウちゃんは視線を反らした。

「わかってくれたようで嬉しいよ」

 そう言うと、ちょっとした抵抗なのか、チョウちゃんは僕を睨んできた。しかし、全然恐くもない睨みつけなので微笑ましくて笑ってしまう。
 すると、チョウちゃんは頬を膨らませながら睨みつけてきた。

 それでも全く恐くないどころか、余計にかわいくなって逆効果でしかない。

「そういえば、チョウちゃんっていつからここの理事長なんてしてるの?小学生の時に仕事何してるのか聞いた時は会社で事務系の仕事してるっていってたよね?」

 昨日は父さんのサプライズ海外転勤報告からの問い詰めることに気をとられてスルーしてしまったが、今にして思えばチョウちゃんが理事長という事実はかなり驚くことだ。

 しかし、スネているチョウちゃんからすぐに返事は貰えないだろうからどうやって機嫌をなおしてもらおうか考えていると、

「確かに昔は普通の会社で事務系の仕事してたけど、2年前ぐらいに急にあれよあれよと理事長兼校長にならされたのよ」

 案外すんなりと答えてくれた。

「それじゃあ、ヒサコさんともその時からの付き合いなの?」
「ヒサコとは高校の同級生だったのよ」

 なるほど。だからこれだけ打ち解けあっているのか。

 まぁ、チョウちゃんなら2年もあれば同級生とか関係なしに打ち解けあいそうだけど。

「なら、ヒサコさんも母さんのことは知ってるの?」
「先輩のことは知らないよ。先輩とは5つ離れているから高校入る時にはもう卒業してしまってるからね」

 それもそうか。チョウちゃんと母さんは同じ高校出身なので知っているかと思ったのだけど、そういえば5歳も年齢が離れていたら、知ってるはずもないよね。

「だから、ヒサコが居たってことはよかったことなんだけど、いきなり理事長兼校長になったからかなり混乱したよ」
「そのわりには楽しそうに仕事しているみたいだけど?」

 ストレスとか抱えていたら、今日の数々のイタズラなんてしている余裕はないだろう。

「まぁ、私がやらないといけない事なんてそうそうないし、ハンコ押すのが1番の仕事って感じだからね」
「そのために私が色々裏で頑張ってるのですからね」

 そう言いながらお重を持ったヒサコさんが帰ってきた。

「そうなの?」

 そのことを知らなかったチョウちゃんが驚いていた。

「そうですよ。
 学校の経営とか何も知らないチョウが困らないようにハンコが必要な書類は事前に私がチェックしていますし、先生達から出た意見や要望、学校の保全に関わる対応なども全て私がしてるのですからね」

 ヒサコさんの言葉を聞いて、なんでチョウちゃんが理事長兼校長でもこの学校がちゃんと運営できているのかがわかった。

 この学校の真の理事長兼校長はヒサコさんだったわけだ。

「ほぇ~」

 なんてチョウちゃんはのんきな声をあげているが、ホントにヒサコさんに感謝したほうがいいよ。

 ヒサコさんが居なくなったら絶対にこの学校は経営破綻するかチョウちゃんが理事長兼校長からおろされるだろう。

「ってか、そのお重にこの匂い。まさかお昼ご飯にうなぎ頼んだの!?」

 ようやくそこに気づいたチョウちゃんは驚いていた。

「えぇ。チョウがお昼は豪華にいこうと言っていたので」

 笑顔のヒサコさんはお重をみんなの前に置くとお茶を入れはじめた。

「私はお寿司って言ったはずだけど!?」
「うなぎも見方を変えればお寿司の1つですよね?」

 確かにうなぎもお寿司のネタの1つではあるが、かなり強引なこじつけに僕は苦笑してしまった。

「そうかもしれないけど!お重に入った時点でお寿司関係なくなってるでしょ!」

 その通りなのだけど、今の僕はヒサコさん側の人間なのでチョウちゃんをなだめる。

「まぁまぁ。届いたモノは仕方ないのだし、お腹もすいたから食べよ」
「う~。それもそうね」

 どこか納得のいかない表情だったチョウちゃんも、最終的には納得するしかないと諦めたようだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件

遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。 一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた! 宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!? ※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。

不思議な夏休み

廣瀬純七
青春
夏休みの初日に体が入れ替わった四人の高校生の男女が経験した不思議な話

彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。

遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。 彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。 ……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。 でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!? もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー! ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。) 略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

処理中です...