44 / 85
44.あっさりと霧散
しおりを挟む
「それじゃあ、みんなでお風呂にでも入らない?」
リンの唐突な提案に「なんで?」と一瞬思った。
しかし、今朝から色々あったせいでまだお風呂に入ってなかったし、服を脱いでヒマワリちゃんに見せないといけないということを考えるとついでにお風呂に入るのはありだと考え直し、頷こうとしたが、
『それだ!』
僕が返事をするより前にチョウちゃんとヒマワリちゃんが叫びながら立ち上がった。
いや、ヒマワリちゃんが立ち上がるのはわかるけど、なんでチョウちゃんまで立ち上がるのかな?
そんな思いとは裏腹に、2人のテンションはムダに上がっているようで、
「みんなでお風呂に入ろう!」
「おー」
チョウちゃんが拳を突き上げながら高らかに宣言すると、ヒマワリちゃんもノリノリで拳をあげた。
「ちょっと待って」
お風呂に入るのはいいのだけれど、リンとチョウちゃんの言葉の中に気になる点があったのでストップをかける。
「お風呂に入るぞ!」
「おー」
しかし、テンションが変な方向へ振り切ってしまっているチョウちゃんとヒマワリちゃんが止まる気配はないので、仕方なく強制的に手っ取り早く止めることにする。
「ちょっと待ってって言ってるでしょ」
手っ取り早く止めるにはこれが1番。ということでチョウちゃんにアイアンクローをおみまいする。
「イタい!コウくんイタいから!」
腕をタップしてくるチョウちゃんからはおかしなテンションが抜けているので離してあげてもいいのだけど、こっちの話を聞いてくれないことへの文句は言っておきたいのですぐには離さない。
「だったら待ってって言ってる僕の言葉をちゃんと聞いてくれるかな」
ちゃんと聞いてくれていればアイアンクローを受けずにすんでいたのに。
「聞く!聞くから!」
必死になって言うチョウちゃん。
だけど、そこまで強く力を入れているわけではないからそれほど痛くないはずなのに、相変わらず大げさだな。
ちなみに、チョウちゃんがアイアンクローをくらったタイミングですでにヒマワリちゃんは落ち着きを取り戻し、ちゃっかりとソファに座り直して素知らぬ顔をしている。
しかし、軽く震えながらユキさんの袖を掴んでいたりする。
話を聞いてくれるならそれでいいので、そのことには触れないでおいてあげよう。
アイアンクローをやめるとチョウちゃんは頭をおさえながらソファに座り直した。
「それで、どうしたの?」
すぐに聞けそうにないチョウちゃんの変わりにリンが聞いてきたので、疑問に思った点を聞いてみる。
「みんなでお風呂に入るとかリンやチョウちゃんは言ってるけど、この家のお風呂って1度に入れても2人ぐらいが限界の大きさだったよね?」
とはいっても、それは僕達が引っ越しする前の家でのことなので、3階建てに神の手で勝手に増築されたあとでは中の状況も変わっているかもしれない。というか確実に変わっているだろうけど、聞かずにはいられなかった。
「あ~。そのこと」
リンが落ち着いて答えているところを見ると、やっぱり家の中の構造も変わっていると思っていいだろう。
「フッフッフ!増築された際にお風呂は10人入っても大丈夫なくらいの大浴場に進化したのだ!だからここにいる全員で入っても問題なし!」
変なテンションが戻ってきたチョウちゃんは叫びながら立ち上がった。
「なるほどね」
そんな大きな大浴場に変わっているのは少し予想外だったけど、変わっていること自体は思っていた通りだったね。
「あれ?」
僕が驚かなかったことに逆に驚いたことにより、チョウちゃんの変なテンションはあっさりと霧散して僕へ驚きの表情を向けてきた。
「なんで驚かないの?」
「え?」
どうしてそんなことを聞いてくるのとばかりに聞き返す。
「いや。お風呂が大浴場に進化したと言われたのに、なんでそんなに落ち着いていられるの?」
「だってただの確認だから驚くことはなにもないよ」
「え?」
僕の言葉に驚きと戸惑いが入りまじったなんともいえない表情になっているので言ってあげる。
「いや、3階建てに増築されてる時点で中も僕達が暮らしていた時とは全くの別物になっていてもおかしくないとは思っていたからね。聞いたのはただの確認のためだよ」
「え~」
つまんなさそうにしているチョウちゃんにフッと笑いかけると、チョウちゃんは頬を膨らませた。
「で、お風呂には入るの?」
震えが止まったヒマワリちゃんが何事もなかった様子で聞いてくる。
「服を脱いだ姿を見せないことにはヒマワリちゃんに納得してもらえないのでしょ?」
「納得しない」
僕としてはここまで説明しても納得してもらえないことに納得出来ないのだけれど、とりあえず今はヒマワリちゃんに納得してもらうことを最優先するためにお風呂に入ることを了承する。
「僕もお風呂には入りたいから入るよ」
「そう。ならお風呂へ行こうね」
リンが腕を絡めてきた。
逃げる気もないし、新しくなったこの家のどこにお風呂があるかを知らないので、僕はリンに連れて行かれるまま歩きだした。
リンの唐突な提案に「なんで?」と一瞬思った。
しかし、今朝から色々あったせいでまだお風呂に入ってなかったし、服を脱いでヒマワリちゃんに見せないといけないということを考えるとついでにお風呂に入るのはありだと考え直し、頷こうとしたが、
『それだ!』
僕が返事をするより前にチョウちゃんとヒマワリちゃんが叫びながら立ち上がった。
いや、ヒマワリちゃんが立ち上がるのはわかるけど、なんでチョウちゃんまで立ち上がるのかな?
そんな思いとは裏腹に、2人のテンションはムダに上がっているようで、
「みんなでお風呂に入ろう!」
「おー」
チョウちゃんが拳を突き上げながら高らかに宣言すると、ヒマワリちゃんもノリノリで拳をあげた。
「ちょっと待って」
お風呂に入るのはいいのだけれど、リンとチョウちゃんの言葉の中に気になる点があったのでストップをかける。
「お風呂に入るぞ!」
「おー」
しかし、テンションが変な方向へ振り切ってしまっているチョウちゃんとヒマワリちゃんが止まる気配はないので、仕方なく強制的に手っ取り早く止めることにする。
「ちょっと待ってって言ってるでしょ」
手っ取り早く止めるにはこれが1番。ということでチョウちゃんにアイアンクローをおみまいする。
「イタい!コウくんイタいから!」
腕をタップしてくるチョウちゃんからはおかしなテンションが抜けているので離してあげてもいいのだけど、こっちの話を聞いてくれないことへの文句は言っておきたいのですぐには離さない。
「だったら待ってって言ってる僕の言葉をちゃんと聞いてくれるかな」
ちゃんと聞いてくれていればアイアンクローを受けずにすんでいたのに。
「聞く!聞くから!」
必死になって言うチョウちゃん。
だけど、そこまで強く力を入れているわけではないからそれほど痛くないはずなのに、相変わらず大げさだな。
ちなみに、チョウちゃんがアイアンクローをくらったタイミングですでにヒマワリちゃんは落ち着きを取り戻し、ちゃっかりとソファに座り直して素知らぬ顔をしている。
しかし、軽く震えながらユキさんの袖を掴んでいたりする。
話を聞いてくれるならそれでいいので、そのことには触れないでおいてあげよう。
アイアンクローをやめるとチョウちゃんは頭をおさえながらソファに座り直した。
「それで、どうしたの?」
すぐに聞けそうにないチョウちゃんの変わりにリンが聞いてきたので、疑問に思った点を聞いてみる。
「みんなでお風呂に入るとかリンやチョウちゃんは言ってるけど、この家のお風呂って1度に入れても2人ぐらいが限界の大きさだったよね?」
とはいっても、それは僕達が引っ越しする前の家でのことなので、3階建てに神の手で勝手に増築されたあとでは中の状況も変わっているかもしれない。というか確実に変わっているだろうけど、聞かずにはいられなかった。
「あ~。そのこと」
リンが落ち着いて答えているところを見ると、やっぱり家の中の構造も変わっていると思っていいだろう。
「フッフッフ!増築された際にお風呂は10人入っても大丈夫なくらいの大浴場に進化したのだ!だからここにいる全員で入っても問題なし!」
変なテンションが戻ってきたチョウちゃんは叫びながら立ち上がった。
「なるほどね」
そんな大きな大浴場に変わっているのは少し予想外だったけど、変わっていること自体は思っていた通りだったね。
「あれ?」
僕が驚かなかったことに逆に驚いたことにより、チョウちゃんの変なテンションはあっさりと霧散して僕へ驚きの表情を向けてきた。
「なんで驚かないの?」
「え?」
どうしてそんなことを聞いてくるのとばかりに聞き返す。
「いや。お風呂が大浴場に進化したと言われたのに、なんでそんなに落ち着いていられるの?」
「だってただの確認だから驚くことはなにもないよ」
「え?」
僕の言葉に驚きと戸惑いが入りまじったなんともいえない表情になっているので言ってあげる。
「いや、3階建てに増築されてる時点で中も僕達が暮らしていた時とは全くの別物になっていてもおかしくないとは思っていたからね。聞いたのはただの確認のためだよ」
「え~」
つまんなさそうにしているチョウちゃんにフッと笑いかけると、チョウちゃんは頬を膨らませた。
「で、お風呂には入るの?」
震えが止まったヒマワリちゃんが何事もなかった様子で聞いてくる。
「服を脱いだ姿を見せないことにはヒマワリちゃんに納得してもらえないのでしょ?」
「納得しない」
僕としてはここまで説明しても納得してもらえないことに納得出来ないのだけれど、とりあえず今はヒマワリちゃんに納得してもらうことを最優先するためにお風呂に入ることを了承する。
「僕もお風呂には入りたいから入るよ」
「そう。ならお風呂へ行こうね」
リンが腕を絡めてきた。
逃げる気もないし、新しくなったこの家のどこにお風呂があるかを知らないので、僕はリンに連れて行かれるまま歩きだした。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
フラレたばかりのダメヒロインを応援したら修羅場が発生してしまった件
遊馬友仁
青春
校内ぼっちの立花宗重は、クラス委員の上坂部葉月が幼馴染にフラれる場面を目撃してしまう。さらに、葉月の恋敵である転校生・名和リッカの思惑を知った宗重は、葉月に想いを諦めるな、と助言し、叔母のワカ姉やクラスメートの大島睦月たちの協力を得ながら、葉月と幼馴染との仲を取りもつべく行動しはじめる。
一方、宗重と葉月の行動に気付いたリッカは、「私から彼を奪えるもの奪ってみれば?」と、挑発してきた!
宗重の前では、態度を豹変させる転校生の真意は、はたして―――!?
※本作は、2024年に投稿した『負けヒロインに花束を』を大幅にリニューアルした作品です。
彼女に振られた俺の転生先が高校生だった。それはいいけどなんで元カノ達まで居るんだろう。
遊。
青春
主人公、三澄悠太35才。
彼女にフラれ、現実にうんざりしていた彼は、事故にあって転生。
……した先はまるで俺がこうだったら良かったと思っていた世界を絵に書いたような学生時代。
でも何故か俺をフッた筈の元カノ達も居て!?
もう恋愛したくないリベンジ主人公❌そんな主人公がどこか気になる元カノ、他多数のドタバタラブコメディー!
ちょっとずつちょっとずつの更新になります!(主に土日。)
略称はフラれろう(色とりどりのラブコメに精一杯の呪いを添えて、、笑)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる