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56.ゴン!
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廊下から唐突に聞こえてきた「パン!」という音に驚いた僕達は、音が聞こえてきた前の扉を見つめた。
数秒後、扉が開いて入ってきたのは1人の女性だった。
しかし、みんなが見ているとは思っていなかった女性は「ひっ」という声をあげると1歩下がって教室を出てしまった。
そんな女性の頬が軽く赤くなっていたので、さっきの音は女性が自分の頬を叩いた音なのだろう。
教室を出てしまった女性だが、すぐに教室の中に戻ってきて教卓へ向けて歩き出したのだが、その足取りがなんか危ない気がする。
なんて思っていたら、
「キャッ!」
予想通りというかなんというか、女性は自分の足に引っかかった。
「おっと」
予想していてかまえていたこともあって、女性が床にぶつかる寸前で抱きかかえて助けることに成功して内心ホッとしていると、
「ヒューヒュー!」
後ろの方からユウのひやかしの声が聞こえてきたが、かまうとめんどうなので無視する。
「大丈夫ですか?先生」
そう問いかけるも、女性からの返事はない。
あれ?と首を傾げる。
ちゃんと床に倒れる前に助けたからどこもケガはないはずだし、反応がないのはおかしいはずだ。
というか、よく見ると女性は先ほどとは違った頬の赤らめ方をしていた。
うん。僕からしてみればよく見慣れた反応なのだけど、3日前のチョウちゃんの説明では女性の先生はみんな僕が女だと知っているはずなので、こんな反応をされるのはおかしいはずなのだけど………。
そこまで考えて、あっ!と思った。
そういえば、事前の顔合わせとかしていないから、もしかすると僕の名前と女だという情報は知っていても、顔は知らないのかもしれない。
チョウちゃんはそこら辺のツメが甘いから、かもしれないじゃなくてそうなんだろうね。じゃないとこんな反応になることはないだろうからね。
しかし、今ここでそれを説明するわけにもいかないので、とりあえず女性には正気に戻ってもらう必要があるだろう。なので、
「先生。先生!」
呼びかけながら揺すると、ようやくハッとした女性は慌てて僕から離れた。
「あ、ありゅぎゃとぅ」
見事に噛みたおした女性は恥ずかしくなって顔を赤らめ、うつむいてしまった。
「いえ、どういたしまして」
噛みたおしたことに反応して余計に恥ずかしがられると、話が全く先に進まなくなる可能性が高いのでそこには触れずに進めよう。
「とりあえず、立ちましょうか」
女性へ手を差し出すと、女性は一瞬ためらったが、僕の手を掴んできたので引っ張って起き上がらせる。
「ヒューヒュー!」
「カッコいい~」
「やるね~」
ユウ以外の何人かの生徒からひやかしが飛んできたのでまた女性は顔を赤くしてうつむいてしまう。
その冷やかしに内心ため息を吐きつつ、ひやかしてきた生徒を睨みつけてやると、ビクッとしたかと思うとうつむいたり横を向いたりして目線を反らした。
これだから男子は困るのだよね。
さらにいえば、こんな状況になった原因はユウが最初にひやかしてきたからなので、ユウには殺気も込めて睨んでおく。
殺気込みの睨みつけに気づいたユウは、両手を合わせてペコペコと頭を下げてきた。
ユウを許すかどうかはあとで決めるとして、今は話を進めよう。
「大丈夫そうですね」
女性の服装とかが乱れていないかを一通り見てみて、大丈夫なことを確認する。
「は、はい」
女性の返事を聞いた僕は女性を教卓までエスコートしてから自分の席に座った。
教壇に立った女性は1度みんなを見回してから気持ちを落ち着かせるように大きく息を吐いた。
「皆さん初めまして。今日から1年間みんなの担任になる海野ナツです。今年が教師1年目でいきなり担任を任されるなんて思いもしなかったので色々とわからないことばかりですが、よろしくお願いします」
自己紹介を終えて頭を下げたナツ先生ですが、勢いよく頭を下げすぎたせいで、「ゴン!」といういい音をさせながら教卓に頭をぶつけてしまったのだった。
数秒後、扉が開いて入ってきたのは1人の女性だった。
しかし、みんなが見ているとは思っていなかった女性は「ひっ」という声をあげると1歩下がって教室を出てしまった。
そんな女性の頬が軽く赤くなっていたので、さっきの音は女性が自分の頬を叩いた音なのだろう。
教室を出てしまった女性だが、すぐに教室の中に戻ってきて教卓へ向けて歩き出したのだが、その足取りがなんか危ない気がする。
なんて思っていたら、
「キャッ!」
予想通りというかなんというか、女性は自分の足に引っかかった。
「おっと」
予想していてかまえていたこともあって、女性が床にぶつかる寸前で抱きかかえて助けることに成功して内心ホッとしていると、
「ヒューヒュー!」
後ろの方からユウのひやかしの声が聞こえてきたが、かまうとめんどうなので無視する。
「大丈夫ですか?先生」
そう問いかけるも、女性からの返事はない。
あれ?と首を傾げる。
ちゃんと床に倒れる前に助けたからどこもケガはないはずだし、反応がないのはおかしいはずだ。
というか、よく見ると女性は先ほどとは違った頬の赤らめ方をしていた。
うん。僕からしてみればよく見慣れた反応なのだけど、3日前のチョウちゃんの説明では女性の先生はみんな僕が女だと知っているはずなので、こんな反応をされるのはおかしいはずなのだけど………。
そこまで考えて、あっ!と思った。
そういえば、事前の顔合わせとかしていないから、もしかすると僕の名前と女だという情報は知っていても、顔は知らないのかもしれない。
チョウちゃんはそこら辺のツメが甘いから、かもしれないじゃなくてそうなんだろうね。じゃないとこんな反応になることはないだろうからね。
しかし、今ここでそれを説明するわけにもいかないので、とりあえず女性には正気に戻ってもらう必要があるだろう。なので、
「先生。先生!」
呼びかけながら揺すると、ようやくハッとした女性は慌てて僕から離れた。
「あ、ありゅぎゃとぅ」
見事に噛みたおした女性は恥ずかしくなって顔を赤らめ、うつむいてしまった。
「いえ、どういたしまして」
噛みたおしたことに反応して余計に恥ずかしがられると、話が全く先に進まなくなる可能性が高いのでそこには触れずに進めよう。
「とりあえず、立ちましょうか」
女性へ手を差し出すと、女性は一瞬ためらったが、僕の手を掴んできたので引っ張って起き上がらせる。
「ヒューヒュー!」
「カッコいい~」
「やるね~」
ユウ以外の何人かの生徒からひやかしが飛んできたのでまた女性は顔を赤くしてうつむいてしまう。
その冷やかしに内心ため息を吐きつつ、ひやかしてきた生徒を睨みつけてやると、ビクッとしたかと思うとうつむいたり横を向いたりして目線を反らした。
これだから男子は困るのだよね。
さらにいえば、こんな状況になった原因はユウが最初にひやかしてきたからなので、ユウには殺気も込めて睨んでおく。
殺気込みの睨みつけに気づいたユウは、両手を合わせてペコペコと頭を下げてきた。
ユウを許すかどうかはあとで決めるとして、今は話を進めよう。
「大丈夫そうですね」
女性の服装とかが乱れていないかを一通り見てみて、大丈夫なことを確認する。
「は、はい」
女性の返事を聞いた僕は女性を教卓までエスコートしてから自分の席に座った。
教壇に立った女性は1度みんなを見回してから気持ちを落ち着かせるように大きく息を吐いた。
「皆さん初めまして。今日から1年間みんなの担任になる海野ナツです。今年が教師1年目でいきなり担任を任されるなんて思いもしなかったので色々とわからないことばかりですが、よろしくお願いします」
自己紹介を終えて頭を下げたナツ先生ですが、勢いよく頭を下げすぎたせいで、「ゴン!」といういい音をさせながら教卓に頭をぶつけてしまったのだった。
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