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58.弱りすぎている
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僕が席に座ると、少し不安げな表情でナツ先生は僕を見てきたけど、あいにくと僕に出来ることはもうないはずなので、どうぞどうぞと続きを話すように手で促す。
それでもまだ助けを求めるように僕を見ていたナツ先生。
そんな風に見られても困るわけで、一体僕に何を期待してどこまでさせるつもりなのだろうか。
「はぁ」
僕のため息と困った表情を見たナツ先生は、自分と僕の立場というか関係性を思い出したのかハッとした表情を浮かべた。
そうだ。僕が生徒でナツ先生が先生なのだ。だから先生が生徒に助けを求めるのは本来ならおかしいことなのだ。
それも、入学式当日のことならなおさらね。
それに気づいたナツ先生は、気合いを入れるためなのかと自分の頬を叩いた。
「パン!」
そのあまりにも大きな音に僕達はビクッとしてしまった。
そんな僕達も驚くほど大きな音が出るぐらいの力で頬を叩いたナツ先生はというと、
「うぅ………イタい………」
考えていた以上に強く叩いてしまって痛かったのか、ナツ先生は頬をおさえたまま教卓に頭を預ける形で前に倒れた。
そんな姿に苦笑しつつ、さっきのナツ先生が頬を叩く音が、ナツ先生が教室に入ってくる直前に聞こえてきた音と音量の違いはあれど同じだったので、やっぱり教室に入ってくる前にも気合いを入れるために頬を叩いたのだなと思った。
しかし、どうしたものか。
せっかくやる気を出したというのにまたすぐにノックダウンしてしまったからね。
このまま回復するまで触れずに放置して、復活したナツ先生が自力で話を進めて次の行動に移れるか、と考えてみたけど、どんなに考えても話が進まずに次の行動にも移れない未来しか想像出来なかった。
いや、想像出来なかった、じゃスゴくマズいのだけど、でもホントに想像出来なかったのだから仕方ないじゃないか。
なんて言い訳じみた思考になってしまったが、ホントにどうしたものか。
なんて思っていると後頭部に当たったモノが僕の机の上に落ちてきた。
その当たったモノとは黒板消しで、ということはつまり………。
後ろを振り返ると、ユウが先生を指さしながら僕が助けてやれといわんばかりにアゴをクイクイと振っていた。
それを見てから前を向き直りナツ先生の様子を見る。
ナツ先生はまだ痛みから復活出来ておらず、教卓に頭を当てたままの状態でいる。
確かにこのままではいつまでたっても先に進むことはないし、先に進まなければこれから始まる入学式にすら出られないというわけで、そうなると当然困ることになる。
もちろん、僕達が入学式の会場に現れなければいづれ誰かが様子を見に来てくれるだろう。
しかし、それを待っているのもどうかとも思うし、その場合は当然会場に生徒を連れて行く役目のナツ先生が怒られるわけだ。
だけど、僕のせいもあってここまでテンパっているナツ先生が怒られるのは可哀想なので、そうなるとやっぱり僕がやるしかないのか。
という結論にいたった僕は、内心ため息を吐きつつナツ先生を助けるためにまた席を立った。
「先生大丈夫ですか?」
僕が声をかけると、僕の方を涙目で見てきたナツ先生は弱々しく呟いた。
「大丈夫………じゃないかも………」
じゃないかも、じゃなくて完全に大丈夫ではないですよね?と言いたくなった言葉はなんとか飲み込んで苦笑する。
しかし、弱りすぎているせいで、生徒相手というのに普通に友達に話しかけてくるような感覚で話しかけてきてるよ。
「そうですね。
とりあえず、僕達はこれからどうすればいいのですか?」
「入学式のために体育館へ移動しないといけないの」
入学式の会場は体育館なのはわかった。というか大体の学校で入学式は体育館で行うだろうからそうだとは思っていたけど、問題は体育館がどこにあるか、ということだ。
「体育館にはどうやって行けばいいのですか?」
「えっと………」
ナツ先生は持ってきた紙の中を探し始めた。
多分その中に学校の地図を入れてきたのだろうけど、今の流れでいえばイヤな予感しかしない。
「あれ?地図がない?」
やっぱりか~。
イヤな予感が大当たりしてしまった。
「あれ?あれ?」
ナツ先生は何度も確認するが、地図が出てくる様子はない。
「どうしよう………」
地図がないことを確認し終えたナツ先生はすがるような目で僕を見上げてきた。
しかし、すがるような目で僕を見られても、あいにくと僕も体育館の場所を把握しているわけではないので連れて行くことは出来ない。
こうなると、最終手段としては………。
僕は廊下の方を見た。
廊下からは他のクラスの生徒達の声が聞こえてきたので、多分これから体育館に移動するのだろう。その後をついていく以外に今の僕達に体育館へ行ける方法はない。
「みんな。他のクラスが移動し始めるみたいだからそれについていくよ」
僕がそう言うと、理解の早いみんなすぐに立ち上がって移動し始めてくれたので、僕はナツ先生を支えながらみんなと一緒に移動を始めるのだった。
それでもまだ助けを求めるように僕を見ていたナツ先生。
そんな風に見られても困るわけで、一体僕に何を期待してどこまでさせるつもりなのだろうか。
「はぁ」
僕のため息と困った表情を見たナツ先生は、自分と僕の立場というか関係性を思い出したのかハッとした表情を浮かべた。
そうだ。僕が生徒でナツ先生が先生なのだ。だから先生が生徒に助けを求めるのは本来ならおかしいことなのだ。
それも、入学式当日のことならなおさらね。
それに気づいたナツ先生は、気合いを入れるためなのかと自分の頬を叩いた。
「パン!」
そのあまりにも大きな音に僕達はビクッとしてしまった。
そんな僕達も驚くほど大きな音が出るぐらいの力で頬を叩いたナツ先生はというと、
「うぅ………イタい………」
考えていた以上に強く叩いてしまって痛かったのか、ナツ先生は頬をおさえたまま教卓に頭を預ける形で前に倒れた。
そんな姿に苦笑しつつ、さっきのナツ先生が頬を叩く音が、ナツ先生が教室に入ってくる直前に聞こえてきた音と音量の違いはあれど同じだったので、やっぱり教室に入ってくる前にも気合いを入れるために頬を叩いたのだなと思った。
しかし、どうしたものか。
せっかくやる気を出したというのにまたすぐにノックダウンしてしまったからね。
このまま回復するまで触れずに放置して、復活したナツ先生が自力で話を進めて次の行動に移れるか、と考えてみたけど、どんなに考えても話が進まずに次の行動にも移れない未来しか想像出来なかった。
いや、想像出来なかった、じゃスゴくマズいのだけど、でもホントに想像出来なかったのだから仕方ないじゃないか。
なんて言い訳じみた思考になってしまったが、ホントにどうしたものか。
なんて思っていると後頭部に当たったモノが僕の机の上に落ちてきた。
その当たったモノとは黒板消しで、ということはつまり………。
後ろを振り返ると、ユウが先生を指さしながら僕が助けてやれといわんばかりにアゴをクイクイと振っていた。
それを見てから前を向き直りナツ先生の様子を見る。
ナツ先生はまだ痛みから復活出来ておらず、教卓に頭を当てたままの状態でいる。
確かにこのままではいつまでたっても先に進むことはないし、先に進まなければこれから始まる入学式にすら出られないというわけで、そうなると当然困ることになる。
もちろん、僕達が入学式の会場に現れなければいづれ誰かが様子を見に来てくれるだろう。
しかし、それを待っているのもどうかとも思うし、その場合は当然会場に生徒を連れて行く役目のナツ先生が怒られるわけだ。
だけど、僕のせいもあってここまでテンパっているナツ先生が怒られるのは可哀想なので、そうなるとやっぱり僕がやるしかないのか。
という結論にいたった僕は、内心ため息を吐きつつナツ先生を助けるためにまた席を立った。
「先生大丈夫ですか?」
僕が声をかけると、僕の方を涙目で見てきたナツ先生は弱々しく呟いた。
「大丈夫………じゃないかも………」
じゃないかも、じゃなくて完全に大丈夫ではないですよね?と言いたくなった言葉はなんとか飲み込んで苦笑する。
しかし、弱りすぎているせいで、生徒相手というのに普通に友達に話しかけてくるような感覚で話しかけてきてるよ。
「そうですね。
とりあえず、僕達はこれからどうすればいいのですか?」
「入学式のために体育館へ移動しないといけないの」
入学式の会場は体育館なのはわかった。というか大体の学校で入学式は体育館で行うだろうからそうだとは思っていたけど、問題は体育館がどこにあるか、ということだ。
「体育館にはどうやって行けばいいのですか?」
「えっと………」
ナツ先生は持ってきた紙の中を探し始めた。
多分その中に学校の地図を入れてきたのだろうけど、今の流れでいえばイヤな予感しかしない。
「あれ?地図がない?」
やっぱりか~。
イヤな予感が大当たりしてしまった。
「あれ?あれ?」
ナツ先生は何度も確認するが、地図が出てくる様子はない。
「どうしよう………」
地図がないことを確認し終えたナツ先生はすがるような目で僕を見上げてきた。
しかし、すがるような目で僕を見られても、あいにくと僕も体育館の場所を把握しているわけではないので連れて行くことは出来ない。
こうなると、最終手段としては………。
僕は廊下の方を見た。
廊下からは他のクラスの生徒達の声が聞こえてきたので、多分これから体育館に移動するのだろう。その後をついていく以外に今の僕達に体育館へ行ける方法はない。
「みんな。他のクラスが移動し始めるみたいだからそれについていくよ」
僕がそう言うと、理解の早いみんなすぐに立ち上がって移動し始めてくれたので、僕はナツ先生を支えながらみんなと一緒に移動を始めるのだった。
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