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73.オチを
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さて、部屋でリンを殴ってスッキリした僕は荷物を置くと集合場所の駐車場へと戻ってきた。
すでにかなりの生徒が戻ってきていて各クラスごとに集まっているのだけど、こうなると多分………。
「委員長。みんなを集合させてね」
ナツ先生が僕の肩を叩いてそんなことを言ってきた。
「先生。早速職務放棄しないでくれませんか?」
「職務放棄じゃなくて、委員長に頼んでるだけだよ?」
確かに委員長にはクラスをまとめる役目もあるので、みんなを集合させるなんてこともするだろう。なのでナツ先生の言うことは間違っているわけではない。ないのだけれど。
「他のクラスは先生が集合させてますよ?」
「それは委員長がいないからであって、うちには委員長がいるからお願いするのは普通だよね」
「その委員長も、本来ならこの新入合宿を終えてから決めるはずのモノを先生が勝手に早めて決めただけですよね?」
「でも、クラスメイトのみんなも賛同してくれたし、最終的にはコウくんもやるって言ってくれたじゃないですか」
確かにナツ先生の言葉は正論ではある。
しかし、昨日のテンパりを乗り越えればマシになると思っていたから委員長になることを引き受けただけで、まさか翌日からこんなにも頼られることになるなんて思ってもいなかった。
「しましたけど、やっぱり本来ならいない存在ですし、今朝の校庭で集まる時も今も他のクラスの先生達から不思議そうに見られているってわかっています?」
「わかっていますよ」
そう言いながら僕の腕を掴んできたナツ先生の手はかなり震えていた。
「昨日のことがあったので頑張ろうとは思うのですけど、頑張ろうと思えば思うほど出来るような気がしなくて………」
今のナツ先生は考え方がネガティブになっているせいで、悪循環な方向へしか思考が向かっていかない状態なのだろう。
とはいえ、先生になってこれから仕事としてやっていく以上はそんなことも言ってられないだろう。
「わかりました」
僕が頷くとナツ先生はパッと表情を明るくしたが、あいにくと甘やかすつもりはない。
「一番前に座って見ててあげますから頑張ってください」
一応僕が近くにいることで気持ち的には落ち着いているみたいだし、フォローしてくれる対象が近くにいる状況だと理解しながらなら大丈夫だろう。
しかし、僕の言葉を聞いたナツ先生はえっという表情で僕を見てきた。
「いや、コウく「先生」
ナツ先生の言葉を遮りながら少し強い言葉をかけると、ナツ先生はビクッとした。
「大丈夫ですよ。うちには失敗したことをなんとも思わない迷惑者もいますし」
チラッとユウを見る。
「失敗から学ばないバカもいますし」
再度ユウをチラッと見る。
「同じ失敗を繰り返すボケもいますからね」
もう1度ユウをチラッと見ると、ユウは笑顔で肩を組んできた。
「誰が迷惑者でバカでボケだって、あぁ」
顔は笑顔でも言ってることはヤカラと変わらないユウに僕はため息を吐いた。
「別にユウのことだって言ってないじゃん」
さっきから僕は1度もユウの名前を言ってないことを言ったのだけど、ユウは組んだ腕を首にかけてきて軽く絞めてきた。
「さっきから俺をチラチラ見てきてたじゃねーか!」
「自意識過剰だな~。ハハハ」
「テメー」
怒ったユウがさらに首を絞めてきたので腕をタップしていると、
「まぁまぁ。落ち着きなよ、マヌケ」
「リン!テメーまで!」
落ち着かせにきているようで煽ってきたリンにユウの怒りが向いて腕の力が抜けているうちに抜け出した僕はクラスメイト達を見回した。
「そして、うちのクラスはナツ先生の小さな失敗くらい笑いとばすくらいのバカの集まりですから気楽にいきましょう」
『おい!』
クラスメイトの声を揃えた見事なツッコミにビクッとしていると、ナツ先生が笑い出した。
「そうですね。少し気負いすぎていたみたいですし、そんなバカ達の筆頭の委員長がそう言うのでしたら、もう少し気楽にいってみます」
自然な笑顔のナツ先生を見て、ようやく大丈夫になったかな、と思ったのでオチをつけにかかるか。
「いや~バカ達の筆頭なんて照れるな~」
『褒められてねーぞ!』
すでにかなりの生徒が戻ってきていて各クラスごとに集まっているのだけど、こうなると多分………。
「委員長。みんなを集合させてね」
ナツ先生が僕の肩を叩いてそんなことを言ってきた。
「先生。早速職務放棄しないでくれませんか?」
「職務放棄じゃなくて、委員長に頼んでるだけだよ?」
確かに委員長にはクラスをまとめる役目もあるので、みんなを集合させるなんてこともするだろう。なのでナツ先生の言うことは間違っているわけではない。ないのだけれど。
「他のクラスは先生が集合させてますよ?」
「それは委員長がいないからであって、うちには委員長がいるからお願いするのは普通だよね」
「その委員長も、本来ならこの新入合宿を終えてから決めるはずのモノを先生が勝手に早めて決めただけですよね?」
「でも、クラスメイトのみんなも賛同してくれたし、最終的にはコウくんもやるって言ってくれたじゃないですか」
確かにナツ先生の言葉は正論ではある。
しかし、昨日のテンパりを乗り越えればマシになると思っていたから委員長になることを引き受けただけで、まさか翌日からこんなにも頼られることになるなんて思ってもいなかった。
「しましたけど、やっぱり本来ならいない存在ですし、今朝の校庭で集まる時も今も他のクラスの先生達から不思議そうに見られているってわかっています?」
「わかっていますよ」
そう言いながら僕の腕を掴んできたナツ先生の手はかなり震えていた。
「昨日のことがあったので頑張ろうとは思うのですけど、頑張ろうと思えば思うほど出来るような気がしなくて………」
今のナツ先生は考え方がネガティブになっているせいで、悪循環な方向へしか思考が向かっていかない状態なのだろう。
とはいえ、先生になってこれから仕事としてやっていく以上はそんなことも言ってられないだろう。
「わかりました」
僕が頷くとナツ先生はパッと表情を明るくしたが、あいにくと甘やかすつもりはない。
「一番前に座って見ててあげますから頑張ってください」
一応僕が近くにいることで気持ち的には落ち着いているみたいだし、フォローしてくれる対象が近くにいる状況だと理解しながらなら大丈夫だろう。
しかし、僕の言葉を聞いたナツ先生はえっという表情で僕を見てきた。
「いや、コウく「先生」
ナツ先生の言葉を遮りながら少し強い言葉をかけると、ナツ先生はビクッとした。
「大丈夫ですよ。うちには失敗したことをなんとも思わない迷惑者もいますし」
チラッとユウを見る。
「失敗から学ばないバカもいますし」
再度ユウをチラッと見る。
「同じ失敗を繰り返すボケもいますからね」
もう1度ユウをチラッと見ると、ユウは笑顔で肩を組んできた。
「誰が迷惑者でバカでボケだって、あぁ」
顔は笑顔でも言ってることはヤカラと変わらないユウに僕はため息を吐いた。
「別にユウのことだって言ってないじゃん」
さっきから僕は1度もユウの名前を言ってないことを言ったのだけど、ユウは組んだ腕を首にかけてきて軽く絞めてきた。
「さっきから俺をチラチラ見てきてたじゃねーか!」
「自意識過剰だな~。ハハハ」
「テメー」
怒ったユウがさらに首を絞めてきたので腕をタップしていると、
「まぁまぁ。落ち着きなよ、マヌケ」
「リン!テメーまで!」
落ち着かせにきているようで煽ってきたリンにユウの怒りが向いて腕の力が抜けているうちに抜け出した僕はクラスメイト達を見回した。
「そして、うちのクラスはナツ先生の小さな失敗くらい笑いとばすくらいのバカの集まりですから気楽にいきましょう」
『おい!』
クラスメイトの声を揃えた見事なツッコミにビクッとしていると、ナツ先生が笑い出した。
「そうですね。少し気負いすぎていたみたいですし、そんなバカ達の筆頭の委員長がそう言うのでしたら、もう少し気楽にいってみます」
自然な笑顔のナツ先生を見て、ようやく大丈夫になったかな、と思ったのでオチをつけにかかるか。
「いや~バカ達の筆頭なんて照れるな~」
『褒められてねーぞ!』
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