僕は普通で平凡なモブ〜だって執事とメイドが最強なんだから〜

だらけたい

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17.ニヤニヤ

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 さてと。アルナーさんのせいで冒険者になることが親方の耳に入ってしまったということは、今回の冒険者になる件についての説明をしないと装備品を買えないということになるだろう。

 なので、親方から睨まれながらもなぜ冒険者になるのか、父さんや母さんから出された条件などをしっかりと1から説明した。

「なるほどな」

 僕の話を聞き終えた親方は腕を組みながら頷いた。

「しっかりと領主様の了承は得ているならワシがとやかく言うことではないな」

 その言葉に内心ホッと息を吐いた。

 確かに父さん達が了承している以上、他人である親方がとやかく言うことではないのだけれど、この親方ならそんな状況でも自分の考え次第ではとやかく言ってきそうだとも思っているので、ホントに何も言われなくてホッとしている。

「アルナーさんにも父さん達の了承は得てきているって言ったのに親方を呼んだのですよ」

 そしたら親方に説明する手間もかからずに済んだのに。と思わずにはいられないので言っておこう。

「そんなに手間か?」って。

 手間なんだよ。

 だっていちいち説明しなくてもいいことを親方に説明しないといけないし、とやかく言われる可能性もあったからね。

「でも、とやかく言われることもなかったんだし、説明ぐらいならいんじゃね?」って。

 そうなのだけどね。

 もしとやかく言われた場合、親方の説得っていうムダな作業が増えるわけだよ。しかも、親方を説得するのってスゴく難しいし、それを考えただけでスゴく気苦労なんだよね。

 だからこそ、やっぱりアルナーさんが親方を呼んだのは間違えであって、そんなアルナーさんには親方からしっかりと雷を落としてもらわないとね。

「なんだと。アルナー!」
「うひっ」

 親方に怒鳴られてアルナーさんは首をすくめた。

「領主様の了承を得てきているのなら普通の客と変わらないのにワシを呼ぶとはどういうことだ!お前でも十分対応出来るだろうが!」
「ぐふっ」

 ゲンコツを頭に食らったアルナーさんは頭をおさえながらうずくまった。そんなアルナーさんを見ながら親方はやれやれといった反応をしていた。

「でもさ。坊っちゃん達の装備品の話だっていうのに父さん呼ばなかったってあとから聞いたらそれはそれで怒るでしょ?」

 涙目になりながらアルナーさんが親方を見上げると、腕を組み直して考え始める親方。

 そして出た結論は、

「怒るだろうな」
「だったらさっきのゲンコツは理不尽じゃないかな!」

 アルナーさんの言い分はもっともなのだが、あいにくと親方の理不尽はたまにあるから仕方ないことと諦めてもらおう。

「お前が、父さん達の了承を得てきていると言ったのに親方を呼んだ、とか言わなかったら殴られなかったんじゃねーの?」って。

 かもしれないね。

 でも、親方を呼んで面倒を増やしてきたのだからそれくらいのバツはあってもいいのじゃないかな。

「うわっ!腹黒っ!」って。

 ヒドい言われようだね。それに、僕が言わなかったところでアルナーさんは殴られていたと思うけどね。

「どういうことだ?」って。

 見てればわかるさ。

「呼ぶにしてももっと静かに呼ぶことだってできただろうが。それなのにわざわざ大声で呼びやがって。何事かと思っただろが」

 今度は軽くアルナーさんの頭を叩いた親方。

「なるほど、な」だろ。

 結局、親方を呼んだ時点でアルナーさんが殴られるのは確定だったのだよ。

「それなのに先にトドメをさすお前はやっぱり腹黒だな」って。

 結果は変わらないのだから早いか遅いかなんて誤差だろ。

 それなのに腹黒ってのはやっぱり心外だよ。

「ごめんなさい」

 アルナーさんは自分に否があると理解したので素直に謝った。

「坊っちゃんが冒険者になると聞いて気が動転しちゃって」

 アルナーさんは、てへへ、といった様子で頭を掻きながら立ち上がった。

「やっぱりお前が悪いんじゃねーか」か。

 ちゃんと父さん達の了承は得てることは話してるし、アルナーさんの気が動転したのは僕が悪いわけじゃないだろ。

 と、今日ここに来た意味を忘れそうになっていた。

「それで、僕達の装備品を買いたいのですけど」

 僕がそう言うと、なぜか親方は僕の方を見てきたかと思うと、一息吐いた。

「ちょっと待っとけ」

 そう言って工房のほうへ戻っていく親方の後ろ姿をアルナーさんがニヤニヤしながら見ていた。

「何があるんだろうな」って。

 僕に聞かれてもわかるはずないだろ。

「どういうことなんですか?」

 わからないことは素直に聞くにかぎるので、アルナーさんに聞くとニヤニヤ顔のまま僕のほうを見てきた。

「それは父さんが帰ってきたらわかることだから私の口からは言えないね」

 どうやら何かあるということはわかったのだけど、肝心の何かの部分が全くわからないのでやっぱり首を傾げていると、アルナーさんはそんな僕を見てやっぱりニヤニヤしていたのだった。
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