異世界転生配信〜はぁ?なんだそれ!ってか異世界転生すら聞いてないぞ!〜(再編)

だらけたい

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23.噛み付いて

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 リスナー達にイライラしていると、両サイドから赤ちゃんに服を掴まれた。

「あ~あ」
「あ~い」

 二人して俺へ手を伸ばしてきたので手を差し出すと、俺の手を握って二人共笑顔になった。
 なので、笑顔を返しながら陽だまりスキルを発動させて二人の間に寝転び、目線を合わせた。

『キャッキャキャッキャ』
「あはは」

 余計に笑ってくれる二人に俺も声を出して笑った。

「ここはレイン様にお任せしたほうがいいみたいですね」

 二人の笑顔を見てホッとした様子のジルベイルさん。

〉妹達のお世話はおとにひういさんに任せれば安心だね
〉しっかりとおとにひういさんしてるんだね、レイン
〉いいおとにひういさんだな

《だからわけわかんねーから止めろ》

 もうツッコむのすら面倒くさくなってきたから放置してやろうか。

「そうですね」
「うぅ~。お姉ちゃんとしては負けた気分です」
「なに言ってるのよ」

 おかしなことを言っているフィーシャさんを呆れた目で見ているアルさん。

「二人をしっかりとあやすことでレイン様に頼りになるってところを見せて、お姉ちゃんと呼んでもらえるようにするつもりだったのに~」

 悔しがっているフィーシャさんの頭を無言で叩くアルさん。

〉自分の欲望のために赤ちゃんをあやしてたしwww
〉そんな不純な動機のあやしで赤ちゃんが泣き止むわけないぞwww
〉逆に余計に泣かれそうwww
〉泣き止まなかったのはフィーシャのせいかwww

《まだ諦めてなかったのか》

 俺は内心ため息を吐いた。

〉まだってどういうことだよ

《フィーシャさんは俺が喋るようになってからしつこいくらいに自分のことを「お姉ちゃん」って呼ばせようとしてくるんだよ》

 だから俺のところに来ては自分のことを「お姉ちゃんですよ」とか言ってくる。
 大抵アルさんが一緒にいるのでアルさんに頭を殴られるまでが最近の一連の流れだったりする。

〉そんな早くから「お姉ちゃん」呼びを定着させようとしてるなんてwww
〉涙ぐましい努力してるんだなwww
〉涙ぐましい努力っていうよりもはや洗脳に近いだろwww
〉ちょっと狂気が垣間見えるなwww
〉ってか、一度お姉ちゃんと呼んでやれば落ち着くんじゃないのか?
〉そうだよ。一度くらい呼んでやれよwww

《あいにくとフィーシャさんは調子にのるタイプだから一度でもお姉ちゃん呼びをするとお姉ちゃんと呼ばないと反応しなくなるだろうからそれは無理だ》

 そんなことになったらめんどくさいので一度くらいっていう軽い気持ちで呼ぶことは絶対ありえない。

〉調子にのっちゃうのか~
〉そりゃ下手にお姉ちゃんと呼べねーわな
〉フィーシャ~
〉お姉ちゃんと呼んでほしいのならもっとしっかりしろよ~

《ホントにしっかりしてほしいものだ》

 たまにやっちゃうおっちょこちょいさんなので、あまりお姉ちゃん感がないのもお姉ちゃんと呼ばない理由だったりする。

〉ってか、レインがしっかりしすぎているってのもあるんだけどな
〉確かに
〉普通の赤ちゃんなら何も考えずにフィーシャのことを「お姉ちゃん」と呼んでるぞ
〉つまり、レインにも原因があると
〉しっかりしすぎているのもどうかと思うな、レイン
〉赤ちゃんとしての自覚はあるのか?
〉赤ちゃんの自覚ってwww
〉そんなのがあったらこんなバケモノになってないよwww
〉レインに足らなかったのは赤ちゃんの自覚かwww
〉例えそれがあってもバケモノなのは変わりなさそうwww

 相変わらずの散々な言われようだ。

「では、私は今回の件の確認に行きますので、赤ちゃんはレイン様とシーナに、フィーシャはアルに任せますよ」
「わかりました」
「はい」
「えっ?えっ?」

 戸惑っているフィーシャさんの襟首を掴んでアルさんはどこかに連れて行く気満々で頷いた。

「あい」

 俺も頷くと、ジルベイルさんは笑顔で俺を見てから一礼して部屋を出ていった。

 なので、早速親の後をつけているドローンの映像をオンにした。

《ここは、書斎か》

 まぁ、普段から家にいる時は大体ここにいるのでそうじゃないかとは思ってはいた。

《しかし、かなりニヤけてるな》

〉スゲーニヤニヤしてるな
〉そりゃあ、自分の思い通りにことが進んでるんだからニヤニヤするだろう
〉最低なニヤニヤだな

 そこへドアのノックの音が響いた。

 ニヤニヤしていた親が怪訝そうに扉のほうを見ていると、

「失礼します」

 返事を聞く前に中に入ってきたジルベイルは親の前までやって来た。

「なんの用だ」

 せっかくいい気分だったのに、返事も聞かずに勝手に入ってきたジルベイルさんを親は睨みつけた。

「あの二人の赤ちゃんはどこの子なんですか?」

 前置きなくズバッと切り込むジルベイルさん。

「今はうちの子だ」
「では、どこから連れてきたのですか?」
「なぜそれをお前に話さなければいけない?」
「つまり、私には話せないようなところから連れてきた、というわけですか?」

 引く気のないジルベイルさんはさらに詰め寄った。
 その言葉に親が机を叩きながら立ち上がった。

「ただの使用人風情が私のすることに意見するな!」

 睨み合う両者。

〉イケイケジルベイル!
〉もっと言ってやれジルベイル!

《頑張れジルベイルさん!》

〉負けるなジルベイル!
〉やっちまえジルベイル!
〉もっと噛み付いてやれジルベイル!

 当然のことながら俺達はジルベイルさんを応援している。

「どうしても話すつもりはありませんか?」
「話すつもりは毛頭ない!」
「どうしてもですか?」

 最後通告とばかりにジルベイルさんが聞いたが、親はさらに声を荒らげだした。

「クドい!!!私のやり方が気に入らないというのならこの家から出ていけ!!!」

 さらに睨み合った二人だったが、

「わかりました。失礼します」

 ジルベイルさんが引いて部屋を出ていったので、俺はジルベイルさんのほうへドローンを向かわせた。

〉おい!
〉なんで引く!
〉もっと詰め寄れよ!
〉ジルベイル!
〉でも、表情とかは諦めてはなかったわよ
〉今も手は強く握られているよな
〉つまり、あの親から話を聞き出すことは諦めたけど、反抗する気はまだあるというのとか
〉どうするつもりだろうな

《もしもの時には………》

〉いきなり来たレインの意味深発言!
〉まさかなにかあるのか!?
〉あの親にダメージを与えられる切り札が!
〉どんなネタをもってるんだ!?
〉教えろよ!

《ふふふ》

 リスナー達に教えてもいいのだが、まだ切るかわからない切り札だし、リスナー達の反応も面白いので、ここはあえて意味深な笑みでも浮かべておこう。
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