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相棒はアンドロイド?
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えっと、早速ですが私、100階層もあるダンジョンの目の前に来ています。ほんといきなりなんですが。
それで、100階層もあるダンジョンになぜ私がいるのか説明しますね。
おっとその前に自己紹介。私の名前はマーキュリー・アルグランテ、長いからみんなマアルって呼んでます。よろしくね。
えー、私昔から貧乏な暮らしをしてまして、それで一発逆転なんとかお金持ちになりたい。そう思って色々調べてたんです。
すると優秀な冒険者パーティーに入って魔物とかを倒せば、お金がいっぱい手に入り、しかもそれで感謝もされる…、なんていう素敵なお得情報を手に入れたんですよ。
で、思い立ったが吉日ということで、先日冒険者協会なるものに行ってみたんですが、誰も取り合ってくれなくて。
だれお前?なにができんの?みたいな感じで門前払いされたんです。
まあそうなりますよねー。
でも実際魔法はちょろっと仕えるんですよ。貧乏なりに図書館に通って魔道指南書的なものを読んで覚えましたから。
…が、それは魔導士なら基礎中の基礎、ていうか子供でもできることらしいみたいで。
ガーン…って感じです。
そんなこんなで途方に暮れた私は受付の優しそうなお姉さんにこんなこと聞いてみました。
「どうしたら冒険者パーティーに入れますかね?」
するとお姉さんは、
「うーん、そうですね。あなたは今のところ、目立った実績や実力がないので、現状はパーティーに入るのは難しいでしょう」
「えー、じゃあどうしたらいいんですか?」
「まずは1人で小さな依頼をコツコツこなしましょう。あなたは魔導士ということでしたから、その合間に魔法の練習をしていくのが無難かと」
「ぐへえ」
大正論顔面パンチ。不純な動機で冒険者パーティーに入ろうとした私が悪かったです。
とほほ、がっくり肩を落とした私はお家に帰ろうと思いました。するとこんな話を小耳に挟んだんです。
「おい、聞いたか?ここから西の山奥に、新しいダンジョンが現れたらしいぞ」
「マジかよ、それは冒険者がこぞって挑戦しそうだな。」
「でもよ、聞くところによるとそのダンジョン100階層もあるらしくてよ、まだ攻略した奴はおろか、挑んだやつもいないらしいぞ」
「100階層!?そりゃ無理だわ。そんなのに挑む奴は相当な実力者か相当なアホだな。俺らみたいなのが挑んだら生きて帰れるかすら怪しいぜ」
ほうほう、なるほど。いいことを聞きました。
100階層のダンジョン。これはとんでもなくやばそうですね。ということはこれを攻略してみせることができれば、私は引っ張りだこというわけです。
相当な実力者か相当なアホ?もちろん私は前者でしょう。そうとなれば善は急げです。
「レッツ、行きマアル!」
と、こんな経緯で100階層もあるダンジョンの目の前に来ています。
山奥にあるということでしたけど案外すぐに見つかりましたね。しかも驚くことに、上に伸びてるんじゃ無くて、地下に続いてるんですねこのダンジョン。
なんで100階層ってわかったんですかねー?
まあいいや、でもほんとに周りに人は見当たらないですね。やっぱり挑戦する人はほとんどいないみたいです。
あ、入り口ぽいところの横に看板がありますね。どれどれ、
看板「このダンジョン100階層ありますよー笑。入り口ここから入ってね→」
あらら、これは100階層ありますわ。なんだかゆるいですね。ほんとにやばいダンジョンなんでしょうか。
もしかしたら100階層にビビってみんな挑まないだけで、このダンジョン穴場かもしれないですよ。夢の大金持ち人生も近いですね。
ここから入るんですか。入り口の扉はかなり大きいんですね。ぱっと見、私の3倍くらいの高さはあります。そしてこれは岩でできてるんでしょうか、かたそー。
よいしょっと。うん?
あれ、開かないです。横にスライドさせるタイプかと思ったんですけど、違うんですかね。
よいしょっと。うーん、
開かないですね。押してみたんですけどぴくりともしません。もちろん引いてもみましたけど、そもそも引くための取手がないのでうまく引けませんでした。
「あれー、困っちゃったな?なんで開かないんだろう。もう一回!ぐぬぬー」
だめだー、開きません。目と鼻の先に穴場のダンジョンがあるというのに。どうしたことでしょう。
いやほんとに、困ったなあ。硬すぎませんか?まさか中に入ることすらできないなんて。
「うーーーーーーむ」
そんなこんなで。手を口に当てて悩んでるポーズをとっていると背後から急に
「何をしてるのですか?」
「……はえ!?」
びっくりしたー。急に声かけられちゃったから変な声出ちゃった。ていうか周りに人いないと思ってたんだけど…、いたんだ。
「いや、ちょっとこのダンジョンに挑戦しようと思ってたんですけど。なんだか立て付けが悪いのかな?開かなくて」
「なるほど」
「はい…」
そう言うとマアルに話しかけてきた女性は、下を見つめ黙りこくってしまった。
あれ?どうしたのかな。この人もここのダンジョンに挑戦したかったのでしょうか。それで開かないから悔しいとか?
ていうかそれよりこの人、ものすんごい綺麗ですね。絶世の美女!みたいな言葉が似合いそうです。
背高いし、髪長くて真っ直ぐでサラサラだし。肌も真っ白だから、青い目と水色の髪がとても綺麗に映えますね。羨ましい限りです。
え?私ですか。えー、私はですねー、絶世の美女なんかじゃ無くて、宇宙一の美女ですねー。髪は短いですけど、綺麗な金髪ですよ。
とまあ、だれも聞いてないか。えへへ。
それよりあの人まだ黙ってますね。考えてる横顔がクールです。ちょっと聞いてみますか。
「あのー、なんでこの扉が開かないかってわかったりしますか?」
マアルがそう聞くと、下をずっと見つめていた女性は、顔を上げマアルの方に視線を向けた。
おおぅ、目が綺麗すぎて、ちょっとビビるね。
「さあ?あなた、少しよろしいでしょうか?」
「?よろしいとは…、」
すると女性がマアルの方に近づいてくる。
「はえ?」
何が何だかわからないマアルだったが、一瞬のうちにマアルの手首は掴まれる。
「ああ、なるほど。分かりました」
女性は腑に落ちた、というように目を瞑って一呼吸する。
「わ、分かったって何が分かったんです?」
女性は目を開け、先ほどよりも鋭い視線でマアルを見つめる。そして
「あなた、冒険者ランクは?」
視線を一つもそらさないまま、そう聞いてきた。
「ぼ、冒険者ランクとはなんでしょう?」
つい最近まで、冒険者とかそんなものとは無関係な暮らしをしてましたからね。初めて聞きました。もしかしたら冒険者協会でチラッと聞いたかもだけど。
そんなものがあるんですねー。まあでも100くらいあるんじゃないですか?えへへー。
「知らないのにこんなところにいるんですか。理解できません。ですがこれで開かない理由がはっきりしました。先ほどあなたの能力値も測らせてもらいましたので。」
えっ、さっきのって能力値測ってたんだ。この人何者?もしかして相当すごい?
「ちなみにランクが付いてたとしたら私はどれくらいですか?」
いやもしかしたらさ、100どころか1000くらいあるんじゃないの?可能性は無限なんですよ。
ワクワクしながら聞いてきたマアルに対して、女性の方は表情を一切変えることなく、
「あなたがどんな功績を残してるのかは知らないので、正しい数字は出せませんが、能力値のみで言わせてもらうと、3ですね」
「っさ、さん!……それって凄いの?」
「冒険者を目指す7歳の子供の平均が3です」
「うわあ、私ってば弱すぎ」
まあ、正直知ってましたよ。私の魔法は子供でも使えるらしいですし。ぐぬぬぬ。
まあこれからですよ。みててくださいよ。どこかの誰かさん。
「ちなみに開かない理由はなんだったの?」
「まだわからないのですか?冒険者ランク不足です。ダンジョンというものは基本、それぞれ挑戦するために必要な冒険者ランクが定められているんです」
はー、なるほど。そりゃ私に開けれないわけだ。
女性は辺りを軽く見渡し、再び扉の前に向かいしゃがみ込む。
「そうですね、見た感じこのダンジョンに挑戦するには、冒険者ランク300は必要でしょう」
「さ、さんびゃく!?」
いやいやいや、それはいくらなんでも多すぎません?私の100倍、私の100倍じゃん。大事なことではないけどびっくりしたから二回言っちゃった。
うわー、これはすごいなー。って思ったけど、ちょっと待って。それって具体的にどのくらいなんだろう。案外楽勝だったりしない?しないかなあ。
「ちなみに先月、ある一つの街を襲い、3000人近い死者を出したという、凶悪な魔物の群れがありました」
「は、はあ」
「その魔物の群れを1人で全て倒し、英雄と呼ばれた冒険者のランクが300でした」
「なるほどおぉ」
なんだか思考を読まれた気がする。つまり私には到底無理ってことね。
でもそれならさ、この人も挑戦できないんじゃないの。相当ハードル高いよね、このダンジョン。この人はどういうわけで、ここにいるんだろう。
まだしゃがみ込んだままだし。……てか、まだこの人の名前聞いてないじゃん。忘れてた!聞こう、是非とも聞いとこう!
「あの、あなたのお名前聞いてもいいですか?それと、ここにいる理由もできればぁ、ちょっと…」
いつのまにか下手にでているマアルだったが、女性はスッと立ち上がりこちらにむき返す。
そして数秒沈黙が続く。
なんか気まずいな。
「いやあのー、ですね。あなたがその、とっても綺麗な人だなーって思ったので、ちょっと名前でも知りたいなあって」
あれ、なんかこれナンパみたいじゃね?うーんまあよし!
それから少しして、女性は右手を顎にあて、首を少し傾ける。
「…綺麗な、人?」
その言葉にマアルは目を2、3度パチクリさせた。
あー、この人無自覚系だー。1番タチ悪い奴だー。美人でそれするのはですねー、犯罪なんですよー。
すると、女性はさっきまで顎に置いていた右手を胸の辺りまで下げ、目を細め軽く微笑む。
そして上目遣いでこう言った。
「ワタシの名前はグローリア・ララ。人ではなく、グローリア社の戦闘用アンドロイドです」
………?今なんて言ったの、この人。えーと。
「あ、アンドロイド?それってそれって本当?えーと、ララちゃん?」
「はい、本当です。それとアンドロイドに対しては呼び捨てで結構ですよ」
信じられません。これは、流石に、だってめっちゃ生きてますもん。どこがアンドロイド?確かに、めっちゃ綺麗だし、謎に能力値測れてたけど。
「まじか、」
驚愕するマアルを横目にララは淡々と喋り出す。
「実はこのダンジョン、ワタシのマスターが先に挑戦しているのです。マスターは1人でクリアしてみせるとおっしゃいましたが、しばらくたっても連絡が取れないため、こちらの様子を確認しにきたのです」
おー、これまたまじか。ララちゃんのマスターはランク300もあるんだ。確かに連絡取れなくなっちゃうのは心配だよね。
アンドロイドなのに心配?まあ、いいか。
「そういうことだったんだ。それは大変だね」
「ええ、ですがこれを見るとワタシ達は中に入ることはできなさそうです」
「うーん、そうだね」
何か方法はないかなあ。私もここまできたのに何もせずに帰るっていうのはちょっとイヤですよ。
…ギギギギギ。
「ん?」
「へ?」
扉を開ける方法が無く、お手上げ解散ムードが流れていたそんな時、扉のほうから扉が動いたような鈍い音が聞こえた。
扉の方を見ると確かに扉は動いており、少しずつ開いていく。近くに誰かがいる気配もない。
「え、あいた?なんで?開いたんだけど」
「…なぜ?理解不能」
でも実際扉は開いたのだ。
まさか、私のポテンシャルが認められたとか?やっぱり私は天才だったとか??そうかそうか、やはり選ばれたのは私なのね。綾鷹じゃ無くてね。
「罠?不具合?分かりません」
扉が開いて、よ大喜びするマアルと戸惑うララであったが、
「ねえ、とりあえずさあ、入ろうよ。よく分からないけどさ開いたんだし。マスター探してるんでしょ。」
「あなたもくるのですか?あなたが死ぬ確率は99.9%ですよ」
「おお…絶対死ぬじゃんそれ」
「まあ、弾よけくらいにはなるでしょう」
おーい!弾除けにするなー。
とまあ、そんなこんなで始まりました。100階層もあるダンジョン攻略です。
それで、100階層もあるダンジョンになぜ私がいるのか説明しますね。
おっとその前に自己紹介。私の名前はマーキュリー・アルグランテ、長いからみんなマアルって呼んでます。よろしくね。
えー、私昔から貧乏な暮らしをしてまして、それで一発逆転なんとかお金持ちになりたい。そう思って色々調べてたんです。
すると優秀な冒険者パーティーに入って魔物とかを倒せば、お金がいっぱい手に入り、しかもそれで感謝もされる…、なんていう素敵なお得情報を手に入れたんですよ。
で、思い立ったが吉日ということで、先日冒険者協会なるものに行ってみたんですが、誰も取り合ってくれなくて。
だれお前?なにができんの?みたいな感じで門前払いされたんです。
まあそうなりますよねー。
でも実際魔法はちょろっと仕えるんですよ。貧乏なりに図書館に通って魔道指南書的なものを読んで覚えましたから。
…が、それは魔導士なら基礎中の基礎、ていうか子供でもできることらしいみたいで。
ガーン…って感じです。
そんなこんなで途方に暮れた私は受付の優しそうなお姉さんにこんなこと聞いてみました。
「どうしたら冒険者パーティーに入れますかね?」
するとお姉さんは、
「うーん、そうですね。あなたは今のところ、目立った実績や実力がないので、現状はパーティーに入るのは難しいでしょう」
「えー、じゃあどうしたらいいんですか?」
「まずは1人で小さな依頼をコツコツこなしましょう。あなたは魔導士ということでしたから、その合間に魔法の練習をしていくのが無難かと」
「ぐへえ」
大正論顔面パンチ。不純な動機で冒険者パーティーに入ろうとした私が悪かったです。
とほほ、がっくり肩を落とした私はお家に帰ろうと思いました。するとこんな話を小耳に挟んだんです。
「おい、聞いたか?ここから西の山奥に、新しいダンジョンが現れたらしいぞ」
「マジかよ、それは冒険者がこぞって挑戦しそうだな。」
「でもよ、聞くところによるとそのダンジョン100階層もあるらしくてよ、まだ攻略した奴はおろか、挑んだやつもいないらしいぞ」
「100階層!?そりゃ無理だわ。そんなのに挑む奴は相当な実力者か相当なアホだな。俺らみたいなのが挑んだら生きて帰れるかすら怪しいぜ」
ほうほう、なるほど。いいことを聞きました。
100階層のダンジョン。これはとんでもなくやばそうですね。ということはこれを攻略してみせることができれば、私は引っ張りだこというわけです。
相当な実力者か相当なアホ?もちろん私は前者でしょう。そうとなれば善は急げです。
「レッツ、行きマアル!」
と、こんな経緯で100階層もあるダンジョンの目の前に来ています。
山奥にあるということでしたけど案外すぐに見つかりましたね。しかも驚くことに、上に伸びてるんじゃ無くて、地下に続いてるんですねこのダンジョン。
なんで100階層ってわかったんですかねー?
まあいいや、でもほんとに周りに人は見当たらないですね。やっぱり挑戦する人はほとんどいないみたいです。
あ、入り口ぽいところの横に看板がありますね。どれどれ、
看板「このダンジョン100階層ありますよー笑。入り口ここから入ってね→」
あらら、これは100階層ありますわ。なんだかゆるいですね。ほんとにやばいダンジョンなんでしょうか。
もしかしたら100階層にビビってみんな挑まないだけで、このダンジョン穴場かもしれないですよ。夢の大金持ち人生も近いですね。
ここから入るんですか。入り口の扉はかなり大きいんですね。ぱっと見、私の3倍くらいの高さはあります。そしてこれは岩でできてるんでしょうか、かたそー。
よいしょっと。うん?
あれ、開かないです。横にスライドさせるタイプかと思ったんですけど、違うんですかね。
よいしょっと。うーん、
開かないですね。押してみたんですけどぴくりともしません。もちろん引いてもみましたけど、そもそも引くための取手がないのでうまく引けませんでした。
「あれー、困っちゃったな?なんで開かないんだろう。もう一回!ぐぬぬー」
だめだー、開きません。目と鼻の先に穴場のダンジョンがあるというのに。どうしたことでしょう。
いやほんとに、困ったなあ。硬すぎませんか?まさか中に入ることすらできないなんて。
「うーーーーーーむ」
そんなこんなで。手を口に当てて悩んでるポーズをとっていると背後から急に
「何をしてるのですか?」
「……はえ!?」
びっくりしたー。急に声かけられちゃったから変な声出ちゃった。ていうか周りに人いないと思ってたんだけど…、いたんだ。
「いや、ちょっとこのダンジョンに挑戦しようと思ってたんですけど。なんだか立て付けが悪いのかな?開かなくて」
「なるほど」
「はい…」
そう言うとマアルに話しかけてきた女性は、下を見つめ黙りこくってしまった。
あれ?どうしたのかな。この人もここのダンジョンに挑戦したかったのでしょうか。それで開かないから悔しいとか?
ていうかそれよりこの人、ものすんごい綺麗ですね。絶世の美女!みたいな言葉が似合いそうです。
背高いし、髪長くて真っ直ぐでサラサラだし。肌も真っ白だから、青い目と水色の髪がとても綺麗に映えますね。羨ましい限りです。
え?私ですか。えー、私はですねー、絶世の美女なんかじゃ無くて、宇宙一の美女ですねー。髪は短いですけど、綺麗な金髪ですよ。
とまあ、だれも聞いてないか。えへへ。
それよりあの人まだ黙ってますね。考えてる横顔がクールです。ちょっと聞いてみますか。
「あのー、なんでこの扉が開かないかってわかったりしますか?」
マアルがそう聞くと、下をずっと見つめていた女性は、顔を上げマアルの方に視線を向けた。
おおぅ、目が綺麗すぎて、ちょっとビビるね。
「さあ?あなた、少しよろしいでしょうか?」
「?よろしいとは…、」
すると女性がマアルの方に近づいてくる。
「はえ?」
何が何だかわからないマアルだったが、一瞬のうちにマアルの手首は掴まれる。
「ああ、なるほど。分かりました」
女性は腑に落ちた、というように目を瞑って一呼吸する。
「わ、分かったって何が分かったんです?」
女性は目を開け、先ほどよりも鋭い視線でマアルを見つめる。そして
「あなた、冒険者ランクは?」
視線を一つもそらさないまま、そう聞いてきた。
「ぼ、冒険者ランクとはなんでしょう?」
つい最近まで、冒険者とかそんなものとは無関係な暮らしをしてましたからね。初めて聞きました。もしかしたら冒険者協会でチラッと聞いたかもだけど。
そんなものがあるんですねー。まあでも100くらいあるんじゃないですか?えへへー。
「知らないのにこんなところにいるんですか。理解できません。ですがこれで開かない理由がはっきりしました。先ほどあなたの能力値も測らせてもらいましたので。」
えっ、さっきのって能力値測ってたんだ。この人何者?もしかして相当すごい?
「ちなみにランクが付いてたとしたら私はどれくらいですか?」
いやもしかしたらさ、100どころか1000くらいあるんじゃないの?可能性は無限なんですよ。
ワクワクしながら聞いてきたマアルに対して、女性の方は表情を一切変えることなく、
「あなたがどんな功績を残してるのかは知らないので、正しい数字は出せませんが、能力値のみで言わせてもらうと、3ですね」
「っさ、さん!……それって凄いの?」
「冒険者を目指す7歳の子供の平均が3です」
「うわあ、私ってば弱すぎ」
まあ、正直知ってましたよ。私の魔法は子供でも使えるらしいですし。ぐぬぬぬ。
まあこれからですよ。みててくださいよ。どこかの誰かさん。
「ちなみに開かない理由はなんだったの?」
「まだわからないのですか?冒険者ランク不足です。ダンジョンというものは基本、それぞれ挑戦するために必要な冒険者ランクが定められているんです」
はー、なるほど。そりゃ私に開けれないわけだ。
女性は辺りを軽く見渡し、再び扉の前に向かいしゃがみ込む。
「そうですね、見た感じこのダンジョンに挑戦するには、冒険者ランク300は必要でしょう」
「さ、さんびゃく!?」
いやいやいや、それはいくらなんでも多すぎません?私の100倍、私の100倍じゃん。大事なことではないけどびっくりしたから二回言っちゃった。
うわー、これはすごいなー。って思ったけど、ちょっと待って。それって具体的にどのくらいなんだろう。案外楽勝だったりしない?しないかなあ。
「ちなみに先月、ある一つの街を襲い、3000人近い死者を出したという、凶悪な魔物の群れがありました」
「は、はあ」
「その魔物の群れを1人で全て倒し、英雄と呼ばれた冒険者のランクが300でした」
「なるほどおぉ」
なんだか思考を読まれた気がする。つまり私には到底無理ってことね。
でもそれならさ、この人も挑戦できないんじゃないの。相当ハードル高いよね、このダンジョン。この人はどういうわけで、ここにいるんだろう。
まだしゃがみ込んだままだし。……てか、まだこの人の名前聞いてないじゃん。忘れてた!聞こう、是非とも聞いとこう!
「あの、あなたのお名前聞いてもいいですか?それと、ここにいる理由もできればぁ、ちょっと…」
いつのまにか下手にでているマアルだったが、女性はスッと立ち上がりこちらにむき返す。
そして数秒沈黙が続く。
なんか気まずいな。
「いやあのー、ですね。あなたがその、とっても綺麗な人だなーって思ったので、ちょっと名前でも知りたいなあって」
あれ、なんかこれナンパみたいじゃね?うーんまあよし!
それから少しして、女性は右手を顎にあて、首を少し傾ける。
「…綺麗な、人?」
その言葉にマアルは目を2、3度パチクリさせた。
あー、この人無自覚系だー。1番タチ悪い奴だー。美人でそれするのはですねー、犯罪なんですよー。
すると、女性はさっきまで顎に置いていた右手を胸の辺りまで下げ、目を細め軽く微笑む。
そして上目遣いでこう言った。
「ワタシの名前はグローリア・ララ。人ではなく、グローリア社の戦闘用アンドロイドです」
………?今なんて言ったの、この人。えーと。
「あ、アンドロイド?それってそれって本当?えーと、ララちゃん?」
「はい、本当です。それとアンドロイドに対しては呼び捨てで結構ですよ」
信じられません。これは、流石に、だってめっちゃ生きてますもん。どこがアンドロイド?確かに、めっちゃ綺麗だし、謎に能力値測れてたけど。
「まじか、」
驚愕するマアルを横目にララは淡々と喋り出す。
「実はこのダンジョン、ワタシのマスターが先に挑戦しているのです。マスターは1人でクリアしてみせるとおっしゃいましたが、しばらくたっても連絡が取れないため、こちらの様子を確認しにきたのです」
おー、これまたまじか。ララちゃんのマスターはランク300もあるんだ。確かに連絡取れなくなっちゃうのは心配だよね。
アンドロイドなのに心配?まあ、いいか。
「そういうことだったんだ。それは大変だね」
「ええ、ですがこれを見るとワタシ達は中に入ることはできなさそうです」
「うーん、そうだね」
何か方法はないかなあ。私もここまできたのに何もせずに帰るっていうのはちょっとイヤですよ。
…ギギギギギ。
「ん?」
「へ?」
扉を開ける方法が無く、お手上げ解散ムードが流れていたそんな時、扉のほうから扉が動いたような鈍い音が聞こえた。
扉の方を見ると確かに扉は動いており、少しずつ開いていく。近くに誰かがいる気配もない。
「え、あいた?なんで?開いたんだけど」
「…なぜ?理解不能」
でも実際扉は開いたのだ。
まさか、私のポテンシャルが認められたとか?やっぱり私は天才だったとか??そうかそうか、やはり選ばれたのは私なのね。綾鷹じゃ無くてね。
「罠?不具合?分かりません」
扉が開いて、よ大喜びするマアルと戸惑うララであったが、
「ねえ、とりあえずさあ、入ろうよ。よく分からないけどさ開いたんだし。マスター探してるんでしょ。」
「あなたもくるのですか?あなたが死ぬ確率は99.9%ですよ」
「おお…絶対死ぬじゃんそれ」
「まあ、弾よけくらいにはなるでしょう」
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とまあ、そんなこんなで始まりました。100階層もあるダンジョン攻略です。
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