虹色の夏

アオト★★

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第九話 「幼馴染」

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―虹色の夏―

第九話 「幼馴染」



「隼人!!!」わたしは隼人の所に行った

「要!」隼人がバツの悪そうな顔をしてわたしをみた

七海もカイもわたしの後ろで隼人と隼人の隣の女を交互に見ている

「隼人、誰よ!この女!!」わたしは隼人の隣の女に向かって指を差した

「隼人、誰?」そう言ってこちらを凝視するその女は眼鏡をかけて

黒い浴衣を着ていた。

「あー、こいつらは俺の大学の仲間、七海、要、カイだよ。」

隼人はそういってわたしたちをその女に紹介した

「それで、こっちは俺の幼馴染、羽田優里」、隼人はそれだけ言った

わたしが隼人に文句を言おうとした時にそれに気が付いた七海が

「そ、そうなのね、えっと羽田さんね、私、杉本七海よ

隼人とは大学で同じ心理学部なの。宜しく」そう言った。



「ええ、宜しく・・。ねえ、隼人もういいでしょ

早く花火の席取らないと混雑してきたし、早く行こう?」

その女優里は隼人に寄り添い、隼人の半袖をひっぱってその場から

立ち去ろうとした。

「ちょっと、待ちなさいよ!!」わたしは大きな声をあげて隼人の腕をひっぱった

「ちょっと!離れなさいよ!」「あなたこそ。隼人から離れてよ!!」

ぐいぐいと互いに隼人の服と腕をひっぱっていた

「ちょっと、要、みんなみてるよ!!」七海がわたしを抑えた

カイも手伝って隼人からわたしを引き離す

「隼人、行こうよ。ほら早く」「あ、ああ」

優里は隼人の腕に両手を回してその場から去って行った

わたしは「隼人!!なんで行くのよ!!馬鹿!!」

そう大きな声で叫んだけど隼人は一瞬こちらを見ただけで優里と一緒に

いなくなってしまった

わたしは茫然とその場に立ち尽くしていた

「要、大丈夫?顔色悪いよ。そろそろ花火始まるけどどうする?」

七海が心配そうにこちらを見ている

カイも「おい、七海そろそろ行こうぜ」と言って七海の肩を叩いた

わたしはどうしたらいいのかわからなくなりショックを受けた

その後、わたしたちは花火を遠くから少しみて帰ることにした

わたしはとても花火大会を楽しむ気分じゃなかった

優里か・・なんなの、あの女・・。

幼馴染とか言ってたけど隼人も隼人だよ

わたしは泣きそうになった。そんなわたしを見かねた七海が

「今日は私のアパートに泊まりなよ、話を聞くからさ」

そういってくれた。



四人で楽しむはずの花火大会は隼人のせいで最悪の思い出になった

わたしはすごく悲しくて七海のアパートについてもショックが大きくて

悲しくて泣いていた

七海は優しくしてくれたけど、隼人への怒りや悲しみはずっと癒えなかった



隼人のバカヤロー!!隼人なんか大嫌い

わたしは心の中でずっと隼人と隼人の幼馴染優里のことが頭から離れなかった

翌日からわたしは一週間大学を休んだ

隼人とは花火大会以来話してはいない。ラインも来ないし。本当に最悪

隼人の事が本当に好きだから優里の事はただの幼馴染だと信じたいけど

なかなか何も隼人に聞けずにいた



つづく











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