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後日談
無明の鐘 3
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この件に関しては、忠雅の読みが甘かったと言わざるえない。結局、菊乃が清水家の正室として認められる日はやって来なかった。
祝言の翌年には息子が生まれ、武家の妻としての最大の勤めを早々に果たしてくれたにも係らず、父は毎年のように忠雅の縁談を画策し、忠雅は何度となくその話を握りつぶした。息子が七歳を過ぎたころになってようやく諦めたのかと思えば、それは単に明野領内において、娘を忠雅に嫁がせてもよいと言う家がなくなっただけのことだったらしい。
その頃には忠雅にも娘が生まれていたので、その気持ちはとてもよくわかる。例え両家に認められていなくとも、妻として寝起きを共にし、息子だけでなく可愛い娘までいる。そんなところに割り込んだところでどちらが妾扱いされるかは火を見るより明らかだし、妾扱いどころか見向きもされない可能性が高い。まともな心を持った親であれば、娘をそんな家にやりたくないに決まっている。
明野領主・武智行久が妻帯せぬまま亡くなって、紆余曲折の末に明野領が生野藩に帰属することになった時、忠雅は生野藩明野領の初代領主となった。もちろん、跡取りは菊乃が産んだ息子・忠清である。気が優しいだけが取り柄のような息子で、これで果たして領主が務まるだろうか……とかなり本気で心配していたのだが、世の中とはよくできたもので、息子の欠けたところを補ってあまりある最高の嫁が来た。息子とは真逆に気が強くて負けず嫌いで、これで他家の嫁が務まるだろうか……とこれまた本気で心配していた娘は、理解のある夫と巡り合い、立派な武家の妻女となって一家を切り盛りしている。若い頃、子孫繁栄など糞くらえと本気で考えていた忠雅は孫に囲まれ、その孫たちが伴侶を得て、血脈が子々孫々と続いていきそうな気配がしていた。
――妻が死病に倒れたのは、そんな矢先のことだった。
祝言の翌年には息子が生まれ、武家の妻としての最大の勤めを早々に果たしてくれたにも係らず、父は毎年のように忠雅の縁談を画策し、忠雅は何度となくその話を握りつぶした。息子が七歳を過ぎたころになってようやく諦めたのかと思えば、それは単に明野領内において、娘を忠雅に嫁がせてもよいと言う家がなくなっただけのことだったらしい。
その頃には忠雅にも娘が生まれていたので、その気持ちはとてもよくわかる。例え両家に認められていなくとも、妻として寝起きを共にし、息子だけでなく可愛い娘までいる。そんなところに割り込んだところでどちらが妾扱いされるかは火を見るより明らかだし、妾扱いどころか見向きもされない可能性が高い。まともな心を持った親であれば、娘をそんな家にやりたくないに決まっている。
明野領主・武智行久が妻帯せぬまま亡くなって、紆余曲折の末に明野領が生野藩に帰属することになった時、忠雅は生野藩明野領の初代領主となった。もちろん、跡取りは菊乃が産んだ息子・忠清である。気が優しいだけが取り柄のような息子で、これで果たして領主が務まるだろうか……とかなり本気で心配していたのだが、世の中とはよくできたもので、息子の欠けたところを補ってあまりある最高の嫁が来た。息子とは真逆に気が強くて負けず嫌いで、これで他家の嫁が務まるだろうか……とこれまた本気で心配していた娘は、理解のある夫と巡り合い、立派な武家の妻女となって一家を切り盛りしている。若い頃、子孫繁栄など糞くらえと本気で考えていた忠雅は孫に囲まれ、その孫たちが伴侶を得て、血脈が子々孫々と続いていきそうな気配がしていた。
――妻が死病に倒れたのは、そんな矢先のことだった。
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