俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬

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魔法対抗試合編

第二十六話 : 二つの景色

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薄暗く息苦しかったこの場所に、光が差し込み、新鮮な風が頬を撫でる。

⋯⋯ん?あれ、どういうことだ?
え、今アレクどこから来た?後ろから急に割れる音が聞こえて、振り向いたらアレクがそこに居た。剣を無造作に振りかざすと同時に、ガラスが次々に砕ける音がして、光が入って明るくなって、そして人の声がして⋯⋯って、え、人の声⋯!!?

アレクと目が合うと同時に、彼の元へ、目の前の男から逃げるように駆け寄った俺は、アレクが剣を振りかざした所へ視線を向けた。
太陽に照らされた一帯は、人々の声が飛び交い、酒を飲み、友人と話す人々で賑わっていた。

見ていた景色と全く違うこの光景に、俺は開いた口が塞がらなかった。
どういうことだ、と少し離れて再度、元いた場所を見る。すると俺達が座っていた場所を中心に、半球状の薄い層が張られていることに気がついた。

もしかして俺は、ずっと薄い層で覆われていたのか!?鬼先生効果で周りの生徒を威圧し移動させ、この層が俺達のみを覆うように、最初から設計していたのか⋯?
いや、でもその内容は、これは何の層なんなんだ?

「こんなに早く気づかれるとは思ってなかったな」

アレクによって層の半分が崩れ去る中、層の中で両手を上げ、降伏の意を示したイチがケロッとした顔で目の前の騎士に言葉を投げかけた。
剣を振り、付いた破片を払い落としながらアレクが言う。

「⋯⋯この人に何をしようとした、003ゼロゼロサン。」

普段の父さんに向ける怒りとは違い、冷たく、思わずゾッとし身を固めるような、そんな激怒オーラを放つアレク。彼のこんな姿を見るのは久しぶりだな。

「久しぶりだね、アレク。君が相手なら俺は出直すべきだね。はぁ、あともう少しで手に入る所だったのに。あいつらを使ったのは失敗だったかな、大人しく奴隷商にでも引き渡したら良かったよ」

まるでアレクと親しい友人のように話すイチは、あっさりと今回は断念することを決めた。
そうして服をピシッと整え、立ち去ろうとしたイチを当然アレクが見過ごすわけもなく。

「止まれ、お前はこの場で私が捕まえる」

「君のその威勢がいい所は気に入ってるけど、今、俺を捕まえられないのは君が一番分かってるんじゃないの」

剣を構え、斬りかかったアレクに対し、イチはそう言うと同時に簡単にそれを避ける。
そして風の力なのか一瞬でアレクの後ろにいた俺の元へ距離を詰めてきた。

俺の手を取り優しく握った彼は、

「安心して。アレクは確かに好きだけど、それはあくまで好敵手という意味だ。レイくん、俺の愛は君のものだからね」

と意味不明な言動を残すと共に、俺の右手の甲にチュッ、と甘いキスをした。
それを見ていたアレクが見たことのない顔でこちらへやって来るのに気づいたイチは、自身の身体を浮かし、アレクの攻撃を避ける。

「最後に言っとくけど、レイくん。君は俺が時間停止魔法を使ってると思ってたけど、そんなの。きっと君ならすぐにトリックに気づけるよ。じゃあ、また会おうね」

そうして言葉を返す時間も残さず、イチは風と共に俺らの前から姿を消した。追いかけようとしても時すでに遅く、アレクは悔しそうに剣を鞘へと戻した。
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