俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬

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夏休み編 ー東の街カルディナー

第三十五話 : 裏路地

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「いやぁ、買いたい本も買えたし満足満足」

魔導書を買い終わった俺は、集合場所への道を歩いていた。たまに、美味しそうなものを見つけたらその場で買って食べたり、また、呪具を見つけたら研究材料にできるかと考えたりとしているうちに、あっという間に馬車へと着いてしまった俺は、ロイの事を考えつつ二人の帰りを馬車の中で待っていた。

「薬については、まずは図書館である程度知ってからにしよう」

そうして買った魔導書を読んでいた俺は、魔導書のページをめくるにつれ徐々に違和感を覚えるようになった。

⋯あれ、二人とも遅くないか?もう集合時間はとっくに過ぎてるはずだけど⋯⋯

またしても嫌な予感が頭をよぎる。二人とも、あまり時間を守らないタイプじゃないはずなんだが。御者の人に二人を探しに行く事を伝えた後、俺は馬車から出て二人を探しに走った。早く帰りたい気持ちと二人を心配する気持ちとを抱えながら、人通りの多い街を駆け巡る。
ふと、俺は家々の隙間である黒い路地裏へ視線を奪われた。足を止め、じっと暗闇を見つめる。それは、ダレンの言っていた事件の“裏路地”へと続くものだった。

いや、流石にいるわけないか。特にダレンに関しては、危険な事を一番分かってるはずだし⋯⋯

そう思っても中々離すことができない視線を、ようやく離した俺は、この一瞬の間に見た出来事に唖然とした。
一瞬、ほんの一瞬だったが、確かに団服を着た人が誰かに引きずられているのが見えた。
俺はすぐに凝視していた道を駆け抜けた。見間違いかもしれない、だが確認せずには居られなかった。
思えばとても冷静ではなかったその行動は、すぐに後悔を生むことになった。

「ダ、ダレン⋯セリウス⋯⋯?」

裏路地は、想像していた通りのジメジメした所だった。暗く、壁沿いにネズミが走っているのが見える。
地面に薄汚れた布をひいた何人もの人間が、じっと見つめてくる恐怖も、二人を探すという目標の中ではあまり気にならなかった。
幸い、高級なものを身に着けてなかったため周りの人間も見るだけだったが、それでも襲いかかってくる人はいた。そんな相手には、鞄の中から魔法式を取り出し対応した。

しかし、いくら探しても先程見かけた団服の人物は見当たらない。二人じゃない可能性も十分あるが、団服を着てる時点で団員の割合が高い。家族同然の騎士団の人を見過ごすことは出来ない。
俺は周りに人が居ないのを確認すると、鞄の中から一つの魔法陣を取り出した。

探知魔法――対象者の物が少しでも付着したものを代償に、対象者の位置がわかるという優れものだ。改良に改良を重ね、少量の物質でも対応できるようにして正解だった。
俺は自分の肩に掛けられた、団服に用いられている貴重な素材が使われた鞄のほつれた部分に手を伸ばした。そして少量の糸を手に、魔法陣の中心に置く。
魔法陣はすぐに青白い光を放つようになった。探知魔法では、この青白い光の濃さを元に対象者を見つけ出す。濃いと近くに、薄いと遠くにいる。今出している光はその中間くらいだった。つまり、この近くに団服を着た人物がいるという事が確定したわけだ。

俺は魔法陣が放つ光を元に、裏路地を再び歩き始めた。光が珍しいのか、前よりも目立つようになったのだが、普通の光でないことに気づいたのか襲われることは無かった。

あ、光が濃くなった。ということはここら辺にいるのか。どうだろう、ダレンとセリウス、それとも他の団員⋯⋯別行動してたから全く見当がつかない。

引きずっていた人物が居ることを踏んで、光を放つ魔法陣を羽織っていた服の懐へ忍ばせる。
時々視線を落として濃さを確認しつつ、壁を這うように歩いていた俺は、とある角を境に、魔法陣に消滅用の魔法式を被せた。
壁に耳を立て、微かな音も聞き逃さないよう集中する。
心臓は早くなり、呼吸が荒くなる。が、決してバレてはいけない。きっとこの先に、団員と、そして団員を引きずっていた人物がいるのだから。

どんな人物だろうか、団員を倒せるってことは結構強いんだろうけど。そもそも引きずってたのは一人だったけど、もしかしたら複数の場合もあるのか。
独身貴族じゃない事から、ダレンの言っていた連続殺人の犯人ではないと思う。それに今まで団員が居なくなったと聞いたこともないから、今回が初の犯行、もしくは初の団員を狙った犯行なのか。
やっぱり一度戻ったほうが、いやでもそしたらこの団員は―――

「誰ですか」

突如聞こえたその声に体が急速に強張る。荒くなる息を抑え、肩紐を力強く握った。
しかし居ないふりをするも通じず、こちらにくる足跡は徐々に大きくなっていった。
逃げるか戦うかの瀬戸際に立たされた俺は、あまり回ってくれない頭を必死に使うももう逃げる時間すらのこってはいなかった。

「やっぱり、ここにいたんだ」

鞄に手を突っ込んだ俺は、対人用の魔法式の紙を複数取り出し、すぐに臨戦態勢に入った。毛を逆撫でた猫のように警戒するも、目の前に立っている人物を前に、その警戒心はすぐに弱まっていった。

「りゅ、リュウ⋯?」

そこに立っていたのは、先程薬屋で別れを告げた一人の青年だった。
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