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エピローグ1
きっと、ここは……
しおりを挟む―あーあ、ちょっと甘やかし過ぎちゃったかな。
私は既に誰もいなくなった崖付近にある魔法陣痕の上に立ち、崖の下を覗き込む。当然、底なんて見える筈もなく、深い闇はどこまででも続いている。
だが不思議なものだ。ここを飛び降りてしまえば、こことは違う別世界、いわゆる『異世界』が待っているのだから。
でもそれは『選ばれた者』だけ。
もしそれ以外の人が飛び降りた場合、ここはただの崖に成り果て、命はない。
過去に、ここの噂を聞き付けた馬鹿な人達が飛び降り、運が無かったのだろう、無駄に命を散らしてしまった。それが何件も続く時代があり、一時期では自殺スポットなんて呼ばれて恐れられていた時もあった。
その近くで林間学校に来ていたなんて、これを聞いたら皆、どう思うのかな?
そうやって、かく言う私は『選ばれた者』ではないため、ここでこうやって眺めることしか出来ないのだが―
私の本来の目的。それは、あの女の妨害をする事。
百年に一度のワープポイントを開けるのは今や彼女だけであり、その魔法を途中で中断させることになれば、あと百年は使えなくなり、任務は永遠に遂行できないと考えていい。
それでいざ来てみれば、予想外の出来事が起こっていた。なんと『園山裕璃谷』がその場にいて、しかもあの女と一緒に崖下に落ちて行くではないか。
流石に予想外の事態だったが、結果的には私の任務は一先ず完了と言える。手間が省けたというやつだ。
一応、園山裕璃谷の生態反応を崖の下で感知できる限り、どうやら彼は『選ばれた者』であったよう。
つまり、あちら側の世界にいるということ。
「……でも、ごめんね?」
私にはやるべきことがまだまだ残っている。
自分からあちらへ行くことはできなくとも、外部からはいくらでも危害を加えることができる。
「教団の人、喜んでくれたかな?…ま、ここからどう動くかが見ものだけど……」
崖の真下へ囁きながら完全に魔法陣を足で掻き消す。
―今日は疲れちゃったな。色々と、ね……
『日比野梨子』は、幼なじみから貰った髪止めを崖に放り投げた。
了
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