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2章
3話 きっととある馬鹿は恐れを知らず
しおりを挟むあれからなんだかんだあり、無事シュバリエさんを含めた入隊希望者三人が面接に合格した。
晴れて俺達の仲間ということになったわけだが-
「あのねえ、リーダーはこの私に決まってるでしょ!入隊面接試験の立案者は私なんだから!」
「そんなの関係ないですわ!王女である私がここに入ったからには、私がリーダーを務めさせていただきます!」
「ぬぬぬ……!」
「むむむ……!」
サマラクトの中央に位置する噴水の前、早速問題が発生していた。
内容は聞いての通り、カトレアかコエル、どちらがこの部隊のリーダーをやるかどうかという問題。
俺としてはかなりどちらでもよく、自分と同じ考えであるミーナとシュバリエさんとで少し離れたベンチで静観している。
「あらあら~あの二人、早速仲が良いわね~」
「そう、ですかね……?」
微笑ましい顔で二人を見つめているシュバリエさんに俺は首を傾げた。
かなり天然な部分を持ち合わせるシュバリエさんは、俺より三歳年上の二十歳。見た目に違わない相応の年齢だが、内面の性格を知ると実年齢より若く見えてしまう。それでもやっぱり胸の膨らみは嘘をつかない……いや違う。
それはそうと、俺の隣で行儀良く腰掛けるミーナがさっきから気掛かりである。
彼女は問題が発生する序盤からずっと、主人に加勢せず、しかも一言も発さずにぼーっとしている。
「…ミーナ、大丈夫か?」
「は、はひゃい!なんでしょうか!?」
仕事上癖になってるのかも知れないが、同い年の彼女は俺にも敬語を使ってくる。
なんだかこそばゆいので「タメ語で大丈夫」だと言ったが、「これが性に合ってますので」と言われた。こう言われては了承するしかない。
心配した俺が話し掛けると、ミーナは一度肩をビクッと震わせ、俺とは正反対の方向に返事を返した。
「えっと…そっちに俺居ないんだけど」
「え、あ、す、すみません!」
そう謝りながら振り向いたのはベンチの真後ろ。壁。
「んと……ごめん。そっちにも居ない」
「あ、あああ!すみません!こっちでした!」
「………」
振り向いた方向に俺はやっぱり不在で、替わりに快晴の青空が広がっていた。
俺はつっこみの時過ぎで、声だけの存在になってしまったんじゃないかと、自分の身体を触って確認してる最中、ミーナが上を向いたまま口を開いた。
「ほ、本当にすみません…あたし、方向音痴で……」
「はは…」
方向音痴ってこういう意味だったっけ?
もう埒が明きそうにないので、俺は本題を持ち込む。
「あのさミーナ、コエルの応援しなくて平気なのか?またなんか言われたりするんじゃ…」
「い、いえ!とんでもないです!正に、言われたからです!」
「…と言うと?」
俺はミーナの応えに説明を求めるべく、先を促す。
「え、えーと、「これは私の闘い!ミーナは手を出すんじゃありませんわ!」と、お嬢様が…仰って……」
「ああ…なんか納得」
面接の時からのやり取りを見てると、コエルの性格はカトレアとどこか似たり寄ったりなところがある。だからカードとかで盛り上がれるし、ああいう風な争い事が起こるのかも知れない。
因みに、コエルは普通に接し、呼び捨てで呼び、タメ口でいいと自ら言っていたので、言葉遣いとかで殺される心配は無くなった。
でも、やっぱりお姫様には変わりはない。扱いには気を付けないと…。
「この…!わからずやー!必殺!カトレアビーム!水タイプ!」
「冷たっ!」
「思ってる側からかよ!」
なにやってんだよあいつ!ビームを撃っていい相手と撃っちゃ駄目な相手ぐらい見極めろよ!いやビームじゃないけども!
カトレアは噴水に溜まってた水を手で掬ってコエルにかけるという、またもやビームとはほど遠い必殺技を繰り出しやがった。
少量の水がコエルの前髪から滴り、身体はわなわなと震えている。まずい。
「カトレア謝れ!今なら多分間に合う!」
「は?なんで私が謝るのよ。あんたが謝れ、ていうか自害しろ」
「いやしねーよ!相手お姫様なんだよ!考えろよ馬鹿!」
「馬鹿はあんたでしょ?お姫様だから~とかなんとか言ってたら、この先やって行けないわ」
「その通りですわ……」
「…え?」
コエルの肯定の言葉に耳を疑う俺。
彼女はカトレアにキッと睨みつけたかと思うと、なにかの構えをとった。
「私が世間知らずのお嬢様だからって、舐めてもらっては困りますわ……」
「やる気…?いいわ、受けて立つ!」
おいおい、なんだこの展開は。まさか戦闘が始まったりとかしないよな?
「後悔しても遅いですわよ!必殺!幻想壊しアアア!」
「負けるか!必殺!単方向アアア!」
今度は砂の掛け合いが始まった。
「あらあら~やっぱり仲が良いわね~」
「そう、ですね……」
俺は苦笑しつつ、誰か止めてくれ…と願った次の瞬間、ミーナが一つの提案を降した。
「あ、あの、ステータスの結果でリーダーを決めるのは、い、如何でしょう?」
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