ブルーピーシーズ

弧川ふき@ひのかみゆみ

文字の大きさ
10 / 158
第1章 始まりの受難

04-2 組織の施設

しおりを挟む
 次の地下七階は、階段から見て右手に第一会議室と第二会議室、前には事件資料室と情報管理室、左手にはコンピュータ機材倉庫と施設備品倉庫、振り返った時の階段の右には調査用具室、左には第二給湯室となっている。
 そして地下八階。
 来て驚いた。
 目の前の広いスペースに、かなりの数の木がある。
 広間は庭園風。鮮やかな芝生やベンチ、流れる水、小さな橋、生垣……。人工の木かと思った。触ってみたら本物そっくりの質感――いや本物だ、これ。

 どうやら土を深くまで置いていて水もやっているんだろう。周りに水が流れているから、そこまで難しいことでもないのかな。ただ、光の当て方はかなり研究されてる……? そんな感じだ。

 そんな地下八階には、階段を背にした状態で言うと、右手に二部屋分の大きさの食堂、前には食材貯蔵庫と食器倉庫、左手には大きな栽培ルームがあるらしい。振り返って階段の右に見えるのは土質・地質研究室で、左に見えるのは、掃除用具室。プレートにそう書かれてる。

 中央の木の方を向いている僕に体ごと向いて、檀野だんのさんが言った。
「ここの下の階は多目的倉庫。その下からはほぼ居住施設だ。そこは君とは関係ないから見て覚えなくていい」
「居住施設? 仲間のための、ですか?」
「まあ、そうだな。一生この組織の一員で居続けると誓った人達のための、安心のための施設。実際には死んだことになってる人なんかが、ここに住んでる、念のため顔を変えた状態でね」
「そっか、そういう人なら地上に住むのも難しいし。……もし外に出ることがあっても、怪しまれたら組織が潰れ兼ねない……?」
「大体そういうことだな。ま、あるやり方をすればできなくはないんだが……色々と面倒なことを背負うことになるからな。ちなみに俺は引き抜かれただけで、外に住んでるけど行き来できる、というようにしてもらってはいる」
「色んなパターンがあるんですね」
「そう。で、色々あると言えば……」

 檀野さんはそこで、くふ、と笑った。
 え、何、と僕は思ってしまった。心して聞く。

「一番やばいのが、病原体研究室って言ってね。この下の居住施設よりもさらに下にあるんだよ。そこはな、何か重度の細菌やウイルスの拡散の危険があった場合に、すぐに閉じ切って上階の者に感染させないようにするために一番下の部屋になってるんだ、しかも密閉装置も完全配備」

 壇野さんが、驚け~っていう感じで言うのもあって、凄く危なそうに感じちゃったんだけど……。

「ええ? なんでそんな部屋がそもそも一緒くたにここの一番下に……」
「ふっ、吃驚びっくりするよな。でもまあ、そりゃあ、オーパーツとも関係してたら厄介だからだよ。こうすることで一か所でまとめて秘密を守れる」
 しばらく考えた。なんでそれで病原体研究室をそこに、って。
 考えてから――
「ああ、そっか」
 と、やっと返事ができた。
 納得に時間が掛かったのは、最初に『それってまずいんじゃ』と思ったからだ。だって、誰かにバレて何かあった時、被害が何倍にもなりそうだし。でも、多分凄く秘密保持に自信があるんだろうな。もしくは場所を移せばいいだけ? そういう判断かも。それならまあ――と思うに至ったからこその「ああ、そっか」だった。
「え、でも待って、てことは、そのオーパーツって――」
「ま、詳しい話はあとでな、正確に話をしてくれる人がいるから」
 言われて、確かめるのは後回しということになった。

 オーパーツ……。
 そう言えば、それってどんな形をしてるんだろう。何由来のものなのか……。僕がマギウトっていう名前の超能力を使えるくらいだ、それも佐倉守さくらもり一族が伝え、守っている力――。こんなのありえないと思ってた。それほどのことだ。何があっても不思議じゃない。

「というワケで、一通りの部屋紹介は済んだ、少し戻るぞ」
 戻るためついて行きながら、聞いてみた。
「それで、僕はここでは、練習場でマギウトを学べばいいんですよね?」
「まあそうだな。でもまずは、第一給湯室で、ある人と話をする」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...