桜の涙

黒咲ゆかり

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恋は花開く。

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「咲友美さん~!
桜見つかったって。」

「よかったぁー。」

「でも2人きりみたいだから
そっとしておいてあげますか。」

「そうだね。そういえば、うさぎくんって何人兄妹なの?」

「うーんと、上に姉が一人いて、俺が次男で、三女が結衣、四女は…前話した通りだよ。」

「あ…なんかごめんね。」 

「いや、大丈夫です。咲友美さんは?」

「私は…、お父さんと2人暮らし。お母さんとは離婚しちゃって、全く違う家に住んでるよ。」

「あ…俺もなんかごめん。」

「謝らないで、ただ、お母さんとお父さんの仲が悪かっただけで、私は二人共大好きで、二人共私に優しくしてくれてるから
…。」

「そうなんですか。」

「私が小さい頃はとっても仲がよかったのに、
いつの間にか二人共仲が悪くなってた。
私がそれに気づいて二人の距離をもっと上手に
保てばよかった…。でも、何もできなかったの。
ううん。本当は気づいてたけど、何もしなかったんだ。自分も二人に拒絶されたらどうしようって。私の心が弱すぎたんだよ……あっ、えっと、なんか暗い話になっちゃって、ごめんね。」

「咲友美さんは弱くなんてありませんよ!
だって、今その事を考えて、自分が悪いって自分のことを認められてるじゃないですか。
自分を責めることはいい事じゃないけど、本当の心の弱い人は逃げてばかりで。反省なんて…できません…。」

俺は目頭が熱くなるのが分かって、顔をふせた。

「うさぎくん…。」

「今あんま…見ないで下さい。」

「うさぎくん…。ありがとう。」

「うっうぅ…。」
 
「ん?あれ…なんか今胸がキューってなったような?」

「へ!?」

「あはっ、なんだろねっ」

顔が熱い。もしかしたら、この恋は実るかもしれない。

バンッと音をたてて大きな花が華麗に咲いた。
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