寂しい刺身「い」

超絶ラビリンスコーヒースライム隊長Lv3

文字の大きさ
1 / 1

寂しい刺身「い」

しおりを挟む
 新鮮な魚を使った料理店をオープンした店主。
 しかし、場所が悪いのか店の雰囲気が悪いのか、それとも接客が悪いのか、客は殆どやって来なかった。
「寂しい」 
 店主はふと呟いた。店主は人と接している時が一番好きだったのだ。人が来ないお店は店主にとって懐具合も含めて寂しいものだった。
「せっかく仕入れた鮮魚も無駄になってしまう」 
 店主は趣味の一つである創作習字がふと頭に思い浮かんだ。それはひらがなを文字として読める範囲で少しスタイリッシュでオシャレに、あるいは芸術風に習字で文字を描くというものである。
 店主は刺身用としてあった廃棄食材を使ってそれを皿に盛り付けてみる事にした。
 イカが好きだった店主はイカの刺身を使って、皿に「い」の文字をオシャレに並べた。
「これは面白い」 
 店主が刺身で文字を作りそれを試しに創作刺身として出すと、客足が次第に伸び始めた。
「明日息子が受験なんですよ。カツオで勝つと作ってくれませんか?」
「任せて下さい!」
 店主は力一杯親指を立てて言った。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

この離婚は契約違反です【一話完結】

鏑木 うりこ
恋愛
突然離婚を言い渡されたディーネは静かに消えるのでした。

離婚した妻の旅先

tartan321
恋愛
タイトル通りです。

皇后マルティナの復讐が幕を開ける時[完]

風龍佳乃
恋愛
マルティナには初恋の人がいたが 王命により皇太子の元に嫁ぎ 無能と言われた夫を支えていた ある日突然 皇帝になった夫が自分の元婚約者令嬢を 第2夫人迎えたのだった マルティナは初恋の人である 第2皇子であった彼を新皇帝にするべく 動き出したのだった マルティナは時間をかけながら じっくりと王家を牛耳り 自分を蔑ろにした夫に三行半を突き付け 理想の人生を作り上げていく

婚約者を寝取った妹に……

tartan321
恋愛
タイトル通りです。復讐劇です。明日完結します。

友人の結婚式で友人兄嫁がスピーチしてくれたのだけど修羅場だった

海林檎
恋愛
え·····こんな時代錯誤の家まだあったんだ····? 友人の家はまさに嫁は義実家の家政婦と言った風潮の生きた化石でガチで引いた上での修羅場展開になった話を書きます·····(((((´°ω°`*))))))

【完結】ドレスと一緒にそちらの方も差し上げましょう♪

山葵
恋愛
今日も私の屋敷に来たと思えば、衣装室に籠もって「これは君には幼すぎるね。」「こっちは、君には地味だ。」と私のドレスを物色している婚約者。 「こんなものかな?じゃあこれらは僕が処分しておくから!それじゃあ僕は忙しいから失礼する。」 人の屋敷に来て婚約者の私とお茶を飲む事なくドレスを持ち帰る婚約者ってどうなの!?

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

処理中です...