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四章 田舎の人の距離間
1.寝坊
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チチチ
チチチ
鳥のさえずりが耳に届く。
パタパタパタ、と羽ばたきも聞こえてくる。
まどろみの中で、小鳥が戯れている想像をした。きょうだいなのか、夫婦なのか、夫婦になる前の恋人のような距離なのか。
自然の多い地域に転居したお陰で、小鳥のさえずり声で目を覚ます。とても気持ちの良い朝を迎えた。
布団の中でうーんと伸びをしてから、私は体を起こした。
転職から二日目。わからないことがまだまだたくさんある。今日も頑張ろう!
仕事の前に、昼食用のスープ作り。沙耶さんは、どんなスープを作るのかな。わくわくしながら、スマホで時間を確かめて、私は固まった。
「え? 寝坊?!」
七時にアラームを準備して寝たはずだったのに、デジタル表示は九時になろうとしていた。
「やばっ!」
大急ぎで着替えて、階段を駆け降りる。ドタドタと慌ただしい足音と、ギシギシと軋む音が立つ。
台所に飛び込むと、沙耶さんはいなかった。スープジャーが二つ、テーブルに置いてある。
しまった。今朝から、スープ作りを教えてもらうはずだったのに、寝坊のせいで沙耶さんは作り終えてしまっていた。
「沙耶さーん」
呼びかけながらリビングに行くと、陽が当たる窓際に座り、庭を眺めている八さんの背中が見えた。
八さんが保護されたのは、リフォーム後のこの庭だった。
かつてはたくさんの木が生い茂り、小さな池があった庭は、手入れが大変だからと十年ぐらい前にリフォームをしたらしい。ほとんどの木を除去し、池を埋めた。と沙耶さんは言っていた。
離れた箇所に低い木と高い木があり、飛び石の間に白い玉砂利が敷かれている。緑と白のコントラストがきれいで、趣のある庭が目の前に広がっている。
庭師の雷蔵さんという人が近くに住んでいて、今も庭の手入れを任せている。とまり木の常連さんとのことだった。
八さんの邪魔をするのは申し訳なくて、リビングから出ようとしたら、八さんがむくっと起き上がった。お尻を上げて前脚をぐぐっと伸ばしてから、後ろ脚も伸ばすと、のろのろと歩いていった。暑かったらしく、日陰になっている場所で、今度はごろんと横になった。
のんびり自由気ままな八さんの姿に、朝から癒される。
寝坊したことも忘れて八さんを遠めにぼーっと眺めていると、背後から沙耶さんに声をかけられた。
「おはよう」
「あ、沙耶さん。おはようございます。寝坊をしてしまいました。ごめんなさい」
教えてもらう約束をしたのに、いきなり破ってしまった。しかも寝坊だなんて、会社だったら始末書ものだ。
沙耶さんに頭を下げると、
「いい、いい。誰だって寝坊くらいするでしょ。依織ちゃんは新しい仕事を始めて疲れてたんだから、仕方がないよ。遅刻しそうな時間になっても起きなかったら、さすがに声をかけたし。気にしないで」
ふんわりと笑って、優しい言葉をかけてくれる。
その優しさがかえって申し訳なく思えて、後でアラームのスムーズ設定をONにしたうえで、アラームをさらに追加しておいた。
「八、お仕事行ってくるね。ニャルソックよろしくね」
仕事に向かう準備を整えている間に、キャットタワーの最上階に移動していた八さん。声をかけられると、沙耶さんの方を見て、ニャッと小さく返事をした。
「言葉わかってるみたいですね」
「猫は理解してるよ」
さらりと親バカ発言をされた。
「はい、コロコロよろしくね」
沙耶さんが玄関で靴を履く前に、背中を向けた。自身も前をコロコロしている。
私は沙耶さんの背中を、粘着クリーナーでコロコロする。
八さんの抜け毛が服に付着するので、沙耶さんはできる限り除去してからお店に入るようにしていた。
昨日「背中が大変だったの、依織ちゃんお願い」とお互いの背中をやり合いっこした。私が松本家に住まわせてもらう間は、仕事の日の朝の恒例行事になるのだろう。
体全体をコロコロし終わり、私はゴミを持って沙耶さんに続いて家を出た。
「今日も暑いね」
沙耶さんは黒い日傘を差した。「どうぞ」と私も同じ傘に入れてもらう。昨日と同じように。
入れてもらう代わりに傘を持つと提案すると却下された。だから今日は持ちますとは言わない。
私の方が沙耶さんより少しだけ背が高いけど、ほとんどないほどの差だから、傘が頭に当たることもない。
ゴミを捨ててから、並んで歩いてとまり木に向かう。
「今日のスープはなんですか?」
「けんちん汁だよ。知ってる?」
「わからないです」
「簡単に言うと、お醤油味のスープだね。根菜とこんにゃくをごま油で炒めて、お出汁と醤油で味をつけるの」
味噌汁の代わりにお醤油が使われているのだろうか。具材が透けたスープを思い浮かべる。
「美味しそう。楽しみです。次は私が作ります。教えてください」
「うん。楽しみにしてるね」
頑張ってじゃなくて、沙耶さんは楽しみにしてると言ってくれた。
頑張って、だとメンタルや体調によってプレッシャーに感じるときがある。私まだ頑張らないといないんだ、まだ頑張りが足りないんだと思うことがある。
楽しみにしてるね、だと心に負担がかからないし、やる気が削がれることもない。
前職で味覚を失くすほどのストレスを抱えていた私を気遣ってくれたのか、沙耶さんの性格なのかわからないけれど、言葉の優しさに気持ちが軽くなった。
「松本さん、おはよう」
通りかかった家からお婆さんが出てきて、挨拶を交わす。
「池端さん、おはようございます」
「毎日暑いねえ」
「本当ですね。熱中症気を付けてくださいね」
「はいはい」
お婆さんはゴミを持ってすたすたと歩いていく。腰は少し曲がっているけれど、とても元気そうなお婆さんだった。
「あ、沙耶さん、おはよう。パン屋さんのお仕事?」
別のお婆さんも沙耶さんに声をかける。
「市川さん、おはようございます。はい、仕事です」
「あとでお店に行くから、食パン一本取り置きしてもらってもいいかしら?」
「いいですよ」
「よろしくね」
歩きながら沙耶さんが、取り置きのお客さんの説明をしてくれた。
「市川さんは食パンを気に入ってくれていて、いつも一本買いに来てくれるんだよ。覚えてあげると喜ぶと思うよ」
「わかりました。市川さんは食パン一本のお客さんですね」
顔を覚えられたかわからないけど、名前とお気に入りの商品を記憶に留めておく。
また別の人と出会い、沙耶さんに挨拶をしていく。
私は同じマンションに住んでいた人と挨拶を交わすことがほとんどなかった。
この地域の人たちは挨拶をするのが当たり前なのかな。
ここに住むのなら、私も挨拶した方がいいのかな。とまり木のお客さんなら、挨拶は絶対するけど。
お店に到着したので、地域住民との挨拶問題は置いておく。
店中に漂うパンの香りを嗅ぐと、頭がすっと切り替わった。
次回⇒2. 市川さん
チチチ
鳥のさえずりが耳に届く。
パタパタパタ、と羽ばたきも聞こえてくる。
まどろみの中で、小鳥が戯れている想像をした。きょうだいなのか、夫婦なのか、夫婦になる前の恋人のような距離なのか。
自然の多い地域に転居したお陰で、小鳥のさえずり声で目を覚ます。とても気持ちの良い朝を迎えた。
布団の中でうーんと伸びをしてから、私は体を起こした。
転職から二日目。わからないことがまだまだたくさんある。今日も頑張ろう!
仕事の前に、昼食用のスープ作り。沙耶さんは、どんなスープを作るのかな。わくわくしながら、スマホで時間を確かめて、私は固まった。
「え? 寝坊?!」
七時にアラームを準備して寝たはずだったのに、デジタル表示は九時になろうとしていた。
「やばっ!」
大急ぎで着替えて、階段を駆け降りる。ドタドタと慌ただしい足音と、ギシギシと軋む音が立つ。
台所に飛び込むと、沙耶さんはいなかった。スープジャーが二つ、テーブルに置いてある。
しまった。今朝から、スープ作りを教えてもらうはずだったのに、寝坊のせいで沙耶さんは作り終えてしまっていた。
「沙耶さーん」
呼びかけながらリビングに行くと、陽が当たる窓際に座り、庭を眺めている八さんの背中が見えた。
八さんが保護されたのは、リフォーム後のこの庭だった。
かつてはたくさんの木が生い茂り、小さな池があった庭は、手入れが大変だからと十年ぐらい前にリフォームをしたらしい。ほとんどの木を除去し、池を埋めた。と沙耶さんは言っていた。
離れた箇所に低い木と高い木があり、飛び石の間に白い玉砂利が敷かれている。緑と白のコントラストがきれいで、趣のある庭が目の前に広がっている。
庭師の雷蔵さんという人が近くに住んでいて、今も庭の手入れを任せている。とまり木の常連さんとのことだった。
八さんの邪魔をするのは申し訳なくて、リビングから出ようとしたら、八さんがむくっと起き上がった。お尻を上げて前脚をぐぐっと伸ばしてから、後ろ脚も伸ばすと、のろのろと歩いていった。暑かったらしく、日陰になっている場所で、今度はごろんと横になった。
のんびり自由気ままな八さんの姿に、朝から癒される。
寝坊したことも忘れて八さんを遠めにぼーっと眺めていると、背後から沙耶さんに声をかけられた。
「おはよう」
「あ、沙耶さん。おはようございます。寝坊をしてしまいました。ごめんなさい」
教えてもらう約束をしたのに、いきなり破ってしまった。しかも寝坊だなんて、会社だったら始末書ものだ。
沙耶さんに頭を下げると、
「いい、いい。誰だって寝坊くらいするでしょ。依織ちゃんは新しい仕事を始めて疲れてたんだから、仕方がないよ。遅刻しそうな時間になっても起きなかったら、さすがに声をかけたし。気にしないで」
ふんわりと笑って、優しい言葉をかけてくれる。
その優しさがかえって申し訳なく思えて、後でアラームのスムーズ設定をONにしたうえで、アラームをさらに追加しておいた。
「八、お仕事行ってくるね。ニャルソックよろしくね」
仕事に向かう準備を整えている間に、キャットタワーの最上階に移動していた八さん。声をかけられると、沙耶さんの方を見て、ニャッと小さく返事をした。
「言葉わかってるみたいですね」
「猫は理解してるよ」
さらりと親バカ発言をされた。
「はい、コロコロよろしくね」
沙耶さんが玄関で靴を履く前に、背中を向けた。自身も前をコロコロしている。
私は沙耶さんの背中を、粘着クリーナーでコロコロする。
八さんの抜け毛が服に付着するので、沙耶さんはできる限り除去してからお店に入るようにしていた。
昨日「背中が大変だったの、依織ちゃんお願い」とお互いの背中をやり合いっこした。私が松本家に住まわせてもらう間は、仕事の日の朝の恒例行事になるのだろう。
体全体をコロコロし終わり、私はゴミを持って沙耶さんに続いて家を出た。
「今日も暑いね」
沙耶さんは黒い日傘を差した。「どうぞ」と私も同じ傘に入れてもらう。昨日と同じように。
入れてもらう代わりに傘を持つと提案すると却下された。だから今日は持ちますとは言わない。
私の方が沙耶さんより少しだけ背が高いけど、ほとんどないほどの差だから、傘が頭に当たることもない。
ゴミを捨ててから、並んで歩いてとまり木に向かう。
「今日のスープはなんですか?」
「けんちん汁だよ。知ってる?」
「わからないです」
「簡単に言うと、お醤油味のスープだね。根菜とこんにゃくをごま油で炒めて、お出汁と醤油で味をつけるの」
味噌汁の代わりにお醤油が使われているのだろうか。具材が透けたスープを思い浮かべる。
「美味しそう。楽しみです。次は私が作ります。教えてください」
「うん。楽しみにしてるね」
頑張ってじゃなくて、沙耶さんは楽しみにしてると言ってくれた。
頑張って、だとメンタルや体調によってプレッシャーに感じるときがある。私まだ頑張らないといないんだ、まだ頑張りが足りないんだと思うことがある。
楽しみにしてるね、だと心に負担がかからないし、やる気が削がれることもない。
前職で味覚を失くすほどのストレスを抱えていた私を気遣ってくれたのか、沙耶さんの性格なのかわからないけれど、言葉の優しさに気持ちが軽くなった。
「松本さん、おはよう」
通りかかった家からお婆さんが出てきて、挨拶を交わす。
「池端さん、おはようございます」
「毎日暑いねえ」
「本当ですね。熱中症気を付けてくださいね」
「はいはい」
お婆さんはゴミを持ってすたすたと歩いていく。腰は少し曲がっているけれど、とても元気そうなお婆さんだった。
「あ、沙耶さん、おはよう。パン屋さんのお仕事?」
別のお婆さんも沙耶さんに声をかける。
「市川さん、おはようございます。はい、仕事です」
「あとでお店に行くから、食パン一本取り置きしてもらってもいいかしら?」
「いいですよ」
「よろしくね」
歩きながら沙耶さんが、取り置きのお客さんの説明をしてくれた。
「市川さんは食パンを気に入ってくれていて、いつも一本買いに来てくれるんだよ。覚えてあげると喜ぶと思うよ」
「わかりました。市川さんは食パン一本のお客さんですね」
顔を覚えられたかわからないけど、名前とお気に入りの商品を記憶に留めておく。
また別の人と出会い、沙耶さんに挨拶をしていく。
私は同じマンションに住んでいた人と挨拶を交わすことがほとんどなかった。
この地域の人たちは挨拶をするのが当たり前なのかな。
ここに住むのなら、私も挨拶した方がいいのかな。とまり木のお客さんなら、挨拶は絶対するけど。
お店に到着したので、地域住民との挨拶問題は置いておく。
店中に漂うパンの香りを嗅ぐと、頭がすっと切り替わった。
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