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13.家族会議
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夕方が近くなると、季節らしい肌寒さが公園を覆う。
遊んでいた人たちも減り、十七時、イベントは終了した。
手早く片付けを終え、ハナたちも公園から撤収した。
「終わっちゃった」
ハナは再びキツネ姿になり、ソラの膝の上。声に寂しさが滲んでいるけれど、満足感の方が多いように、ソラには感じられた。
「うん。終わってしもたね。でも、楽しかった」
ソラの返事に、ハナが顔を向けて何度も頷いた。
「うん、楽しかった。お客さんにフルーツ飴の作り方教えてあげたり、お店の情報教えてもらったり。SNSの登録してくれた人もおって、嬉しかった」
売れ残ってしまったけど、最初から完売するとは思っていなかった。だから、落ち込んではいない。
「お兄ちゃんも表に出てくれてたら、もっと売れたと思うねんけどなあ」
ナギは仕事を終えた直後で、神様への報告書作成のため、車の中にずっといた。
「僕を当てにしないって言っただろう」
「せっかくの美貌なんやから、有効活用しようや」
ナギに甘えるハナに、
「まあまあ、本業なんやから。運転してもらえて十分助かってるし」
ソラがなだめる。
「まあ、そうやけど」
とハナは不本意そうにしながらも、頷いた。
次の営業は来週末。スーパーでの許可がおりた。
専業で飴屋をしたいと考えていたけれど、毎日出店できるわけじゃなかった。
初めての出店だと、お店側の許可がなかなかおりない。
実績を積むまでは、神様の使いとの兼業でやっていくことにした。
つまり明日からは本業がある。甘いものでも食べて打ち上げをしたいところだけど、本業に備えて帰宅することになっていた。
移動中に残ったフルーツ飴を食べ、食べきれない分はカバンに入れ、伏見稲荷駅で降ろしてもらう。
電車の中で今日のことを思い返すと、ソラの胸が弾んだ。
お客さんがなかなか来てくれなくて焦った気持ち。最初のお客さん。いちご飴の手にして、笑顔で手を振ってくれた小さな女の子。屋台みたいで懐かしいと、楽しんで買ってくれた人、などなど。
一人ひとりの顔を思い出し、見た目のかわいさと、美味しさを楽しんでもらえていると嬉しいなと、零れてしまいそうな笑みを堪えながら、電車に揺られた。
タヌキの姿になり、巣穴に戻ると、家族がひとつの巣穴に集まって、顔を突き合わせていた。
両親と祖母、リク、カイ、セイが。
「た、ただいま」
不穏な気配を感じたけれど、一応声をかける。と、家族の顔がいっせいにソラに向いた。
また何かのミスをしてしまったのかと、どぎまぎする。
「ソラ、これはどういうことだ」
静かな、しかし怒りが込められた、父の声。次兄カイがスマホの画面をソラに向けた。
近寄って画面を見る。
ピンクとイエローのキッチンカーの外にいるハナと、中にいるソラの姿が、写真撮影されていた。
「動画もあるで」
カイがスマホを操作する。音が聞こえた。
「フルーツ飴美味しいよ。食べてみて~」
ハナの声だった。
近くを通りかかる人に声をかけ、頑張って呼び込みをしてくれていた。
小さくて細いハナの後ろ姿に、ソラは勇気づけられていた。ハナが頑張っているのだから、私も美味しい飴を作らないと、とお客が来なくて落ち込みそうになる気持ちを奮い立たせた。
「こんなことをしているなんて、聞いてないぞ」
父の声が震えている。怒鳴りつけたいのを堪えているからだろう。
ソラは父の目を、正面からちゃんと見た。
いつかはバレるだろうと思っていた。初日でバレるとは想定外の早さだけれど、ソラはふわふわわした気持ちで飴屋さんをやろうと思ったわけじゃなかった。
「言ってないから」
だから家族が知らなくて当然。
ソラは胸を張って答えた。今までならおどおどしていたけれど、今日のソラは違った。
この三か月。準備を進めながら、家族にバレたときのことを、幾度も考えた。ハナにも相談した。
ハナは『堂々としてたらええやん』と言った。
好きなことを隠さなくていい。相手がどう思うと、好きなら好きと言えばいい。とハグしてくれた。
あの時のハナの言葉と温もりを思い出すと、勇気が湧いた。
「私は美味しいものを食べるんが好き。試しに作ってみたら、すごく楽しかった。私が作ったものを食べた人が美味しいって言ってくれると、幸せな気持ちになった。そしたら、持ったことがなかった夢を持った。お店をやってみたいって。協力してくれる人がいて、キッチンカーで飴屋さんを始めた。今日が初日。簡単じゃないのはわかってる。でも私は続けようと思ってるし、いつかは専業にしたいと思ってる」
「そんなこと、許されるわけがないやろ!」
声を荒らげたのは、母だった。
ソラは視線を移す。母は毛を逆立て、ウーと唸っている。
母の言動行動も想定内。だからソラは慌てることも、気後れもしなかった。
「神様があかんって言ってるん? お母さんがあかんって思ってるだけやろう。私から好きなこと取り上げる権利、お母さんにあるん?」
冷静な言葉で言い返すと、母は言葉に詰まった。
「あきまへん。私らは神様のお手伝いをすることで、生かされてるんえ。使いの仕事を辞めて、別の仕事なんて許されるわけあらへんやろ。ソラさんは、ただのタヌキになってもええのんか?」
祖母だった。そう言うだろうなと思っていた。
「おばば様、神様の使いを辞めても、ただのタヌキには戻らへんみたいですよ」
ハナから教えてもらったあと、ナギからも教えてもらった。神様からいただいている力は、取り上げられることはないらしい。
祖母は気に入らないとでも言いたげに、ふん、と鼻を鳴らしたけれど、それ以上は言葉にしなかった。
このまま押し切れないだろうかと思っていたけど、うまくはいかなかった。
「ハナの好きにさせてええの? 一緒におる子キツネやで」
セイが言うと、
「なんやって!?」
「おまえ、キツネなんかと店してるんか!?」
「ソラさん、それはありえまへんえ。騙されて、身ぐるみ剥がされるのが見えてるえ」
全員がざわついた。
「この子がキツネなんか。画面越しやとわからんかったわ」
カイはスマホの画像をまじまじと見返している。
ソラは溜め息をつく。
許してもらえなくても、放置してくれればいいと思っていたけど、キツネと一緒だとわかると、面倒なことになるとわかっていた。
解決策は思いつかなかった。
ハナが良い子だと、わかってもらえなくても言い続けるしかない。
そう言おうとしたところに、
「なんじゃ、騒がしい」
割って入ってくる声があった。
遊んでいた人たちも減り、十七時、イベントは終了した。
手早く片付けを終え、ハナたちも公園から撤収した。
「終わっちゃった」
ハナは再びキツネ姿になり、ソラの膝の上。声に寂しさが滲んでいるけれど、満足感の方が多いように、ソラには感じられた。
「うん。終わってしもたね。でも、楽しかった」
ソラの返事に、ハナが顔を向けて何度も頷いた。
「うん、楽しかった。お客さんにフルーツ飴の作り方教えてあげたり、お店の情報教えてもらったり。SNSの登録してくれた人もおって、嬉しかった」
売れ残ってしまったけど、最初から完売するとは思っていなかった。だから、落ち込んではいない。
「お兄ちゃんも表に出てくれてたら、もっと売れたと思うねんけどなあ」
ナギは仕事を終えた直後で、神様への報告書作成のため、車の中にずっといた。
「僕を当てにしないって言っただろう」
「せっかくの美貌なんやから、有効活用しようや」
ナギに甘えるハナに、
「まあまあ、本業なんやから。運転してもらえて十分助かってるし」
ソラがなだめる。
「まあ、そうやけど」
とハナは不本意そうにしながらも、頷いた。
次の営業は来週末。スーパーでの許可がおりた。
専業で飴屋をしたいと考えていたけれど、毎日出店できるわけじゃなかった。
初めての出店だと、お店側の許可がなかなかおりない。
実績を積むまでは、神様の使いとの兼業でやっていくことにした。
つまり明日からは本業がある。甘いものでも食べて打ち上げをしたいところだけど、本業に備えて帰宅することになっていた。
移動中に残ったフルーツ飴を食べ、食べきれない分はカバンに入れ、伏見稲荷駅で降ろしてもらう。
電車の中で今日のことを思い返すと、ソラの胸が弾んだ。
お客さんがなかなか来てくれなくて焦った気持ち。最初のお客さん。いちご飴の手にして、笑顔で手を振ってくれた小さな女の子。屋台みたいで懐かしいと、楽しんで買ってくれた人、などなど。
一人ひとりの顔を思い出し、見た目のかわいさと、美味しさを楽しんでもらえていると嬉しいなと、零れてしまいそうな笑みを堪えながら、電車に揺られた。
タヌキの姿になり、巣穴に戻ると、家族がひとつの巣穴に集まって、顔を突き合わせていた。
両親と祖母、リク、カイ、セイが。
「た、ただいま」
不穏な気配を感じたけれど、一応声をかける。と、家族の顔がいっせいにソラに向いた。
また何かのミスをしてしまったのかと、どぎまぎする。
「ソラ、これはどういうことだ」
静かな、しかし怒りが込められた、父の声。次兄カイがスマホの画面をソラに向けた。
近寄って画面を見る。
ピンクとイエローのキッチンカーの外にいるハナと、中にいるソラの姿が、写真撮影されていた。
「動画もあるで」
カイがスマホを操作する。音が聞こえた。
「フルーツ飴美味しいよ。食べてみて~」
ハナの声だった。
近くを通りかかる人に声をかけ、頑張って呼び込みをしてくれていた。
小さくて細いハナの後ろ姿に、ソラは勇気づけられていた。ハナが頑張っているのだから、私も美味しい飴を作らないと、とお客が来なくて落ち込みそうになる気持ちを奮い立たせた。
「こんなことをしているなんて、聞いてないぞ」
父の声が震えている。怒鳴りつけたいのを堪えているからだろう。
ソラは父の目を、正面からちゃんと見た。
いつかはバレるだろうと思っていた。初日でバレるとは想定外の早さだけれど、ソラはふわふわわした気持ちで飴屋さんをやろうと思ったわけじゃなかった。
「言ってないから」
だから家族が知らなくて当然。
ソラは胸を張って答えた。今までならおどおどしていたけれど、今日のソラは違った。
この三か月。準備を進めながら、家族にバレたときのことを、幾度も考えた。ハナにも相談した。
ハナは『堂々としてたらええやん』と言った。
好きなことを隠さなくていい。相手がどう思うと、好きなら好きと言えばいい。とハグしてくれた。
あの時のハナの言葉と温もりを思い出すと、勇気が湧いた。
「私は美味しいものを食べるんが好き。試しに作ってみたら、すごく楽しかった。私が作ったものを食べた人が美味しいって言ってくれると、幸せな気持ちになった。そしたら、持ったことがなかった夢を持った。お店をやってみたいって。協力してくれる人がいて、キッチンカーで飴屋さんを始めた。今日が初日。簡単じゃないのはわかってる。でも私は続けようと思ってるし、いつかは専業にしたいと思ってる」
「そんなこと、許されるわけがないやろ!」
声を荒らげたのは、母だった。
ソラは視線を移す。母は毛を逆立て、ウーと唸っている。
母の言動行動も想定内。だからソラは慌てることも、気後れもしなかった。
「神様があかんって言ってるん? お母さんがあかんって思ってるだけやろう。私から好きなこと取り上げる権利、お母さんにあるん?」
冷静な言葉で言い返すと、母は言葉に詰まった。
「あきまへん。私らは神様のお手伝いをすることで、生かされてるんえ。使いの仕事を辞めて、別の仕事なんて許されるわけあらへんやろ。ソラさんは、ただのタヌキになってもええのんか?」
祖母だった。そう言うだろうなと思っていた。
「おばば様、神様の使いを辞めても、ただのタヌキには戻らへんみたいですよ」
ハナから教えてもらったあと、ナギからも教えてもらった。神様からいただいている力は、取り上げられることはないらしい。
祖母は気に入らないとでも言いたげに、ふん、と鼻を鳴らしたけれど、それ以上は言葉にしなかった。
このまま押し切れないだろうかと思っていたけど、うまくはいかなかった。
「ハナの好きにさせてええの? 一緒におる子キツネやで」
セイが言うと、
「なんやって!?」
「おまえ、キツネなんかと店してるんか!?」
「ソラさん、それはありえまへんえ。騙されて、身ぐるみ剥がされるのが見えてるえ」
全員がざわついた。
「この子がキツネなんか。画面越しやとわからんかったわ」
カイはスマホの画像をまじまじと見返している。
ソラは溜め息をつく。
許してもらえなくても、放置してくれればいいと思っていたけど、キツネと一緒だとわかると、面倒なことになるとわかっていた。
解決策は思いつかなかった。
ハナが良い子だと、わかってもらえなくても言い続けるしかない。
そう言おうとしたところに、
「なんじゃ、騒がしい」
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