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3.後半
タイムリープ! 失踪した妻 (後編)
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3後半~
病院について、夜間入り口のブザーを鳴らす。
妻がお産で入院していることを告げると、すぐに中へ通してくれた。
僕は病院の廊下を突っ切り、階段を駆け上がる。
間に合ってくれ!
間に合ってくれ!
そう思っている僕の耳に、唐突にクラクションが聞こえた。
クラクション?
なんで、こんな場所で?
ここは、病院の三階と四階の間にある階段だった。
薄暗い踊り場と壁に設置された階数表示が見える。
首を傾げつつ、階段をまた一歩のぼった。
その時だった。
僕の足の下から、階段の感触が消えた。
まるで、階段が霧のように消えたみたいだった。
なんだ? どうなっているんだ?
視界がかすんでいく。
走っているつもりなのに、足は虚空を蹴るばかりだった。
僕は宙吊りになって、足をジタバタ動かしているような感覚になった。
そんな僕の耳に、クラクションの音は、
相変わらず聞こえていた。
しだいに音が大きくなり、虚空でジタバタしている僕を、音が飲み込んだ。
パー‼︎
パー‼︎
パー‼︎
頭の中がワンワンした。
気が触れそうだ。
視界すらかすむ気がする。
僕は足を動かすのをやめて、体を丸め、耳を両手でギュッとふさぎ、目を閉じた。
……い、おおい、何やってんだ!
そんな声が聞こえた。
僕はうっすら目を開けた。
すると、そこには、車のハンドルとフロントガラスが見えた。
フロントガラスの向こうには、
明るい日差しと、昼間の交差点が見えた。
気がつくと、僕は車の運転席にいた。
進行方向にある信号は青になっていた。
「早く走り出せよ!」
と、後続の車の運転席の男性が、窓を開けて怒っている。後ろに連なる何台もの車が、パーパーとクラクションを鳴らしていた。
僕はわけがわからないまま、車を出した。
走りながらあたりの景色を見渡す。
そこにあるのは、実家のすぐ近くにある県道だった。
僕はどこに向かえばいいのかも分からなくて、
路肩に停車した。
すると、ズボンのポケットの中で携帯電話がプルルルと鳴った。
「もしもし?」
出ると、リナの声が聞こえた。
「もしもし? 今、どこにいるの?
どうして車で出たの?
公園って、近所の公園のことじゃなかったの?
何時に帰ってくるの?」
矢継ぎ早に尋ねてくる。
「い、今から帰るよ」
「お昼はどうするの?
ちゃんと予定がたつように連絡してよ」
だいぶイラだっているようだった。
僕はしどろもどろになりながら、適当に返答をし、電話を切った。
そして、また車を走らせた。
どうやら、僕は事故が起きるより数十分前の時間にいるようだった。
どういう原理でそんなことが起こるんだろう。
でも、考えたって、分かりようがなかった。
分かっていることは、リナのもとへ帰らないといけないということだった。
県道を走る。
やがて、道は高速道路の入り口にさしかかった。
僕は、今日、この道を一度走ったはずだった。
走って、事故にあったはずだ。
時間がグルグルと渦を巻き、その中で迷子になったみたいな気分だった。
車は真っ直ぐに高速道路を走る。
変わり映えのない光景が続く。
と、その時だった。
一匹の動物が道に飛び出した。
タヌキ?
イタチ?
分からないが、とにかく何かの動物だった。
ぼくは慌ててブレーキをかけた。
その動物は、僕の車にあやうくひかれかけながら、高速道路を横切っていった。
僕は、フーッとため息をついた。
さっきから、また電話が何度も鳴っている。
僕は、自宅へと車を走らせた。
•••
自宅につき、足音を忍ばせて中へ入ると、
廊下の突き当たりにあるダイニングキッチンでゴソゴソと物音がしていた。
静かに部屋に近寄り、そっとドアの隙間から部屋の中をのぞくと、
リナが黙々と換気扇を掃除していた。
二度寝でも三度寝でもして、ゆっくり過ごしなよと声をかけたはずなのに。
なんで、いつでも家事ばかりしているんだろう。
僕はリナがのんびりしているところを見たことがない。
もう、〝のんびりする〟にはどうすればいいのか、忘れたのかもしれない。
黙々と掃除をする後ろ姿は、健気に見えた。
「リナ」
背後から声をかけると、リナは目を丸くして振り返った。
「シュン……、帰ってたの?」
僕はいまさらではあるが、ただいま、と言った。
「掃除、ありがとう。
でも、もうそのくらいにして、ドライブにいかないか?」
リナはさらに目を丸くした。
「ありがとうなんて、初めて言われたわ。
どうしちゃったの?」
僕は苦笑した。
ありがとうと言っただけで驚かれるなんて、
それだけ自分が妻に感謝を伝えてこなかったということだ。
「それに、ドライブだなんて……。
お昼ご飯はどうするの?
子供たちもお腹がすいてるんじゃないの?」
キッチンカウンターには、四人分の食事がプレートに盛り付けられて、ラップを被せられていた。
食事を作らなくていいと伝えておけば良かったと後悔した。
「突然だけどさ、たまにはさ、二人でのんびりしようよ。
子供は実家に預けたんだ」
「実家に?」
「そうだよ、だから、今日は二人でゆっくり出かけようよ」
妻が「うん」と言ってくれないと、この先計画が進まない。
僕は、妻を車に乗せたら、
休日診察の当番をしている精神科の病院を目指して車を走らせ、
頃合いをみて、「最近、疲れてないか? 心配だから病院に受診してみないか?」と切り出してみるつもりだった。
はたして、うまくいくかは分からなかった。
だけど、僕には他に考えられる案がなかった。
妻は眉をひそめて僕を見ていた。
「なんで相談もせずに、子供を実家に預けたりしたの?」
「相談しなかったことは謝るよ。
でも、リナも疲れてるみたいだし、たまには休息も必要だと思ったんだ」
リナは、ますます訝しげな顔をする。
「シュン、何をたくらんでいるの?」
「たくらむって、どういう意味?」
僕は背中に冷や汗をかいた。
「今日はずっと変だもの。私を車に乗せてどうしようとしているの?」
「別にどうしようもこうしようもないよ。ドライブに行こうって言ってるんじゃないか」
「もう言いわ。しゃべらないで」
リナはそう言って、頭を両手で抱えた。
「なんだか、あなたが怖いわ。胸がザワザワする」
頭を抱えたまま、宙のどこかを眺めて怯えたような目をしていた。
「リナ……」
顔をのぞきこんだが、視線があわなかった。
僕には聞えない声に、聞き入っているみたいにも見えた。
今度は僕の胸がザワザワとした。
「リナ……、不安がることなんてないよ。
とりあえず、車に乗ろう」
「なぜ、そんなに車に乗せたがるの?
どこに連れて行こうとしているの?」
リナが奇妙にギラギラした目で僕を見た。
僕は、何も答えられなかった。
二人の間に、数秒の沈黙が落ちた。
それから、リナはふらりと立ち上がった。
「どうした?」
「出かけるんでしょう?」
と、リナは言った。
「外出着に着替えてくるわ」
そう言って、ダイニングキッチンから出ていこうとした。
納得した様子には見えなかったのに、あっさり外出の準備を始めたリナの様子が不自然に見えた。
僕は心配で、リナの後ろをついて歩いた。
「ついてこないで‼︎」
ビクッと縮こまるほどの迫力でリナが怒鳴った。
僕は、気圧されて立ち止まった。
呆然としてダイニングキッチンで立ち尽くしていると、バタンッという音が玄関の方から聞こえた。
僕は嫌な予感がして、廊下に飛びだした。
玄関から妻のサンダルーー近くのスーパーまで出かける時などに使っているものだーーが消えていた。
慌てて玄関から飛び出し、僕らの部屋がある三階の外廊下から駐車場を見下ろすと、一台の車が走り出すのが見えた。
僕は外廊下の塀の上に身を乗り出し、目を丸くした。
走り出したのは、僕たちの車だった。そして、運転席には部屋着のままの妻の姿があった。
「待て! 待ってくれ!」
僕は、走って追いかけたが、車はあっという間に、はるかかなたに走り去ってしまった。
リナは、どこへ行ってしまったのか。
•••
僕が、リナの消息を知ったのは、それから二日後の大晦日のだった。
リナの居場所を教えてくれたのは、なんと警察だった。
続く~
病院について、夜間入り口のブザーを鳴らす。
妻がお産で入院していることを告げると、すぐに中へ通してくれた。
僕は病院の廊下を突っ切り、階段を駆け上がる。
間に合ってくれ!
間に合ってくれ!
そう思っている僕の耳に、唐突にクラクションが聞こえた。
クラクション?
なんで、こんな場所で?
ここは、病院の三階と四階の間にある階段だった。
薄暗い踊り場と壁に設置された階数表示が見える。
首を傾げつつ、階段をまた一歩のぼった。
その時だった。
僕の足の下から、階段の感触が消えた。
まるで、階段が霧のように消えたみたいだった。
なんだ? どうなっているんだ?
視界がかすんでいく。
走っているつもりなのに、足は虚空を蹴るばかりだった。
僕は宙吊りになって、足をジタバタ動かしているような感覚になった。
そんな僕の耳に、クラクションの音は、
相変わらず聞こえていた。
しだいに音が大きくなり、虚空でジタバタしている僕を、音が飲み込んだ。
パー‼︎
パー‼︎
パー‼︎
頭の中がワンワンした。
気が触れそうだ。
視界すらかすむ気がする。
僕は足を動かすのをやめて、体を丸め、耳を両手でギュッとふさぎ、目を閉じた。
……い、おおい、何やってんだ!
そんな声が聞こえた。
僕はうっすら目を開けた。
すると、そこには、車のハンドルとフロントガラスが見えた。
フロントガラスの向こうには、
明るい日差しと、昼間の交差点が見えた。
気がつくと、僕は車の運転席にいた。
進行方向にある信号は青になっていた。
「早く走り出せよ!」
と、後続の車の運転席の男性が、窓を開けて怒っている。後ろに連なる何台もの車が、パーパーとクラクションを鳴らしていた。
僕はわけがわからないまま、車を出した。
走りながらあたりの景色を見渡す。
そこにあるのは、実家のすぐ近くにある県道だった。
僕はどこに向かえばいいのかも分からなくて、
路肩に停車した。
すると、ズボンのポケットの中で携帯電話がプルルルと鳴った。
「もしもし?」
出ると、リナの声が聞こえた。
「もしもし? 今、どこにいるの?
どうして車で出たの?
公園って、近所の公園のことじゃなかったの?
何時に帰ってくるの?」
矢継ぎ早に尋ねてくる。
「い、今から帰るよ」
「お昼はどうするの?
ちゃんと予定がたつように連絡してよ」
だいぶイラだっているようだった。
僕はしどろもどろになりながら、適当に返答をし、電話を切った。
そして、また車を走らせた。
どうやら、僕は事故が起きるより数十分前の時間にいるようだった。
どういう原理でそんなことが起こるんだろう。
でも、考えたって、分かりようがなかった。
分かっていることは、リナのもとへ帰らないといけないということだった。
県道を走る。
やがて、道は高速道路の入り口にさしかかった。
僕は、今日、この道を一度走ったはずだった。
走って、事故にあったはずだ。
時間がグルグルと渦を巻き、その中で迷子になったみたいな気分だった。
車は真っ直ぐに高速道路を走る。
変わり映えのない光景が続く。
と、その時だった。
一匹の動物が道に飛び出した。
タヌキ?
イタチ?
分からないが、とにかく何かの動物だった。
ぼくは慌ててブレーキをかけた。
その動物は、僕の車にあやうくひかれかけながら、高速道路を横切っていった。
僕は、フーッとため息をついた。
さっきから、また電話が何度も鳴っている。
僕は、自宅へと車を走らせた。
•••
自宅につき、足音を忍ばせて中へ入ると、
廊下の突き当たりにあるダイニングキッチンでゴソゴソと物音がしていた。
静かに部屋に近寄り、そっとドアの隙間から部屋の中をのぞくと、
リナが黙々と換気扇を掃除していた。
二度寝でも三度寝でもして、ゆっくり過ごしなよと声をかけたはずなのに。
なんで、いつでも家事ばかりしているんだろう。
僕はリナがのんびりしているところを見たことがない。
もう、〝のんびりする〟にはどうすればいいのか、忘れたのかもしれない。
黙々と掃除をする後ろ姿は、健気に見えた。
「リナ」
背後から声をかけると、リナは目を丸くして振り返った。
「シュン……、帰ってたの?」
僕はいまさらではあるが、ただいま、と言った。
「掃除、ありがとう。
でも、もうそのくらいにして、ドライブにいかないか?」
リナはさらに目を丸くした。
「ありがとうなんて、初めて言われたわ。
どうしちゃったの?」
僕は苦笑した。
ありがとうと言っただけで驚かれるなんて、
それだけ自分が妻に感謝を伝えてこなかったということだ。
「それに、ドライブだなんて……。
お昼ご飯はどうするの?
子供たちもお腹がすいてるんじゃないの?」
キッチンカウンターには、四人分の食事がプレートに盛り付けられて、ラップを被せられていた。
食事を作らなくていいと伝えておけば良かったと後悔した。
「突然だけどさ、たまにはさ、二人でのんびりしようよ。
子供は実家に預けたんだ」
「実家に?」
「そうだよ、だから、今日は二人でゆっくり出かけようよ」
妻が「うん」と言ってくれないと、この先計画が進まない。
僕は、妻を車に乗せたら、
休日診察の当番をしている精神科の病院を目指して車を走らせ、
頃合いをみて、「最近、疲れてないか? 心配だから病院に受診してみないか?」と切り出してみるつもりだった。
はたして、うまくいくかは分からなかった。
だけど、僕には他に考えられる案がなかった。
妻は眉をひそめて僕を見ていた。
「なんで相談もせずに、子供を実家に預けたりしたの?」
「相談しなかったことは謝るよ。
でも、リナも疲れてるみたいだし、たまには休息も必要だと思ったんだ」
リナは、ますます訝しげな顔をする。
「シュン、何をたくらんでいるの?」
「たくらむって、どういう意味?」
僕は背中に冷や汗をかいた。
「今日はずっと変だもの。私を車に乗せてどうしようとしているの?」
「別にどうしようもこうしようもないよ。ドライブに行こうって言ってるんじゃないか」
「もう言いわ。しゃべらないで」
リナはそう言って、頭を両手で抱えた。
「なんだか、あなたが怖いわ。胸がザワザワする」
頭を抱えたまま、宙のどこかを眺めて怯えたような目をしていた。
「リナ……」
顔をのぞきこんだが、視線があわなかった。
僕には聞えない声に、聞き入っているみたいにも見えた。
今度は僕の胸がザワザワとした。
「リナ……、不安がることなんてないよ。
とりあえず、車に乗ろう」
「なぜ、そんなに車に乗せたがるの?
どこに連れて行こうとしているの?」
リナが奇妙にギラギラした目で僕を見た。
僕は、何も答えられなかった。
二人の間に、数秒の沈黙が落ちた。
それから、リナはふらりと立ち上がった。
「どうした?」
「出かけるんでしょう?」
と、リナは言った。
「外出着に着替えてくるわ」
そう言って、ダイニングキッチンから出ていこうとした。
納得した様子には見えなかったのに、あっさり外出の準備を始めたリナの様子が不自然に見えた。
僕は心配で、リナの後ろをついて歩いた。
「ついてこないで‼︎」
ビクッと縮こまるほどの迫力でリナが怒鳴った。
僕は、気圧されて立ち止まった。
呆然としてダイニングキッチンで立ち尽くしていると、バタンッという音が玄関の方から聞こえた。
僕は嫌な予感がして、廊下に飛びだした。
玄関から妻のサンダルーー近くのスーパーまで出かける時などに使っているものだーーが消えていた。
慌てて玄関から飛び出し、僕らの部屋がある三階の外廊下から駐車場を見下ろすと、一台の車が走り出すのが見えた。
僕は外廊下の塀の上に身を乗り出し、目を丸くした。
走り出したのは、僕たちの車だった。そして、運転席には部屋着のままの妻の姿があった。
「待て! 待ってくれ!」
僕は、走って追いかけたが、車はあっという間に、はるかかなたに走り去ってしまった。
リナは、どこへ行ってしまったのか。
•••
僕が、リナの消息を知ったのは、それから二日後の大晦日のだった。
リナの居場所を教えてくれたのは、なんと警察だった。
続く~
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