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第2話 実行
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それからというもの、わたしはディラスと積極的に話すようになった。
もちろん、今までも話していたのだが、どうにも近付きすぎるのが怖くて距離を置いていた。
近付きすぎたら、離れていくのがつらくなるから。
そう思っていたけれど、アイリスのおかげでそうではないことを知った。――離れていくのは確かに怖い。けど、何もしないまま離れていくのはもっと怖くて、つらいのだと。
だからわたしは、今までよりたくさんディラスに話しかけた。
朝会った時。――護衛騎士はすぐ隣の部屋に仮眠室が置かれ、有事の際はすぐに駆けつけられるようになっているのだ――
「おはようございます、姫様」
準備が出来た頃を見計らって部屋に入ってくるディラスに、わたしは「おはよう」と返す。そして
「……今日もありがとう」
と付け加える。
するとディラスは「うぇっ!?あっはい、姫様の護衛騎士ですからね」と戸惑ったように笑った。
やはり今まで距離を取りすぎたか。今までは恥ずかしさがあり、挨拶を返すだけだったのだが、それを急に態度を変えられては彼も困るだろう。
まだまだ道のりは長そうだ。わたしは小さく嘆息した。
◇◆◇
昼食の時間。花の香りがする庭園の中でディラスをそばに仕えたまま、わたしは昼食――今日のメニューはベーコンが入ったトマトスープ、ハーブスパゲッティ、スクランブルエッグだった。わたしはスクランブルエッグが大好物で……なんでどうでもいいわね。
「ねぇディラス、このスクランブルエッグ食べたことあるかしら?絶品なのよ」
「いえ、食べたことはないです。姫様がそう言うのなら本当に美味しいのでしょうね。きっと料理人も喜んでますよ」
「あら、食べたことないのね。食べてみる?」
そう言って、スクランブルエッグを掬ったスプーンをディラスの方に差し出すと、
「んな……!いえいえ、オレのことはどうかお気になさらず……!」
と、あからさまに狼狽えられた。……ここまで拒絶することなくないかしら。
◇◆◇
「おやすみなさいませ、姫様」
今日のすべきことを終えたわたしを、部屋まで送り届けてくれたディラスはそう言って部屋を出て行く。……前の彼の背に「おやすみ、ディラス。良い夢を」と声を投げる。
「……ひ、姫様こそ良い夢を見てくださいね」
朝のように戸惑った表情のまま笑い、扉を閉めたディラス。
「…………これ、道のり長すぎじゃないかしら。で、でもわたしは諦めないわ……アイリスのためにも、もちろんわたしのためにも!」
気合を入れ直し、わたしは眠りについた。
――余談だが、夢の中ではわたしとディラスは仲が良さそうに話していた。わたしもいずれこうなるんだから……!と思いながら、ひと時の夢を楽しんだ。
もちろん、今までも話していたのだが、どうにも近付きすぎるのが怖くて距離を置いていた。
近付きすぎたら、離れていくのがつらくなるから。
そう思っていたけれど、アイリスのおかげでそうではないことを知った。――離れていくのは確かに怖い。けど、何もしないまま離れていくのはもっと怖くて、つらいのだと。
だからわたしは、今までよりたくさんディラスに話しかけた。
朝会った時。――護衛騎士はすぐ隣の部屋に仮眠室が置かれ、有事の際はすぐに駆けつけられるようになっているのだ――
「おはようございます、姫様」
準備が出来た頃を見計らって部屋に入ってくるディラスに、わたしは「おはよう」と返す。そして
「……今日もありがとう」
と付け加える。
するとディラスは「うぇっ!?あっはい、姫様の護衛騎士ですからね」と戸惑ったように笑った。
やはり今まで距離を取りすぎたか。今までは恥ずかしさがあり、挨拶を返すだけだったのだが、それを急に態度を変えられては彼も困るだろう。
まだまだ道のりは長そうだ。わたしは小さく嘆息した。
◇◆◇
昼食の時間。花の香りがする庭園の中でディラスをそばに仕えたまま、わたしは昼食――今日のメニューはベーコンが入ったトマトスープ、ハーブスパゲッティ、スクランブルエッグだった。わたしはスクランブルエッグが大好物で……なんでどうでもいいわね。
「ねぇディラス、このスクランブルエッグ食べたことあるかしら?絶品なのよ」
「いえ、食べたことはないです。姫様がそう言うのなら本当に美味しいのでしょうね。きっと料理人も喜んでますよ」
「あら、食べたことないのね。食べてみる?」
そう言って、スクランブルエッグを掬ったスプーンをディラスの方に差し出すと、
「んな……!いえいえ、オレのことはどうかお気になさらず……!」
と、あからさまに狼狽えられた。……ここまで拒絶することなくないかしら。
◇◆◇
「おやすみなさいませ、姫様」
今日のすべきことを終えたわたしを、部屋まで送り届けてくれたディラスはそう言って部屋を出て行く。……前の彼の背に「おやすみ、ディラス。良い夢を」と声を投げる。
「……ひ、姫様こそ良い夢を見てくださいね」
朝のように戸惑った表情のまま笑い、扉を閉めたディラス。
「…………これ、道のり長すぎじゃないかしら。で、でもわたしは諦めないわ……アイリスのためにも、もちろんわたしのためにも!」
気合を入れ直し、わたしは眠りについた。
――余談だが、夢の中ではわたしとディラスは仲が良さそうに話していた。わたしもいずれこうなるんだから……!と思いながら、ひと時の夢を楽しんだ。
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