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ただいま
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馬車に揺られること数時間。
ようやくリエールの城に帰ってきた。
どれだけぶりかのリエールは、とても安心感があった。
「帰って、きたんですね」
感慨深く城を眺めながら、私はぽつり呟いた。
「えぇ、帰ってきましたよ。おかえりなさい、アイリス」
暗い部分のない、まっさらな笑顔でヴェロールにそう言われ、私は笑顔で「ただいま!」と答えた。
◇◆◇
ヴェロールはこれから少しやることがあると言うので、馬車で一旦お別れとなった。
私が城に入ろうとすると、見覚えのある金髪碧眼の騎士がいた。――姫様の婚約者のディラスだ。
「おかえり、アイリスちゃん。長旅お疲れ様」
「はい、ただいま帰りました」
「姫様も他の奴らも、みんなアイリスちゃんの帰りを待ってたよ。だから、元気な顔見せに行ってあげて」
「えぇ、そうさせていただきます」
軽くやり取りをし、ディラスとその場で別れた。
次に会ったのはドドリーだった。カルラも一緒に、城の廊下を歩いていた。
「おお、アイリスじゃないか!久しぶりだな!」
「本当だ、おかえりアイリスちゃん。お兄さんたち、アイリスちゃんがいなくて寂しかったんだよね」
「ただいま帰りました。お騒がせしてすみません、なんとか無事ここに帰ってこれました。さ、マカロン様を出してください今すぐに」
アステアにいる間に貰った手紙に、冷蔵庫を圧迫するほどのマカロン様を作ったと書かれていたのだ。私はそれを楽しみに帰ってきたと言っても過言ではない。まぁ一番の理由は姫様だけど。
「ははっ、お前らしいな。後ですぐ部屋に届けてやるから楽しみに待っててくれ!」
「なんか安心感あるね、アイリスちゃんがいるって。お兄さんたちのの最高傑作を楽しみにしててよ」
「はい、とっても楽しみです!ありがとうございます!」
ドドリーとカルラに帰ってきた報告(とマカロン様の催促)を終えた私は、再び長い廊下を歩き始めた。
「あっ、クローム様!」
長い黒髪を風になびかせ、優雅に(なのに気だるそうに)歩くクロームの姿が見えたので、その後ろ姿に声をかける。
「……アイリス」
「はい、アイリスです。無事アステアより帰還しました」
「……おかえり」
「ただいま帰りました」
「……どう、だった?アステアは」
「いい所でしたよ。ま、リエールには劣りますけど」
「ふふっ……言えてる、かも」
思わずと言ったように綻んだクロームの笑顔にハートをズッキュン撃ち抜かれた私は、痛む胸を抑えながら「う、ふふ……」と軽く笑っておいた。そうでなきゃ、思い切り気持ちの悪い笑みを浮かべてしまいそうだったから。……今浮かべた笑みも十分気持ち悪いものだったかもしれない、失敗失敗。
……と、ある程度の人に挨拶回りが終わったところで。
「ひーめーさーまっ!」
姫様の部屋の扉を繊細に、かつ大胆にノックし、ドバーンと勢いよく開けた。
「あら、アイリス。おかえりなさい」
「ただいま帰りました、姫様!長い間メイドの席を開けてしまい申し訳ありませんでした……!」
「ええ、本当にね。アイリスがいないと寂しくって仕方がなかったわ。……帰ってきてくれてありがとう」
あ、姫様の笑顔が素敵すぎて、眩しすぎて……今なら死ねるかも、なんて。
「そうですよね、姫様。もし少しでも救出が遅れていたら、アイリスは帰ってこれなかったかもしれません。だから、無事救出できて良かったですよ。危うくアステアの第二王子にかっ攫われるところでしたからね」
うっわ怖。こっちはこっちで、全身から溢れる怒りオーラのせいで死ねるかも。……いつ帰ってきたんだ、ヴェロール。姫様との逢瀬の時間を邪魔するでないわ。
「あら、そうなのアイリス?」
「いえいえいえいえ!そんな滅相もない!わたくしは姫様一筋ですから、得体の知れない男に脇目を振る暇もありませんよ!」
「へぇ……?あれほどまでに近い距離を許しておいて、ですか?」
「あっ、あれは不可抗力です!第一、国の権力者に対して、わたくし如きが抵抗できるとでも!?」
「まぁそうよね。そういうことなら許してあげるわ」
「ありがとうございます……」
不満そうなヴェロールの顔がチラリと見えたが、私は姫様から許していただいたから怖いもの無しなのだ!
「とにかく。アイリスが帰ってきてくれて嬉しいわ。これでようやく、わたしたちの結婚式の準備も進めれるわ」
「はい。わたくし、とっても楽しみです!」
姫様の幸せな表情をようやく拝めるのかと思うと、自然と頬が緩む。
前世から追い求めてきた姫様のハッピーエンドを、ようやく見ることができるのだ。
「……なにをニヤニヤしているんですか、気味の悪い。別にアイリスが結婚するわけではないでしょうに」
「あら、ヴェロール様がそんなこと言える立場なのですか?貴方、会員番号は幾つでしたっけ?」
「んな……!ここでその話を持ち出しますか!?……まぁその立場からすれば、姫様の結婚は喜ばしいものです。政略結婚ではなく恋愛結婚されるのですから」
「そうでしょう?ほら見なさい、わたくしだけがおかしいわけではありませんよ!」
皆様お忘れかもしれないから改めて言おう。
リエールには、秘密裏に『姫様ファンクラブ』なるものが存在している。
私はファンクラブ会員番号1番、そしてヴェロールはファンクラブ会員番号2番なのだ。
そう……ヴェロールも姫様ガチ勢なのだ!
「随分楽しそうね、アイリスもヴェロールも」
「「楽しくなんてありません!」」
そうは言いつつも、不本意ながら声は揃ってしまったのだが。
ようやくリエールの城に帰ってきた。
どれだけぶりかのリエールは、とても安心感があった。
「帰って、きたんですね」
感慨深く城を眺めながら、私はぽつり呟いた。
「えぇ、帰ってきましたよ。おかえりなさい、アイリス」
暗い部分のない、まっさらな笑顔でヴェロールにそう言われ、私は笑顔で「ただいま!」と答えた。
◇◆◇
ヴェロールはこれから少しやることがあると言うので、馬車で一旦お別れとなった。
私が城に入ろうとすると、見覚えのある金髪碧眼の騎士がいた。――姫様の婚約者のディラスだ。
「おかえり、アイリスちゃん。長旅お疲れ様」
「はい、ただいま帰りました」
「姫様も他の奴らも、みんなアイリスちゃんの帰りを待ってたよ。だから、元気な顔見せに行ってあげて」
「えぇ、そうさせていただきます」
軽くやり取りをし、ディラスとその場で別れた。
次に会ったのはドドリーだった。カルラも一緒に、城の廊下を歩いていた。
「おお、アイリスじゃないか!久しぶりだな!」
「本当だ、おかえりアイリスちゃん。お兄さんたち、アイリスちゃんがいなくて寂しかったんだよね」
「ただいま帰りました。お騒がせしてすみません、なんとか無事ここに帰ってこれました。さ、マカロン様を出してください今すぐに」
アステアにいる間に貰った手紙に、冷蔵庫を圧迫するほどのマカロン様を作ったと書かれていたのだ。私はそれを楽しみに帰ってきたと言っても過言ではない。まぁ一番の理由は姫様だけど。
「ははっ、お前らしいな。後ですぐ部屋に届けてやるから楽しみに待っててくれ!」
「なんか安心感あるね、アイリスちゃんがいるって。お兄さんたちのの最高傑作を楽しみにしててよ」
「はい、とっても楽しみです!ありがとうございます!」
ドドリーとカルラに帰ってきた報告(とマカロン様の催促)を終えた私は、再び長い廊下を歩き始めた。
「あっ、クローム様!」
長い黒髪を風になびかせ、優雅に(なのに気だるそうに)歩くクロームの姿が見えたので、その後ろ姿に声をかける。
「……アイリス」
「はい、アイリスです。無事アステアより帰還しました」
「……おかえり」
「ただいま帰りました」
「……どう、だった?アステアは」
「いい所でしたよ。ま、リエールには劣りますけど」
「ふふっ……言えてる、かも」
思わずと言ったように綻んだクロームの笑顔にハートをズッキュン撃ち抜かれた私は、痛む胸を抑えながら「う、ふふ……」と軽く笑っておいた。そうでなきゃ、思い切り気持ちの悪い笑みを浮かべてしまいそうだったから。……今浮かべた笑みも十分気持ち悪いものだったかもしれない、失敗失敗。
……と、ある程度の人に挨拶回りが終わったところで。
「ひーめーさーまっ!」
姫様の部屋の扉を繊細に、かつ大胆にノックし、ドバーンと勢いよく開けた。
「あら、アイリス。おかえりなさい」
「ただいま帰りました、姫様!長い間メイドの席を開けてしまい申し訳ありませんでした……!」
「ええ、本当にね。アイリスがいないと寂しくって仕方がなかったわ。……帰ってきてくれてありがとう」
あ、姫様の笑顔が素敵すぎて、眩しすぎて……今なら死ねるかも、なんて。
「そうですよね、姫様。もし少しでも救出が遅れていたら、アイリスは帰ってこれなかったかもしれません。だから、無事救出できて良かったですよ。危うくアステアの第二王子にかっ攫われるところでしたからね」
うっわ怖。こっちはこっちで、全身から溢れる怒りオーラのせいで死ねるかも。……いつ帰ってきたんだ、ヴェロール。姫様との逢瀬の時間を邪魔するでないわ。
「あら、そうなのアイリス?」
「いえいえいえいえ!そんな滅相もない!わたくしは姫様一筋ですから、得体の知れない男に脇目を振る暇もありませんよ!」
「へぇ……?あれほどまでに近い距離を許しておいて、ですか?」
「あっ、あれは不可抗力です!第一、国の権力者に対して、わたくし如きが抵抗できるとでも!?」
「まぁそうよね。そういうことなら許してあげるわ」
「ありがとうございます……」
不満そうなヴェロールの顔がチラリと見えたが、私は姫様から許していただいたから怖いもの無しなのだ!
「とにかく。アイリスが帰ってきてくれて嬉しいわ。これでようやく、わたしたちの結婚式の準備も進めれるわ」
「はい。わたくし、とっても楽しみです!」
姫様の幸せな表情をようやく拝めるのかと思うと、自然と頬が緩む。
前世から追い求めてきた姫様のハッピーエンドを、ようやく見ることができるのだ。
「……なにをニヤニヤしているんですか、気味の悪い。別にアイリスが結婚するわけではないでしょうに」
「あら、ヴェロール様がそんなこと言える立場なのですか?貴方、会員番号は幾つでしたっけ?」
「んな……!ここでその話を持ち出しますか!?……まぁその立場からすれば、姫様の結婚は喜ばしいものです。政略結婚ではなく恋愛結婚されるのですから」
「そうでしょう?ほら見なさい、わたくしだけがおかしいわけではありませんよ!」
皆様お忘れかもしれないから改めて言おう。
リエールには、秘密裏に『姫様ファンクラブ』なるものが存在している。
私はファンクラブ会員番号1番、そしてヴェロールはファンクラブ会員番号2番なのだ。
そう……ヴェロールも姫様ガチ勢なのだ!
「随分楽しそうね、アイリスもヴェロールも」
「「楽しくなんてありません!」」
そうは言いつつも、不本意ながら声は揃ってしまったのだが。
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