転生できずに地縛霊のままなんですけど……

朝羽ふる

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東の大陸

魔導が好調の鬱陶しい

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 これでヒュリアのてきたたかえんじゃねぇ?
 しかも治癒術ちゆじゅつもあるじゃん!
 マジうれしいんだけど!

 つまり、こうやって盟友めいゆう登録とうろくしてけば、ぼくちからはどんどんえていくってことですよね。

 だけど問題もんだいがあります。
 それは耶代やしろからの指示しじがないと登録とうろくができないところです。
 僕発信ぼくはっしん登録とうろくしたいとおもっても、方法ほうほうがどこにも見当みあたらないのです。
 つまりすべて『耶代やしろ』だのみってことです。

 なんかムカつく。
 でもいまはとにかく、ヒュリアに報告ほうこくしときましょう。

「ヒュリア! なんか炎魔導術えんまどうじゅつ治癒術ちゆじゅつ取得しゅとくしちゃったんだけど! しかも、どっちも『四冠ケセド』だってさ! これできみやくてるかもしれないよ!」

 ヒュリアは意味いみがわからないようで、かおが?マークになってます。

「たぶん、『盟友登録めいゆうとうろく』の効果こうかだとおもうんだ」

「そんなことが本当ほんとうにあるのか……? 『四冠ケセド』といえば中級ちゅうきゅう魔導師まどうしだぞ」

 困惑気味こんわくぎみのヒュリア。
 まあしんじられなくて当然とうぜんでしょうね。
 だってさっきまで家事かじしかできない、メイド地縛霊じばくれいだったんですから。

 魔導まどうちからってものは、まれながらにひとそなわっているのですが、最初さいしょは『十冠マルクト』か、『九冠エソド』クラスだそうです。
 その程度ていどだと魔導師まどうしといえるほどのちからせません。
 炎摩導えんまどうならせいぜい、指先ゆびさきをともすぐらいだそうです。
 100えんライターとおなじですな。

 魔導師まどうしばれるには、すくなくとも『六冠テハレト』まで導迪デレフ成長せいちょうさせなければなりません。
 そのためには本人ほんにん才能さいのう努力どりょく必要ひつようなのです。
 だから高位こうい魔導師まどうし目指めざひとは、そりゃもう、しんで修練しゅうれんするんだそうです。

 もし、昨日きのうまでまった使つかえなかったやつが、いきなり『四冠ケセド』になったっていたら、真面目まじめ修練しゅうれんしてるひとは、絶対ぜったいブチギレるでしょうね。

中級ちゅうきゅう魔導師まどうしっていうと、どのくらいのちからなのかな?」

「だいたい標準ひょうじゅん魔導師まどうしは『五冠ゲブラ』だから、それよりうえといういことになる。くに要職ようしょくくこともできる、かなり有用ゆうよう存在そんざいっていい」

 ヒュリアのはなしでは、今現在いまげんざい魔導まどう最高位さいこういである『一冠ケテル』の魔導師まどうしはいないそうです。
 公式こうしきに、一番高位いちばんこういみとめられている魔導師まどうしは『正統魔導国せいとうまどうこくオクル』の三統括さんとうかつばれる三人さんにんで、『二冠コクマ』だそうです。

「そもそも『一冠ケテル』の魔導師まどうし存在そんざいできないとわれてるんだ。『一冠ケテル』になると、霊核ドゥルがそのちからえられず自壊じかいし、ひとんでしまうらしい」

「じゃあ、いままで『一冠ケテル』になったひとは、いないってこと?」

「いいや、わたしるかぎり、一人ひとりだけいる。聖師せいしフゼイフェだ」

「ああ、そゆことなのねぇ」

「ただ、それは人間にんげん限定げんていしたときのはなしでね。妖精族ビレイふくめると、人数にんずうえるとおもう。かれらは魔導まどうとの親和性しんわせいたかいからね。――じつ賢者けんじゃアイダンも『一冠ケテル』だったというはなしだ」

 だからフゼイフェさんも、アイダンさんも三傑さんけつとしてみとめられてて、聖師せいしとか賢者けんじゃなんていうたいそうなふたがついてるんですね。

「そういうわけで、魔導師まどうしたかみを目指めざ人間にんげんみな聖師せいしフゼイフェを尊敬そんけいしてやまない。『聖政天授国せいせいてんじゅこくマリフェト』の国民こくみんなどは、地母神様じぼしんさま霊龍様れいりゅうさま同様どうよう信仰しんこうしているんだ」

 『正統魔導せいとうまどうこくオクル』はアイダンの弟子でしが、『聖政天授せいせいてんじゅこくマリフェト』はフゼイフェの養女ようじょてたんだそうです。

「ところがだ、もっと賢者けんじゃ聖師せいし敬意けいいはらうべき魔導王国まどうおうこくオクルは、なぜか微妙びみょう態度たいどでね。賢者けんじゃのことも聖師せいしのことも、どこか軽視けいししている雰囲気ふんいきがある。なんらかの政治的思惑せいじてきおもわくがあるのかもしれないが、理由りゆうさだかではないんだ」

 ちないようでくびかしげてるヒュリア。
 まあ、くに政治せいじなんて大人おとな事情じじょう雁字搦がんじがらめですからね。

 そんなことより、いい機会きかいなんで、ずっとになってことをいてみようとおもいます。

「えーと、そのぉ……、ヒュリアは以前いぜん魔導まどう使つかえてたんでしょ?」

「ああ」

「『三冠ビナル』だったら、オクルのおえらいさんのひとしたってことだよね。かなりスゴいことなんじゃないの?」

「うん、まあ、そうだね……。当時とうじわたしは『氷刃ひょうじん皇女おうじょ』なんてばれて、いいになっていたんだ。今思いまおもうとかおからそうなほどずかしくなるよ」

 両手りょうてかおかくすヒュリア。
 大丈夫だいじょうぶだよ、ってあたまをポンポンしたくなりますね。

 魔導師まどうしには『元素照応性げんそしょうおうせい』ってものがあり、原則げんそく一個人いちこじん使役しえきできる元素げんそ一種類いっしゅるいかぎられるそうです。
 つまりほのお元素げんそ使役しえきできるなら、そのほかこおりとかみず元素げんそ使つかえません。
 『氷刃ひょうじん』ってうからには、以前いぜんヒュリアはこおり元素魔導げんそまどう使つかえてたんでしょう。

「それでぇ……、ちょっときにくいんだけどぉ……」

「なんだ、わたしきみなかだ。かしこまることはないぞ」

 わたしきみなか……。
 甘美かんびひびき……。

「――断迪刑だんじゃくけいっていたかった?」

 刑罰けいばつけたっていてから、ずっとこころがモヤモヤしてました。
 こういうのはホント、気分きぶんわるくなります。

「いいや、くすりをもられ、ねむっているあいだ執行しっこうされたから、いたみもなにかんじなかった。わたし魔導まどうおそれたケメットとメシフがめいじたのだろう」

 権力けんりょくにとりつかれた人間にんげんって、ホントどうしょもないやつらですよね。

「メシフのことを傲慢ごうまんののしりはしたが、むかしわたしも、かなり傲慢ごうまんだったとわざるをない。自分じぶん魔導まどう過信かしんして、未熟みじゅくもの見下みくだしていたんだ。自分じぶんこそがつぎ英雄えいゆうだと自惚うぬぼれてもいた。だが魔導まどううしない、周囲しゅういからさげすんだけられてはじめて、それまで見下みくだしてきた人達ひとたち気持きもちがわかるようになった。だからいまはこうかんがえている。きっとかみが、かれらの気持きも理解りかいさせるために、わたしから魔導まどううばったんだとね」

 統治者とうちしゃになるには、できるだけおおくのひときもちを理解りかいできなければならないってことでしょうか。

 わかいのにたいしたもんだ、ヒュリア!
 あんたについてくぜ!

 ふかいきいたヒュリアは、自嘲気味じちょうぎみわらいます。

「ところでツクモ、かったらきみ術法じゅつほうせてくれないか」

「あっ、そうだね。そんじゃ治癒ちゆじゅつから、いってみようか。ついでにきみあしきずなおしちゃえば一石二鳥いっせきにちょうってわけだし。――じゃあ、ちょっとせてみて」

 ヒュリアの太腿ふとももきずはまだなおっていません。
 ならばこのさい治癒ちゆじゅつ完治かんちさせてしまいましょう。

 てなわけで、早速実践さっそくじっせんしようとしたんですが、いきなりコンプラにひっかかりそうな事案じあん発生はっせいしてしまいましてぇ……。
 普段ふだん包帯ほうたいえるときは、ズボンを巻上まきあげて処置しょちしてるんですけどぉ……。
 今日きょうは、そうくるかぁ……。

 さっさとズボンをてたヒュリアが、セクシーなパンツ姿すがた披露ひろうしてくれとるわけです。

「あのさ、全部脱ぜんぶぬがなくてもいいんだよ」

 一応いちおうらしながらつたえます。

「いいや、魔導まどうはじめて実践じっせんするんだ。なるだけ不要ふようなものはのぞいておいたほうがいい」

 と、皇女様おうじょさまおっしゃりまして……。
 たしかにいでくれたほうが、処置しょちはしやすいんですけど……。
 
 はぁぁ、まったくぅぅ……。
 どうして、このはこうも簡単かんたんぐんでしょうかねぇ……。

 お風呂ふろはいったあとなんかも、全裸ぜんらでウロつくし。
 服着ふくきるようにおねがいしても、あせがひくまではるべきでないとかうてるし。

 裸族らぞくなのか? 
 せつけてるのか?

 ぼくとしては、こまるというか、うれしいというか。
 いや、うれしいってのはちがうか。

 椅子いすすわると上着うわぎすそからのぞく魅惑みわく三角地帯さんかくちたいがより強調きょうちょうされまして……。
 なんかこう全裸ぜんらよりも、エロさがすというか、なんというか……。
 そこにがいかないように治癒ちゆじゅつ全集中ぜんしゅうちゅうしなくてはいけません。

 はい、集中しゅうちゅう集中しゅうちゅう

 包帯ほうたいると、傷口きずぐち赤黒あかぐろさがつよくなっていました。
 壊死えしすすんでるのかもしれません。
 
「えーと、どうすればいいのかな?」

 いままではなにかんがえずに『耶代やしろ』の機能きのう家事全般かじぜんぱん儀方ぎほう使つかえてました。
 たぶん『耶代やしろ』がバックアップしてくれてたんでしょう。
 でもこれは『耶代やしろ』をかいしない、僕個人ぼくこじんちからなので、いままでどおりでいいのかどうか……。

「これまでとおなじようにやってみてくれ。なにしろ耗霊もうりょう魔導まどう使つかうなんてはじめてるからね」

「わかったよ」

 とりあえず異世界いせかいアニメでたように傷口きずぐちをかざし、なおれってねんじてみました。
 だけど、いくらってもなにこりません。

「うむ、上手うまくいかないようだね。――魔導師まどうしはじめて修練しゅうれんする場合ばあいさき自分じぶん霊核ドゥル状態じょうたい確認かくにんするんだが……。死者ししゃには霊核ドゥルいしな……」

 ヒュリアはくちこぶしてて、かんがんでます。

霊核ドゥルってさ、霊器れいきおなじってことにはならないのかな?」

「なるほど……。きみ本体ほんたい霊器れいきにあるんだったね……。たしかにれい宿やどるという意味いみで、霊器れいき霊核ドゥル類似るいじしている。ならばまずは、自分じぶん内面世界ないめんせかいにある霊器れいきとのつながりをつけてみてくれ」

霊器れいきとのつながりかぁ……」

 言葉ことば意味いみはわかりますが、具体的ぐたいてきにどうすればいいかさっぱりわかりません。
 仕方しかたなくじて、瞑想めいそうしてみました。

 まぶたけてっからじられないだろうって?
 文学的表現ぶんがくてきひょうげんなのですよぉぉだっ。

 真暗まっくらこころなか彷徨さまよってると、かなりふかいところに、紫色むらさきいろひかるものをつけました。
 ちかづくと『倉庫そうこ』にあるのとおんな涙滴型るいてきがたをした宝石ほうせきです。

 ただし、おおきさはぼく三倍さんばいぐらいあります。
 人間にんげん霊核ドゥル内面世界ないめんせかいでは、かなりおおきいらしいです。

 ヒュリアにいたら、これが霊器れいきとのつなががりってことでいようでした。

 内側うちがわをのぞいてみると、そこにはあおひかり粒子りゅうしあかひかり粒子りゅうし無数むすうっています。
 あおいのが恃気エスラルあかいのが英気マナだそうです。

恃気エスラルがどんなものか理解りかいできたなら、それがてのひらあつまるようにみちびくんだ。するとてのひらあおひかはじめる。つぎきずなおるようにねんじながら、恃気エスラルきずそそぐような動作どうさおもえがいてみてくれ」

了解りょうかい

 指示しじしたがって、霊器れいきから恃気エスラルてのひらみちびきます。
 今度こんどはスムーズにてのひら恃気エスラルあつまってっくれました。

 てのひらあおひかったところできずなおるようにねんじます。
 するとあか英気マナ粒子りゅうしまでもがあつまってきます。
 そして両者りょうしゃざりい、うす赤紫あかむらさきいろひかりはじめたのでした。

英気マナざっちゃったけど、大丈夫だいじょうぶなのかなっ?!」

「ああ、それでいんだ。治癒術ちゆじゅつには英気マナ必要ひつようなんだよ」

 ビビってるぼく安心あんしんさせるように、ヒュリアはふかうなずきます。

 最後さいごに、ひかってるてのひら傷口きずぐちにかざし、恃気エスラルそそいでるところを想像そうぞうしました。
 すると、薄紫うすむらさきいろひかりが、みずのようにてのひらからトロトロときずながれこんでいったんです。
 そしてあるとき、傷口きずぐち一瞬いっしゅん紫色むらさきいろかがやいたかとおもうと、すぐにえました。

てみろ、なおってるぞ」

 満足まんぞくげなヒュリアのかお
 彼女かのじょとおり、あのひどい矢傷やきずは、きれいさっぱりくなっていました。

 よっしゃあ!
 すっごいね、治癒ちゆじゅつ
 ぼくもこれで魔導師まどうしだぜっ!

「ありがとう、ツクモ」

 可憐かれん微笑ほほえむヒュリア。
 てぇてぇなぁ。

「ならば、つぎ炎魔導えんまどうほうせてもらおうか」

 ほのお使つかうってことで、とりあえずそとます。
 おっと、安心あんしんしてください、ズボン、はいてますよ。

元素魔導術げんそまどうじゅつおこなうときに必要ひつようなことを説明せつめいするよ」

 くらそらかぶしろつきが、いつもどおぼくらをらします。

元素魔導術げんそまどうじゅつには、治癒ちゆじゅつくらべたとき、おおきくことなるてんがあるんだ。それは元素げんそ姿すがたつねこころおもかべながらおこなうということなんだ。それを『心措レシム』という。これは魔導まどう基礎的きそてき作法さほうである、『施法イジュラート』のひとつなんだ……」

 『心措レシム』とは、じゅつ実行中じっこうちゅうつね元素げんそのイメージをこころにもっておくことだそうです。
 たとえば炎魔導えんまどうなら、ほのおえてるイメージです。
 イメージを途切とぎれさせると周囲しゅうい元素げんそ反応はんのうしなくなりほのおえてしまうのです。 

「『施法イジュラート』には『心措レシム以外いがいにも、いくつか重要じゅうよう作法さほうがある。主要しゅようなものをげるなら『発動はつどう態様たいよう』、『威勢いせい』、『率導テシュヴィク』、『充典ドルヨル』だ」

 『発動はつどう態様たいよう』は、恃気エスラルを『どのように発動はつどうさせるのか』ということです。
 治癒ちゆじゅつのときに、みずそそぐような動作どうさおもいうかべましたが、あれは治癒術ちゆじゅつ発動はつどうさせるときにもっともよく使つかわれる態様たいようだそうです。

 『発動はつどう態様たいよう』は、元素げんそ種類しゅるい術法じゅつほうちがい、術者じゅつしゃこのみやかんがかた様々さまざま変化へんかします。
 たとえば元素げんそたまのようにす『元素弾げんそだん』というわざがあります。
 このわざは、ほのおこおりなどの元素げんそならできますが、ひかりやみ元素げんそでは、たまとして撃出うちだすという態様たいようをとることができません。
 これは元素げんそ種類しゅるいからくるちがいです。

わたしおそった三人さんにん騎士きし魔導まどうおぼえているか?。あのとき水魔導すいまどう使つかったものがいただろう。あいつの水魔導すいまどうは、みずたまとして撃出うちだすのではなく、指先ゆびさきから持続的じぞくてき水流すいりゅうはっし、そのちから切断せつだんするというものだった。もちろん『水弾すいだん』とすることも可能かのうだし、その態様たいようをとる魔導師まどうしほうおおいかもしれない。これは術者じゅつしゃこのみによるちがいとなる」

 ヒュリア教官きょうかんのおはなし、ためになるのでありますっ!
 敬礼けいれい

つぎに『威勢いせい』についてだが、これはじゅつ発動はつどうする『場所ばしょ』の問題もんだいになる。普通ふつう場所ばしょと、火災かさい周囲しゅういえているような場所ばしょでは、炎摩導えんまどう使つかうとき、術者じゅつしゃへの負担ふたんおおきさ、じゅつつよさ、持続時間じぞくじかんちがいがる。子供こどもでもわかるだろうが、当然とうぜん周囲しゅういえている場所ばしょほう炎摩導えんまどう使つかもの有利ゆうりとなる。だから、たとえ『冠位ジルヴェ』がひくくても、『威勢いせい』によって、上位じょうい魔導師まどうし退しりぞけることも可能かのうというわけだ」

 ヒュリア教官きょうかん、わかりやすいのであります!
 敬礼けいれい

土魔導どまどう風魔導ふうまどうは、基本的きほんてき攻撃力こうげきりょくは、あまりたかくないが、『威勢いせい』にもっとめぐまれているために、ほのおこおりとも互角ごかくたたかえる場合ばあいがある。つち空気くうき場所ばしょなんて滅多めったにないからな。――ヤルタクチュも、周囲しゅういつち使つかうことで、騎士達きしたち魔導まどうさえむことができていただろう?」

 ヒュリア教官きょうかん凛々りりしいのであります!
 敬礼けいれい

つぎは『率導テシュヴィク』だ。これは発動後はつどうごじゅつ効果こうかを、使つかったぶん恃気エスラルきるまで、自在じざいあやつるというものだ」

 ヒュリア教官きょうかんうつしいのであります!
 敬礼けいれい

三人さんにん騎士きしのうちで、わかりやすいのは風魔導ふうまどう使つかったものだろう。あいつはかぜ元素げんそをまず旋風つむじかぜとして発動はつどうさせたあと自在じざいうごかし、周囲しゅうい粉砕ふんさいしていた。あれが率導テシュヴィクだ。ヤルタクチュが土魔導どまどう発動後はつどうごに、かべ状態じょうたいになるようにつちあやつって攻撃こうげきふせいでいたのもおなじものだ」 

 ヒュリア教官きょうかん、エモいのであります!
 敬礼けいれい

「――ツクモ、わたしはなわるたびに、直立不動ちょくりつふどうになってひたいをかざしているが、それはなん仕草しぐさなんだ?」

 ちょっとつめたいヒュリアの視線しせん

「これはニホンノトウキョウしき敬礼けいれいなんだよ」

「なるほど、そういうことか。――わたしはなし敬意けいいをはらってくれるのはありがたいが、もうやらなくていいぞ。すこ鬱陶うっとうしい」 

 ごめんなさぁい、ケロケぇロ。

最後さいご充典ドルヨルについてはなそう。これは恃気エスラル十分じゅうぶんめてから発動はつどうさせるというものだ。おなじ『炎弾えんだん』をちだす場合ばあいでも、すぐにつより、恃気エスラルめてからったほうが、威力いりょく格段かくだんつよまるのは当然とうぜんだろう。ただし時間じかんがかかるのが欠点けってんだがね」

 なるほど、ちってことね。

「ここまでの炎魔導えんまどうじゅつながれを総括そうかつしてみよう。まずこころほのお心措レシムうつし、恃気エスラルなどにみちびき、対象たいしょうやすようにねんじ、炎弾えんだんなどのじゅつ態様たいよう選択せんたくしておもえがく。そして発現はつげんした炎弾えんだん率導テシュヴィクあやつり、たま軌道きどう変化へんかさせるなどして攻撃こうげきするわけだ。さらに炎弾えんだんまえ充典ドルヨル威力いりょくすこともできる、という具合ぐあいだな」

「これって、いちいちかんがえるんだよね」

「そうだ。魔導師まどうしはこの判断はんだん一瞬いっしゅんで、できるように日々ひび修練しゅうれんしている」

 うへっ!
 むつかしいっすねぇ!
 やっぱ現実げんじつはラノベより大変たいへんだわ!

 そんなぼくこころんだかのように、ヒュリアは悪戯いたずらっぽく微笑ほほえみました。
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