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東の大陸
木々開花、良い!<6>
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次の日、しっかり回復したヒュリアは、心配かけたことを謝ってくれました。
でもホント、無事で良かった。
フェルハトさんのおかげです。
どうか成仏してください。
南無阿弥陀仏……。
おまえもな、ってつっこまれそうですけどね。
自分を助けてくれた人がフェルハトだと知ったヒュリアは、ものすごぉく悔しがってます。
色々聞きたかったみたいです。
彼女にとってフェルハトは、まさに英雄なんでしょう。
『魂露』の方は、『倉庫』の中でも、ずっと振動し続けています。
しかし、どういう原理で振動が続いてるんでしょうかね。
無味無臭で見た目は水と変わらないのに、ホント不思議な液体です。
「キャファメフぅぅぅぅ、うにぇっ、うにぇっ……」
部屋の隅から妙な声が聞こえてきます。
アティシュリが床に座りこんで泣いているのです。
落ちた涙で床にキャラメルの絵を描いてます。
ずっと見ないふりしてたんですけど、なんとかしろってヒュリアに目で合図されたので、仕方なく声をかけました。
「――アティシュリさん、この先、ああいう危険なことがないよう、ちゃんと事前に説明してくださいね。それが約束できるなら、キャラメルの残り、支給してもいいですよ」
ドラゴン救済プログラムを発動しました。
「ふぉんにょかっ?!」
ガバッと顔を上げるアティシュリ。
上げた勢いで涙と鼻水が飛散ります。
きちゃないなぁ。
「――する、するぅ。絶対するぅ!!!」
ふにゃっと笑ったアティシュリは身体をくねらせながら立上がります。
ときどき軽いんだよな、この現金ドラゴン。
「いいでしょう。それと、お手伝いしてくれれば、キャラメルの他にチーズケーキもつけますよ」
「チーズ、ケ、ケーキだとぉ、な、なんだそりゃ?」
「牛乳を発酵させて作った固形分に砂糖や卵なんかを混ぜて焼いたお菓子ですよ。甘味だけでなく、ほのかな酸味や塩味なんかも味わえちゃう、ちょっと大人な逸品なんす」
「牛乳を発酵させた固形分? そりゃ“ペイニル”のことか? ペイニルで甘い菓子を作るなんて初めて聞いたぜ。――チーズケーキかぁ、一体どんな味なんだ……?」
どうやらバシャルではチーズを、ペイニルって言うみたいですね。
『倉庫』の中に牛乳がたくさんあるんで、『調理』の機能でチーズを作ろうとしたんです。
そしたら『調理では作れません』という表示が出ました。
なんでかなと思ってあれこれ考えてみたとき、牛乳の発酵過程に問題がありそうだなと気づきました。
たぶん、『耶代』の力だけじゃ足りなくて、菌類の手を借りる必要があるから『調理』だけじゃできないんじゃないかなと。
そんで『耶代』の機能の中にある『化成』に注目したのです。
漢字から推測したんですけど、説明を見たら、やっぱりでした。
『生物由来の酵素によって物質を変化させるもの。ただし材料と時間が必要である』
これで牛乳を発酵させればチーズがつくれることが分かりました。
多少時間はかかりますが、醤油や味噌なんかもできるに違いありません。
あと、トイレの排泄物もこれで発酵させて、堆肥にします。
そんで、出来上がった堆肥は『配置』の機能で敷地の外に移動させるんです。
『配置』の説明は、こんな感じです。
『耶代内にある物品の転置、もしくは敷地外への移動を行うもの』
堆肥にしちゃえば、環境を汚染することもないし、植物の栄養にもなりますしね。
耶代の機能、よく考えてあります。
さすが隠者様、クールだねぇ。
「ああ、分かってきたぜぇ……、チーズケーキの味がよぉ……。じゅる、じゅる……。塩味、酸味が、甘味を引立てるってわけよ……。じゅる、じゅる……」
アティシュリは、チーズケーキのマボロシを味わってるようですな。
キャラメルのおあずけを食ってるせいで、ハイになってんでしょう。
床に溜まった涙に涎が追加されて、小さな池ができちゃいました。
どんぐりがハマる前に、耳の側でパンパン手を叩いて、美味しい夢の世界から現実へ連戻します。
ビクッとしたアティシュリは、起きたばかりみたいに目をこすって、あたりを見回しました。
「――お手伝いしてくれますかねぇ?」
問いかけられてハッとしたアティシュリは、慌てて胸をたたきます。
「お、おう、まかしとけ!」
ボケ気味のドラゴンに呆れながら、『倉庫』しまっておいた『魂露』を取出しました。
もちろん酒盃から振動が伝わってきます。
「――結局、この『魂露』って、どう使うもんなんですか?」
造れたのはいいですが、使用法が全くわからないのです。
「特別な方法なんてものはねぇぜ。普通の水を植物にやるときみてぇにすりゃあいいのよ」
「でも、あれだけたくさんあるヤルタクチュに、たったこれだけの『魂露』で足ります?」
「問題ねぇ、この一杯で十分だ。――ここのヤルタクチュは元々一本の親株から増えて森になぅたんだ。だからその親株に魂露を与えりゃ、森全体が元に戻るだろうぜ」
「なるほど。――じゃあ、その親株はどこにあるんですかね?」
「確かビルルルが最初に種を植えたのは小屋の右側だったはずだ」
アティシュリに案内されて、その場所にいってみます。
そこから森を眺めてみると、確かに一際太くて高い樹があるのに気づきました。
「あれですかね」
「だろうな」
「そんじゃ、アティシュリ様、お願いします」
『魂露』を手渡します。
「これが手伝いってわけか?」
「その通りです。僕は敷地から出られないし、ヒュリアは食べられちゃうじゃないですか」
結界が一時的に解除されるのを見て、口を尖らせるアティシュリ。
「ほらほら、チーズケーキが待ってますって。頼みますよぉ」
「ちっ、世界の守護者である俺を使いパシリにしやがって。マジでムカつく耗霊だぜ……」
ぶつぶつ文句を言いながらアティシュリは敷地を出ていき、親株へと向かっていきました。
森の中にアティシュリが消えて、しばらく経ったときです。
突然、視界がパッと明るくなったような感じがしました。
「ツクモ、これは……」
ヒュリアも気づいたようで、目をパチパチさせながら周りを見回してます。
特段、何かが変わったというわけではないんです。
ただ、今までの森よりも、色鮮やかというか……、なんというか……。
初めてコンタクトつけたとき、みたいな。
チャイムが鳴って、羅針眼が立上がります。
『任務が達成されました』
視界の中央に青文字で、これが表示されたのです。
よっしゃぁっ!
任務達成!
何か報酬もらえんのかっ?!
また新しい魔導を取得したとか?
インペリオ!とかクルーシオ!とか杖使って唱えたいよねぇ。
強力な神器が手に入るとか?
エクスカリバー!とかグングニール!とか叫んで決めポーズしたいよねぇ。
だげど、羅針眼は、うんともすんとも状態です。
何もないんかい?
嘘でしょ。
あんなに苦労させてといて。
『耶代』さんよぉ!
どうなってんだぁ、ああん?!
羅針眼に向かって悪態を吐いてると、アティシュリが戻って来ました。
「うまくいったみてぇだな。あいつも悪い夢から醒めたみたぇだったぜ」
親株の方へ振返るアティシュリ。
「じゃあ、もう人を食べないんですよね?」
「ああ。結界、解いてみろ」
半信半疑でしたが、アティシュリを信じて結界を解いてみました。
これまでずっと『耶代』を守ってくれた、薄青いドームが消失していきます。
これまで結界の解除は一瞬でしたが、完全に消えると、外の空気が一斉に流れ込んでくるのがわかりました。
もうすぐ冬なのに、とても爽やかな新緑の香りがします。
「ヒュリア、外に出てみろ」
「は、はい……」
ヒュリアは、アティシュリに促され、恐る恐る空地に足を踏入れます。
そして、あまり音を立てないよう警戒しながら静かに歩き、空地の中央付近までたどり着きました。
「ツクモ! 大丈夫のようだ!」
こちらを振返り、にこやかに叫ぶヒュリア。
なんだか嬉しそうです。
まあ、10日以上結界の中にいたんですからね。
開放感を味わってるんでしょう。
そこでまたチャイムが鳴り、羅針眼が立上がります。
おう、やっときたな羅針眼さんよぉ。
さあさあ、一体何をくれるんだい?
ところが中央に現われた文章は、これでした。
『新しい任務があります』
へっ?
新しい『任務』ですとっ?!
報酬じゃなくて?
やり終えたばかりですぜ。
『任務』の項目に目を向けます。
確かに以前とは違う文章が表示されていました。
『任務:耶卿による『霊器』の成造を完遂させる』
『霊器』を成造する?
『耶卿』が?
つまり、ヒュリアに『霊器』を造れって言ってるわけ?
空地を楽しそうに散歩してるヒュリアが目に入ります。
またこんなことをお願いをしなきゃなんないのかよ……。
『耶代』さん、殺生でんがな。
頭を抱えてると、目の前の地面が、なぜが盛上がってきました。
そして、そこから巨大で不気味なものが出てきたのです。
「うわぁぁぁっ!」
思わず尻餅ついちゃいます。
本来、脅かすのは、こっちの役目なのに。
「おう、珍しい客が来たじゃねぇか」
アティシュリは、やってきた“それ”を面白そうに眺めてます。
地面から現われたものの正体。
それは、巨大な赤黒い虫でした。
低学年の児童くらいの大きさがあります。
「なんなんすか、こいつ?!」
「蟻だ」
「蟻?! こんなにデカいのに?!」
「もちろん普通の蟻じゃねぇ。『妖蟲』の一種で『城蟻』ってやつだ」
『妖蟲』っていうのは、『妖物』の虫バージョンです。
「その城蟻が、なんで急に来たんですか?!」
虫は別に苦手じゃないんですけど、こんなにデカいと、さすがにキモ怖いです。
「俺が知るかよ。――でもまあ、ヤルタクチュが人喰いをやめたんで、この辺りを自由に動けるようになったからじゃねぇか。人喰って言ったって、人間だけを喰ってたわけじゃねぇだろうしな。生き物なら、何でも養分にしちまえるんだからよ」
城蟻はアティシュリの方に顔を向け、人の腕でも簡単に噛みちぎりそうなアゴを打合わせて、ガチガチと音を立てました。
「――ほう、耶代に呼ばれて来たってのか」
蟻と会話してんの?
さすがドラゴン。
いやそれより、耶代に呼ばれた?
どゆこと?
「おいっ、ツ、ツクモ、な、なんだ、それはっ?!
戻ってきたヒュリアは、アティシュリの後ろに隠れて、城蟻の様子をうかがってます。
なんだ、それは、ってか?
そうです、こいつは、変な虫さんです。
もしかして、虫、ダメなのかな。
「城蟻っていう蟻の『妖蟲』だってさ」
「どうでもいいから、はやく追払ってくれ!」
ヒュリアが怒鳴ります。
そう言われてもねぇ。
どうやって追払えばいいんだろ。
城蟻が、今度は僕に向かってアゴを打合わせました。
何か言ってるんでしょうけど、もちろんわかりません。
「よろこんで働かせてもらうそうだ」
アティシュリが通訳してくれます。
働く?
わけがわからず、城蟻を見下ろします。
よく見ると意外とカワイイ目をしてますね。
「ツクモぉ! いいから、はやくどっかやってぇ!」
ヒュリアが泣きべそをかきだしました。
なんか良い。
女の子っぽいヒュリア、もうちょっと見てたい。
そのときまたチャイム音が鳴り、羅針眼が立上がります。
今日、『耶代』さん、フル稼働ですな。
『城蟻を『請負登録』してください。登録には『請負役』に接触して、『締印』を交わす必要があります』
へっ?
『請負登録』?
人間関係が面倒なんで、『盟友』と一緒に避けてきたヤツです。
アティシュリ様に、ずっと気を遣ってたせいで、すっかり忘れていました。
とりあえず『請負』の欄を開き、その説明を見てみました。
『『耶代』の外部において、『耶卿』の目的達成のために必要な作業がある場合、代行する者を『請負役』として登録し、使役するもの』
なるほど。
『耶代』の外で何かやらなきゃならないときでも、僕は外に出られません。
だから、それを代わりにやってもらうわけですね。
うへっ、こんな便利な機能だったなんて。
もっと早く説明見とけば良かった。
まあでも、結局、使えなかったか。
ヤルタクチュが元に戻って初めて、『請負役』が来れるようになったんだもんね。
ところで『締印』てのは何でしょう?
説明を見てみます。
『『締盟契約』の成立時、互いの身体に恃気で描かれる五芒星形の紋様。『恃絆』の繋がりを示す証』
『締盟契約』?
『恃絆』
また新しい用語です。
面倒くさいので、アティシュリに聞きましょう。
「あのぉ、ちょっといいですかねぇ、アティシュリさん」
「うわっ、また出たな、てめぇのソレ」
アティシュリは、あからさまに嫌な顔してます。
「今度は、どんな厄介ごとだ?」
疫病神みたいに言わないで欲しいなあ。
まあ地縛霊も似たようなもんか……。
「『締盟契約』って何なんすかね?」
「ははぁん、なるほどな。『耶代』が城蟻を『請負役』にしろって言ってきたってわけだな」
「ええ、そうなんです。なんでわかったんですか?」
「以前の『耶代』んときにも『請負役』がいたんだよ」
「そうだったんですね」
「てめぇが『請負』を知らなかったってことは、結局また『耶代』から命令されたわけだな」
「いや、命令ってほど強くはないですよ」
「似たようなもんだろが」
呆れたように首を振るアティシュリ
「まぁいい。今んとこ害はねぇしな。――『請負』ってのは『締盟契約』と、ほとんど同じもんだ。つまり『妖物』と契約して使役する術法のことよ」
つまり、テイムってことですな。
「じゃあ『恃絆』ってのは?」
「『恃絆』は術者と『締盟獣』を繋ぐ恃気の糸みてぇなもんだ。目には見えねぇけどな」
「それで、なんか身体に触れて締印をかわせってことらしいんですけど」
「そうだ。『妖物』と『締盟契約』するには、使役しようとする『妖物』に触れて、恃気を交流させることが必要なんだ。交流がうまくいけば、お互いの身体に締印と呼ばれる紋様が浮かぶのよ。――まあ、とりあえずやってみ。実践するのが一番早ぇぞ」
「これ触るんですかぁ?」
目は可愛いけど、あのアゴがマジ怖ぇのよ。
でも、仕方ないかぁ。
右手をゆっくり城蟻に近づけます。
いつ噛みつかれるかってヒヤヒヤしてましたが、城蟻は動かずにいました。
ゆっくりと城蟻のおでこに掌を当てます。
プラスチックみたいな感触です。
すると掌が薄青色に光って、そこから城蟻に恃気が流れこんでいきます。
そのすぐ後、今度は僕の中に城蟻から恃気が流れこんできたのでした。
これが交流ってやつなんでしょうか。
交流を終えた後、手を離してみると、城蟻のおでこと僕の掌に青い五芒星が輝いていました。
どちらの五芒星も、しばらく光っていましたが、そのうち消えていきました。
「それでよし。城蟻は『請負役』になったぜ」
アティシュリの言葉に、かぶせるようにチャイム音がなりました。
羅針眼からの報告です。
『城蟻の請負登録が完了しました』
『城蟻に『搬入』の資格を付与しました』
そこで『請負』の欄を開いてみると、城蟻の名前が表示されていました。
『城蟻:1』
数字は、たぶんですけど、個体数でしょうかね。
つまり数を増やせるのかもしれません。
でも、これで終わり?
なんか物足りないっすねぇ。
「で、君は何をしてくれるのだね?」
城蟻に問いかけると、また例の怖そうなアゴを、ガチガチやりました。
もちろん、意味はわかりません。
「よろしく、だそうだ」
アティシュリが訳してくれます。
もしかしてこれが任務の報酬なんでしょうか。
ものすごぉく損した気分です。
でもホント、無事で良かった。
フェルハトさんのおかげです。
どうか成仏してください。
南無阿弥陀仏……。
おまえもな、ってつっこまれそうですけどね。
自分を助けてくれた人がフェルハトだと知ったヒュリアは、ものすごぉく悔しがってます。
色々聞きたかったみたいです。
彼女にとってフェルハトは、まさに英雄なんでしょう。
『魂露』の方は、『倉庫』の中でも、ずっと振動し続けています。
しかし、どういう原理で振動が続いてるんでしょうかね。
無味無臭で見た目は水と変わらないのに、ホント不思議な液体です。
「キャファメフぅぅぅぅ、うにぇっ、うにぇっ……」
部屋の隅から妙な声が聞こえてきます。
アティシュリが床に座りこんで泣いているのです。
落ちた涙で床にキャラメルの絵を描いてます。
ずっと見ないふりしてたんですけど、なんとかしろってヒュリアに目で合図されたので、仕方なく声をかけました。
「――アティシュリさん、この先、ああいう危険なことがないよう、ちゃんと事前に説明してくださいね。それが約束できるなら、キャラメルの残り、支給してもいいですよ」
ドラゴン救済プログラムを発動しました。
「ふぉんにょかっ?!」
ガバッと顔を上げるアティシュリ。
上げた勢いで涙と鼻水が飛散ります。
きちゃないなぁ。
「――する、するぅ。絶対するぅ!!!」
ふにゃっと笑ったアティシュリは身体をくねらせながら立上がります。
ときどき軽いんだよな、この現金ドラゴン。
「いいでしょう。それと、お手伝いしてくれれば、キャラメルの他にチーズケーキもつけますよ」
「チーズ、ケ、ケーキだとぉ、な、なんだそりゃ?」
「牛乳を発酵させて作った固形分に砂糖や卵なんかを混ぜて焼いたお菓子ですよ。甘味だけでなく、ほのかな酸味や塩味なんかも味わえちゃう、ちょっと大人な逸品なんす」
「牛乳を発酵させた固形分? そりゃ“ペイニル”のことか? ペイニルで甘い菓子を作るなんて初めて聞いたぜ。――チーズケーキかぁ、一体どんな味なんだ……?」
どうやらバシャルではチーズを、ペイニルって言うみたいですね。
『倉庫』の中に牛乳がたくさんあるんで、『調理』の機能でチーズを作ろうとしたんです。
そしたら『調理では作れません』という表示が出ました。
なんでかなと思ってあれこれ考えてみたとき、牛乳の発酵過程に問題がありそうだなと気づきました。
たぶん、『耶代』の力だけじゃ足りなくて、菌類の手を借りる必要があるから『調理』だけじゃできないんじゃないかなと。
そんで『耶代』の機能の中にある『化成』に注目したのです。
漢字から推測したんですけど、説明を見たら、やっぱりでした。
『生物由来の酵素によって物質を変化させるもの。ただし材料と時間が必要である』
これで牛乳を発酵させればチーズがつくれることが分かりました。
多少時間はかかりますが、醤油や味噌なんかもできるに違いありません。
あと、トイレの排泄物もこれで発酵させて、堆肥にします。
そんで、出来上がった堆肥は『配置』の機能で敷地の外に移動させるんです。
『配置』の説明は、こんな感じです。
『耶代内にある物品の転置、もしくは敷地外への移動を行うもの』
堆肥にしちゃえば、環境を汚染することもないし、植物の栄養にもなりますしね。
耶代の機能、よく考えてあります。
さすが隠者様、クールだねぇ。
「ああ、分かってきたぜぇ……、チーズケーキの味がよぉ……。じゅる、じゅる……。塩味、酸味が、甘味を引立てるってわけよ……。じゅる、じゅる……」
アティシュリは、チーズケーキのマボロシを味わってるようですな。
キャラメルのおあずけを食ってるせいで、ハイになってんでしょう。
床に溜まった涙に涎が追加されて、小さな池ができちゃいました。
どんぐりがハマる前に、耳の側でパンパン手を叩いて、美味しい夢の世界から現実へ連戻します。
ビクッとしたアティシュリは、起きたばかりみたいに目をこすって、あたりを見回しました。
「――お手伝いしてくれますかねぇ?」
問いかけられてハッとしたアティシュリは、慌てて胸をたたきます。
「お、おう、まかしとけ!」
ボケ気味のドラゴンに呆れながら、『倉庫』しまっておいた『魂露』を取出しました。
もちろん酒盃から振動が伝わってきます。
「――結局、この『魂露』って、どう使うもんなんですか?」
造れたのはいいですが、使用法が全くわからないのです。
「特別な方法なんてものはねぇぜ。普通の水を植物にやるときみてぇにすりゃあいいのよ」
「でも、あれだけたくさんあるヤルタクチュに、たったこれだけの『魂露』で足ります?」
「問題ねぇ、この一杯で十分だ。――ここのヤルタクチュは元々一本の親株から増えて森になぅたんだ。だからその親株に魂露を与えりゃ、森全体が元に戻るだろうぜ」
「なるほど。――じゃあ、その親株はどこにあるんですかね?」
「確かビルルルが最初に種を植えたのは小屋の右側だったはずだ」
アティシュリに案内されて、その場所にいってみます。
そこから森を眺めてみると、確かに一際太くて高い樹があるのに気づきました。
「あれですかね」
「だろうな」
「そんじゃ、アティシュリ様、お願いします」
『魂露』を手渡します。
「これが手伝いってわけか?」
「その通りです。僕は敷地から出られないし、ヒュリアは食べられちゃうじゃないですか」
結界が一時的に解除されるのを見て、口を尖らせるアティシュリ。
「ほらほら、チーズケーキが待ってますって。頼みますよぉ」
「ちっ、世界の守護者である俺を使いパシリにしやがって。マジでムカつく耗霊だぜ……」
ぶつぶつ文句を言いながらアティシュリは敷地を出ていき、親株へと向かっていきました。
森の中にアティシュリが消えて、しばらく経ったときです。
突然、視界がパッと明るくなったような感じがしました。
「ツクモ、これは……」
ヒュリアも気づいたようで、目をパチパチさせながら周りを見回してます。
特段、何かが変わったというわけではないんです。
ただ、今までの森よりも、色鮮やかというか……、なんというか……。
初めてコンタクトつけたとき、みたいな。
チャイムが鳴って、羅針眼が立上がります。
『任務が達成されました』
視界の中央に青文字で、これが表示されたのです。
よっしゃぁっ!
任務達成!
何か報酬もらえんのかっ?!
また新しい魔導を取得したとか?
インペリオ!とかクルーシオ!とか杖使って唱えたいよねぇ。
強力な神器が手に入るとか?
エクスカリバー!とかグングニール!とか叫んで決めポーズしたいよねぇ。
だげど、羅針眼は、うんともすんとも状態です。
何もないんかい?
嘘でしょ。
あんなに苦労させてといて。
『耶代』さんよぉ!
どうなってんだぁ、ああん?!
羅針眼に向かって悪態を吐いてると、アティシュリが戻って来ました。
「うまくいったみてぇだな。あいつも悪い夢から醒めたみたぇだったぜ」
親株の方へ振返るアティシュリ。
「じゃあ、もう人を食べないんですよね?」
「ああ。結界、解いてみろ」
半信半疑でしたが、アティシュリを信じて結界を解いてみました。
これまでずっと『耶代』を守ってくれた、薄青いドームが消失していきます。
これまで結界の解除は一瞬でしたが、完全に消えると、外の空気が一斉に流れ込んでくるのがわかりました。
もうすぐ冬なのに、とても爽やかな新緑の香りがします。
「ヒュリア、外に出てみろ」
「は、はい……」
ヒュリアは、アティシュリに促され、恐る恐る空地に足を踏入れます。
そして、あまり音を立てないよう警戒しながら静かに歩き、空地の中央付近までたどり着きました。
「ツクモ! 大丈夫のようだ!」
こちらを振返り、にこやかに叫ぶヒュリア。
なんだか嬉しそうです。
まあ、10日以上結界の中にいたんですからね。
開放感を味わってるんでしょう。
そこでまたチャイムが鳴り、羅針眼が立上がります。
おう、やっときたな羅針眼さんよぉ。
さあさあ、一体何をくれるんだい?
ところが中央に現われた文章は、これでした。
『新しい任務があります』
へっ?
新しい『任務』ですとっ?!
報酬じゃなくて?
やり終えたばかりですぜ。
『任務』の項目に目を向けます。
確かに以前とは違う文章が表示されていました。
『任務:耶卿による『霊器』の成造を完遂させる』
『霊器』を成造する?
『耶卿』が?
つまり、ヒュリアに『霊器』を造れって言ってるわけ?
空地を楽しそうに散歩してるヒュリアが目に入ります。
またこんなことをお願いをしなきゃなんないのかよ……。
『耶代』さん、殺生でんがな。
頭を抱えてると、目の前の地面が、なぜが盛上がってきました。
そして、そこから巨大で不気味なものが出てきたのです。
「うわぁぁぁっ!」
思わず尻餅ついちゃいます。
本来、脅かすのは、こっちの役目なのに。
「おう、珍しい客が来たじゃねぇか」
アティシュリは、やってきた“それ”を面白そうに眺めてます。
地面から現われたものの正体。
それは、巨大な赤黒い虫でした。
低学年の児童くらいの大きさがあります。
「なんなんすか、こいつ?!」
「蟻だ」
「蟻?! こんなにデカいのに?!」
「もちろん普通の蟻じゃねぇ。『妖蟲』の一種で『城蟻』ってやつだ」
『妖蟲』っていうのは、『妖物』の虫バージョンです。
「その城蟻が、なんで急に来たんですか?!」
虫は別に苦手じゃないんですけど、こんなにデカいと、さすがにキモ怖いです。
「俺が知るかよ。――でもまあ、ヤルタクチュが人喰いをやめたんで、この辺りを自由に動けるようになったからじゃねぇか。人喰って言ったって、人間だけを喰ってたわけじゃねぇだろうしな。生き物なら、何でも養分にしちまえるんだからよ」
城蟻はアティシュリの方に顔を向け、人の腕でも簡単に噛みちぎりそうなアゴを打合わせて、ガチガチと音を立てました。
「――ほう、耶代に呼ばれて来たってのか」
蟻と会話してんの?
さすがドラゴン。
いやそれより、耶代に呼ばれた?
どゆこと?
「おいっ、ツ、ツクモ、な、なんだ、それはっ?!
戻ってきたヒュリアは、アティシュリの後ろに隠れて、城蟻の様子をうかがってます。
なんだ、それは、ってか?
そうです、こいつは、変な虫さんです。
もしかして、虫、ダメなのかな。
「城蟻っていう蟻の『妖蟲』だってさ」
「どうでもいいから、はやく追払ってくれ!」
ヒュリアが怒鳴ります。
そう言われてもねぇ。
どうやって追払えばいいんだろ。
城蟻が、今度は僕に向かってアゴを打合わせました。
何か言ってるんでしょうけど、もちろんわかりません。
「よろこんで働かせてもらうそうだ」
アティシュリが通訳してくれます。
働く?
わけがわからず、城蟻を見下ろします。
よく見ると意外とカワイイ目をしてますね。
「ツクモぉ! いいから、はやくどっかやってぇ!」
ヒュリアが泣きべそをかきだしました。
なんか良い。
女の子っぽいヒュリア、もうちょっと見てたい。
そのときまたチャイム音が鳴り、羅針眼が立上がります。
今日、『耶代』さん、フル稼働ですな。
『城蟻を『請負登録』してください。登録には『請負役』に接触して、『締印』を交わす必要があります』
へっ?
『請負登録』?
人間関係が面倒なんで、『盟友』と一緒に避けてきたヤツです。
アティシュリ様に、ずっと気を遣ってたせいで、すっかり忘れていました。
とりあえず『請負』の欄を開き、その説明を見てみました。
『『耶代』の外部において、『耶卿』の目的達成のために必要な作業がある場合、代行する者を『請負役』として登録し、使役するもの』
なるほど。
『耶代』の外で何かやらなきゃならないときでも、僕は外に出られません。
だから、それを代わりにやってもらうわけですね。
うへっ、こんな便利な機能だったなんて。
もっと早く説明見とけば良かった。
まあでも、結局、使えなかったか。
ヤルタクチュが元に戻って初めて、『請負役』が来れるようになったんだもんね。
ところで『締印』てのは何でしょう?
説明を見てみます。
『『締盟契約』の成立時、互いの身体に恃気で描かれる五芒星形の紋様。『恃絆』の繋がりを示す証』
『締盟契約』?
『恃絆』
また新しい用語です。
面倒くさいので、アティシュリに聞きましょう。
「あのぉ、ちょっといいですかねぇ、アティシュリさん」
「うわっ、また出たな、てめぇのソレ」
アティシュリは、あからさまに嫌な顔してます。
「今度は、どんな厄介ごとだ?」
疫病神みたいに言わないで欲しいなあ。
まあ地縛霊も似たようなもんか……。
「『締盟契約』って何なんすかね?」
「ははぁん、なるほどな。『耶代』が城蟻を『請負役』にしろって言ってきたってわけだな」
「ええ、そうなんです。なんでわかったんですか?」
「以前の『耶代』んときにも『請負役』がいたんだよ」
「そうだったんですね」
「てめぇが『請負』を知らなかったってことは、結局また『耶代』から命令されたわけだな」
「いや、命令ってほど強くはないですよ」
「似たようなもんだろが」
呆れたように首を振るアティシュリ
「まぁいい。今んとこ害はねぇしな。――『請負』ってのは『締盟契約』と、ほとんど同じもんだ。つまり『妖物』と契約して使役する術法のことよ」
つまり、テイムってことですな。
「じゃあ『恃絆』ってのは?」
「『恃絆』は術者と『締盟獣』を繋ぐ恃気の糸みてぇなもんだ。目には見えねぇけどな」
「それで、なんか身体に触れて締印をかわせってことらしいんですけど」
「そうだ。『妖物』と『締盟契約』するには、使役しようとする『妖物』に触れて、恃気を交流させることが必要なんだ。交流がうまくいけば、お互いの身体に締印と呼ばれる紋様が浮かぶのよ。――まあ、とりあえずやってみ。実践するのが一番早ぇぞ」
「これ触るんですかぁ?」
目は可愛いけど、あのアゴがマジ怖ぇのよ。
でも、仕方ないかぁ。
右手をゆっくり城蟻に近づけます。
いつ噛みつかれるかってヒヤヒヤしてましたが、城蟻は動かずにいました。
ゆっくりと城蟻のおでこに掌を当てます。
プラスチックみたいな感触です。
すると掌が薄青色に光って、そこから城蟻に恃気が流れこんでいきます。
そのすぐ後、今度は僕の中に城蟻から恃気が流れこんできたのでした。
これが交流ってやつなんでしょうか。
交流を終えた後、手を離してみると、城蟻のおでこと僕の掌に青い五芒星が輝いていました。
どちらの五芒星も、しばらく光っていましたが、そのうち消えていきました。
「それでよし。城蟻は『請負役』になったぜ」
アティシュリの言葉に、かぶせるようにチャイム音がなりました。
羅針眼からの報告です。
『城蟻の請負登録が完了しました』
『城蟻に『搬入』の資格を付与しました』
そこで『請負』の欄を開いてみると、城蟻の名前が表示されていました。
『城蟻:1』
数字は、たぶんですけど、個体数でしょうかね。
つまり数を増やせるのかもしれません。
でも、これで終わり?
なんか物足りないっすねぇ。
「で、君は何をしてくれるのだね?」
城蟻に問いかけると、また例の怖そうなアゴを、ガチガチやりました。
もちろん、意味はわかりません。
「よろしく、だそうだ」
アティシュリが訳してくれます。
もしかしてこれが任務の報酬なんでしょうか。
ものすごぉく損した気分です。
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