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東の大陸
ヘタレの勇者に成りたがり<3>
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バシャル滅亡!!!
ヒュリアとタヴシャンは目玉が飛出るくらい驚いてます。
そりゃそうですよね。
魂露のときとは比べものにならない大問題ですから。
でもですね、すでに僕、この惨劇を回避する方法を見つけてるのです。
実は備考欄のヒントの中にジョルジの状況にピッタリ当てはまるのがありまして。
それがこちら。
『英雄願望のモヤシ男には肉を食べさせる』
英雄願望があって、ヒュリアに言わせれば、ひょろひょろ、つまりもやし男。
そして一番の決め手は“肉”が苦手ってことでした。
つまりこのヒントの言いたいことは、エズくほど苦手な肉を食べることができれば、ちゃんと統一化が完成して、ジョルジは英雄になれるってことじゃないかって思うんですよね。
ただ問題は、変身しちゃうほど苦手な肉をどうやって食べさせるかです。
「まぎらわしいんで、別の世界から来たジョルジを『ジョビジ』、バシャルのジョルジを『ジョバシ』と呼ぶことにしましょうか」
『ジョビジ』はジョルジビジター、『ジョバシ』はジョルジバシャルの略です。
「なんだそりゃ、ホント名付けの才能ねぇなぁ、てめぇは。余計に混乱しそうだぜ」
アティシュリの心底馬鹿にした感じの視線が、僕の精神にクリティカルヒットします。
ツクモノメンタルガ、200サガッタ。
「い、いいじゃないすか……、区別さえつけば……」
タヴシャンさんはニヤニヤしてますし、ヒュリアは諦めた感じで肩をすくめます。
ヒュ、ヒュリアまで……。
そんなにネーミングセンス無いかなぁ。
まあ確かに、ゲームのキャラ名決めるときの定番は『ツクエモン』とか『味付けモクツ』だったけどさぁ……。
ああ、もう、ダルいわぁ!
いいんだよ、こんなんセンス無くたって!
名前つけんのがヘタだって、死にゃあしないんだから!
いや、死んでんですけどねっ!
気を取直して、話を戻しましょう。
「――ところで、アティシュリさん、この鎧って部分的に解除できないんすかねぇ?」
「ああっ? 確か出来るはずだぜぇ。人に会うときなんざ、顔出さなきゃなんねぇだろ。フェルハトが兜の部分だけを解除して客と会ってんのを、よく見かけたもんだ」
「そうですか。だったらまず、『ジョビジ』君の方に兜を解除してもらって、肉を食べてもらいましょうかね」
「はぁ? 何言ってんだ、てめぇ」
「あのですね、『耶代』がジョルジ君に、肉を食べさせろって言ってんですよ」
「肉を食わせるだと……? そりゃあどういうことだ?!」
「まあこれは僕の予想なんすけど、『耶代』は、二人のジョルジの違いは、肉を食べられるかどうかだって言いたいんじゃないかって思うんですよね」
アティシュリは穴が開くほど僕の顔を見つめてきます。
そして、にょーって叫びながら、両手で頭をかきむしりました。
「ああっ! くそがっ! まったくよぉ! てめぇの話を聞いてると、真面目にバシャルの行末を案じてる俺がバカみてぇに思えるぜっ! 肉が食えるかどうかに、バシャルの命運がかかってるだと! ふざけた話だなっ!」
はいはい、ご愁傷様です。
「てめぇ、そりゃマジで言ってやがんのかっ?!」
「まあ『耶代』が言ってんだから、マジなんじゃないすかね」
アティシュリはまた、にょーと叫んで頭を掻きむしりました。
「まあ、物は試しってなもんだから、とにかく、やってみましょうか」
僕は突っ立ったままでいる『ジョビジ』に語りかけます。
「えーと、君、お肉食べられますかぁ?」
「ニク……」
「いや、せっかく作った料理なんで、冷めないうちに食べてもらえたら嬉しいかも」
テーブルの上のステーキを指差します。
『ジョビジ』は、つられるようにテーブルまで歩いていき、ステーキの前に腰を下ろしました。
そしてフォークとナイフを手に取ってステーキを一口大に切り、口に運びます。
当然、顔面を覆っている兜が食べることを拒否るのでして。
『ジョビジ』は、なんとか食べようとして口元に肉をこすりつけてますが、どうにもなりません。
しびれを切らし、またあの雄たけびを上げると、フォークとナイフを壁に投げつけました。
タヴシャンの顔の横を、もの凄い勢いで飛んだフォークとナイフは、壁に深々と突き刺さります。
タヴシャンは、ヒッと声を上げ、椅子から転げ落ちました。
イライラして立上がろうとする『ジョビジ』の肩をポンポンと叩くようにして押しとどめます。
攻撃と間違われないように細心の注意を払わなければなりません。
まあでも、たとえ攻撃されたとしても、痛くも痒くもないんですけどね。
『耶代』の中じゃ、『耶宰』への攻撃は全て無効になりますんで。
ただ、ヒュリアやタヴシャンにまで被害が及ぶのは避けなくちゃいけません。
「はいはい、ちょっと落着こうねぇ。まずは顔面を覆っている兜をとってみようか」
提案を聞いた『ジョビジ』は、両手で頬のあたりを押さえて持上げ、兜を脱ごうとしました。
もちろん無理に決まってます。
見た感じでもわかりますけど、鎧と兜、一体化してますからね。
「それじゃ脱げないと思うよ。たぶんなんだけど、物理的に脱ぐんじゃなくて、脱ごうとする意志が重要なんじゃないかな?」
それを聞いて何かを悟った感じの『ジョビジ』は背筋をピンと伸ばして静かになりました。
たぶん精神を集中させ始めたんでしょう。
しかし、かなりの時間そうしてたんですが、何も起こりません。
『ジョビジ』は、キレ気味にまた雄たけびを上げました。
「何で脱げないんですかねぇ?」
「そうだなぁ、何かが解除する意志を妨害してんだと思うけどよ……」
アティシュリも首をひねります。
「『ジョバシ』の方が肉を食べたくなくて、邪魔してるんじゃないか?」
「おおっ! なるほど! きっとそれだ!」
ヒュリアのご明察、恐れ入ります。
「――もしもぉし、たぶん心の片隅で震えてるだろうバシャルのジョルジ君! 聞こえますかぁ?!」
ジョルジの後に立って、頭の上から『ジョバシ』の方に語りかけてみました。
「君が肉を食べたくない気持ちは、よぉくわかるよ。僕も生きてるときは、パクチーとかセロリとか食べられなかったからね。でもさ、もし君が肉をこの先も完全拒否するなら、統一化は不完全のままで、最後には大爆発ってことになるわけじゃん。そしたら、バシャル滅亡、人類全滅てなことになるわけだけど。君、言ったよね、英雄になって困ってる人や、酷い目にあってる人を助けたいって。このままだと、君自身が、バシャルの人を酷い目にあわせることになるんじゃないの? それで良いわけ?」
しばらくすると、ふいに兜の部分が消失し、生身の顔が現れました。
説得成功のようです。
兜の下から現れた顔は、ヒュリアに怯えていた少女ように弱々しいものではなく、精悍だけれど深い悲しみをたたえた青年のものでした。
僕は『倉庫』からフォークとナイフを改めて取出して手渡しました。
それを受取った『ジョビジ』は改めて肉を切り、口に運びます。
「ウマイ……」
肉を噛みしめる『ジョビジ』の目から、なぜか大粒の涙がこぼれます。
「トウサン……、カアサン……、パンドラ……、タスケラレ……、ナクテゴ……、メン……」
言い終えた途端、フォークとナイフが手から離れてテーブルに落ち、澄んだ金属音が響き渡りました。
そして、おなじみの訛りが戻ってきます。
「――オ、オラ、なぬすてたっけ?」
ジョルジは目の前にステーキがあることに気づくと、また気持ち悪くなったのか、口を両手で押さえました。
ところが、それが青い鎧の手だと気づき、声を上げます。
「てほぉっ! なじょしたぁっ?!」
椅子から立上がり、自分の身体を見回すジョルジ。
首から上だけ生身で、身体は青い鎧なのを知り、アワアワしてます。
「ジョルジ、どうやら、お前の暴走を止める手段が見つかったようだ……」
アティシュリは、つかつかとジョルジの前に行き、その顔を見上げます。
そして、ビビってるジョルジの胸に人差し指を突きつけると、容赦ない死刑宣告を下したのでした。
「お前、今日から必ず、一日一度は肉を食え。いいな」
「てほっ、そ、そいなごど言われても……」
「もし、これを破ったら……」
ドラゴン姉さんは人差し指を拳に替え、ジョルジに軽い腹パンを食らわせます。
「――爆発して死ぬよりも恐ろしい最後が待ってると思えよ」
「てほぉぉぉぉっ!!!!」
こうしてジョルジは絶望的な悲鳴を上げることになったのでした。
めでたし、めでたし。
「それでだなツクモ、こいつを当分ここに置いて肉料理を食わせてやってくれるか?」
「まあ僕は別に構いませんけど……」
でも、このアティシュリの提案に真向から反対する人物が、いらっしゃいまして。
「私は、ひょろひょろ男をここに置くことを許すつもりはないからな、ツクモ!」
目が完全にキマっちゃってるヒュリア。
怖いって。
「おい、ヒュリア。ジョルジの具合にゃあ、バシャルの命運がかかってんだぜ。こいつをここで保護しなかったら、またどこかで暴走しちまうだろうが」
「だったら、アティシュリ様が御自分の御住まいに連れていって、保護なさればいいじゃありませんかっ!」
「お前、さっきから何をそんなにムキになってんだよ。らしくねぇなぁ。いいじゃねぇか、一人ぐらい住人が増えたってよ」
「いいえ、ダメなものはダメです! こんな女男と暮らすなど、まったくもってお断りですっ! ――いいか、ツクモ、拒否的防衛圏を死守するんだ、わかったな!」
吐き捨てるように言ったヒュリアは、席を蹴って外に飛出していきました。
おいおい、拒否的防衛圏って何なのさ……?
「ったく、あいつはどうしちまったんだ。俺に対してあんなに反抗的になるのは、初めて会ったとき以来だぜ……」
さすがのアティシュリも、困った感じで頭を掻いてます。
「うふっ、若くて可愛い男の子が来たから照れてるですよぉ」
口に手を当てて含み笑いするタヴシャン。
でたでた、近所のお節介おばさんコメント。
やっぱ、ときどきオバンくさいんだよなぁ、このダークエルフ。
「オ、オラのせいだべ……」
ジョルジは、完全にサゲ状態です。
これって僕が行くしかないんだよねぇ。
こういうのホントは苦手なんだけど……。
「ちょっと見てきます」
ヒュリアを追って外に出ます。
屋敷の周りを捜して回ると、ヤルタクチュの親株が見えるところに、ヒュリアが体育座りしているのをみつけました。
おでこを膝つけて、顔を伏せています。
外はすっきりとした青空が広がり、清々しい風がそよいでいます。
その風がヤルタクチュの葉を揺らし、そしてヒュリアの髪を柔らかく撫でていきます。
もうすぐお昼です。
「ヒュリア」
呼んでも顔を上げません。
仕方なく横に腰をおろします。
黙ったままでいると、彼女の方が口を開きました。
「なんで神は私に復体鎧をくださらなかったんだろう。あの力があれば、命を落とさずにすんだ人達がいたはずなんだ……。あんな、ひょろひょろの女男なんかに……」
「――まあ、ジョルジ君も好きであの力を手に入れたわけじゃないみたいだしさ。むしろ相当酷い目にあってきたんだと思うよ。それに下手すればバシャルを滅亡させかねないわけでしょ。英雄になりたいなんていう正義感を持ってる分、精神的に、かなり参ってんじゃない?」
ヒュリアは顔を上げると、こっちに向直ります。
「私は別に、あいつを嫌ってるわけじゃないんだ。ただ……」
「性に合わない?」
こくりと頷くヒュリア。
「――ところで話変わるけどさ、ヒュリアって皇帝になったら、たくさんの臣下に囲まれることになるよね」
「ああ……、たぶん、そうなるだろうな」
「臣下にもいろんな奴がいるよね。たとえば、性格とか態度とか、すげぇ悪んだけど、後ろに帝国を支えてる勢力がついてるような貴族が臣下になったとき、ヒュリアはどうするの? さっさとそいつを排除しちゃう?」
「いや、なんとか上手くやっていくしかないだろう。排除すれば内乱を招くことになりかねない。結局、ツケは国民にまわることになるからな」
「ホントに? 上手くやっていく自信ある? クズムスで、ぶったぎったりしない?」
「――自信は……、無い……」
「ハハハ、だよね。じゃあさ、ジョルジ君で練習するってのはどうかな。性に合わない奴が近くにいても、なんとかやっていくためのさ」
ヒュリアは抱えてる膝にまた、おでこを付けて顔を伏せ、黙りこみます。
「――やっぱ、無理かな?」
唐突にガバっと顔を上げ、空を見上げるヒュリア。
彼女は、そのまま両手を広げ、大きく深呼吸をしました。
「はぁっ、そうだな。君の言うとおりだ、ツクモ。国家の舵取りとは、そんなに甘いものではない。清廉な者だけを採用し、汚濁な者を切捨てていけば国は必ず立行かなくなるだろう。もちろん逆も同じだ。清濁を合わせて治めることができなければ、皇帝になどなれるはずがない」
はにかんだ笑顔を見せるヒュリア。
キューティー!って叫びたくなりますな。
「子供じみた振舞いだった……。君には世話になりっぱなしだな、ツクモ……。すまなかった……」
「いや、僕のことは全然気にしないでいいからね。それより、ジョルジ君が、しばらくここにいても大丈夫で良いのかな?」
「ああ、逗留を認めよう。――後でアティシュリ様に謝っておかねばならないな……」
「ジョルジ君にもね」
「――そうだな」
「ほんじゃ話がまとまったとこで、中へ戻ろうよ。もうすぐお昼だし」
でもヒュリアは腰を上げません。
「ツクモ……、私からも話があるんだが……」
「えーと、何でしょうかぁ……」
なんだ、なんだ、深刻な話っぽいぞ。
飯がまずいとか、掃除が不十分とか?
まさか、焦臭いのをどうにかしろとでも……。
「――トゥガイ達は撃退したが、私への追討が終わったわけではない」
なんだ、そっちの話か。
ちょっと安心。
「帝国は、早ければ一月後に、ここへ騎士団を派遣してくる可能性がある」
うへっ!
全然安心じゃなかった!
「メシフは私を殺すことに執着しているから、可能性はかなり高いと見ていい」
「どの程度の規模になるのかな……?」
「アティシュリ様のことを計算にいれて軍を編制するだろうから、少なくとも騎士団が二つ、兵数にして1万は考慮すべきだろう」
「1万!」
こんな丸太小屋にぃ?
家政婦みたいな地縛霊にぃ?
1万?!
嘘でしょ?!
「アティシュリ様は、もちろん戦われないだろうから、全て私と君で対処することになる。今のうちに何らかの手を打っておかないと、かなり厳しい状況に陥ることは間違いないだろう。――どうだツクモ、何か妙案が、あれば聞かせてくれないか?」
「いやぁ、いきなり言われても……。すぐには思いつかないなぁ」
「うむ、確かにそうだ……。すぐにみつかるなら苦労はいらないからな。ただ『耶代』が何か言ってないかと思ってね」
『羅針眼』でヒントを確かめますが、それらしきものは見当たりません。
「まだ少し時間はあるが、なるだけ早く対応を決めなければならない。ツクモも、どうするか考えておいて欲しい」
いや、困った。
こりゃ死活問題ですよ。
どうすんのよ、耶代さん。
ヒュリアとタヴシャンは目玉が飛出るくらい驚いてます。
そりゃそうですよね。
魂露のときとは比べものにならない大問題ですから。
でもですね、すでに僕、この惨劇を回避する方法を見つけてるのです。
実は備考欄のヒントの中にジョルジの状況にピッタリ当てはまるのがありまして。
それがこちら。
『英雄願望のモヤシ男には肉を食べさせる』
英雄願望があって、ヒュリアに言わせれば、ひょろひょろ、つまりもやし男。
そして一番の決め手は“肉”が苦手ってことでした。
つまりこのヒントの言いたいことは、エズくほど苦手な肉を食べることができれば、ちゃんと統一化が完成して、ジョルジは英雄になれるってことじゃないかって思うんですよね。
ただ問題は、変身しちゃうほど苦手な肉をどうやって食べさせるかです。
「まぎらわしいんで、別の世界から来たジョルジを『ジョビジ』、バシャルのジョルジを『ジョバシ』と呼ぶことにしましょうか」
『ジョビジ』はジョルジビジター、『ジョバシ』はジョルジバシャルの略です。
「なんだそりゃ、ホント名付けの才能ねぇなぁ、てめぇは。余計に混乱しそうだぜ」
アティシュリの心底馬鹿にした感じの視線が、僕の精神にクリティカルヒットします。
ツクモノメンタルガ、200サガッタ。
「い、いいじゃないすか……、区別さえつけば……」
タヴシャンさんはニヤニヤしてますし、ヒュリアは諦めた感じで肩をすくめます。
ヒュ、ヒュリアまで……。
そんなにネーミングセンス無いかなぁ。
まあ確かに、ゲームのキャラ名決めるときの定番は『ツクエモン』とか『味付けモクツ』だったけどさぁ……。
ああ、もう、ダルいわぁ!
いいんだよ、こんなんセンス無くたって!
名前つけんのがヘタだって、死にゃあしないんだから!
いや、死んでんですけどねっ!
気を取直して、話を戻しましょう。
「――ところで、アティシュリさん、この鎧って部分的に解除できないんすかねぇ?」
「ああっ? 確か出来るはずだぜぇ。人に会うときなんざ、顔出さなきゃなんねぇだろ。フェルハトが兜の部分だけを解除して客と会ってんのを、よく見かけたもんだ」
「そうですか。だったらまず、『ジョビジ』君の方に兜を解除してもらって、肉を食べてもらいましょうかね」
「はぁ? 何言ってんだ、てめぇ」
「あのですね、『耶代』がジョルジ君に、肉を食べさせろって言ってんですよ」
「肉を食わせるだと……? そりゃあどういうことだ?!」
「まあこれは僕の予想なんすけど、『耶代』は、二人のジョルジの違いは、肉を食べられるかどうかだって言いたいんじゃないかって思うんですよね」
アティシュリは穴が開くほど僕の顔を見つめてきます。
そして、にょーって叫びながら、両手で頭をかきむしりました。
「ああっ! くそがっ! まったくよぉ! てめぇの話を聞いてると、真面目にバシャルの行末を案じてる俺がバカみてぇに思えるぜっ! 肉が食えるかどうかに、バシャルの命運がかかってるだと! ふざけた話だなっ!」
はいはい、ご愁傷様です。
「てめぇ、そりゃマジで言ってやがんのかっ?!」
「まあ『耶代』が言ってんだから、マジなんじゃないすかね」
アティシュリはまた、にょーと叫んで頭を掻きむしりました。
「まあ、物は試しってなもんだから、とにかく、やってみましょうか」
僕は突っ立ったままでいる『ジョビジ』に語りかけます。
「えーと、君、お肉食べられますかぁ?」
「ニク……」
「いや、せっかく作った料理なんで、冷めないうちに食べてもらえたら嬉しいかも」
テーブルの上のステーキを指差します。
『ジョビジ』は、つられるようにテーブルまで歩いていき、ステーキの前に腰を下ろしました。
そしてフォークとナイフを手に取ってステーキを一口大に切り、口に運びます。
当然、顔面を覆っている兜が食べることを拒否るのでして。
『ジョビジ』は、なんとか食べようとして口元に肉をこすりつけてますが、どうにもなりません。
しびれを切らし、またあの雄たけびを上げると、フォークとナイフを壁に投げつけました。
タヴシャンの顔の横を、もの凄い勢いで飛んだフォークとナイフは、壁に深々と突き刺さります。
タヴシャンは、ヒッと声を上げ、椅子から転げ落ちました。
イライラして立上がろうとする『ジョビジ』の肩をポンポンと叩くようにして押しとどめます。
攻撃と間違われないように細心の注意を払わなければなりません。
まあでも、たとえ攻撃されたとしても、痛くも痒くもないんですけどね。
『耶代』の中じゃ、『耶宰』への攻撃は全て無効になりますんで。
ただ、ヒュリアやタヴシャンにまで被害が及ぶのは避けなくちゃいけません。
「はいはい、ちょっと落着こうねぇ。まずは顔面を覆っている兜をとってみようか」
提案を聞いた『ジョビジ』は、両手で頬のあたりを押さえて持上げ、兜を脱ごうとしました。
もちろん無理に決まってます。
見た感じでもわかりますけど、鎧と兜、一体化してますからね。
「それじゃ脱げないと思うよ。たぶんなんだけど、物理的に脱ぐんじゃなくて、脱ごうとする意志が重要なんじゃないかな?」
それを聞いて何かを悟った感じの『ジョビジ』は背筋をピンと伸ばして静かになりました。
たぶん精神を集中させ始めたんでしょう。
しかし、かなりの時間そうしてたんですが、何も起こりません。
『ジョビジ』は、キレ気味にまた雄たけびを上げました。
「何で脱げないんですかねぇ?」
「そうだなぁ、何かが解除する意志を妨害してんだと思うけどよ……」
アティシュリも首をひねります。
「『ジョバシ』の方が肉を食べたくなくて、邪魔してるんじゃないか?」
「おおっ! なるほど! きっとそれだ!」
ヒュリアのご明察、恐れ入ります。
「――もしもぉし、たぶん心の片隅で震えてるだろうバシャルのジョルジ君! 聞こえますかぁ?!」
ジョルジの後に立って、頭の上から『ジョバシ』の方に語りかけてみました。
「君が肉を食べたくない気持ちは、よぉくわかるよ。僕も生きてるときは、パクチーとかセロリとか食べられなかったからね。でもさ、もし君が肉をこの先も完全拒否するなら、統一化は不完全のままで、最後には大爆発ってことになるわけじゃん。そしたら、バシャル滅亡、人類全滅てなことになるわけだけど。君、言ったよね、英雄になって困ってる人や、酷い目にあってる人を助けたいって。このままだと、君自身が、バシャルの人を酷い目にあわせることになるんじゃないの? それで良いわけ?」
しばらくすると、ふいに兜の部分が消失し、生身の顔が現れました。
説得成功のようです。
兜の下から現れた顔は、ヒュリアに怯えていた少女ように弱々しいものではなく、精悍だけれど深い悲しみをたたえた青年のものでした。
僕は『倉庫』からフォークとナイフを改めて取出して手渡しました。
それを受取った『ジョビジ』は改めて肉を切り、口に運びます。
「ウマイ……」
肉を噛みしめる『ジョビジ』の目から、なぜか大粒の涙がこぼれます。
「トウサン……、カアサン……、パンドラ……、タスケラレ……、ナクテゴ……、メン……」
言い終えた途端、フォークとナイフが手から離れてテーブルに落ち、澄んだ金属音が響き渡りました。
そして、おなじみの訛りが戻ってきます。
「――オ、オラ、なぬすてたっけ?」
ジョルジは目の前にステーキがあることに気づくと、また気持ち悪くなったのか、口を両手で押さえました。
ところが、それが青い鎧の手だと気づき、声を上げます。
「てほぉっ! なじょしたぁっ?!」
椅子から立上がり、自分の身体を見回すジョルジ。
首から上だけ生身で、身体は青い鎧なのを知り、アワアワしてます。
「ジョルジ、どうやら、お前の暴走を止める手段が見つかったようだ……」
アティシュリは、つかつかとジョルジの前に行き、その顔を見上げます。
そして、ビビってるジョルジの胸に人差し指を突きつけると、容赦ない死刑宣告を下したのでした。
「お前、今日から必ず、一日一度は肉を食え。いいな」
「てほっ、そ、そいなごど言われても……」
「もし、これを破ったら……」
ドラゴン姉さんは人差し指を拳に替え、ジョルジに軽い腹パンを食らわせます。
「――爆発して死ぬよりも恐ろしい最後が待ってると思えよ」
「てほぉぉぉぉっ!!!!」
こうしてジョルジは絶望的な悲鳴を上げることになったのでした。
めでたし、めでたし。
「それでだなツクモ、こいつを当分ここに置いて肉料理を食わせてやってくれるか?」
「まあ僕は別に構いませんけど……」
でも、このアティシュリの提案に真向から反対する人物が、いらっしゃいまして。
「私は、ひょろひょろ男をここに置くことを許すつもりはないからな、ツクモ!」
目が完全にキマっちゃってるヒュリア。
怖いって。
「おい、ヒュリア。ジョルジの具合にゃあ、バシャルの命運がかかってんだぜ。こいつをここで保護しなかったら、またどこかで暴走しちまうだろうが」
「だったら、アティシュリ様が御自分の御住まいに連れていって、保護なさればいいじゃありませんかっ!」
「お前、さっきから何をそんなにムキになってんだよ。らしくねぇなぁ。いいじゃねぇか、一人ぐらい住人が増えたってよ」
「いいえ、ダメなものはダメです! こんな女男と暮らすなど、まったくもってお断りですっ! ――いいか、ツクモ、拒否的防衛圏を死守するんだ、わかったな!」
吐き捨てるように言ったヒュリアは、席を蹴って外に飛出していきました。
おいおい、拒否的防衛圏って何なのさ……?
「ったく、あいつはどうしちまったんだ。俺に対してあんなに反抗的になるのは、初めて会ったとき以来だぜ……」
さすがのアティシュリも、困った感じで頭を掻いてます。
「うふっ、若くて可愛い男の子が来たから照れてるですよぉ」
口に手を当てて含み笑いするタヴシャン。
でたでた、近所のお節介おばさんコメント。
やっぱ、ときどきオバンくさいんだよなぁ、このダークエルフ。
「オ、オラのせいだべ……」
ジョルジは、完全にサゲ状態です。
これって僕が行くしかないんだよねぇ。
こういうのホントは苦手なんだけど……。
「ちょっと見てきます」
ヒュリアを追って外に出ます。
屋敷の周りを捜して回ると、ヤルタクチュの親株が見えるところに、ヒュリアが体育座りしているのをみつけました。
おでこを膝つけて、顔を伏せています。
外はすっきりとした青空が広がり、清々しい風がそよいでいます。
その風がヤルタクチュの葉を揺らし、そしてヒュリアの髪を柔らかく撫でていきます。
もうすぐお昼です。
「ヒュリア」
呼んでも顔を上げません。
仕方なく横に腰をおろします。
黙ったままでいると、彼女の方が口を開きました。
「なんで神は私に復体鎧をくださらなかったんだろう。あの力があれば、命を落とさずにすんだ人達がいたはずなんだ……。あんな、ひょろひょろの女男なんかに……」
「――まあ、ジョルジ君も好きであの力を手に入れたわけじゃないみたいだしさ。むしろ相当酷い目にあってきたんだと思うよ。それに下手すればバシャルを滅亡させかねないわけでしょ。英雄になりたいなんていう正義感を持ってる分、精神的に、かなり参ってんじゃない?」
ヒュリアは顔を上げると、こっちに向直ります。
「私は別に、あいつを嫌ってるわけじゃないんだ。ただ……」
「性に合わない?」
こくりと頷くヒュリア。
「――ところで話変わるけどさ、ヒュリアって皇帝になったら、たくさんの臣下に囲まれることになるよね」
「ああ……、たぶん、そうなるだろうな」
「臣下にもいろんな奴がいるよね。たとえば、性格とか態度とか、すげぇ悪んだけど、後ろに帝国を支えてる勢力がついてるような貴族が臣下になったとき、ヒュリアはどうするの? さっさとそいつを排除しちゃう?」
「いや、なんとか上手くやっていくしかないだろう。排除すれば内乱を招くことになりかねない。結局、ツケは国民にまわることになるからな」
「ホントに? 上手くやっていく自信ある? クズムスで、ぶったぎったりしない?」
「――自信は……、無い……」
「ハハハ、だよね。じゃあさ、ジョルジ君で練習するってのはどうかな。性に合わない奴が近くにいても、なんとかやっていくためのさ」
ヒュリアは抱えてる膝にまた、おでこを付けて顔を伏せ、黙りこみます。
「――やっぱ、無理かな?」
唐突にガバっと顔を上げ、空を見上げるヒュリア。
彼女は、そのまま両手を広げ、大きく深呼吸をしました。
「はぁっ、そうだな。君の言うとおりだ、ツクモ。国家の舵取りとは、そんなに甘いものではない。清廉な者だけを採用し、汚濁な者を切捨てていけば国は必ず立行かなくなるだろう。もちろん逆も同じだ。清濁を合わせて治めることができなければ、皇帝になどなれるはずがない」
はにかんだ笑顔を見せるヒュリア。
キューティー!って叫びたくなりますな。
「子供じみた振舞いだった……。君には世話になりっぱなしだな、ツクモ……。すまなかった……」
「いや、僕のことは全然気にしないでいいからね。それより、ジョルジ君が、しばらくここにいても大丈夫で良いのかな?」
「ああ、逗留を認めよう。――後でアティシュリ様に謝っておかねばならないな……」
「ジョルジ君にもね」
「――そうだな」
「ほんじゃ話がまとまったとこで、中へ戻ろうよ。もうすぐお昼だし」
でもヒュリアは腰を上げません。
「ツクモ……、私からも話があるんだが……」
「えーと、何でしょうかぁ……」
なんだ、なんだ、深刻な話っぽいぞ。
飯がまずいとか、掃除が不十分とか?
まさか、焦臭いのをどうにかしろとでも……。
「――トゥガイ達は撃退したが、私への追討が終わったわけではない」
なんだ、そっちの話か。
ちょっと安心。
「帝国は、早ければ一月後に、ここへ騎士団を派遣してくる可能性がある」
うへっ!
全然安心じゃなかった!
「メシフは私を殺すことに執着しているから、可能性はかなり高いと見ていい」
「どの程度の規模になるのかな……?」
「アティシュリ様のことを計算にいれて軍を編制するだろうから、少なくとも騎士団が二つ、兵数にして1万は考慮すべきだろう」
「1万!」
こんな丸太小屋にぃ?
家政婦みたいな地縛霊にぃ?
1万?!
嘘でしょ?!
「アティシュリ様は、もちろん戦われないだろうから、全て私と君で対処することになる。今のうちに何らかの手を打っておかないと、かなり厳しい状況に陥ることは間違いないだろう。――どうだツクモ、何か妙案が、あれば聞かせてくれないか?」
「いやぁ、いきなり言われても……。すぐには思いつかないなぁ」
「うむ、確かにそうだ……。すぐにみつかるなら苦労はいらないからな。ただ『耶代』が何か言ってないかと思ってね」
『羅針眼』でヒントを確かめますが、それらしきものは見当たりません。
「まだ少し時間はあるが、なるだけ早く対応を決めなければならない。ツクモも、どうするか考えておいて欲しい」
いや、困った。
こりゃ死活問題ですよ。
どうすんのよ、耶代さん。
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ところが、今度は自分を追うように領地までが異世界転移してしまう。
家臣や領民を守るため、新九郎は異世界での生き残りを目指すが周囲は問題だらけ。
領地は魔物溢れる荒れ地のど真ん中に転移。
唯一頼れた貴族はお家騒動で没落寸前。
敵対勢力は圧倒的な戦力。
果たして苦境を脱する術はあるのか?
かつて、日本から様々なものが異世界転移した。
侍 = 刀一本で無双した。
自衛隊 = 現代兵器で無双した。
日本国 = 国力をあげて無双した。
では、戦国大名が家臣を引き連れ、領地丸ごと、剣と魔法の異世界へ転移したら――――?
【新九郎の解答】
国を盗って生き残るしかない!(必死)
【ちなみに異世界の人々の感想】
何なのこの狂戦士!? もう帰れよ!
戦国日本の侍達が生き残りを掛けて本気で戦った時、剣と魔法の異世界は勝てるのか?
これは、その疑問に答える物語。
異世界よ、戦国武士の本気を思い知れ――――。
※「小説家になろう」様、「カクヨム」様にも投稿しています。
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そんなチートな箱庭でまったりと過ごしていれば迷い込んでくる女性たちがいた。
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チートな箱庭で作った現代技術たちを前に、女性たちは現代技術にどっぷりとはまっていく。
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皆さん勘違いしてません?
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本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
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