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41 日常
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* * *
「わー美味しそうー! もらってもいいんすかー?」
夏休みはあっという間に終わり、新たな日常が戻ってきた。
八代くんは箱の中から温泉饅頭を一つ取り出して、もそもそと食べ始めた。
さっき一緒に昼ご飯食べたので、デザート代わりといったところだろう。
僕も一つ、袋を開けて饅頭を口に入れた。
森下くんと一緒に買った、店へのお土産だ。
従業員用休憩室はいつ来ても賑わっている。
アパレルショップ店員の中には、がっつり長袖の秋仕様の服を着用している人もちらほら見られる。
八月だけど、自分の店もすでに秋仕様になっているので、僕も長袖だ。コーデュロイのオーバーシャツを着ている。正直暑い。
「そうだ。店長、来週の土曜日で大丈夫ですか? 送別会」
「あぁうん、大丈夫だよ。予約しちゃってくれる?」
「はーい。寂しいですねー、ずっとこの店にいたのに」
三番手の社員さんが八月いっぱいで異動になるので、その送別会だ。
代わりに他の店舗から新しく異動してくる子がいる。鈴木 乃蒼さんという新卒の子らしいけど。
「今度来る子、鈴木さんって言うんだよね」
「あぁはい。この間俺も、マネージャーから聞きました」
「鈴木さんって、もう一人いるからなぁ」
アルバイトさんにも鈴木さんがいるので、ちょっとややこしい。流石、日本で二番目に多い苗字。
「乃蒼っちでいいじゃないですか」
お茶を飲みこみながら八代くんが言うので、ふふっと笑ってしまう。
「そんな風に呼んでるのがマネージャーにバレたらどうなるか」
「じゃあ、のあにゃんとか、のあのあとか」
「アイドルじゃないんですから」
結局普通に『乃蒼さん』と呼ぶことに決めた。
話したことはないし、顔さえも知らないのだけれど。
「そういえば、森下さんとはどこらへんをまわったんですかー?」
湯河原を勧めてくれたのは八代くんなので、僕らが何処で何をしたのか気になるみたいだ。
何処で、何を……
僕らはあの部屋で……何を……。
思い出すだけでも恥ずかしいので、なるべく旅行の話はしたくない。
八代くんに色々と突っ込まれても、僕はお土産話を一つも話すことができなかった。
あの日、朝の行為を終えた後はお互い何事も無かったかのように振舞った。
普通に朝ごはんを食べ、普通に部屋でのんびりとし。
もう一度風呂に行こうと誘われたけど、そこはやんわりと断り、森下くんだけが大浴場へ行って、戻ってきて少ししたら部屋を出て。
駅の方でお土産を買い、普通に家まで送ってもらった。
『すごく楽しかった、また行こうね!』とは言われたけど、あの件については一言も触れず、温泉旅行は終了となったのだ。
そう、普通。
森下くんの態度がいつも通り過ぎたので、僕は混乱しているのだ。
旅行で別れたきり、彼とは顔を合わせていない。
今日も彼の店にランチをしに行こうと思えば出来たのに、わざわざコンビニに行きたいと僕が八代くんにお願いして、休憩室で昼食をとった。
森下くんから何かアクションをされたらそれに対応しようかと考えているが…。
僕からはとても恥ずかしくて、声を掛けられそうにもない。
時間が経過して、自分の行いを客観的に見られたからだろうか……自分も森下くんのをしてもいいかなんてよく言えたものだ。あんな破廉恥なこと、普通はしないだろう!
「わー美味しそうー! もらってもいいんすかー?」
夏休みはあっという間に終わり、新たな日常が戻ってきた。
八代くんは箱の中から温泉饅頭を一つ取り出して、もそもそと食べ始めた。
さっき一緒に昼ご飯食べたので、デザート代わりといったところだろう。
僕も一つ、袋を開けて饅頭を口に入れた。
森下くんと一緒に買った、店へのお土産だ。
従業員用休憩室はいつ来ても賑わっている。
アパレルショップ店員の中には、がっつり長袖の秋仕様の服を着用している人もちらほら見られる。
八月だけど、自分の店もすでに秋仕様になっているので、僕も長袖だ。コーデュロイのオーバーシャツを着ている。正直暑い。
「そうだ。店長、来週の土曜日で大丈夫ですか? 送別会」
「あぁうん、大丈夫だよ。予約しちゃってくれる?」
「はーい。寂しいですねー、ずっとこの店にいたのに」
三番手の社員さんが八月いっぱいで異動になるので、その送別会だ。
代わりに他の店舗から新しく異動してくる子がいる。鈴木 乃蒼さんという新卒の子らしいけど。
「今度来る子、鈴木さんって言うんだよね」
「あぁはい。この間俺も、マネージャーから聞きました」
「鈴木さんって、もう一人いるからなぁ」
アルバイトさんにも鈴木さんがいるので、ちょっとややこしい。流石、日本で二番目に多い苗字。
「乃蒼っちでいいじゃないですか」
お茶を飲みこみながら八代くんが言うので、ふふっと笑ってしまう。
「そんな風に呼んでるのがマネージャーにバレたらどうなるか」
「じゃあ、のあにゃんとか、のあのあとか」
「アイドルじゃないんですから」
結局普通に『乃蒼さん』と呼ぶことに決めた。
話したことはないし、顔さえも知らないのだけれど。
「そういえば、森下さんとはどこらへんをまわったんですかー?」
湯河原を勧めてくれたのは八代くんなので、僕らが何処で何をしたのか気になるみたいだ。
何処で、何を……
僕らはあの部屋で……何を……。
思い出すだけでも恥ずかしいので、なるべく旅行の話はしたくない。
八代くんに色々と突っ込まれても、僕はお土産話を一つも話すことができなかった。
あの日、朝の行為を終えた後はお互い何事も無かったかのように振舞った。
普通に朝ごはんを食べ、普通に部屋でのんびりとし。
もう一度風呂に行こうと誘われたけど、そこはやんわりと断り、森下くんだけが大浴場へ行って、戻ってきて少ししたら部屋を出て。
駅の方でお土産を買い、普通に家まで送ってもらった。
『すごく楽しかった、また行こうね!』とは言われたけど、あの件については一言も触れず、温泉旅行は終了となったのだ。
そう、普通。
森下くんの態度がいつも通り過ぎたので、僕は混乱しているのだ。
旅行で別れたきり、彼とは顔を合わせていない。
今日も彼の店にランチをしに行こうと思えば出来たのに、わざわざコンビニに行きたいと僕が八代くんにお願いして、休憩室で昼食をとった。
森下くんから何かアクションをされたらそれに対応しようかと考えているが…。
僕からはとても恥ずかしくて、声を掛けられそうにもない。
時間が経過して、自分の行いを客観的に見られたからだろうか……自分も森下くんのをしてもいいかなんてよく言えたものだ。あんな破廉恥なこと、普通はしないだろう!
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