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6 明日夏 3*
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胸の突起は、初めは柔らかかったものの、あっという間に芯を持ち硬くなっていた。
熱い。
そこだけに熱い物を押し当てられている感覚で、僕は奥歯を噛み締めた。
僕の反応が無いことに味を占めたのか、今度は右の突起にも指先が触れられた。
指の腹で繊細に触れる時もあれば、時にはグニグニと押しつぶしてきたりもする。
(あ……やばい、かも……)
パンツの中でそれが反応して膨らんだのが分かった。
僕はいま、感じている。
相手が誰なのかも分からないのに体に触れさせているのを許し、それに興奮して、いいようのない快感を味わっていた。
僕の背中が一気に熱くなった。それは背後の人間が、背中に額を押しつけたまま息を大きく吐き出したせいだった。
胸を弄っていた指の動きはピタリとやみ、今度は下肢の方へと向かっていく。
すぐに足の間に到達したらしく、ハーフパンツの上からさするように撫でられた。ぴくん、と小さく腰が跳ねる。
(誰、なんだろ……)
手の大きさや動き方に、何かヒントはないだろうかと意識を集中させる。
真央に抱き付かれた時の、あの手。
拓海の料理をしている手。
櫂の、煙草を挟んでいる手。
順に思い出してみるものの、全部が当てはまるような気がして分からなかった。
その手に集中しようとすればするほど余計に敏感になってきて、どんどん頭が白んでいった。
優しく撫でていたはずのその手は、今度は僕のズボンのウエストと体の狭間にするりと潜り込んできて、太腿の上まで衣類をずり下げてしまった。
昂った性器が、外気に触れている。
いよいよだ、と思った。
ここで僕が目を見開いて体を起き上がらせなければ、全てが終わるまで眠ったフリをしなくちゃならない。
勇気を出して、やめて、と振り返ってみようか。
しかしそれは、出来なかった。
だって僕らは、親友だ。
もしここで騒げば、無関係の二人も飛び起きてくる。このことが明るみになれば、四人の関係が崩れてしまうかもしれない。
僕は覚悟を決め、枕に唇を押し付けた。
それを見られたのかは分からないが、すぐに僕のものがきゅっと握られ、緩急をつけながら上下に扱かれた。
(あ……や、どうしよ……僕……)
先走りの蜜が、その大きな手やシーツの上にパタパタと落ちている感覚だった。
まるで先端に塗り込むみたいに、指先で滲み出た液体をくるくると擦り付けられる。本来であれば喉を鳴らして、体をくねらせて快感を逃しているところだ。
したいのに出来なくて、でも快感は押し寄せてきて、とても耐えられなかった。
僕は両足をシーツの上で突っ張り、背中を仰け反らせてしまった。
「──っ……!」
声にならない声を上げながら腰を震わせ、僕は達した。
迸る熱い液体は、誰かの手によって受け止められる。
僕はそれでも目を開けないまま、なるべく大きな音を立てないように深呼吸を繰り返した。
僕が目覚めていることに気付いたはずだ。
けれど相手は何も言わず、足元に転がっていたボックスティッシュからティッシュを数枚抜き取り、汚れた手と僕のそれを拭っている。
僕は微動だにしないまま、相手の反応を待った。
名乗り出るのだろうか。もし名乗られたら、僕はどんな反応をしたらいい?
心配事は尽きなかったが、杞憂だった。
相手は梯子に足をかけて、降りていこうとしていた。
ただ一言
「明日夏、好きだ」
息の表面をなぞるような極小さな声で言ったあとで、相手は梯子を降りていった。
しばらくしても、僕は目蓋を持ち上げることができなかった。
今の出来事は、きっと夢だ。
僕はきっと、まだ夢の続きを見ているんだ。
何分、何時間、そんなことを繰り返していたか分からないが、いつの間にか意識を手放していたのだった。
熱い。
そこだけに熱い物を押し当てられている感覚で、僕は奥歯を噛み締めた。
僕の反応が無いことに味を占めたのか、今度は右の突起にも指先が触れられた。
指の腹で繊細に触れる時もあれば、時にはグニグニと押しつぶしてきたりもする。
(あ……やばい、かも……)
パンツの中でそれが反応して膨らんだのが分かった。
僕はいま、感じている。
相手が誰なのかも分からないのに体に触れさせているのを許し、それに興奮して、いいようのない快感を味わっていた。
僕の背中が一気に熱くなった。それは背後の人間が、背中に額を押しつけたまま息を大きく吐き出したせいだった。
胸を弄っていた指の動きはピタリとやみ、今度は下肢の方へと向かっていく。
すぐに足の間に到達したらしく、ハーフパンツの上からさするように撫でられた。ぴくん、と小さく腰が跳ねる。
(誰、なんだろ……)
手の大きさや動き方に、何かヒントはないだろうかと意識を集中させる。
真央に抱き付かれた時の、あの手。
拓海の料理をしている手。
櫂の、煙草を挟んでいる手。
順に思い出してみるものの、全部が当てはまるような気がして分からなかった。
その手に集中しようとすればするほど余計に敏感になってきて、どんどん頭が白んでいった。
優しく撫でていたはずのその手は、今度は僕のズボンのウエストと体の狭間にするりと潜り込んできて、太腿の上まで衣類をずり下げてしまった。
昂った性器が、外気に触れている。
いよいよだ、と思った。
ここで僕が目を見開いて体を起き上がらせなければ、全てが終わるまで眠ったフリをしなくちゃならない。
勇気を出して、やめて、と振り返ってみようか。
しかしそれは、出来なかった。
だって僕らは、親友だ。
もしここで騒げば、無関係の二人も飛び起きてくる。このことが明るみになれば、四人の関係が崩れてしまうかもしれない。
僕は覚悟を決め、枕に唇を押し付けた。
それを見られたのかは分からないが、すぐに僕のものがきゅっと握られ、緩急をつけながら上下に扱かれた。
(あ……や、どうしよ……僕……)
先走りの蜜が、その大きな手やシーツの上にパタパタと落ちている感覚だった。
まるで先端に塗り込むみたいに、指先で滲み出た液体をくるくると擦り付けられる。本来であれば喉を鳴らして、体をくねらせて快感を逃しているところだ。
したいのに出来なくて、でも快感は押し寄せてきて、とても耐えられなかった。
僕は両足をシーツの上で突っ張り、背中を仰け反らせてしまった。
「──っ……!」
声にならない声を上げながら腰を震わせ、僕は達した。
迸る熱い液体は、誰かの手によって受け止められる。
僕はそれでも目を開けないまま、なるべく大きな音を立てないように深呼吸を繰り返した。
僕が目覚めていることに気付いたはずだ。
けれど相手は何も言わず、足元に転がっていたボックスティッシュからティッシュを数枚抜き取り、汚れた手と僕のそれを拭っている。
僕は微動だにしないまま、相手の反応を待った。
名乗り出るのだろうか。もし名乗られたら、僕はどんな反応をしたらいい?
心配事は尽きなかったが、杞憂だった。
相手は梯子に足をかけて、降りていこうとしていた。
ただ一言
「明日夏、好きだ」
息の表面をなぞるような極小さな声で言ったあとで、相手は梯子を降りていった。
しばらくしても、僕は目蓋を持ち上げることができなかった。
今の出来事は、きっと夢だ。
僕はきっと、まだ夢の続きを見ているんだ。
何分、何時間、そんなことを繰り返していたか分からないが、いつの間にか意識を手放していたのだった。
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