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第5章 義兄弟の運命は。
第84話 先輩の家で①
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相良先輩の家はオートロック付きのマンションだった。
しかも駅前で立地も良い。
ドアを開けてもらい、お邪魔させてもらった。
「何もないんだけど、くつろいでってくれよ」
先輩に促され、框に上がる。
本当に誰もいないみたいだ、ドキドキする。
と、思った矢先、リビングの方からひょこっと顔を覗かせた人がいた。
「こんにちはー、いらっしゃい」
悠助くんだった。
コートとリュックを身につけているから、これから出かけるみたいだけど。
「あ、こんにちは」
俺は笑顔で会釈する。
この前、貴臣が俺をいじめた後にここに来て、悠助くんと何を喋ったのかな。
気になるけど、もうそういうのは考えないようにしよう。
「あれ、お前まだいたの? 時間は大丈夫?」
先輩が悠助くんに問う。
「いや、ちょっと言っておきたくてさ。えっとー、怜さん、ですよね」
「はい」
貴臣から、いろいろと話は聞いているのだろう。
悠助くんはニコニコしてから俺に耳打ちした。
「兄貴、マジで性欲強いから、覚悟しといた方がいいっすよ」
「えっ」
「よくこんな変態マンと付き合うって言ってくれましたね。心の広い人だなぁ。兄貴も貴臣も、すごく喜んでましたよ。あ、もちろん俺も、すげー嬉しいです」
貴臣も?
そこのテーブルで3人が笑い合うシーンが勝手に作り出された。
なんて答えたら分からずにいたら、先輩は悠助くんの首根っこを掴んで俺から引き離した。
「誰が変態マンだっ。俺がいつもそんなことばっか考えてるみたいに言うな」
「え、考えてんじゃん。昨日だって鼻息荒くして『明日この家に来るんだよ~』ってすげー興奮して」
「だからっ、もう、お前いけっ」
「はいはい、邪魔者はもう退散します。じゃあ怜さん、兄貴のこと、よろしくお願いします」
「あ、はい……」
何をお願いされたのかは知らないが、悠助くんは鼻歌を歌いながら出て行った。
先輩は頭をボリボリ掻いて恥ずかしそうに笑う。
「ごめんな~。あいついつもあんな調子で俺のこと揶揄ってくんだよ」
「仲がいいんですね」
「良かぁねぇよ、あんな奴。あぁやって調子乗るところがいつもイラッと来るし、毎日ムカついてばっかり」
「でもなんだかんだで好きなんですよね?」
「まぁ、本気で面倒くさいって思う時もあるけどな。切っても切れない縁だから、それなりに仲良くはするよ」
そうだよな。普通の兄弟はそんなものだ。
近すぎず遠すぎず、感情は一定の距離を保って家族を演じていく。
ぼーっとしてしまうけど、先輩は俺の気持ちには気付かずに椅子を引いてくれた。
しかも駅前で立地も良い。
ドアを開けてもらい、お邪魔させてもらった。
「何もないんだけど、くつろいでってくれよ」
先輩に促され、框に上がる。
本当に誰もいないみたいだ、ドキドキする。
と、思った矢先、リビングの方からひょこっと顔を覗かせた人がいた。
「こんにちはー、いらっしゃい」
悠助くんだった。
コートとリュックを身につけているから、これから出かけるみたいだけど。
「あ、こんにちは」
俺は笑顔で会釈する。
この前、貴臣が俺をいじめた後にここに来て、悠助くんと何を喋ったのかな。
気になるけど、もうそういうのは考えないようにしよう。
「あれ、お前まだいたの? 時間は大丈夫?」
先輩が悠助くんに問う。
「いや、ちょっと言っておきたくてさ。えっとー、怜さん、ですよね」
「はい」
貴臣から、いろいろと話は聞いているのだろう。
悠助くんはニコニコしてから俺に耳打ちした。
「兄貴、マジで性欲強いから、覚悟しといた方がいいっすよ」
「えっ」
「よくこんな変態マンと付き合うって言ってくれましたね。心の広い人だなぁ。兄貴も貴臣も、すごく喜んでましたよ。あ、もちろん俺も、すげー嬉しいです」
貴臣も?
そこのテーブルで3人が笑い合うシーンが勝手に作り出された。
なんて答えたら分からずにいたら、先輩は悠助くんの首根っこを掴んで俺から引き離した。
「誰が変態マンだっ。俺がいつもそんなことばっか考えてるみたいに言うな」
「え、考えてんじゃん。昨日だって鼻息荒くして『明日この家に来るんだよ~』ってすげー興奮して」
「だからっ、もう、お前いけっ」
「はいはい、邪魔者はもう退散します。じゃあ怜さん、兄貴のこと、よろしくお願いします」
「あ、はい……」
何をお願いされたのかは知らないが、悠助くんは鼻歌を歌いながら出て行った。
先輩は頭をボリボリ掻いて恥ずかしそうに笑う。
「ごめんな~。あいついつもあんな調子で俺のこと揶揄ってくんだよ」
「仲がいいんですね」
「良かぁねぇよ、あんな奴。あぁやって調子乗るところがいつもイラッと来るし、毎日ムカついてばっかり」
「でもなんだかんだで好きなんですよね?」
「まぁ、本気で面倒くさいって思う時もあるけどな。切っても切れない縁だから、それなりに仲良くはするよ」
そうだよな。普通の兄弟はそんなものだ。
近すぎず遠すぎず、感情は一定の距離を保って家族を演じていく。
ぼーっとしてしまうけど、先輩は俺の気持ちには気付かずに椅子を引いてくれた。
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