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36 仕事姿
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一織の会社のビルって、ここなの?
…でかすぎない?
俺は今、一織に渡す書類を持って、一織の会社の前に立っている。
ことの始まりは、数時間前。
陸たちに散々言われて反省しつつ、学校が終わってから、純喫茶「Anu(アヌ)」でバイトをしていた。
「千尋くん、ちょっとおつかいに行ってほしいんだけど」
食器を洗っているタイミングで、オーナーから声をかけられた。
何か足りないものがあったのかな?と思って顔を上げたら、ちょうどそのとき、佐久間准教授が店に入ってきた。
「すまんな。急に」
「大丈夫ですよ」
親しげに2人が話している。知り合いなのかな。
そんなことを思いながらやり取りを聞いていると、佐久間准教授が俺のほうを見て言った。
「四宮、これを一織に届けてくれ」
差し出されたのは、一通の封筒。
「おつかいって…」
「そう、これ。車は用意してある。それに乗っていけばいい」
いや、運転手さんがいるなら、別に俺が行かなくてもよくない?
なんて一瞬思ったけど、そんなこと言える空気でもなくて。
「…わかりました」
そう答えた。
そして、オーナーが紙袋を渡してきた。
「千尋くん。これも。BLTサンドとカフェラテ入ってるから」
「BLT…あっ。一織、生のトマト苦手かも…」
「うん、知ってる。それに僕が作ったのは佐久間くん食べられるから安心して。」
オーナーはクスリと笑って、続けた。
「千尋くんの分も入ってるから、佐久間くんがちゃんと食べるか確認してね」
「え…俺の分も?」
「すまんな。弟の面倒を見させて。あいつ、今日は何も口にしてないらしくて」
佐久間准教授が、少し困ったように言う。
「え? 朝から?」
「一織の秘書から連絡があってな…。一織と、何かあった?」
「えっ?」
もしかして、今日の…でも、あれで?
考え込む俺を見て、佐久間准教授はフッと笑った。
「一織の感情を揺さぶるのは、四宮しかいないからな。弟を頼むよ。車まで案内する」
俺しかいない?その言葉の意味を考えたかったけれど、すぐに出発しなくてはいけなくてそのまま聞き流してしまった。
「じゃあ、オーナー、行ってきます」
「いってらっしゃい。今日はそのまま帰っていいからね」
「ありがとうございます」
——そして今。
俺は、この会社の前にいる。
…入りづらい。
どうしよう。
とりあえず受付に聞いてみよう、と入口に入った瞬間。
「四宮さまですか?」
声をかけられた。
振り向くと、さわやかで人当たりの良さそうな高身長イケメン。
一織の秘書の方かな?
…なんだ、一織の周りイケメン率高くないか?
「はい。いち…佐久間くんに届け物があって」
一織って名前で呼ぶの、なんとなくためらって言い直した。
「はい。伺っています。案内しますね」
通されたのは、専用エレベーター。
社員の人と会うこともなく、「社長室」と書かれた部屋にたどり着いた。
コンコン、とノックした後イケメンがドアを開ける。
「今日はひとりになりたいって、言ったと思うけど?」
一織の、少し厳しい声。
俺はイケメンの後ろから、ひょっこり顔を出した。
「ごめん。頼まれた書類とゴハン持ってきたんだけど…忙しそうだから、渡したらすぐ帰るよ」
「…え?」
間の抜けた声。
あ、俺が来るって聞いてなかったんだ。
「待って!」
一織が、小走りで俺のところまで来る。
「どうしたの?」
俺に向ける声は、さっきまでとは全然違って、柔らかい。
その落差に、隣のイケメンが思い切り驚いていた。
…でかすぎない?
俺は今、一織に渡す書類を持って、一織の会社の前に立っている。
ことの始まりは、数時間前。
陸たちに散々言われて反省しつつ、学校が終わってから、純喫茶「Anu(アヌ)」でバイトをしていた。
「千尋くん、ちょっとおつかいに行ってほしいんだけど」
食器を洗っているタイミングで、オーナーから声をかけられた。
何か足りないものがあったのかな?と思って顔を上げたら、ちょうどそのとき、佐久間准教授が店に入ってきた。
「すまんな。急に」
「大丈夫ですよ」
親しげに2人が話している。知り合いなのかな。
そんなことを思いながらやり取りを聞いていると、佐久間准教授が俺のほうを見て言った。
「四宮、これを一織に届けてくれ」
差し出されたのは、一通の封筒。
「おつかいって…」
「そう、これ。車は用意してある。それに乗っていけばいい」
いや、運転手さんがいるなら、別に俺が行かなくてもよくない?
なんて一瞬思ったけど、そんなこと言える空気でもなくて。
「…わかりました」
そう答えた。
そして、オーナーが紙袋を渡してきた。
「千尋くん。これも。BLTサンドとカフェラテ入ってるから」
「BLT…あっ。一織、生のトマト苦手かも…」
「うん、知ってる。それに僕が作ったのは佐久間くん食べられるから安心して。」
オーナーはクスリと笑って、続けた。
「千尋くんの分も入ってるから、佐久間くんがちゃんと食べるか確認してね」
「え…俺の分も?」
「すまんな。弟の面倒を見させて。あいつ、今日は何も口にしてないらしくて」
佐久間准教授が、少し困ったように言う。
「え? 朝から?」
「一織の秘書から連絡があってな…。一織と、何かあった?」
「えっ?」
もしかして、今日の…でも、あれで?
考え込む俺を見て、佐久間准教授はフッと笑った。
「一織の感情を揺さぶるのは、四宮しかいないからな。弟を頼むよ。車まで案内する」
俺しかいない?その言葉の意味を考えたかったけれど、すぐに出発しなくてはいけなくてそのまま聞き流してしまった。
「じゃあ、オーナー、行ってきます」
「いってらっしゃい。今日はそのまま帰っていいからね」
「ありがとうございます」
——そして今。
俺は、この会社の前にいる。
…入りづらい。
どうしよう。
とりあえず受付に聞いてみよう、と入口に入った瞬間。
「四宮さまですか?」
声をかけられた。
振り向くと、さわやかで人当たりの良さそうな高身長イケメン。
一織の秘書の方かな?
…なんだ、一織の周りイケメン率高くないか?
「はい。いち…佐久間くんに届け物があって」
一織って名前で呼ぶの、なんとなくためらって言い直した。
「はい。伺っています。案内しますね」
通されたのは、専用エレベーター。
社員の人と会うこともなく、「社長室」と書かれた部屋にたどり着いた。
コンコン、とノックした後イケメンがドアを開ける。
「今日はひとりになりたいって、言ったと思うけど?」
一織の、少し厳しい声。
俺はイケメンの後ろから、ひょっこり顔を出した。
「ごめん。頼まれた書類とゴハン持ってきたんだけど…忙しそうだから、渡したらすぐ帰るよ」
「…え?」
間の抜けた声。
あ、俺が来るって聞いてなかったんだ。
「待って!」
一織が、小走りで俺のところまで来る。
「どうしたの?」
俺に向ける声は、さっきまでとは全然違って、柔らかい。
その落差に、隣のイケメンが思い切り驚いていた。
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