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48 掌の上
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連れて行かれたのは、社長室だった。
促されて部屋に入る。パタン、とドアが閉まる。
えっ?深山さん? ちょっと?
どういう…?
そう思った、その瞬間。
後ろから、ぎゅっと抱きしめられた。
「千尋。会いたかった」
一織が、耳にキスをしてくる。
「ちょ…ちょっと」
話そうとしても、一織の力が強くて離れない。さっきまでの、あの威厳のある一織はどこにいった?
なんだこれ?
…あっ。
まさか、一織。
「今日の、わざとか?」
「ん?」
耳へのキスが止まらない。
「一織!」
「ん~。わざとって言うか…みんなが千尋の能力を認めた状態で、俺のそばで仕事をしても違和感がない状態に持っていっただけだよ?」
「待って。今回の資料作り、求められてる要求が高いって…」
「うん。でも、千尋ならできるって思ってたし」
「だからって、みんな怖がってただろ!?」
さっきの光景を思い出す。
「千尋がいる状態での発表だったら、あそこまで怒らなかったよ。自分たちが考えた、って感じだったから、お灸をすえただけ」
「だからって…でも、どうして俺があの資料を作ったってわかった?」
「ん? 千尋のPC、俺つなげてあるから」
「は?」
「インカメラで、千尋の顔ずっと見てたし」
「は?」
いや、それ怖くないか。
「真剣に考えてる千尋も、かわいかったよ」
「じゃ、ずっと俺の行動は筒抜けだった?」
「ん? 陸たちからも連絡来てたしね」
陸め! 今度とっちめてやる。
「これで、うちの会社では一緒にいても違和感ないね~。千尋も自分の能力の高さ自覚した?」
すべて思い通りに行って機嫌がよさげな一織。
この大型犬の二面性が怖すぎる。
なんだこの甘えっぷりは。
あの打ち合わせ、すっごい怖かったんだから。なんなんだ。
…ムカつく。
「今日さ、一緒に帰ったら。一緒にお風呂入れる?」
一織が甘えてくる。
「え? やだ」
もちろん、断る。
「どうして!? 昨日、入ろうって言っただろ!」
「え? 気分じゃない」
「どうして?」
どうしてじゃない。
最近、すれ違って会えなくてさみしくて、なのに、一織は俺のこと、ずっと見てて…
俺は、見てないのに。
「怒ってる?」
一織は、俺が答えないのを気にして、さらに甘えてくる。
その時、コンコン、とノックの音がした。
…ちょっと、この抱きしめられてる状態、見られるのはまずい。
一織の腕を外そうとしたら、逆に力を強められて、
「お風呂、入るって言わないと、見られちゃうよ?」
耳元で、そうささやかれる。
「どうする? ん?」
意地悪すぎる。
ドアノブが回るのが見えた。
「…わかった!」
そう言うと、一織はスッと離れて、資料を手に取っていた。
「佐久間社長、本日は帰宅でよろしいですか?」
「はい。そうします」
「では、四宮さまも、ご一緒に」
深山さん…さっきまでは「四宮さん」って言ってたのに。「四宮さま」呼びに戻ってる。
…もう、いろいろわかってる気がする。
深山さん。
促されて部屋に入る。パタン、とドアが閉まる。
えっ?深山さん? ちょっと?
どういう…?
そう思った、その瞬間。
後ろから、ぎゅっと抱きしめられた。
「千尋。会いたかった」
一織が、耳にキスをしてくる。
「ちょ…ちょっと」
話そうとしても、一織の力が強くて離れない。さっきまでの、あの威厳のある一織はどこにいった?
なんだこれ?
…あっ。
まさか、一織。
「今日の、わざとか?」
「ん?」
耳へのキスが止まらない。
「一織!」
「ん~。わざとって言うか…みんなが千尋の能力を認めた状態で、俺のそばで仕事をしても違和感がない状態に持っていっただけだよ?」
「待って。今回の資料作り、求められてる要求が高いって…」
「うん。でも、千尋ならできるって思ってたし」
「だからって、みんな怖がってただろ!?」
さっきの光景を思い出す。
「千尋がいる状態での発表だったら、あそこまで怒らなかったよ。自分たちが考えた、って感じだったから、お灸をすえただけ」
「だからって…でも、どうして俺があの資料を作ったってわかった?」
「ん? 千尋のPC、俺つなげてあるから」
「は?」
「インカメラで、千尋の顔ずっと見てたし」
「は?」
いや、それ怖くないか。
「真剣に考えてる千尋も、かわいかったよ」
「じゃ、ずっと俺の行動は筒抜けだった?」
「ん? 陸たちからも連絡来てたしね」
陸め! 今度とっちめてやる。
「これで、うちの会社では一緒にいても違和感ないね~。千尋も自分の能力の高さ自覚した?」
すべて思い通りに行って機嫌がよさげな一織。
この大型犬の二面性が怖すぎる。
なんだこの甘えっぷりは。
あの打ち合わせ、すっごい怖かったんだから。なんなんだ。
…ムカつく。
「今日さ、一緒に帰ったら。一緒にお風呂入れる?」
一織が甘えてくる。
「え? やだ」
もちろん、断る。
「どうして!? 昨日、入ろうって言っただろ!」
「え? 気分じゃない」
「どうして?」
どうしてじゃない。
最近、すれ違って会えなくてさみしくて、なのに、一織は俺のこと、ずっと見てて…
俺は、見てないのに。
「怒ってる?」
一織は、俺が答えないのを気にして、さらに甘えてくる。
その時、コンコン、とノックの音がした。
…ちょっと、この抱きしめられてる状態、見られるのはまずい。
一織の腕を外そうとしたら、逆に力を強められて、
「お風呂、入るって言わないと、見られちゃうよ?」
耳元で、そうささやかれる。
「どうする? ん?」
意地悪すぎる。
ドアノブが回るのが見えた。
「…わかった!」
そう言うと、一織はスッと離れて、資料を手に取っていた。
「佐久間社長、本日は帰宅でよろしいですか?」
「はい。そうします」
「では、四宮さまも、ご一緒に」
深山さん…さっきまでは「四宮さん」って言ってたのに。「四宮さま」呼びに戻ってる。
…もう、いろいろわかってる気がする。
深山さん。
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