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66 ご褒美
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オムライスを皿に盛って、テーブルに並べる。
「一織、ケチャップは?」
「いらない…」
「そっか、ハート書こうと思ったのに…」
一織が、えっ、って顔をする。
「いる。書いて」
「いらないんだろ」
「いる。千尋、ハート」
ほんと、急に甘えてくる大型犬め。
向かい合って座ると、一織は一口食べて、ちょっと目を細めた。
「あっ…ニンジン小さい」
嬉しそうにしてるのがわかる。
「サラダのトマトも食べろよ」
「…ご褒美ある?」
そういうとこだぞ、ほんとに。
「食べたら教えてやる。食べろ」
一織が、ふっと笑う。
その笑い方が、いつもの一織で、俺も安心した。
「…ねぇ、千尋」
「なに」
「好き。大切にする」
スプーンを止めて、俺を見る。
真っ直ぐすぎて、ちょっと困る。
俺は視線を逸らして、オムライスを口に運ぶ。
味、ちゃんとしてる。よかった。
「千尋」
「だから、なに」
一織が、そっと手を伸ばしてくる。
指先が、俺の小指に触れる。
「さっきの続き」
指を絡めてこない。ただ、触れるだけ。
俺はされるがまま。
「千尋が、進みたいって言ってくれたやつ」
「…それが?」
俺は一織を見た。
ちゃんと、俺の目を見て聞いてくる。
「…今日、夜、いい?」
「ダメ」
「大事にするから。ダメ?」
「…ちゃんとトマト食べろ」
一織は、少し残念そうに笑った。そして素直にトマトを口に運ぶ。
もぐもぐしながら、こっちを見る。
「…食べた」
「全部食べろ」
「ご褒美は?」
「聞き分けのいい大型犬には、あとでな」
「あとって、いつ」
「食べ終わってから」
一織は一瞬考えて、またフォークを動かした。
ほんと単純。
最後の一つを一織が口に運ぶ前に、俺は言った。
「それ食べたら、今日は五分間、何しても、俺、逃げないよ」
それを言った途端、フォークがお皿に落ちた。
「ちょっ、一織?」
「今、なんて言ったの?」
「え?」
「だから、今、なんて言ったの? 本当に?」
「だから、食べたら…」
速攻でフォークを手にして、一織が食べる。
「ん。食べた。ベッド行く」
「一織、ケチャップは?」
「いらない…」
「そっか、ハート書こうと思ったのに…」
一織が、えっ、って顔をする。
「いる。書いて」
「いらないんだろ」
「いる。千尋、ハート」
ほんと、急に甘えてくる大型犬め。
向かい合って座ると、一織は一口食べて、ちょっと目を細めた。
「あっ…ニンジン小さい」
嬉しそうにしてるのがわかる。
「サラダのトマトも食べろよ」
「…ご褒美ある?」
そういうとこだぞ、ほんとに。
「食べたら教えてやる。食べろ」
一織が、ふっと笑う。
その笑い方が、いつもの一織で、俺も安心した。
「…ねぇ、千尋」
「なに」
「好き。大切にする」
スプーンを止めて、俺を見る。
真っ直ぐすぎて、ちょっと困る。
俺は視線を逸らして、オムライスを口に運ぶ。
味、ちゃんとしてる。よかった。
「千尋」
「だから、なに」
一織が、そっと手を伸ばしてくる。
指先が、俺の小指に触れる。
「さっきの続き」
指を絡めてこない。ただ、触れるだけ。
俺はされるがまま。
「千尋が、進みたいって言ってくれたやつ」
「…それが?」
俺は一織を見た。
ちゃんと、俺の目を見て聞いてくる。
「…今日、夜、いい?」
「ダメ」
「大事にするから。ダメ?」
「…ちゃんとトマト食べろ」
一織は、少し残念そうに笑った。そして素直にトマトを口に運ぶ。
もぐもぐしながら、こっちを見る。
「…食べた」
「全部食べろ」
「ご褒美は?」
「聞き分けのいい大型犬には、あとでな」
「あとって、いつ」
「食べ終わってから」
一織は一瞬考えて、またフォークを動かした。
ほんと単純。
最後の一つを一織が口に運ぶ前に、俺は言った。
「それ食べたら、今日は五分間、何しても、俺、逃げないよ」
それを言った途端、フォークがお皿に落ちた。
「ちょっ、一織?」
「今、なんて言ったの?」
「え?」
「だから、今、なんて言ったの? 本当に?」
「だから、食べたら…」
速攻でフォークを手にして、一織が食べる。
「ん。食べた。ベッド行く」
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