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第20話 進展の前
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「はい、アキトさん。これ。」
「……あっ、ありがとう」
紙袋を受け取ったアキトさんの手元に、リョクがさらりともう一つ小さな包みを滑り込ませる。
「これは、プレゼントのお礼。もう一つ入れておいたから、試してってキョウカさんに伝えて?」
「えっ?」
微妙に赤くなったアキトさんの顔に、リョクはにっこりと笑う。
「あっ、入浴剤持ってきたの? キョウカさん、すごく気に入ってたよ」
「うん。キョウカさんのために持ってきたんだ。アオは使った?」
「ごめん、まだ。今日使おうかな?」
「あっ、じゃあ今日はこっちを使って。元気が出ると思うから」
さっきのことを心配してくれるリョクの気持ちが嬉しい。
「わかった。さっそく今日使ってみるね」
「うん!僕はそろそろ行くね。アオが泊めてくれないし~」
わざと拗ねたふりをしたリョクは、ふと何かを思い出したように足を止め、社長室のドアを開けた。
「――あ、社長。今日は早く帰って。アオをお風呂に入れてあげてね」
「ちょ、ちょっと!?お風呂は一人で入れるよ!!」
僕だけが状況を理解していないみたいで、一瞬、部屋の空気がピタッと止まる。
リョクはくすくす笑いながら僕の肩を抱き寄せて、ぎゅっと抱きしめる。
「こういうところがいいんだよね~、アオって」
そんな意味不明な一言を残して、満足そうに去って行った。
「もう……僕、一人でお風呂入れるのに。すぐからかうんですよ、リョクは」
半ば呆れて同意を求めたものの、袋の中を確認していたアキトさんは「ん? ああ、そうだね」と上の空な返事。
何か気になることでもあるのかな?
*―――――――――――
その頃、リョクは会社の玄関を出たところで、黒い服を着た見知らぬ男とすれ違っていた。
リョクの目がふとその男に向けられ、ちょっとした違和感を覚える。
けれど、足早に去って行く彼を追いかけることはしなかった。
*―――――――――――
僕はいつものようにアタッカーとしての作業を進めていた。
痕跡?
ファイルのアクセスログに、妙な揺らぎを見つけた。誰かがアクセスしようとして――諦めた? いや、違う。わざと痕跡を残している?
これは……。すぐにアキトさんに報告する。
「ありがとう。確認はこっちで進めるから、アオくんは定時で帰って」
「でも……」
ログが気になってしまう。
「帰る」
というレイの声。
「え? あっ、でも僕、ログが気になるので仕事……」
「帰る」
「でも……」
「アオくん、今日は帰って。明日来られたら、指示出すね」
ん? 来られたら……? どういうこと?
まさか、リョクの言葉を真に受けてるの?
「僕、一人でお風呂に入れますけど?」
……その言葉に、返事はなかった。
「……あっ、ありがとう」
紙袋を受け取ったアキトさんの手元に、リョクがさらりともう一つ小さな包みを滑り込ませる。
「これは、プレゼントのお礼。もう一つ入れておいたから、試してってキョウカさんに伝えて?」
「えっ?」
微妙に赤くなったアキトさんの顔に、リョクはにっこりと笑う。
「あっ、入浴剤持ってきたの? キョウカさん、すごく気に入ってたよ」
「うん。キョウカさんのために持ってきたんだ。アオは使った?」
「ごめん、まだ。今日使おうかな?」
「あっ、じゃあ今日はこっちを使って。元気が出ると思うから」
さっきのことを心配してくれるリョクの気持ちが嬉しい。
「わかった。さっそく今日使ってみるね」
「うん!僕はそろそろ行くね。アオが泊めてくれないし~」
わざと拗ねたふりをしたリョクは、ふと何かを思い出したように足を止め、社長室のドアを開けた。
「――あ、社長。今日は早く帰って。アオをお風呂に入れてあげてね」
「ちょ、ちょっと!?お風呂は一人で入れるよ!!」
僕だけが状況を理解していないみたいで、一瞬、部屋の空気がピタッと止まる。
リョクはくすくす笑いながら僕の肩を抱き寄せて、ぎゅっと抱きしめる。
「こういうところがいいんだよね~、アオって」
そんな意味不明な一言を残して、満足そうに去って行った。
「もう……僕、一人でお風呂入れるのに。すぐからかうんですよ、リョクは」
半ば呆れて同意を求めたものの、袋の中を確認していたアキトさんは「ん? ああ、そうだね」と上の空な返事。
何か気になることでもあるのかな?
*―――――――――――
その頃、リョクは会社の玄関を出たところで、黒い服を着た見知らぬ男とすれ違っていた。
リョクの目がふとその男に向けられ、ちょっとした違和感を覚える。
けれど、足早に去って行く彼を追いかけることはしなかった。
*―――――――――――
僕はいつものようにアタッカーとしての作業を進めていた。
痕跡?
ファイルのアクセスログに、妙な揺らぎを見つけた。誰かがアクセスしようとして――諦めた? いや、違う。わざと痕跡を残している?
これは……。すぐにアキトさんに報告する。
「ありがとう。確認はこっちで進めるから、アオくんは定時で帰って」
「でも……」
ログが気になってしまう。
「帰る」
というレイの声。
「え? あっ、でも僕、ログが気になるので仕事……」
「帰る」
「でも……」
「アオくん、今日は帰って。明日来られたら、指示出すね」
ん? 来られたら……? どういうこと?
まさか、リョクの言葉を真に受けてるの?
「僕、一人でお風呂に入れますけど?」
……その言葉に、返事はなかった。
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