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第74話 受け入れた?
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ソファに身を預け、香りに安らぐアオを横目で見る。
彼が自ら頭を預けてくるまで、時間はかからなかった。
香りが作用しているのは確かだが、それだけではない。
心をすり減らした獲物が寄りかかる先を、私は慎重に用意してきた。
「……可愛いですね」
思わず口をついて出た言葉に、彼は小さく瞬きをしただけだった。否定もせず、ただ身を委ねている。
面白い。
実験したムルたちには即座に淫らな反応を引き出した香りに、アオは抵抗している。それなのに、私の「一条の香り」には素直に反応する。
「一度横になった方がいい」
そう告げて彼を抱き上げると、アオは何も抵抗せず身を預けた。
それなりに信用してくれている、ということか。
だが——この程度では足りない。
彼が私に心から依存し、抗えなくなるまで。
もっと強く、もっと深く。私なしでは生きられないように仕向けなければ。
ムル・ナンバー7を手に入れるために。
トウヤ本人から、一条にかわいがってもらっていると連絡があった。
調査部隊からも同じ報告を受けている。
一条はもう諦めたのか、それとも罠か。
一条を潰すよりも、神川アオ自身が絶望して一条から離れる方が近道だ。接触させるか。
「アオ君、今日は私が使っている会員制のラウンジに行きませんか?」
「ラウンジ?」
「気分転換にいいかと思いましたが、どうですか?」
「……じゃあ」
*---------------
ここはVIP専用ラウンジだ。柔らかな照明に包まれている。
その奥のソファにはレイとトウヤが座っていた。
2人の距離感は恋人以上の雰囲気を醸し出していた。
「レイ、少し顔色悪いよ?」
そう言ってトウヤは彼の頬に指先を添え、優しく撫でる。
その動作をしながら、視線だけをアオへ向け、にやりと笑った。
レイは眉ひとつ動かさず、ただ静かに資料に目を落とし続けていた。
だが、拒絶する仕草はどこにもなかった。
「僕がそばにいるから、大丈夫」
甘い声でそう囁くと、さらにレイの顎を軽く持ち上げ、唇を重ねるように顔を近づける。吐息が触れ合うほどの距離。
まるで「キスをする瞬間」を、アオに見せつけるかのように。
レイは抵抗しない。静かに受け入れているように見える。
——それだけで十分だった。
アオの心臓が大きく脈打ち、胸の奥に鈍い痛みが広がる。
「っ……」
見ていられない。けれど視線を逸らすことができない。
耐えきれず、アオは神宮寺の袖をぎゅっと掴んだ。
「……神宮寺さん、ここから……出たい」
かすれた声は、必死に逃げ場を求める子供のようだった。
神宮寺はゆっくりとアオを振り返る。
その頬に指先をかけ、優しく微笑んだ。
「……アオ」
甘く、低い声で名を呼ぶ。
そして掴まれた袖ごと彼の手を取り、自分の側へと引き寄せた。
アオは自分の所有だと誇示するように。
アオは抵抗せず、むしろ安堵するように神宮寺へ体を預けた。
その仕草は他者から見れば「神宮寺に甘え、すがっている」ようにしか見えない。
トウヤはそれを見て、さらに勝ち誇った視線をアオへ送る。
「見た? レイは僕のものだ」
そう語るように、彼はわざとレイの肩に唇を寄せた。
レイの表情は変わらない。
彼が自ら頭を預けてくるまで、時間はかからなかった。
香りが作用しているのは確かだが、それだけではない。
心をすり減らした獲物が寄りかかる先を、私は慎重に用意してきた。
「……可愛いですね」
思わず口をついて出た言葉に、彼は小さく瞬きをしただけだった。否定もせず、ただ身を委ねている。
面白い。
実験したムルたちには即座に淫らな反応を引き出した香りに、アオは抵抗している。それなのに、私の「一条の香り」には素直に反応する。
「一度横になった方がいい」
そう告げて彼を抱き上げると、アオは何も抵抗せず身を預けた。
それなりに信用してくれている、ということか。
だが——この程度では足りない。
彼が私に心から依存し、抗えなくなるまで。
もっと強く、もっと深く。私なしでは生きられないように仕向けなければ。
ムル・ナンバー7を手に入れるために。
トウヤ本人から、一条にかわいがってもらっていると連絡があった。
調査部隊からも同じ報告を受けている。
一条はもう諦めたのか、それとも罠か。
一条を潰すよりも、神川アオ自身が絶望して一条から離れる方が近道だ。接触させるか。
「アオ君、今日は私が使っている会員制のラウンジに行きませんか?」
「ラウンジ?」
「気分転換にいいかと思いましたが、どうですか?」
「……じゃあ」
*---------------
ここはVIP専用ラウンジだ。柔らかな照明に包まれている。
その奥のソファにはレイとトウヤが座っていた。
2人の距離感は恋人以上の雰囲気を醸し出していた。
「レイ、少し顔色悪いよ?」
そう言ってトウヤは彼の頬に指先を添え、優しく撫でる。
その動作をしながら、視線だけをアオへ向け、にやりと笑った。
レイは眉ひとつ動かさず、ただ静かに資料に目を落とし続けていた。
だが、拒絶する仕草はどこにもなかった。
「僕がそばにいるから、大丈夫」
甘い声でそう囁くと、さらにレイの顎を軽く持ち上げ、唇を重ねるように顔を近づける。吐息が触れ合うほどの距離。
まるで「キスをする瞬間」を、アオに見せつけるかのように。
レイは抵抗しない。静かに受け入れているように見える。
——それだけで十分だった。
アオの心臓が大きく脈打ち、胸の奥に鈍い痛みが広がる。
「っ……」
見ていられない。けれど視線を逸らすことができない。
耐えきれず、アオは神宮寺の袖をぎゅっと掴んだ。
「……神宮寺さん、ここから……出たい」
かすれた声は、必死に逃げ場を求める子供のようだった。
神宮寺はゆっくりとアオを振り返る。
その頬に指先をかけ、優しく微笑んだ。
「……アオ」
甘く、低い声で名を呼ぶ。
そして掴まれた袖ごと彼の手を取り、自分の側へと引き寄せた。
アオは自分の所有だと誇示するように。
アオは抵抗せず、むしろ安堵するように神宮寺へ体を預けた。
その仕草は他者から見れば「神宮寺に甘え、すがっている」ようにしか見えない。
トウヤはそれを見て、さらに勝ち誇った視線をアオへ送る。
「見た? レイは僕のものだ」
そう語るように、彼はわざとレイの肩に唇を寄せた。
レイの表情は変わらない。
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