【完結 R18版】ルガルの星―冷徹な社長は、僕の運命を知っていた―

綾波絢斗

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第78話 見つけた

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「アオ君への香りの作用、まだ不十分だ」

神宮寺はさらなる依存を深めるため、香りの強度を上げるよう指示を出した。ティーセットや部屋の空調に仕込まれる香りは、日ごとにわずかに濃度を増していく。アオを縛りつけるはずだった。だが、アオはすぐには乱れを見せない。

それでも、アオ自身から接触してくる機会が増えていた。頭を撫でられると安心したように目を閉じ、時には撫でている最中にスヤスヤと寝息を立てることもある。その姿を見て、神宮寺は「心を許している証拠だ」と確信した。

「寝てた……ごめん」最近、アオは敬語を使わなくなってきていた。

「眠いなら寝ていてもいいよ」そう優しく答えると、胸に顔をうずめて甘えてくる。

顎に手を添えて顔を近づけると、アオは唇を避け、その代わりに首筋へとキスを落とした。チュッ、チュッと湿ったリップ音が響く。やがて舌が首筋を這い、熱を残す。

「誘っていますか?」と問いかけても、アオは答えずに首筋を舐め続けた。今日の濃度は効果があった——神宮寺はそう信じ込んだ。

(そろそろ、俺のものにしなければ……)

そう思い、アオの服に手を差し入れた瞬間——

ブーブーブーッ!

けたたましいブザー音が館内に鳴り響いた。

「なっ。なに?」アオが怯え、神宮寺にしがみつく。

神宮寺は素早く電話を取った。「もしもし、何があった!?」

電話口の研究員の声が切迫している。「急に館内のセキュリティシステムがダウンして、すべてのロックが解除されました!」

「どういうことだ!? なぜそんなことに——」

「実験対象者が逃げ出しました!」

その言葉に神宮寺は舌打ちし、アオの手を引いて研究室へ急いだ。

だが、その場所に着いたとき、スタッフ全員が床にうずくまり動けなくなっていた。

「ど……どういうことだ……」戸惑う神宮寺。

そのとき、低く静かな声が響いた。

「やっと見つけた」

レイが姿を現した。瞳に宿るのは静かな怒り。

「どうしてここが!?」神宮寺が叫ぶ。

「アオ! こっちに来て!」リョクがアオの手を引いた。

「リョク!」

「俺の支配の力は広範囲じゃ長く持たない。ムルの子たちはカナメとアキトが外に出した。だから一緒に行こう!」

「アオ! 待て!」神宮寺の声が遠くで響く。

だが、レイのムガルの力は絶大だった。リョクが支配で止めていた研究員たちは意識を失い、次々と倒れ伏す。その波は神宮寺にも及び、彼の視界はゆっくりと暗転していった。

*---------------

建物を抜け出した直後、その場に震えながらもこちらへ歩み寄る人物がいた。

ムル335号と呼ばれていた青年だった。以前、研究所で助けようと香りを嗅がせた相手だ。

「ありがとう。おかげで僕の番と会えた」青年は安堵に満ちた声でそう言い、手にしていた黒のバングルをアオに差し出した。

「これ……返すよ」

「よかった……でも、あの後も辛かったでしょ? すぐに助け出せなくて、ごめん」

「……いいんだ。君が動いてくれたから、俺はまだここに立ててる」そう呟く青年の瞳には、もうかつての虚ろさはなかった。
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