グランサンクチュア 〜地底天空都市の伝説〜

大森六

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第一章 ヒューマニア王国

第12話 さらに下層へ!

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「魔物だと? どこにもいないぞ?」

 ロイも困惑するが、ノアは揺るがない。


「騎士団のお二人は下がっていてください。僕が中央をつぶします。リックさんは左側を、父さんは右側の魔物をお願いします。おそらくB級です」


「ほんとかよ⁈  とりあえず、配置に付くぞ!」


 すると、突然30m前方の地面から魔物が一気に現れた。

「ソイラムカデだ! 気を付けろ!」

 三人が一斉にソイラムカデに攻撃を仕掛ける。

 ロイが一匹を一刀両断、リックも負けじと風属性魔土術を付与した斧で粉砕する。そしてノアは……


炎槍エンソウ!」

 前回よりも直径を小さくして貫通力を増した炎がど真ん中の魔物三匹を同時に貫く!

 そしてコアを避けたソイラムカデをロイがフォローして無事に撃破した。

「よっしゃあ!」

 ロイとリックが喜んでノアのもとへ。とその時、ノアの炎槍を受けて穴があいた魔物の体から発火が起こり、あっという間に全身が炎で包まれる。


「あぁ! またやってしまった! これじゃぁ回収できない!」


 ものすごく凹むノアをロイとリックが大笑いしながら励ます。


「いやいや、少しはそういう子供らしいことしてくれよ!」

「ほんとだぜ。ノアはちょっと出来過ぎだ! これくらいが丁度いいんだ」

(信じられないわ……B級魔物が一発で? しかも複数体を? しかもさっきからあの子、無詠唱むえいしょうで魔土術を使っているわ。どういうことなの?)


 そしてノアの指示で前進する調査団。調査を開始して二時間が経過したくらいで、唯一ルートが行き止まりとなった。

「どうするノア? 特に道が分かれていなかったからな。ここをB級ダンジョンとして一旦踏破宣言するか?」

「ちょっと待ってくださいね。調べてみます」

 サーチして状況を把握するノア。

「この地面がかなり薄いです。ここをモグります。皆さんは下がっていてください。あ、リックさんはソイラだけは回収してくださいね。あれでブロッカ地域のみなさんの家が、庶民の生活が少しでも良くなるかもしれないので」


「……ノア、お前……だからソイラにこだわって」


 ロイとリックが向き合ってバツが悪い表情をしている。ヘンドリックも同様だ。
調査団の探掘物や魔土は全て王家に贈呈するのがしきたりだ。調査団はその褒賞を国王から授与される。つまりノアが回収しているソイラは王家の所有物となるのだ。

さらに、ソイラは一般的に王宮内では使用される物ではないため、上級貴族たちによって市場へ流される。つまりノアの努力は庶民には届かず、王都の貴族たちの利益に還元されるだけなのだ。

それをヘンドリックもわかっているからこそ、純粋な子供が王国市民のために動くその姿勢を直視できずにいた。


(この子は真剣に王国の未来を良くしようとしている……それなのに王国の騎士団や家臣、貴族たちは……)



 ノアがモグってから5分程度で下層へ繋がるルートへと繋がった。調査団は慎重に降りていき、無事にたどり着く。


「おい、リック。ここはつまり……」


「あぁ、おそらくA級だな。魔物と出現アイテム次第ではあるがな」


「みなさん、まずは僕が調べて見ます」

 ノアがサーチライトでスキャンする。


「あぁ! あの辺りをモグります! すみません。父さん魔物からの護衛お願いします!」

 「おう。任せろ」

 ノアが壁をモグり始めた。するとザクザクとハイソイラが出てきた。

「おいおい! こんな大量のハイソイラだと⁈  こんなの普通のA級だとありえねぇぞ!」

 リックがびっくりしながら回収していく。 そしてノアが戻ってきた。

「大体こんな感じで。あとはローソイラと質の悪いソイラっていう感じでした」

「ノアの報告を聞いてロイが手をあげる」

「おい、ちょっといいか? 今のノアの話、詳しく知りたいんだが、俺も少しモグった箇所を見せてもらえないだろうか?」

「リックさん、護衛をお任せしてもいいですか?」

「おう、二人で行ってこい!」


 そしてロイもノアのモグったところを見てみる。サーチライトで照らしながらノアの探掘状況と現在残っているソイラの状況、そして突然現れるローソイラ。

「うん。これはボイドの爺さんが言っていた仮説を立証できるかもしれないな」

「仮説?」

「あぁ、そうだ! ダンジョンを出てから今度モグラーギルドに行こうか! その時にノアにも話す! 今は戻ってダンジョンに集中だ」

「うん! わかった」



 そして、調査団は再び前進する。ノアが立ち止まってモグってみては貴重なアイテムとハイソイラを獲得していく。 効率があまりにも良すぎて驚くヘンドリックとエミラ。


「……父さん、リックさん!」

「あぁ、わかってる。……魔物だな」


 正面から大きな足音が聞こえてきた。 徐々に大きくなるその足音に魔物の大きさが想像できる。そして、またしても複数体いるようだ。

「サーチライト!」

 スキャンしたノアの表情に緊張が走る。


「どうしたノア? 魔物は何体だ⁈」


「およそ20頭、おそらく魔獣系だと思う。こっちの気配に気付いたみたいだ」


「走ってくる……騎士団のお二人は離れて隠れていてください!」


「ノア、陣形はどうする? さっきと同じか?」


「いや、ちょっと試したいことがあるんだ」


 二人に作戦を伝えるノア。

「リーダーの指令は絶対だからな。やるか、ロイ!」

「おう。 お前よりも多く叩き斬ってやるぞ」



 そしてロイとリックはダンジョンの天井部に飛び移り、気配を完全に消す。
 ど真ん中でノアがポツンと一人両手を伸ばして魔物を待っている。

 ドドドドドドドッ!!

 キングソイラコングが現れた!ものすごい勢いでノアに突っ込んでくる。

(20頭以上いるかも。かまうもんか! いくぞ!)

「ブライト!!」


 ノアの両手からとんでもない光の量が放射状に放出される。強烈な光がキングソイラコングの眼球に突き刺さるように飛び込んでいく。


「ウガガガガッ ウガ! ウガ!」

 苦しんで立ち止まり周囲に関係なく暴れ出す魔獣の群れ。


「いくぞ! リック!」
「おう! こっちは任せろ!」

 何も見えずに両腕を振り回すコングの無差別攻撃をかいくぐってロイとリックが次々と斬り倒していく。 そしてノアも水属性魔土術でとどめを刺していく。一本道だったこともあって前方からスムーズに倒していけたが、最後尾の五匹は光の影響を受けなかったようだ。

「まぁ、これくらいがちょうどいいかもな!」

 一匹目をあっさりロイが真っ二つにする。

 そしてリックも続こうとした時、後方のキングソイラコングが巨大なソイラの塊を投げつけてきた。

「ガハァ!!」


「リック! 大丈夫か!」

「父さん! なんとかゴリラの相手して! 僕が治療する!」


「わかった! お前ら……こっちだ!」

「「「ウガァア!!」」」

 ロイが闘気を放って魔獣全てのヘイトを自身に向ける。
 なんとロイが4頭を同時に相手にして戦い始めた。A級クラスの魔獣を同時に一人で4頭は流石にロイでも厳しい。

「僕も急がないと……ハイソイラ!」

 岩の塊が直撃して全身に打撲と骨折を負ったリックの身体がみるみるうちに回復していく。


「……うお!! 復活だ! すまない、ロイ! 待ってろ、今行く!」

「……へへっ、おせぇよ。バカが」

 ロイの奮闘で残り2頭となっていたが、ロイも負傷している。


 そこへリックとノアも加勢に入り、なんとキングソイラコングの群れをたった三人で倒してしまった。




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